アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

New Sports/Minor Sports

社会正義アピールへの各リーグの取り組み

トランプ大統領はYankee Stadiumでの始球式は取りやめるようです。2日前のツイートでRed Sox@Yankees戦で始球式をすると発表していたのを急にやめると。理由はコロナ対策に集中するから。8月15日という何週間も先の予定をコロナ対策で回避というのは理由がおかしいので、他の理由なのでしょう。

民主党の強固な地盤であるニューヨーク市の観客による激しいブーイングに迎えられるのがイヤ(だと思うんですが)でこれまで実現していなかったのを、無観客のこの機会にやってしまいたかったのでしょうが、結局撤回ということに。

歴代大統領が皆やってきた始球式なのでトランプ大統領もやっておきたかったはず。球団やMLBには事前に根回しはして計画・発表したはずですから、発表後に撤回というドタバタとなったということは発表後に知った陣営から問題が発生したと考えるべきで、選手から強い反対が出たと推測すべきなのでしょうね。

既報の通りMLBではシーズン開幕してから試合前の国歌演奏の前に全選手による膝つき行動と連帯を示す長い黒布を足元に置き、国歌演奏時の起立というスタイルでうまくバランスをとった行動をしてます。これは各地で同じスタイルとなっているので事前に選手会とMLBが合意していた行動であるはず。
その対応についてトランプ大統領はご満足だったようで、賛意をツイートしていました。その流れでYankee Stadium行きもツイートしていたわけです。

つまり状況から判断して、MLBと選手会の間、MLBとホワイトハウスの間はそれぞれ根回しがしっかりできていたと考えて良い。しかしトランプ大統領のYankee Stadium登場は選手会側には通っていなかったと。表には出てないですが、選手側からそんな話は聞いていない、トランプが来るなら国歌での起立もしないとかいう反対論が出たのであろうと想像できそうです。
せっかくうまい落とし所での統一行動がとれていたところで、大統領訪問で選手の国歌での膝つき行動が出たりして荒れるのはマズい、というかもったいない。選手側からの異論が激しいと判断したMLB側がお断り申し上げたという感じかなと想像します。


さてMLBとは比較にならない小規模プロ興行ですが、女子バスケのWNBAやプロ野外ラクロスのPLLも今週末からシーズンを開幕しています。抗議行動についてはまたそれぞれの対応となってます。

PLLはユタ州での集中開催。こちらでは試合前は国歌なしで、Black Lives Matterとは言わず「全ての人種へ社会正義を」と場内アナウンスがあり、各チームが円陣を組むというスタイルという試合前になっていました。円陣の際は起立のままの円陣のチームと膝をついて円陣を組むチームなど対応はまちまち。ラクロスは選手の構成は白人が大半。

PLLの放送では開幕初日にはラクロス好きでお馴染みBill Belichickさんが登場。2日目の放送にはNFL New Orleans Saints QB  Drew Breesも応援出演。息子がラクロスをやってるそうです。子どもたちは昨年のPLLオールスター戦にも観戦に行っていたそう。Drew本人はテキサス育ちで子供の頃はまったくラクロスには触れたことはなかったのだけれど、3年前に子供がやりはじめてすっかり好きになったとリップサービスして楽しそうに話してくれました。

BreesはBlack Lives Matterの問題発生時に国歌での起立を主張してその後謝罪した方。Belichickさんは前回2016年の選挙時からの隠れもないトランプ支持者。そしてPLLの試合ではBlack Lives Matterとはどこにも出てこないところからするとPLLはトランプ支持者に強めの配慮したスタンスをとったと判断できそうです。BelichickさんもBreesも政治的な発言をしたわけではないので明示的ではないですが。

屋外ラクロスではPLLとは別に老舗のMLLもあり、そちらは国歌は全員起立ですんなりやっていたようでした。PLLではやっていた社会正義への取り組みアピールもなし。2020年のアメスポの試合には見えないほど以前通りでした。

同じくこの週末にシーズンがスタートとなった女子バスケWNBAではコート上に「Black Lives Matter」と描かれ、全員着用のウォームアップウェアの背中にも同じフレーズが書かれているのとは差が出てます。またWNBAでは国歌演奏の前に全選手が会場から立ち去り、空のコート上に国歌が響くという状態になってます。バスケは黒人選手比率はとても高い。
来週からはWNBAと同じ経営主体による男子NBAも始まります。NBAはコート上にはBlack Lives Matterとは描かれないというニュースは先週流ていたと思うので、その点でWNBAはNBAとも対応に差があるってことになります。



PLLとかWNBAとか、MLBを始めとするメジャースポーツの露出力とはまったく比較にならない小規模スポーツビジネスですからそれがどういう対応をとっても社会的影響は極低いですが、それでもそれぞれの色が出ているのは興味深いとは言えるのでしょう。後続となるNBA、NHLのそれぞれの対応も気になるところです。

PLLが集中開催で創設2年目シーズン開始へ

昨年発進した新プロ野外ラクロスのPLLが西部ユタ州にあるZions Bank Stadium(収容5000人)でシーズンを執り行うと発表しています。7月25日から8月9日まで2週間の期間で。

またユタ州なんだ、という感じです。先日触れたSupercrossの集中開催もユタ州でのことでした。夏の暑い時期、高地の方が選手たちには優しいという理由もありそうです。Zions Bank Stadiumはサッカー2部USL(ここ数年組織名称がよく変わるのでわかりにくいですが)のチームや、ラグビーのMLRのチームのホームスタジアムとして使用されている2018年開場のスタジアム。たぶん新しくこぢんまり小ぎれいなスタジアムなのではないかと想像します。

PLLは昨年初のシーズンを行ったツアー型のラクロスプロリーグ。ツアー型でリーグ戦を戦うという編成がアメスポでは珍しい試みでした。2年目になるはずだった今年2020年シーズンはコロナ疫禍で予定通りのシーズン開催は望むべくもない状況でした。
零細なスポーツリーグは今年はもうビジネスを諦めるかどうかの判断を迫られている。マイナーとは言え規模の大きなところではMinor League Baseballですら全休してしまいそうな情勢です。
MiLBはMLBとの契約が今年の9月で切れるとかでMLB側の様々な強い要求にさらされて経営の先行きが怪しかったところへ疫禍での興行全面中止。MLBは小規模チームをMiLB組織から振り落としてスリム化を要求していたわけですが、その要求がなくても今季が完全に消滅したら潰れるチームが続出してしまいそうな情勢(この件はまた別項で細かく追求してみます)。

長年地元に根を張って運営されてきたMiLB辺りでも潰れるところがかなり出そうなのですから、PLLのような新興の、それもツアー型でサポートしてくれる地元ファンベースや地元自治体が存在しない組織ではどうしようもないんじゃないか、と思って見ていたんですが、なんと意外にもPLLはシーズン開催にこぎつけられるようです。どっからお金が出てるんですかね。

PLLは既存のプロリーグだったMLLから選手を大量に引き抜いて、プロラクロス界の改革という理念を掲げて昨季発進した組織。ツアー型で元々予定試合数が少なく、NFLの大会場を使うというスタイルだっただけに採算を合わせるのが大変そうで、初年度の動員規模では大赤字で間違いなかったはず。そして2年目の今年は疫禍でツアーができなくなった。小規模スタジアム一箇所での集中開催でコストはほとんど人件費のみになったであろうと想像できますが、ラクロスは1チームあたりの所属人数も多いので人件費だけでもかなりの出費で、会場費用は抑えられるにしてもかなりの赤字なのは確実ですが、それでも創設2年目のシーズンをどうしてもやるのだ、この事業は続けるのだという強い意思、執着が感じられます。

例えばXFLが疫禍で出鼻をくじかれたのちあっさり事業を放棄したのとはずいぶんと違う方向性の話です。XFLが破産を選択した4月の時点で私はプロラクロスについて「昨年MLLとPLLに事実上分裂した野外ラクロスのプロも選手関係者離散に近い状態になる可能性もありそうです。シーズンが消滅する可能性はとても高い。」と書きました。その推測をはねのけてシーズン開幕にこぎつけたPLLの経営陣の情熱と資金調達などビジネス遂行能力は称賛されて良いのではないかと思います。プロラクロス選手がアメリカから全滅しかねない事態を小規模集中開催ででもつないだのですから。

XFL 破産を選択 他のマイナースポーツ団体は?

既に従業員を解雇していたXFLが破産を選択、法的処理に入りました。不可避な災厄、しかたのないところでしょう。
XFLは背後に好調WWEを持つだけに、順調でも黒字化に時間がかかるのはわかっていたXFLのビジネスにこうなってまで拘泥する理由が薄い。12−18ヶ月かかると言われ続けているワクチン開発のスケジュールを考えればXFLの来シーズン(2月開幕)も観客が入れられない可能性は高い。さらにここに来て抗体もできない人がいるという潜在的にとてもまずい報道もあり、XFLとしては粘るよりも精算した方がお得という判断があっても不思議ではないところでしょう。

こうあっさりやめられるのはWWEという本来のビジネスが好調であるからですが、他のマイナープロスポーツはそんなにあっさりやめられるわけもないでしょう。
先日トランプ大統領との電話会談に呼ばれたメジャー認定されたスポーツ団体はともかく、そこに呼ばれなかった=事実上マイナー認定されてしまった団体の危機感は高いでしょう。(カレッジスポーツNCAAが呼ばれなかったのは管轄違いもあるか)


呼ばれなかったプロスポーツを思いつく順に列記すると、経済規模が最大のものはボクシングとなります。他はラクロスやインドアフットボール、X Sports、Bull Riding、Big 3、アリーナクロス、アイスショー、女子サッカー、バレーボール、ラグビーといったところ。五輪スポーツは東京五輪の1年延期とセットでどうなるか、それについてはまた別の機会としたいです。

ラグビーのMLRのような零細で10年先20年先の勢力拡大を目指して立ち上げた組織にとっては今回の疫禍は災難。昨年MLLとPLLに事実上分裂した野外ラクロスのプロも選手関係者離散に近い状態になる可能性もありそうです。シーズンが消滅する可能性はとても高い。何度となく立ち上げる話が出ては失敗してきた歴史を持つアメリカ国内での6人制バレーボールのプロ化計画も頓挫となることは確実でしょう。
コロナ後にもボクシングは間違いなく残ってるでしょうが、あとの団体はたぶんどこも財政的にかなり苦しい。ワクチンが行き渡るとされる2年後に再びビジネスを元の軌道に乗せられるかどうか、そこまで組織がもつか。


ボクシングはUFCと違って試合カード発表から実現までのサイクルが長いという慣習がこの環境下では仇になりそうです。UFCが今でも開催にぎりぎりで動き回っているのと比較するとボクシング界の動きは鈍く見えます。もちろんUFCという単一の会社と、ステークホルダーが数多くいるボクシング界では意思決定のスピードに差があるのはしかたないことですが。

私の理解ではボクシングはPPV販売やチケット販売とともに、開催会場のホテルからの多額のキックバックが収入の柱になっている。しかしその部分は今の状況下ではそう簡単には元に戻りません。その部分を外して興行をすれば収益率は落ちる。選手もプロモーターもそのマイナスを飲まずに過去と同じようにビジネスを展開しようとしたらボクシング興行の再起動は遅れるばかりでしょう。試合開催そのものにかかる人員の数は少ないスポーツなのですから発想をシンプルにすれば興行はしやすい(UFCと同程度には)はずなのにそうなっていないのは、興行主の発想に問題がある可能性があります。

外出禁止令下のDrone Racing League

Drone Racing League(DRL)がそのシミュレータを使ってバーチャル側に進出してレースを開催。それをさらにスポーツ賭博の対象としても扱ってコロナウィルス感染疫禍で動きの止まったアメスポ界で存在感拡大を狙っているようです。

スポーツが全停止して困っているのはアメスポメディアだけではなく、スポーツ賭博業界も同じだったようです。私個人的には賭けをしないのであまり気にしてませんでしたが、アメスポだけではなく他国のスポーツも軒並み止まっているですからスポーツ賭博業界も賭けを設定するものもない。お金の流入が完全にストップしてしまっているのでしょう。せっかく多くの人が在宅になっていて暇を持て余している人も多いというのにその人達をスポーツ賭博の需要に変えることができないでいる。

そういう中でDRLとスポーツ賭博大手FanDuelが提携してDRLのバーチャルレースをFanDuelが独占的に賭けの対象として盛り上げるようです。レース自体の放映はTwitter、Twitch、YouTubeなどで。事前の宣伝が不足していたので当面の視聴者数は大したことはないでしょうが、現在のアメスポの状況からすればどういう形ででもスポーツ賭博の対象にできる種目は限られており、バーチャルとリアルの間のDRLとの提携というあがきはまずまず理解できるところか。

DRL側から見れば今季のシーズン開催が危ぶまれる状態の中、「バーチャルみたいなリアル」だったDRLのレースを、シミュレータでバーチャルに戻してのレースが売り物になるなら売ってやぶさかでないというところか。DRLのシミュレータは以前から公開されていて、パイロット志望の選手の練習やトライアウト用に使われていたものです。それを今回公開のバーチャルレースに使うようなのでシステム開発のコストはほとんどないというのが私の理解です。

先日来触れているNASCARのesportsイベント化の意外な成功が目立っているわけですが、NASCARよりも更に馴染みの薄いDRLが、バーチャル化してそれがウケるのかどうかはちょっと想像がつきません。私の個人的な感想では、DRLの魅力はバーチャルみたいなリアルという新鮮さと、未来的ムード、そして他に類を見ないスピード感です。
でもそのスピード感というのはリアルの中では類を見ませんが、ゲーム内だとそんなスピードは他にもいくらでもあると思えます。バーチャルだと思ってしまえばただのFPVの立体コースレースになってしまうだけなのでは。それにどうも現時点でのシミュレータは元々オーディエンスに見せるために作られたものではないせいかコースの絵がとても貧弱。何世代も昔のコンピュータゲームみたいなムードになってます。これでは未来的ムードも失せます。つまりどうもDRLの元の魅力がかなり失われたようなものになっているような。
これを見るとDRLの昨シーズンのコースや、もっと初期の廃工場でヒュンヒュン飛ばしていたのでももっと魅力があったなあ、背景って大事なんだと思わざるを得ません。

NASCARのesports化が第一印象で視聴者を捉えている大きな要因は本物との差異が少ないことのように感じるのですが、その点DRLは本物とあまり似ていない。大きなダウングレードに見えます。ま、元々のDRLを見たことがある人がそもそも少ないわけですから本物との差というのは違うかもしれませんが、実におもちゃっぽいのが良くないかなと。NASCARは基本真昼のレースで、影の描き込みを省略しても本物っぽく見えるなど有利な点が今回顕在化してますね。

ラクロスはOK

引き篭もり命令または要請が各地で発動されているわけですが、どうもバスケは相性が悪いようです。学校が休みな子どもたちがどうしても野外のバスケゴールのあるところに集まってバスケをしだすらしい。各地の首長は毎日の会見で散歩などで野外に出るのは気分転換は良いことなので6 feetの距離を保っていれば推奨、しかしバスケはその距離が保てるスポーツではないのでやめましょうということを先週からずっと言っていたわけです。
しかしどうも埒が明かないらしく、公営の公園などにあるバスケットボールゴールの撤去を既に始めたという話が聞こえてきます。子どもたちは暇ですからね。この疫禍がなければいまはMarch Madnessのシーズン、外もぼちぼち暖かくなってきた地方も多く、子どもたちがバスケを楽しむ姿は微笑ましいシーンのハズだったのが、いまや禁止対象です。


と、そういうタイミングでおもしろいものを見かけました。
近所のスーパーへ行く途上で学校の校庭で子どもたちがスポーツをやっていたようです。そこへ警察の車両が停まりなにやら子どもたちに話しかけているのをみました。そそくさと買い物を済ませての帰り道で同じところを通ったらバスケをやっていた子たちは解散させられたようで全員いなくなってましたが、その向こうでラクロスのキャッチボールをしていた女の子たちはまだやってました。あーなるほどー、と。
バスケはフリースロー合戦(HORSEという遊びがアメリカにはあります)を2−3人ぐらいでのんびりやるならともかくそうでなければSocial Distancingはバスケでは達成できないけれど、ラクロスなら確実に6 feet以上離れていないとキャッチボールにならないわけでこれはSocial Distancing準拠だ!だから警察も解散させなかったんだ!と妙に感心してしまいました。
というわけでラクロス、おすすめです。

PLLの選手が日本遠征、臨時教室開講の模様

みなさんも各種SNSで興味を持つモノ・人とつながっていらっしゃることと思います。私もそうなんですが、そのひとつで今年初年度を終えたラクロスの新プロリーグPLLにつながっています。そこのフィードで日本らしき写真がここのところ何度か流れてくるのです。プレーのクリニック風の写真なんかが多い。状況がいまいちよくつかめなかったのですが、どうもPLLの選手が来日中で、日本選抜(?)とエキシビションを2試合戦ったとか。1試合目は旧来のルールで18-5、2試合目は五輪向け6人制ルールで19-10、いずれもPLL側の勝利、とキャプションがついてました。

説明があまりついてないので状況がよくわからず、日本語で検索したところこれがそのイベントだったようです。PLLと同時に女子プロのWPLLの選手も同じ日に日本に遠征に行っていたと。アメリカの本場のラクロスのレベルを感じてもらうという感じのイベントでしょうか。昨年も同イベントは盛況であった、ということで、二年連続の開催。ちゃんとスポンサーがついて意外にもそんな多人数でアメリカから遠征しても全体としてペイしているってことですよね。

昨年に同じイベントがあったとしてその時期に来た選手はPLLの選手だったのでしょうか。PLLのリーグ戦は今年が初年度。昨年秋の段階では所属選手がいてもまだ試合をしていない段階だったかと思われます。そもそもまだ老舗のMLLも存在していて、MLLには日本選手も所属しているのに、それでもPLLの選手を呼んでいるということは、PLLが積極的に海外にアプローチしているってことなんでしょうか。

アメリカには様々なマイナープロスポーツが存在しますが、マイナースポーツでありながら海外への普及活動をしているというケースは割と珍しいように思われます。経営がカツカツのところが多くてそんな活動に手が回らない場合が多いのであろうと想像されますが、PLL(や女子のWPLL)はどういう具合でそういうコストを捻出してるんでしょうか。外からうかがえない強いスポンサーがいるのか。

ラクロスPLL初年度優勝戦 シーズン終了

男子プロラクロスの新リーグPremier Lacrosse Leagueのプレーオフ決勝戦が土曜日に行われました。地上波NBCがカレッジフットボールの裏番組として生放映しています。試合は前半一方的一時点で9-2だったのをRedwoodsが追い上げ終盤同点になり延長戦の末第2シードのWhipsnakes LC (Lacrosse Club)が第4シードRedwoods LCを12-11で破ってリーグ初年度の優勝チームとなっています。

今年3月にPLLについては少し紹介しました。ツアー型の新プロラクロスリーグとして、既存の野外プロラクロスリーグのMLLの選手を大量に引き抜き。シーズンもMLLと丸かぶり。創設19年目のMLLに新設PLLが挑戦したシーズンということになります。PLLとともにMLLについても以下簡単に状況説明してみたいと思います。

まず老舗のMLLですが、昨季から3チームがリーグ戦から離脱して6チームでの今季となっています。離脱したのはOhio Machine、Charlotte Hounds、Florida Lauch。いずれもMLLとしては歴史の浅い新しめのチームです。残った6チームのうち老舗は4チーム=Boston Cannons、Denver Outlaws、Chesapeake Bayhawks、New York Lizards。あとの2チームは創設4年目のAtlanta Blazeと2年目のDallas Rattlers(移転前のRochester時代を含めれば17年目)。9チームと地盤を拡張したに見えたMLLがまた以前の6チームに戻ってしまった。

PLLがMLLに挑戦してみようと思ったであろうきっかけは、MLLの将来の発展メジャー化の展望が見えないことがなにより大きかったと思います。MLLができて20年にもなろうというのにいまだマイナー。時期も遠くない時期にスタートしたサッカーMLSは準メジャーの位置までその存在感をアップしているのにMLLは遠く引き離された。MLLが新チームを各地で立ち上げて地盤を広げようと地道に努力しているのは過去にも当ブログで何度か紹介していますが、地道過ぎてマイナー臭はかなり強かった。
そこを打ち破ろうということで登場したPLLは観客のユーザーエクスペリエンスの向上のために今季のほとんどの試合をサッカーMLSの比較的新しいスタジアムで開催。開幕戦は打ち上げ花火効果ということもあるのでしょう、NFLスタジアムの大箱を使ってみたりもしています。全10週のレギュラーシーズンを毎週末3試合(土曜日2試合日曜日1試合)を6チームで行い転戦、その後4チームによる3週間のプレーオフという形をとりました。動員は週末2日間の合計で10,000から13,000人程度と発表されていますから各日は5,000-6,000人程度。主催者としてはもっと入って欲しかったところでしょう。MLSスタジアムは小ぶりとはいえ1.5-2万人前後は入る。そこにその人数だとどうしても閑散とせざるをえない。今日の決勝戦はMLS Philadelphia Unionのホームでの開催だったのですが観客を入れていたのはスタジアムの片側だけ。
MLSスタジアムの賃料は(どのぐらいか存じません)この動員数でもなんとかまかなえたかもしれませんが、開幕戦の大箱のNFLスタジアム(PatriotsのGillette Stadium)の賃料はとてもペイできていないと考えて良い。選手の引き抜きでサラリーもかなり張り込んだのもあり、興行収入だけでは今季はかなりの赤字であろうと想像できます。

PLLにとって救いは後ろ盾であるNBCからはPLLの初年度に肯定的な評価をもらっているらしいことです。このリンク先の記事が事実だとすれば来季もPLLはNBCの後見を得て放送も継続するであろうし、資金的にも命脈を保てるはずです。
ただ過去にNBCはXFLとも似たような状況になってXFLの2シーズン目の開催を目論見ながら実際は1年でXFLはその活動を停止したという事例もありますので、実際に来季が来るまで楽観視はできないですが。
命脈は保ったとして来季も同じツアー型で今季以上の動員を目指せるか。成功のためには目指さざるを得ないんですけどどうなるかは予断を許さないところです。

以前から何度か説明していますがNBC系列にとって最も高額な放映権料を払っているスポーツイベントは五輪です。高額の五輪放映権料の元をとるためには五輪競技に人気イベントをいま以上に作っていく必要があり、そのためNBC系列は非五輪年にも五輪スポーツを後援するように放送をすることが多いです。2028年のロス五輪にラクロスが競技採用される可能性がいまも残っており、その部分を念頭においてNBCはプロラクロスリーグを庇護下おいておきたいという意図があるかにも見えます。

Fansville今年も

昨年から始まった炭酸飲料Dr. Pepperのカレッジフットボール番組向けコマーシャルシリーズFansville。今年もやるようです。今季のFansvilleの展開をプレビュー風にまとめた30秒CMが公開になってます。
昨年そのシチュエーションはもうこの世に実在しないのではないかとツッコミをいれておいたシーン(隠しておいたポルノ雑誌を親に見つかった)というのが改変されて、今年は隠れてパソコンでラクロスをチェックしていた息子に気づいてしまうフットボールファンの親、それに「今一番アメリカで成長しているスポーツなんだ!」と叫ぶ息子という具合になるようです。ネタ的には昨年の使い回しですが、昨年はラクロスはサッカーからさらに進んだフットボールからの離脱症状の表現に使われてたのが今年は堂々カレッジフットボールの対比にラクロスが単独登場ってことですか。
なんでもそうですがTVCMというのは時代を映す鏡ですね。

B/R Liveの宣伝で室内ラクロスに言及

B/R LiveというのはBleacher Reportブランド下で展開されているウェブストリーミングのスポーツ局です。昨年放送を開始したばかりの新参です。
そこが今日のTNTで放送されていたNBAのプレーオフの試合の最中の宣伝で気になることを言ってました。実況のベテランアナウンサーMarv Albertさんが読み上げてたんですが「B/R Liveで UEFA Champions League、UEFA Europa League、NLLをライブで配信」云々。AlbertさんはEuropa Leagueをご存知なかったようで読めずに詰まったりしてました。

私がひっかかったのはそこではなくNLLの方です。NLLと読み上げただけでそれがNational Lacrosse Leagueであるとは注釈をつけなかったので、知らない方だとNLLが何の放送なのかわからない言い方でした。欧州サッカーはともかく、その次に来るのがNLLなのか、と。

National Lacrosse Leagueは室内ラクロスのプロリーグです。ラクロスのプロリーグとしては野外ラクロスよりも結成は先行して1987年から活動を続け今季が33年目と長い活動実績があります。現在アメリカ・カナダにまたがる11チーム(うち在カナダ4チーム)でのリーグ戦+プレーオフ。今季2チーム増加、来季にさらに2チーム(カナダ1チーム)追加参戦予定。

NLLはしばしば自らを宣伝する売り文句として「世界で3番目の平均動員実績を持つ室内プロスポーツリーグ」ということを言います。バスケNBA、ホッケーNHLに次いで、世界を見渡してNLLより動員ができる室内スポーツのプロリーグはないというのです。
昨季実績でNLLの平均動員は9,411人とされ世界3位(NBA/NHLはそれぞれ14,000人以上)。4位以下のArena Football League、バスケEuroLeague、女子バスケWNBA、スイスアイスホッケーNationalliga A、Philippine Basketball Associationなどを抑えて3位なのは事実のようです。ここまでで名前の出ていない知名度のあるところでホッケーのKHLはどうも大都市と地方都市の動員の差が大きく平均値だと上記の各リーグの他、スペインのバスケ、ドイツのホッケーも下回るということらしいです。なかなかおもしろい。平均動員を基準にした序列だとアイスホッケーでKHLは世界第4位のリーグというわけですね。

そういう具合で他国のプロスポーツと比較すると立派な動員を達成しているNLLですが、アメリカ国内での一般の知名度はかなり落ちる。チームのある地元都市だとまた違うのでしょうがそうでもないとほぼ見えない存在だったはず。大手局での全国放送はありませんでした(カナダは存じません)。地元局での放送がほとんど。プロスポーツリーグとしてはNLLより後発の野外ラクロスのMLLや、サッカーのMLSにもその存在感では抜かれていた。
そのNLLがB/R Liveと放送契約を結んだ。それだけではなく番宣で名前を3番目に呼ばれてしまうほどのコンテンツとしての待遇になっている、というのに私は反応したわけです。

4大メジャースポーツや、その下の二番手プロスポーツ、カレッジスポーツなどは既に先行したスポーツ局各陣営に放映権をがっちり押さえられており後発のB/R Liveがすぐに手をつけられるところがほとんどなかったから、というのが一番の理由ではあることは簡単に想像できますが、それにしても数秒程度の短い番宣でわざわざ言及するほどなんだというのは意外でした。
上述したとおりNLLは今年2チーム来季2チームとリーグ拡張中。多局化が大きく進行したこともあり過去10年ほどのアメスポ各ジャンルの放映権価格は高騰の一方でした。ここ数年は多局化はさすがに一段落したところですが、そこへYouTube TV、B/R Liveといった新興のネット配信企業が入ってきたことでさらにマイナーアメスポジャンルへも放映権バブルの恩恵が回ってきた、NLLがその受益者として登場したことになるんでしょう。それとの相乗効果でリーグも拡張中と。
記事検索
最新コメント
読者登録
LINE読者登録QRコード
メッセージ

名前
メール
本文