アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

New Sports/Minor Sports

2028年の6人制ラクロス

五輪競技の放送が男子がバスケが終わったらあとは延々水泳をやっていて、それもなんだか米代表選手たちが準決勝レースからふるわず。飽きてきて他はなにをやってるのかなとチャンネルを変えたらABCではプロ野外ラクロスPLLの放送をやっていました。

その放送中に何度も言及されていたのが次の五輪となる2028年のロス五輪で競技が復活するラクロスについての話題。男子競技としては20世紀序盤以来の復活。女子競技としては初めての五輪競技採用となります。ルールはLacrosse Sixesと呼ばれる6人制。通常の野外ラクロスは10人制ですがそれをスケールダウン。流れとしては15人制だったラグビーユニオンが7人制セブンスとして五輪競技になったり、より最近ではバスケットボールの3x3といった具合に伝統競技の簡素化・短縮化・コストダウン化に沿ったものでしょう。

その宣伝の言い方を借りると「あと2週間もすればパリ五輪は終わってあとはロス五輪に一直線。ラクロスの五輪登場へ向かって行くのが待ち切れない」とのことでラクロスコミュニティでは期待感が大きいようです。

ラクロスはアメリカとカナダが圧倒的に強い。これはたぶんLacrosse Sixesになっても事情はかわらないはずで、現実的にはその他の参加国が銅メダル狙いで戦うという競技になりそうです。五輪のルール上、ラクロスの世界では米カナダに次ぐ実力を持つイロコイ族=Haudenosauneeは出場が認められない可能性が高い。よってオーストラリア、日本、イギリス、イスラエル、プエルトリコ辺りまでがメダル候補か。

Lacrosse Sixesでの世界大会は次期2027年の世界選手権が初めてでそれがほとんどの参加国にとっては五輪前唯一のLacrosse Sixesでの実戦になりそう。

ラクロス内では五輪採用は大きな出来事でしょうが、今進行しているパリ五輪を見ても分かる通り新興スポーツが試合の放映や五輪報道で取り上げられることは稀。どれほどラクロスの五輪採用が北米外への露出向上に寄与するのかはわかりません。五輪競技になればそれだけで国家から強化予算がもらえるような国も世界にはあるようなのでそういう意味では意義はあるのか。

米国内ではどうですかね。例えばバレーボールのように長年五輪競技でもあり、NCAA競技でもあり、世界でも実力はトップに近いレベルの競技でも米国内で人気競技にはなれないままという例もあります。ラクロスが五輪競技化したぐらいで事態がどれほど変わるものか。

フロリダでの豪雨災害でクリケットがついでに話題となる

読者の方に教えていただいたのですがクリケットのT20の世界大会が米国内で行われていたという話。私の守備範囲の情報にはひっかかっていなかったので、すみません大会が開かれていることを知りませんでしたと以前にクリケットのことを書いた記事でお返事しました。

それが今日たまたま聞いていたニュースでフロリダでの豪雨のせいで米代表が次のラウンドに進出したという話として聞きました。フロリダでの豪雨鉄砲水浸水の被害はかなり大きく州知事が非常事態宣言を出したり、それは既に全国ニュースになっていたので知っていました。

私はクリケットの大会がフロリダでやっていたというところから既に知らず。クリケットはわかりやすいように野球用語を使いますが、ピッチャーは打者に向かってワンバウンドで投球をしますから地面がゆるいとプレーが成立しません。

報道によれば米代表対アイルランド戦を今日開催しようとしたものの、グラウンドの状態がプレーができない状態と判断され、その後雷雨も来て試合が中止。その結果1次ラウンドがそれまでに完了した試合の結果をもとに2次ラウンドへの進出チームを確定するということになり、米代表が2次ラウンドに進出することになった、という報道でした。

なぜフロリダ南端に近いところでやってたのかなというのはちょっと気になるところですね。亜熱帯なのでこの時期ならたぶん毎日のように夕立は来るし、そもそもが沼地を干拓した土地柄です。ここまでの甚大災害が起こるとは予想はできませんがもうちょっと他のところのがいいのでは?とも思えます。
国際大会誘致だと海外チーム(チームより投票権を持つ役員とかかな?)がMiamiとかVegasとかの方が喜ぶというのは想像がつきますが。

なにはともあれ災害報道とセットで米代表の1次ラウンド突破が報道になっていましたというご報告です。

PLLのチーム名に都市名がついた

読者の方に1年前に書いたプロクリケットリーグ(MLC)発足の記事にコメントを付けていただいて、そういえばという話題があるので書きます。ラクロスのツアー型プロリーグであるPremier Lacrosse League(PLL)のチームに都市名が今年から付けられています。クリケットのリンク先の記事で書いたのは新組織のMLCのチームにはアメスポでおなじみの「都市名+チーム名」で名称が付いている。例えばSeattle OrcasとかSan Francisco Unicornsとか。ただしその都市での興行の実態はなくただ名称として使ってるだけという変則な状態でした。

その比較として当時書いたのはラクロスPLLでは都市名がなかった。別の記事で指摘したのは「ツアー型興行で都市固定のフランチャイズを持たないのでチーム名に都市名が付いていないのは正直ではあるんですが、見る側としてはとりあえずのとっかかりとして応援してみようというチームが決められないということになってます」というもの。

PLLはパンデミック前の2019年にリーグ戦を開始して今季が6シーズン目。上述の通りホーム都市はなくそのままRedwoods、Whipsnakes、Chaosなどという名称で全米各地に週末にツアーしながらリーグ戦を消化する形でした。別組織だったMajor League Lacrosse(MLL)を吸収したときもそちらでBoston Cannonsとして存続していたチームから都市名を剥がしてCannonsに変えてしまう徹底ぶり。

ところが今季ちらっとTVで見かけたらチーム名に都市名がついていました。アレ?と。PLLよりさらに後発のMLCがホーム都市での興行実態がなくても都市名を付けているのに感化されたのかなと。
調べてみるとPLLがツアーで行く都市名が付与されています。Boston Cannonsは元の名称に戻ってます。他の7チームのうち6チームにはCalifornia Redwoods、Philadelphia Waterdogs、Maryland Whipsnakesなど以前からのチーム名に都市名(Californiaは州名ですが)が加えられて新チーム名となっている。ツアー先で都市名の付いたところがそれぞれホームチーム扱いされていくということですね。

唯一名称が完全に変わったのが前年までChromeというチーム名だったチームが今季からはDenver Outlawsとなっています。Denver OutlawsというのはMLL時代に観客動員で突出していた西の飛び地のチームで、当時はホームゲームをNFL Denver Broncosの大型スタジアムMile High Stadium(現Empower Field at Mile High)でプレーしていた異色の存在でした。毎年恒例の花火大会の特別試合ではその大箱スタジアムに2万5000人規模で集客をしてその数字が反映してMLLの中では動員最大。花火大会を除いても動員では好成績を残していたチームです。MLLでは後発でしたが優勝3度。ユニフォームもなかなかかっこ良かった。
MLLが身売りの形でPLLの軍門に下ったためミニ名門チーム名であったDenver Outlawsの名称もPLLの自由になっているのでしょう。都市名を各チームに付与することになったこの機会にDenver Outlawsの名も復活ということですね。センスとしては悪くないのではないかと思います。

Pac-12崩壊でのフットボール以外での影響

Pac-12の崩壊が訴訟に発展しています。Oregon StateとWashington Stateの2校のみが2025年以降もPac-12に残る見込みになっているわけですが現時点では脱退予定校もメンバーのうち。よってPac-12の現行の理事会では脱退予定校が多数派になってしまっている。脱退予定の学校と残留の学校ではPac-12の運営方針についての意向はまったく異なりますが今のままでは脱退予定校の意向が優先されてしまう。それを阻止するために残留2校が理事会議決の緊急差し止めを求めて訴訟を起こしてます。放っておくと脱退予定校が都合の良いようにカンファレンスの財産を分割したり脱退金を引き下げたり無料にしたりといった事を議決してしまうことを恐れての訴えです。当面の権利保全の申し立て。最終的な財産分割などは時間をとって別途の話合い、それで決着つかなければ別の訴訟ということでしょう。
緊急性のある事態、一度起こってしまったら善悪関わらず元に戻せない事態でやったもん勝ちを未然に防ぐために裁判所が使えるというのはアメリカの社会システムの良いところの一つではあろうと思います。

崩壊後に行き先が決まっている学校は先の見通しが立っている上にPac-12の財産分割などでも多数派を形成して有利。逃げ遅れた2校は身の振り方すら決まっていないのに貰えるはずだった脱退金もチャラにされてしまいかねない危機。以前にもちょっと指摘したPac-12 Networkというカンファレンス手持ちのTV局の権利も脱退予定校が勝手に解体してしまいかねない。

移籍する学校のうち遠距離カンファレンスに加わった4校(Big TenへUCLAとUSC、ACCへCalとStanford)にも悩みはあるわけですが、それはたかだか各スポーツのスケジュール・移動の都合とそれに伴う学生リクルートでの不利ぐらいです。すってんてんになろうかというWashington State/Oregon Stateとは切迫感が違う。


カンファレンス再編の動きは全てフットボールが理由です。巨大なマネーマシンであるカレッジフットボールの稼ぎ出すお金で各校はスポーツ部全体を運営しています。他の競技の都合は二の次三の次。

その肝心のフットボールは週末土曜日が試合のほとんどですし巨大カンファレンスの西の飛び地となった各校は遠征は大陸横断の長距離になるわけですが、Pac-12内で戦っていたときも飛行機で移動していたわけです。Pac-12南のアリゾナ州から北西部の学校へアウェイに行くのは飛行時間だけで3時間以上かかっていたはず。大陸横断移動となれば4時間5時間のフライトとなりますがその差は大きくない。専用機でノンストップで行くわけですから機内での睡眠時間が2−3時間長くなるぐらい。日帰りでの遠征でしょうから時差もさして問題にならないと想像できます。それもせいぜい年4試合といったところのはず。

問題は週中の試合もあるバスケおよびマイナー競技の方。言われているのは1度の東部遠征で転戦2−3試合を消化する形にするというものです。ただそうなってくると時差の影響もより出るし学業にも影響する。マイナー競技は犠牲になれってことで済む可能性がありますが、バスケはリクルート面で不利が発生するかも。バスケのUCLA男子やStanford女子などは名門と言えますがいびつなスケジュールを嫌う選手もありえます。UCLAバスケの将来の弱体化につながる可能性が否定できません。

フットボールには劣るものの男子バスケは各校ともカネを生む側ですが他の競技のほとんどはフットボールの生む巨大予算の受益者。例えばStanfordの女子バスケのような伝統校でも黒字になったとしても金額はしれている。Pac-12に限らず例をあげれば例の8万人動員のNebraskaの女子バレーボールチームとかLSUの野球などが地元の人気はなぜか高く単体黒字ですがそういうのは例外に属します。それ以下のマイナー競技ではコスト面ではフットボールが稼いできてくれるお金に頼って運営されている。よってマイナー競技にはこの問題に限らず発言権は低い。ないに等しい。


別の話として男子バスケのCBS Sports Classicはどうするんでしょうか。CBS Sports Classicというのは毎年冬休みの時期に行われる中立地での特別試合。参加校はBig TenからOhio State、SECからKentucky、ACCからNorth Carolina、Pac-12のUCLAの4校での固定メンバーで3シーズンをかけて総当りをするという企画です。それが今回の移籍騒動でUCLAとOhio StateがBig Ten所属になってしまったので企画側からするとメンバー校の入れ替えをしないと全米から強豪を集めたという感じにならなくなります。
KentuckyはSECから動く可能性はゼロですがNorth CarolinaはBig Tenの拡大のターゲットと目されることもあった学校です。今回ACCも積極拡大策に舵を切ったのでACCが草刈り場になる可能性は低くなったようにも見えますけれど最悪の場合CBS Sports Classicの参加校4校のうち3校がBig Ten所属となる可能性もなくはなかったってことでそんなことになったらCBS Sports Classicという企画自体が根本的な練り直しを迫られたはずです。
CBS Sports Classicは今の4校のままで2026年まで継続すると昨夏に契約更新してますからそこまではしかたなくそのままでしょうか。

なおCBS Sports Classicが創設時に真似をした元のChampions Classicは参加校4校は今回のカンファレンス再編で影響を受けていません。Duke(ACC)Kentucky(SEC)Kansas(Big XII)Michigan State(Big Ten)とバランスよくこちらはこれからも続いていきそうです。ひょっとしたらMichigan Stateを切ってOhio Stateに乗り換える可能性が弱あるかもぐらい。


さて別の話としてひょっとしたらPac-12崩壊から得が発生するかもという種目があります。ラクロスです。
ACCとBig Tenの西海岸への拡張でラクロスは西進の機会を得たかもしれません。
過去に紹介したことがありますがラクロスという競技は普及が国の東側に極端に偏っています。その過去記事を書いたのは2012年のことでその後はBig Tenでラクロスが正式種目として採用されたりと10年以上前からは勢力圏を広げていたわけですが。それが今回のカンファレンス再編でBig Ten所属となった西のUSCやUCLAがD-Iラクロス部の設立に動く可能性が出てきたと思います。Big Tenには男女ともラクロスが正式種目として成立しLos Angelesの2校が加わったことではからずも一気にDivision Iラクロスが西海岸に到達したことになります。
同様にACCにもラクロスが強いDukeやSyracuseがいるのでCalやStanfordも参入がありそう。カンファレンス再編ではラクロスや他のマイナー競技に発言権があったわけもないんですが結果的にラクロスという競技のアメリカ大陸西進というテーマが勝手に進展したことになります。

Major League Cricket初年度決勝

なんでもやってみるのがアメリカ流ですがクリケットまでやってみることに。マイナースポーツ好きの心にさざなみをたてる新マイナープロスポーツリーグが今年から発足。クリケットのT20ルールでのプロリーグMajor League Cricket(MLC)。

T20ルールというのはTwenty20(トゥエンティトゥエンティと発音)、ものすごく大雑把に言えば野球に例えると1回の表裏だけで勝負をつけるルールの短縮簡略型のクリケットです。投球数の制限も伝統的なクリケットより少ない。伝統的なクリケットのルールでは数日に渡って試合が続きますが、3時間以内で終わる簡略版としてT20が普及して現在はT20が主流となってきているというのが私の理解です。インドで人気を博しているというプロリーグIndian Premier League(IPL)もT20。T20の世界選手権も大きな大会になってきており伝統ルールでの方のクリケットが本流から外れそうな勢いです。

MLCは6チーム構成。チームの配置は都市名でいうとLos Angeles 、New York、San Francisco、Seattle、Texas、Washington。
しかしながらチーム名には都市名が入っていても試合はその各都市で開催されているわけでもないという変な状態です。初年度の今季はノースカロライナ州とテキサス州で全試合を集中開催。TexasにはTexas Super Kingsというチームがあるのでそこがテキサス開催分ではホームチーム扱いだったんでしょうが、ノースカロライナはなんなんでしょうか。他の5チームは名前に都市名はあってもホームの実態はない。

つまりこれはPremier Lacrosse League(PLL)の前例からチームに都市名がついていないとアメスポの観客にはウケが悪いという反省か。
PLLがそもそもマイナーなのでおわかりいただけないでしょうから極簡単に説明します。PLLはラクロスのツアー型のプロリーグで所属8チームには都市名がついていません。別組織のMLLの所属チームだったBoston CannonsがPLLに加入するときに都市名を外されてCannonsに改名してたりもします。ツアー型興行で都市固定のフランチャイズを持たないのでチーム名に都市名が付いていないのは正直ではあるんですが、見る側としてはとりあえずのとっかかりとして応援してみようというチームが決められないということになってます。その様子を見ていて後発のMLCはとりあえず名前だけ大都市名をつけとけという経営判断ってことなのかと。実態はないがとっつきはこの方が良いという判断はたぶん正しい。支持しておきます。

マイナープロスポーツができては消えるのはアメスポではよくあることです。しかし驚いたのはESPN.comの画面上部のスコア速報のメニュー欄にMajor League Cricketが含まれていたこと。さすがにこれってMajor League CricketがESPN.comにお金を払っていれてもらっているのだろうと推測します。実需があってのことではないであろうと。同欄にはラクロスのPLLも含まれています。PLLはESPN系で放映があるからその繋がりでの優遇かなと思っていたのですがMajor League Cricketの放映はCBS Sportsやクリケット専門局なのでESPNには掲載メリットがない。女子W杯よりも上の位置。発注だと考えた方が自然な気がします。

クリケットは特定の層に根強い人気がありストリーミングが盛んになる前の時代にも世界大会ごとにPPVが設定されていたジャンルです。一般人はそんなPPVが存在することすら知らなくても固い需要はあった。ファン層の広がりはほとんどないように見受けますがそれでもまずやってみるという起業家精神はアメリカという国の活力の源です。アメリカ国内ではMLCはこっそりやってる感じですが情報記事を読むと英国やオーストラリアなどクリケットの人気がある国ではこのMLCの試合は放送はされているようです。

これでクリケットもプロリーグがとにもかくにも発進、他国に安定したプロがあってアメリカでまったく手つかずのスポーツというとラグビーリーグ(13人制)五輪競技だとハンドボールぐらいでしょうか。日本ではかなりパブリシティがあるように見える卓球とカーリングもないですね。

なお細かい話としてはこのMLCのWashington DCのチーム名がWashington Freedomになってるのが目を引きます。
Washington Freedomという女子サッカーの老舗名門が過去に存在していたのですがWPS時代に途中で外部オーナーに買い取られてチーム名が変更になり移転、買収の翌年にWPSは破綻解散。その後はその名称は使われていなかった。商標登録がされていなかったか、商標の不使用期間が継続して法的な権利が消滅したかなのでしょうMajor League Cricketのチーム名として使われてます。Washington Freedomの名称が使えることに気づいた人は賢いです。女子サッカーのNWSLにこれに気づいた人がいたのなら女子プロスポーツの草分けだったWUSAの創設メンバー名門のチーム名なので先にそれを使い始めるべきだったのですがそこまで気が利かなかったかも。Washignton Freedomは当時絶大な人気だったMia Hammが所属していたチームでした。

ラクロス世界選手権で米代表が優勝

男子ラクロス世界選手権が終了。決勝戦では米代表がカナダを終盤に突き放して快勝10−7。二大会連続の優勝。米代表は1人を除いてPLLなどプロの選手で構成されていましたが唯一のカレッジ選手のBrennan O'Neillが5ゴールの活躍でなぜ21歳の彼がプロの大人たちに混じって選出されたかを証明した試合となってます。大会MVPにも選ばれてます。
O'Neillはまだ1年カレッジの資格が残っているのでたぶん来季もDukeでプレーするのだと思いますが、野外プロリーグPLL(や以前のMLL)のドラフトを見ていても知ってる選手がいたことはめったにないのですが来季のそれは微弱注目なのでしょう。

試合放送中に言っていたのですがまだ今でも2026年のロス五輪にラクロスが含まれる可能性が残っているんですね。この秋に決着すると話していました。五輪の種目決定はそんな時期まで引っ張られるものだったでしょうか。

どうですかね。どなたが決定権者か存じませんが今大会を見てラクロスを五輪でやろうってなるんですかね。大会は米代表が全勝で優勝。対カナダ戦2試合と対Haudenosaunee戦以外は圧勝の連続。カナダは対米戦2敗(5-7, 7-10)で5勝2敗で準優勝。3位はHaudenosauneeですがこれはIOCに認証されたNOCを持っていないのでHaudenosauneeのままでは五輪への参加資格がない。Haudenosauneeの地域は米加にまたがる地域でIOC視点のパスポートだとカナダがアメリカまたは二重国籍のはず。よって個人は米加の代表に加われば出場可でしょう。ただそれを潔しとしない個人もいるかも。いずれにせよ今大会3位チームのHaudenosauneeチームは五輪出場はムリ。4位となったオーストラリアは上の3チームに完敗してます。5位の日本は今大会では米加と対戦なし。6位イングランドは英国として五輪参加可能。実力は米加が他の想定参加国から飛び抜けています。

地球上の配置で言えば北米x2、オセアニア、アジア、ヨーロッパと特定の大陸に偏っていないという意味では五輪採用に有利な上位の顔ぶれとは言えるのかもです。
その下の7位以下も中東イスラエル、カリブ海ジャマイカ、欧州イタリアとなかなかうまくばらけています。10位のプエルトリコはアメリカの統治領ですが五輪には独立で選手を送っているのでこれも出場資格あり。もしラクロスが五輪採用されたとしてもあまり大所帯にはならないと想像できるのでこの辺までが出場資格を得るってことでしょうか。

余談になりますが私は個人的な知り合いで(あとから思えば)Haudenosauneeの地方の出身の女性の友人がいました。彼女の話だと彼女の育った家の裏に小さな石垣があってその北はカナダ、こちら側はアメリカだったそうです。子供の頃は毎日のようにその石垣を超えて遊んでいたとのこと。その話を聞いた当時は私の側にHaudenosauneeイロコイ族についての知識がなかったので彼女の所属部族などの情報は聞いてません。米加の国境の管理がそんな風になっているところがあるのかと驚いたものです。

Haudenosauneeについて簡単に説明すると北米先住民の6つの部族の連合(当事者の言い方では連邦)でアメリカとカナダの両国から独立性を保って居住を認められている自治特別地区ということになります。Haudenosauneeは訳をすると「長い家を建てた人」の意。経済的にはたぶん米加の支援保護に頼っていることが想像されますが精神的には独立性を維持しているようです。
それが行き過ぎてラクロスでは2010年の英国開催の世界選手権にイロコイ代表(当時の呼称)の選手たちがイロコイ自治政府発行のパスポートで英国に入国しようとして英国政府に拒否をされて不参加になるという騒ぎを起こしています。
Haudenosauneeが国家から独立して世界選手権に参加が認められているのはラクロスという競技自体が北米先住民のスポーツから発達したという点に由来します。2大会前まではイロコイの名で大会参加。

ラクロス日本代表が世界選手権5位

San Diegoで行われている男子ラクロスの世界選手権で日本代表がイングランドに快勝して5位を確保。大会概要は変わりえますが次期大会の最上位カテゴリ入りを決めているはずです。最終スコアは8-4。試合の最終局面はイングランドはゴールキーパーを引き上げてエンプティネットで臨んでいたので日本代表が望むならもっとたくさんゴールを上げることができましたがそうはせずパス回しで試合終了。スポーツマンシップをもってってことになるんでしょうか。TV解説の方は日本は優しいと評してました。他のチームなら咎めてもっとゴールを入れちゃうんじゃないかと。

しかしながら試合終了直前にイングランドの選手がヘルメットで日本の選手に頭突き、後ろ向きに昏倒して動かなくなるという危険な場面があり後味の悪い結末になってます(youtube)。救急車で搬送。
これ、そのラフプレーが撮影されていたのでさすがに処罰の対象にしないとまずいのではないか。撮影されていなかったらと思うと怖いです。アマチュア大会だとそんなことはいくらでもありそうです。イングランドはA組で完敗の連続で全敗。決勝トーナメントでも一回戦でプエルトリコに苦戦して延長戦勝利、そしてこの日の日本戦に敗戦で1勝7敗。フラストレーションのたまる大会だったかもしれませんが最後にラフプレーでさらにすっきりしない大会になってしまったような。

なお前項で書いた5位〜8位決定戦が元々の予定通りに行われなかった理由は私が見ていた範囲ではこの日本 x イングランド戦でもイスラエル x ジャマイカ戦の中でも説明がなかったと思います。
二試合とも実力拮抗の好試合。特にイスラエル x ジャマイカ戦は試合を通して接戦激戦。延長戦の末この試合中一度もリードをできなかったイスラエルがサドンデスゴールを決めて7位となってます。両軍に拍手。敗れたジャマイカも好チームで楽しめました。10位となったプエルトリコなどもそうですが大半の選手は米国在住でカレッジでの活動で鍛えられた選手みたいですね。

日本代表は6勝1敗で大会を終了。これで次回大会は最上位カテゴリで四強=米加豪Haudenosauneeとの対戦が保証されることになりそうです。現実的な目標とする世界四強入りのためのアップセット狙いのターゲットとなる対オーストラリアと対Haudenosauneeの二試合が保証されるという意味でもあります。

今大会では日本代表は対Haudenosaunee戦でサイズの差で苦しんで唯一の敗戦を喫したわけですが4年後までに何らか解答を見つけることができるでしょうか。TV解説の受け売りですが日本代表は意表を突くプレー、トリックショットを使わず正攻法のプレーで勝ち上がってきたのは素晴らしいけれど上の4カ国をアップセットするためには正攻法だけでなくそういう変化技のレパートリーも開発していかないと伍していけないのではないかということでした。私の見ていた限りの感想では運動量が豊富で試合の後半に相手のペースが落ちてきた時間帯にアドバンテージを広げていた印象でした。世界選手権の試合スケジュールでは夏場の連日の連戦が続くだけにスタミナ勝負も大きな財産でしょう。選手たちもそこに自信を持ってるようにも見えました。Haudenosaunee戦でも第3Q序盤に反転攻勢の意気を感じました。

明日大会最終日は決勝アメリカ対カナダ、三位決定戦のHaudenosaunee対オーストラリア2試合のみの予定。他の参加各国はすべての日程を終了してリラックスして試合観戦ということになります。あの宴の後風のスタンドの楽しそうな風景は見ているだけでも幸せになれます。

政治宗教がからむこと

今回の記事は憶測を多く含みます。
現在開催中の男子ラクロスの世界選手権大会。一昨日の準々決勝で敗戦した日本代表はその後5位決定戦ブラケット(4カ国)に編入の筈だったかと思いましたがなぜか1日空き日ができて日本対イングランドで直接5位決定戦に臨むようです。同じく準々決勝で敗戦したイスラエルとジャマイカはイングランドや日本と対戦の機会のないまま7位決定戦に進むようです。

ラクロスの世界選手権は優勝国を決める機会でもありますがそれ以上にラクロスの普及が大義でもあります。普段はほとんど機会のない国際試合をこの大会で数多く組んで世界の各国で地道に活動をしている選手たちに力試ししてもらうご褒美的な大会でもあります。よって敗戦がこんだ各国も成績の近い国同士で順位決定のプレーオフの試合を組む。出場する試合数は上位国も下位国も6試合程度はプレーできるように設計されています。

それで今大会で日本と似た立場の下位ブラケットのチーム(19〜22位決定ブラケットまたは27〜30位決定ブラケット)は4カ国でミニトーナメント形式で順位決定戦を消化しているのでこの5位〜8位のところだけが事後に変わってミニトーナメントが行われなかったように見えます。なにか変です。何か事情があったのでしょうが5位6位になる可能性があったイスラエルにはちょっと不公平な扱いになっているように見えます。

天候が原因ではない。何らかのイレギュラーな事態のように思えます。元々の制度設計の通りならイスラエル対イングランド、日本対ジャマイカの二試合だったはずでそれぞれの勝者が5位決定戦に進むはず。
対戦拒否があったのではないかと推測してみます。日本とジャマイカの間に因縁があるとは思えない。だとするとイングランドとイスラエルの試合が行われないことになったことでのスケジュール変更か。想像すると英連邦内にはパキスタンやバングラデシュというイスラム教国も含まれているのでそちらの出身者がイングランド代表に含まれていてイスラム教の敵国であるイスラエルとの対戦を嫌ったかもしれません。イスラエルとジャマイカはOKなのですからイングランド代表にこだわりがありそうです。ちなみにジャマイカも英連邦の構成国です。

もしそうだとするとボイコットの主体はイングランドの方のような気がしますからイングランドを無条件に5位6位決定戦へ、イスラエルをそれより下位の7位8位決定戦に送るのは少々問題を感じます。国際試合でイスラエルとイスラム教国との対戦が避けられることはしばしばあることとは思いますからその場合の処理は何らか通例の処理方法があるのかも知れません。
一応今回の4カ国の振り分けとしては今大会前の国際ランキングで当該4カ国を割り振るとイングランドと日本が上位、イスラエルとジャマイカが下位ということにはなるようです。より多くの試合を組むことを良しとしてきたラクロス世界選手権でこういうイレギュラーな扱いが出てしまうのは残念な気はします。イスラエルとの対戦を望まない選手だけを外して試合をするという手もないことはないのかもしれませんが、それをイングランドチームの選手が受け入れなかったとか、またはそれではイングランドチームの実際にプレーする選手数が足りないとかでしょうか。

以上憶測です。大会の公式サイトにも理由はなにも書かれていませんので憶測するしかない。明日の日本対イングランド戦を観戦したらTV放送でなにかヒントが出るのかもしれませんけど、センシティブな話題なので口をつぐむかもしれません。

政治的怨敵との国際大会での対戦いうと昨年秋のサッカーのW杯でアメリカとイラン、イングランドとイランが対戦したのが記憶に新しいです。試合はつつがなく消化されました。あれは政治的怨敵であり、宗教的にはそこまでわだかまりはなかったってことか。それともFIFAにタガネをがっちりはめられていて対戦拒否とかしたら次大会からパージを食いそうでそういう動きに出にくかったかも。
その例との比較を考えるともし本当に宗教的理由からの対戦拒否を言い出した国があったとしたらラクロスの大会運営が舐められたという面もあったかもしれません。普及が第一義のラクロスの国際競技団体が第一回大会から長く貢献してきたイングランドを一時的にでも制裁・締め出しするというのはなさそうではあります。

ラクロス世界選手権@San Diego

男子ラクロスの世界選手権が開催中。今ちょうどグループリーグが終了して決勝トーナメント部分が始まるところです。ラクロスは観戦スポーツとしてはマイナーではありますが一応米国内でプロリーグも形を変えつつ存続しておりTV放送枠も確保しているというまあまあの立ち位置。以前からときどき当ブログでも触れてきています。今大会の放映はESPN系列で米代表の主要試合はTV放送(ESPNU)、他の全試合がストリーミングのESPN+で見られるという形になっています。

この世界大会は毎回そうなのですが力量の差のばらつきが尋常でない30カ国以上(前回大会は46カ国)を一つの大会に組み込んで開催、その創意工夫と努力と熱意が感じられて私は好きです。
但し力の差が大きくて早々に大差になって勝負にならない試合が多いのもまた事実で実力拮抗カードを選んで見ないと初見で何だコレ状態にもなりえます。個人的には3大会前の英国開催の2010年大会から継続して見ているのでどのカードが好試合になりそうかの感覚はそれなりにあります。昨日A組の最後の試合でA組3位4位を争ったHaudenosaunee対オーストラリアが激戦となりこれは楽しめました。ラクロス観戦の能力が私にはないので技術的戦術的なことがなにも書けない良さを伝えられないのがもどかしいのですが。

今大会のグループリーグでは日本代表がB組で圧勝の連続で4戦全勝。決勝トーナメントでは一回戦のドイツ戦に勝てばA組3位のHaudenosauneeと二回戦=準々決勝で当たる山に入りました。日本代表の目標は4位以内、具体的にはHaudenosauneeまたはオーストラリアに準々決勝で勝つという意味です。健闘を期待します。

現在のラクロスの世界選手権の仕組みではA組に実力上位の5カ国が集うのですが、A組5カ国目のイングランドはA組でけちょんけちょんにされて大敗の連続のA組最下位となってます。
でこれがもし次回大会で日本とイングランドが入れ替わって日本がA組に行けるとやっぱり同じ目に遭いかねないんですよね。つまりは上位4チーム(米加豪Haudenosaunee)とその下の力の差が大きい。四強に迫れる次の国がもっと抵抗できるとおもしろくなるんですがなかなかそうはいっていなさそう。でそこの壁を破りたいというのが今回の日本代表の目標というわけです。なのでそれは日本代表にとっての躍進というだけでなくラクロスの世界レベルの底上げという意味で突破できれば時代が動くということになります。
四強にチャレンジしていくべき5位候補は日本イングランドに加えて新興のイスラエル(C組1位通過)とプエルトリコ(C組2位)あたりということになります。日本代表は2010年大会で4位に入ったのが最高成績ですがそのときはイロコイ(現Haudenosaunee)がパスポート問題で不参加だったためトップ4に食い込めたという事情でした。

最上位グループA組が今大会は5カ国構成で、前回大会では6カ国と大会の形式は常に揺れ動きながら各国の実力に合ったベストの大会形式模索しているという有機的な大会です。前回大会の最後5位決定戦での日本対イングランド戦で日本代表が7-0とリードしたところから大逆転負け(コメント欄)を喫したということがあって、当時は5位でも6位でも次回大会には関係ないのではと書いたのですが、今大会は最上位カテゴリが5カ国制となって前回大会の最後で日本は6位となったことでA組回避。それでB組に入って勝ちまくれたのですから士気には良いのでしょう。

ルールは前回2018年大会とほぼ同じようです。五輪採用も念頭に試合の短縮化などを目指した時期もあったはずですがそちらへはルールは動かず。プロリーグで採用されているショットクロックも今大会も採用されず。よって大差の試合の最後は時間つぶしになってしまう傾向もあります。上位国の試合だけでもとか試合中の時間帯を限ってとかどういう形でかショットクロックがないとつらいかなという気はしました。

放映権を持つESPNですがESPN.comを見ると今大会の報道がまったくないようです。ジャンルとしては男子プロリーグであるPLLのページは存在するのですが世界選手権の報道はない。残念ながらスポーツ報道最大手のESPN.com視点では推すだけの魅力がないと見切られてしまった感じなのかもしれません。地味なのはそうなんでしょう。大会形式では常に意欲的に新しいものを試しているのにルールでは保守的っていうのも少し考えものかな、一考しないと外に向かってのアピールがきつくなる可能性を少々感じます。
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