アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

Motorsports

Hamlin 痛恨ピット戦術失敗で初戴冠を逸す

アメスポ業界は忙しいです。日本では日本人MVPも出てドラマチックなフィニッシュとなったMLB World Seriesネタでたっぷり数日楽しめるでしょうが、アメリカではこの時期、多数のスポーツが重なり合って興行をしてます。World Seriesが土曜夜に終了。明けて日曜日なので一般にはもちろんNFLが話題の中心なのですが、私個人の好みではNASCARの最終レースの方が注目です。

NASCARの現行の仕組みはプレーオフを勝ち残った4名のドライバーが最終レースで一発勝負、4人のうち最上位でフィニッシュをしたドライバーが年間優勝者となります。そして今日がその最終レース=Championship 4。

20年目通算60勝の44歳 Denny Hamlin(11番車体)が初の年間チャンピオンに届くかが焦点。60勝は年間優勝のない選手では最多勝。
4人残った中で過去に年間チャンピオンになっているのは2021年に完勝したKyle Larson(5)だけ。あと2名はToyota = Joe Gibbs RacingのHamlinのチームメイトのChase Briscoe(19)と、LarsonのHendrick MotorsportsのチームメイトWilliam Byron(24)。

レースはポールポジションを獲ったHamlinがレースの大半をリード。それも車の調子は最高。はっきりと他車より早く、リスタートするたびにライバル車にあっさりと2秒3秒の差をつけていく好調さ。但しHamlin陣営の会話ではクラッチに異常ありとのこと。

クラッシュのおこりにくいコースといえるPhonenixでのレースなんで比較的実力で勝負が決まりやすい、一発勝負の決勝戦にはふさわしいコースです。(来季の決勝レースはHomestead–Miami Speedwayに復帰します)

クラッシュはほとんどなかったんですが、コンテンダーも含めて各車のタイヤのバーストが多発する異常なレース展開に。と言ってレッドが出るわけでもないので、タイヤのデブリもコース上に大量に散らばってるのは確実。LarsonやBriscoeもこれにやられて順位を大きく下げた。

残り60周辺りのイエローで、これだとトップ快走のHamlinと秒差はあれど上位に居残ってるByronのどっちのタイヤが次に破裂するかの勝負というような異様なムードに。ここから先はもうシーズン最後のピットストップになる可能性がありますが、通常のタイヤ圧で臨むのか、安全を重視して圧を落とす(当然スピードも落ちる)かの判断を迫られるなど、普段とは異なる緊張感がみなぎってきました。

残り30周を切ったたぶん今季最後のピットストップになろうかというストップ後のリスタートもHamlinが大きくリード。またもあっさり2位以下を引き離し3秒以上のリード。そのままあと3周でHamlinの初優勝というところで、距離はありながら追従していたByronのタイヤが破裂、イエローが出て仕切り直し。Byronはこの時点で完全に脱落。

NASCARの仕組みは残り3周以下でリスタートとなった場合は、リスタート後3周でフィニッシュというルール。イエローのままで流してレースが終了することはありません。

このイエローのピットでHamlinはタイヤ4本を交換を選択。これが結果的には致命的な失敗策に。他陣営はコンテンダーも非コンテンダーもほとんど2本交換で飛び出す。これでHamlinはなんと10位に後退。コンテンダーのLarsonも2本交換でHamlinより先にピットを出ることに成功、5位リスタートすることに。
状態は車もタイヤもHamlinの方が速いのでしょうが、Larsonとの間に4台も2本交換でHamlinに先行した他車が挟まった。リスタート後はLarsonとのサシのスピード勝負まで迫れず、Larsonが先にフィニッシュで年間優勝者に。

敗戦したHamlinは呆然。それはそうでしょう。初優勝まであと僅か、車は文句なく最速。4本交換戦術への不平はHamlinは口をつぐみましたが失敗は明らか。Phoenixのコースは短いので3周で5台を抜くのは無理筋。「あんなに2タイヤを選ぶチームが多いとは思わなかった」とぽつり。シーズン優勝と関係のない他陣営の多くが2タイヤに行かない、4タイヤ交換だと想定した陣営の判断ミスがHamlinの初優勝を消してしまった。

この短めのコースでの約4−5秒をかけて4タイヤとしてグリップを上げることの意義の薄さは冷静に考えればわかることのように思えます。素の状態でHamlinの方がLarsonよりも、誰よりも速いんですから、Larsonと同じ2タイヤでLarsonより先にピットレーンを出ればほぼ勝ちだったのです。それができなかった。痛恨の逆転負け。

年間優勝なしで史上最多勝=60勝。Byronの土壇場でのタイヤが破裂しなければぶっちぎりの61勝目を挙げて初年間優勝、歓喜、のはずだったのが4タイヤの判断ですべて消えた。44歳。引退までのあと何年あるかわからない。なんでも父親が重篤な病気だそうでHamlinが父親に優勝を見せられるチャンスは今回が最後とも。それが独走リードから、ピットレーン逆転で優勝が消えた。しばらく気持ちが立ち直れないでしょうね。

逆転優勝となったLarsonは2度目の年間優勝。最初の年間優勝のときはレギュラーシーズンも勝ちまくったシーズンで、これでLarsonが優勝をしなかったらプレーオフ制度が弊害と文句も言いたくなったであろう圧勝シーズン。
一方今季はHamlinがシーズン6勝で勝利数トップ。プレーオフに入ってからも8強ラウンドでも初戦にあっさり快勝して決勝レース進出を決めたし、今日の決勝レースも圧倒的に速く大多数のラップもトップだったのに。それをLarson陣営のヘイルメリーと言える2度の2タイヤ交換が全部を変えてしまった。1度目で差を詰め全然届かない位置から順位を上げ、ひょっとしたら起こるかもしれないと願った2度目のイエローでも2タイヤで逆転。コース上ではなくピットレーンで大逆転しての年間優勝。正直Larsonが勝ったというより、Hamlinの敗戦、その負け方のつらさがショッキングなシーズンエンドとなりました。残酷な結末でした。

レース場でのMLB公式戦 観衆の数の競争に参戦

MLBの特別試合がテネシー州にあるショートオーバルのレース場であるBristol Motor Speedwayで開催。公式発表で91,032人の動員としたと発表されてます。MLBの動員としては史上最多となってます。

試合は雨天のため元々の予定日から順延して開催。天候はままならない。順延して翌日が晴れただけでも良かった。放映の方は地上波FOXが順延にもかかわらず放映をしていました。

Cincinnati RedsとAtlanta Bravesの試合。ざっとの話テネシーの会場まではCincinnatiからでもAtlantaからでも4時間ほどなのでその距離だと車で移動しようとするのがアメリカ人の習性かと思われます。他のジャンルの野外試合・スタジアム開催の特別試合でもそうですがお祭りであって試合観戦としては距離も遠くファンの熱気も届かない感じですし、雰囲気としては微妙だったというのが私の感想です。遠くの席からも見えるように直近に仮設で建てた観客席の数も少なかった。

当ブログではNASCARもしばしば取り上げます。なのでBristol Motor Speedwayはおなじみの場所ではある。レースにも関心がある私が見てMLB・野球とレース場での開催のシナジーがあったかというとそれもほとんど感じられず。ユニフォーム・ヘルメット・帽子のデザインにそれらしさを出そうと努力しているのは見て取れましたが、なんでしょう、あつらわれているモチーフがステレオタイプな感じでモータースポーツファンが見ておもしろいなと思うようなものだったかどうか。

今回の試合は「MLB Speedway Classic」というイベント名になっています。よって今回限りではなくMLB本部はレース場を使った特別試合を今後もやるかもという色気を持っているということなのでしょう。しかしこの試合の盛り上がりの薄さを見た感じでは継続開催はどうだかなというように見えました。


そもそもですが、この手の特別試合で観客動員数を誇るというような企画ってアメスポではホッケーNHLやサッカーMLS、女子スポーツがやることだったりします。下位ジャンルの我々でもこんなに人を集められるんだぞという一種の示威行為とも言える。
普段から良いお値段のチケットを売ってホーム会場をほぼ埋めているアメスポ上位のNFLやカレッジフットボールはそんなことはしない。

それが今回MLBがアメスポ下位のジャンルみたいなことをやりだしたのは自らMLBの動員力が落ちていることや各地のスタジアムが席数を減らしている(代わりに立ち飲みエリアなどを改築設置)のを意識してマイナージャンルみたいな行動になっちゃったという辛い評価も可能です。

結果としては動員の数字は出ました。もしこのMLB Speedway Classicの試合の9万人動員記録がないと、2025年の野球の最大の動員はMLBの試合ではなくSavannah BananasのBanana Ballの興行の方になっちゃってたんですよね。
今年Bananasは各地の大会場で盛況続き。最大で81,000人入れた試合をやってますから。そのときの開催場所はカレッジフットボールのスタジアムで。なのでMLBはBanana Ballに負けない数字を出したことでメンツを保ったという言い方も可能です。

Banana BallはNFLのスタジアムで開催できますが、MLBは公式戦の開催はたぶん無理。過去にはMLBもフットボール会場でやった歴史はあるのですが、一般にはフットボールのフィールドは幅が狭いので野球をやるには外野フェンスのどこかがやたら近くなってしまうからです。Banana Ballはお遊びですからホームランが多い方が盛り上がるし距離が近くたって良いですけど真剣勝負のMLBの公式戦はそれをやるのは強く抵抗があるでしょう。

余談ですがMLBが英国開催をしたときにはサッカー場でやった。ただしあそこは元々五輪のメインスタジアムとしても使えるように設計されていて外野フェンスをサッカーのピッチの幅よりずっと深く取れました。もともとサッカーのピッチ幅はアメリカンフットボールの幅より広いです。
現存するアメリカのフットボールスタジアムは前の方の高い席を可変にするような設計になっているところはたぶん存在しない。日本みたいな陸上のトラックが取れるスタジアムってアメリカには多くはありません。かなり古いカレッジフットボールのスタジアムしかないのでは。

NFL Los Angeles Chargers/RamsのホームのSoFi Stadiumは2028年のロス五輪のメイン会場でもあるのですが陸上競技はそこでは行われません。陸上は築100年を超えたLos Angeles Memorial Coliseumで開催します。1932年のロス五輪のときのメイン会場です。そこを100年後に使いまわし。メイン会場のSoFiでは公式サイズの陸上トラックが取れないからです。

ちなみにLos Angeles Memorial ColiseumではNASCARがシーズン冒頭に特別レースを開催したことがあります。レースをするにはめっちゃ狭くて見るに耐えないような渋滞が続く大変なものでした。ColiseumがNASCARをやるには最小の会場で、陸上競技をやるならColiseumが最大の場所ということですね。

NASCAR ChicagoストリートレースはまたGisbergen

NASCARシーズンが佳境に入ってきてます。Chicagoの公道レースでまたShane van Gisbergenが圧勝。Gisbergenは前日の下位シリーズであるXfinityシリーズの車体でも快勝しており、Chicago公道レースではもはや敵なしの状態となってます。どちらもポールもとって本レースでも快勝。明らかに一人だけ速い。

Gisbergenはニュージーランド人。それらしくレースに勝ったあとはラグビーボールにサインをして客席に蹴り入れてました。ニュージーランドではラグビーは男子たるもののたしなみということか。そういうのは地域感があって好きです。
Gisbergenは2年前に初めてNASCARに参戦したレースで優勝をこのコースでしてロードコースではNASCARのドライバーたちとは全然テクのレベルが異なることを度々示してきてます。NASCARの通常のオーバルコースで走らせると目立つ場面もなく中位から下位に沈むのが通常なのでGisbergenが上というよりはスペシャリストの扱いという方が現実に近いのですが、とにかくロードコースではNASCARのレギュラードライバーたちはまるで歯が立たない。Mexico Cityでの公道レースでもGisbergenは優勝しており今季2勝で堂々プレーオフにも進出します。
NASCARのドライバーランキングは基本的に勝利数が優先するのでロードレースを2つ拾ってGisbergenは4位扱い。

現行のNASCARのプレーオフは16人進出。ロードコースでGisbergenがめったやたらに強く、1勝すればほぼ確実にプレーオフ入りとなる現行制度下ではGisbergenに最初から1枠与えたようなもんになってます。もともとはオーバルばかりだったのにロードコース・公道レースを加えてシーズンをバラエティを豊かにしたのはNASCARの施策であるし、オーストラリアの箱車レースの強豪であるGisbergenを呼び込んだのもNASCAR承知のことだったわけで良い悪いは言えないですが、熱心な昔ながらのNASCARファンにはあまり評判が良いとも言えません。

おもしろいのはNASCARが公道レースを多めに採用し始めたのは海外の他のジャンルから有名ドライバー・外国人ドライバーが参入しやすくして商圏を広げたかったからですが、F1やIndyCarなど比較的知名度の高いオープンホイールのジャンルから来たドライバーはNASCARじゃまるで勝てないんですよね。接触上等のNASCARの激しい争いにはオープンホイールの選手たちはびびって太刀打ちできない。その点Gisbergenは本職も接触OKのジャンルから来た。Gisbergenはその経験からNASCARの接触プレーに動じずにロードコースを駆け抜けて勝ってるわけで、ロードコースに強い慣れているだけでは勝てないのがNASCARのロードコースってわけです。世界へ商圏を広げようとしてロードコースを増やしたのに人口の少ないニュージーランド人のオーストラリアで名の知れたGisbergenだけが成功している。欧州とか日本とか人口面で伸びしろの大きいところのドライバーがNASCARは欲しかったでしょうに、そうはうまくいかない。

ところで以前にも書いた通り今季からは夏の時期にNASCARは1ヶ月間にPrime Videoで独占放送、それに次いで今はTNTでインシーズントーナメント(=In-Season Challenge)でこちらも1ヶ月間放映中。コアなNASCARファンはそれに付いていってるんでしょうが、一般スポーツファンへの露出はどうなってるのか気になります。TNT部分ではインシーズントーナメントをやると大げさに事前に言っていた。でも実際の放送を見てみるとトーナメントの話はほとんどしません。そりゃそうですよね。トーナメントに含まれたドライバーが多重クラッシュを食えばそのままトーナメントから敗退で、トーナメントの組合せドライバー同士のデュエルみたいな状況にはほとんどなりません。

NASCARのプレーオフの最終戦は4人が残って、その4人のうち最終レースで最上位に来たドライバーが年間優勝というそういう仕組。直接対決がそのレースのテーマなわけです。4人のうちの最上位が20位だろうと年間優勝という意味であり、いまだに違和感はあるものの、現実的には他のドライバーが気を使って残った4人はほとんど事故に巻き込まれなくて最終レースで上位に並ぶことが多い。たぶん内々にペナルティがあるとかなんとか通達があって他のドライバーはあまり競らずに先に行かせるという行動をしていそうです。良いか悪いかはともかくそうなってきてる。

それに対して今やってるトーナメントは各部分は1対1とは言えよほど当該ドライバーのファンでもないと意識がそこへ行くわけでもないし、TVもその話題にはほとんど触れない。これでインシーズントーナメントをやる意味ってあんのかなという状態です。
今週で8名に減ったのでここから先は少しはデュエルっぽくなるのか。プレーオフのように他のドライバーが気を使ってくれそうにもないのでどうなることか。残った8人はあまり人気ドライバーといえる選手が少なくその面でも地味になります。
ま、アメリカの良いところはとにかくやってみて、やってみてから考えるというところでもあるので、今のところ無意味に近いように見えますが、もう少し人数が減ると、または年数を重ねるとなにかあるのかもしれません。

Indianapolis 大忙し

今週末は戦没者記念日(Memorial Day)の週末。アメスポではIndy 500の開催日です。場所はその名の通りインディアナ州Indianapolis、@Indianapolis Motor Speedway。今年は放送に気合が入っていてFOXのNFL解説陣でもあるTom BradyやRob Gronkoski、Michael Strahanをプリレース番組で大量起用。コースの歴史の部分のセグメントでは元ColtsのPeyton Manningがナレーターを務めるなど盛り上げに一役かってます。他にもMLBから Derek Jeter、Alex Rodriguezがレース前のドライバーへの搭乗のアナウンスメントに起用されるなどFOXスポーツが手持ちのスターを大量投入してます。力入ってるなあという。

ものすごく有り体に言えばIndy Seriesの選手の知名度は低いので他ジャンルの有名人で視聴者の興味を繋いでいる状態でもあるでしょうが。


昨年のレースは豪雨でレース開始が4-5時間ぐらい遅れてグダグダ。NASCARのチャンピオンドライバーであるKyle Larsonが昨年はIndy 500に初参加して、レース後にチャーター機でNASCARのナイトレースのCoca Cola 600に参戦するダブル出場にチャレンジしたのですが、Indyが遅延したのでナイトレースには当然間に合わず失敗。
で今年も再び挑戦するんだそうです。Motorsports競合関係のシリーズ間の共生ということは2年前にも書いたのですが一昨年、昨年の失敗に懲りず今年もやるんですね。なかなかしぶといではないかという感じがします。


Indianapolisでは今夜はNBA東カンファレンス決勝第3戦のNew York Knicks@Indiana Pacers戦があるのでIndy 500からそのまま夜の試合へなだれ込むことになります。地方都市のIndianapolisとしてはこれ以上ないスポーツイベントの日になります。

さらには昨日は女子バスケWNBAの昨年度のチャンピオンNew York Liberty@Indiana Feverの試合も全国放送されてました。たまたまなんですが男子も女子もNew York@Indiana。昨季もよくFeverの試合に観戦に来ていたPacersのTyrese Haliburtonはこの日も観戦に来てました。Pacersがアウェイで2連勝して優位に立ってるので余裕での観戦です。Haliburton以外にもPacersのHCのRick Carlisleも会場に来ていて、へぇカンファレンス決勝の合間、明日試合でも来ていていいんだ?という感じでした。2人とも勝ってるから余裕ってことですよね。0勝2敗なら来てたら批判の的になる。
Feverの試合も好試合で楽しかったです。ついここ最近Caitlin Clarkは3ポインターが入らなくて苦労しているのですが、4ポイントプレーなどもかましてここから復活かなという試合でもありました。試合の幕切れも際どく面白かったです。

今日Championship 4確定 Michael Jordanのチームにも勝機

今週がシーズンラス前のレース。次週最終戦の@Phoenixでのレースで年間チャンピオンが決定します。今週のレースで最終戦に進む4名のドライバーが確定する。既報のJoey Loganoが2週間前にどんでん返しで12強段階での敗退からChampionship 4一番乗りを果たし、先週は最終ラップにプレーオフドライバー3名が入れ替わり1位に立つ激戦を制してTyler Reddickが勝利してこちらもChampionship 4入り。よって今週残っている枠は2つのみ。それを6名のドライバーが争う戦いになります。

しかしながらその6名の前日のタイムが伸びていない。6人のうちポイント最下位で今週の優勝しかChampionship 4進出の目のないChase Elliotは2位、Ryan Blaneyは3位に付けてますが、他の4人のスピードが怪しい。この段階での車体の不調はレース前からの大きな不安材料となります。

ところで表題はChampionship 4に2番乗りをしたTyler ReddickがMichael Jordanが共同オーナーを務める23XI Racingの所属だからです。先週の終盤の激戦を制してReddickがChampionship 4進出を決めて会場に来ていたJordanはご満悦。Reddickは3週間前の12名から8名への足切りレースでぎりぎりのポイント争いをしのいで8強進出を果たしたんですが、8強シリーズの第2戦で勝利してChampionship 4進出。Michael Jordanにとっての初のNASCAR制覇が1/4の確率で手の届くところまで来てます。

Jordanは次週の決着戦が@Phoenixであることにもごきげん。JordanがChicago Bullsでの前期3連覇をしたときに@Phoenix Sunsの敵地で優勝を決めた故事(1993年)を持ち出してゲンが良いなどとうそぶいてます。

それ以外にももしTyler Reddickが優勝してしまうと来季のNASCARがディフェンディングチャンピオンなしで来季をスタートさせる可能性が出てくるところも見ものです。NASCARが強要したとされる来季の出走権を巡る合意書に23XIは署名をしておらず、来季の出走権が確定していないためです。その後法廷闘争に突入している。まだNASCAR側からの反論は出ていない段階で、また23XI(とFront Row Motorsports)が裁判所に求めている係争中の暫定的な出走権の確保についても裁判所の判断は出ていないため、もしReddickが次週勝ってNASCAR Cupシリーズチャンピオンとなっても来季出場ができるかどうかわからない。
こういう混乱は傍目には楽しいので来週のChampionship 4はReddickを応援して放送中にも何度も顔が抜かれるであろうJordanの姿でも楽しもうかと思っています。

先週敗退したはずのLoganoがChampionship 4一番乗り

NASCARのベスト8が開始。先週のレースが終了時点での順位で9位となり足切り対象となったはずだったJoey Loganoがレース後の失格者の発生で繰り上がりベスト8入り。先週のLoganoの車体は終盤のスピードが乗らずじりじり順位を下げて敗退になったはずが、レース後数時間で逆転ベスト8進出へ。失格したAlex Bowman側が自陣営のミスを認めてNASCARの下した処分が確定。

一度は諦めたはずのベスト8ラウンドの初戦でその繰り上がりのLoganoが終盤の最後の給油ピットを取らずに勝負。その戦術が奏功して、給油したチームのうちの最上位最速だったChristpher Bellが迫るのを抑えきってLoganoの勝利。シーズン最終戦のChampionship 4への進出一番乗りとなってます。一週間前のこの時刻にはベスト8進出失敗で残念モードだったのが、今は唯一のChampionship 4出場確定ドライバーというどんでん返し。

Bellの車体はこの日最速なのは明らかで最終給油ピットまでもトップを維持。全車がピットインすればBellの楽勝だった可能性の高いレース展開でしたが、LoganoとDenny Hamlinのプレーオフメンバー2人を含む4台がピット回避・を選択して燃料セービングモードで上位を目指すことを決意。その4台を追うBell。毎周回辺りざっと1秒のスピードの差を縮められればラス前ラップ辺りでトップに立てる計算で残り20周強。ただしこの日は周回遅れの車が多く微妙にあちこちで細かくBellのスピードが削がれ、計算通りに追いつけず、Bellは2位でフィニッシュ。
LoganoにせよHamlinにせよおとなしくピットインしていたら10位以内確保も危なかったので勝負に行ったのは勝ったLoganoはもちろんHamlinも好判断ということに。Hamlinの車はレース序盤から車速が出ずステージポイントも一切加点できない苦しいレースだったのをなんとか8位フィニッシュできたのは陣営のファインプレーでしょう。現時点ではHamlinはChampionship 4を目指すポイント争いでは27ポイント足切りの下ですが。


ちなみにレース後の失格でプレーオフから排除されたBowmanは失格当日自宅で失意。しかし容赦ない次々とかかってくる電話(マスコミ取材その他)にいらついて自分の携帯を自宅プールに叩き付けたとか。それが今の携帯ってある一定以上の衝撃があると自動車事故・転落事故その他を想定、自動的に911(日本の110・119番に相当)に電話をかける仕組みになっていますよね。で警察消防がBowman宅にやってきてしまいイライラもおちおちできないという失格の顛末だったようです。

プレーオフ8名への足切りレース後に失格者が発生

NASCARのプレーオフが進行中。昨日のレースはドライバー12名から8名への足切りのレース@Charlotte Rovalでした。リアルタイムでプレーオフポイントがアップデートされてレギュラーシーズンチャンピオンだったMichael Jordanの23XI Racingの45番Tyler Reddickが終盤に猛チャージ。プレーオフ獲得ポイントで足切りの下9位から順位を上げて8位だった22番Joey Loganoを逆転して次ラウンドへ進出。Loganoも惜しかったんですが車速が上がらず、前との距離、後ろにロードコースに強いShane van Gisbergenらに着かれてポイントをアップする機会は乏しく残念ながらここで敗退となりました。

現在のプレーオフ形式になってからレギュラーシーズンチャンプがベスト8に進出できなかったことはなく、Tyler Reddickはその初のケースになりかけのところからのまくりで汚名を回避してます。一方レース後のLoganoはいつもどおりではありましたがやるだけやった感のあるインタビューの受け答えでした。プレーオフでの強さで知られるLoganoですが今季はいろいろ苦しかったですね。

緊張感はあって好レースで楽しめました。
でそれはそれで次週だなあと思っていたらレース後にニュースが入ってきて、ベスト8進出を決めていたAlex Bowmanの車体がレース後の検査で最低車体重量に満たなかったとNASCAR側から発表。それに伴いBowmanのベスト8進出は取り消し。よって繰り上がりでLoganoがベスト8進出とのこと。Bowman陣営は抗告ができるのでその結果が数日内に出るまでは確定ではないものの現時点ではLoganoが代わってベスト8進出、史上最多のベスト4進出の可能性を残したことになってます。

レース後の検査トラブルはしばしばあることで、今季のレギュラーシーズン終盤にはDenny Hamlin陣営がレース後に車体をNASCAR検査に送るのを「忘れた」とかいうよくわからないミスがあってHamlinのポイントが大きく引かれるという事件もありました。それまではHamlinはプレーオフにも加算されるレギュラーシーズンのポイントで上位にいたのがこの事件でのポイント剥奪でいきなり苦しいポジションに下降したりしてます。

NASCAR側のBowman失格の発表はドライバーたちは既に会場から去ったあとのことなのでLoganoのコメントは出てないですが、あの残念そうな顔して喋っていたのが急転次週もプレーオフ生き残り。次週のプラクティスの日に報道陣に囲まれてニコニコして喋るLoganoを想像するとちょっと楽しいです。

結果としてJordanを呼び込んだことが

アメスポ4大プロスポーツがひしめく中、準メジャーのNASCARのプレーオフも残り5戦と生き残りに差し掛かっています。週末のレースではNASCAR史上台数で最大の28台を巻き込むビッグワンが終盤に発生する混迷のレースだったりしました。高速コースのSuper Speedwayはこれが怖い。ドライバーの腕よりも運任せの面のあるSuper Speedwayをプレーオフに組み込むことの是非はプレーオフの押し詰まった時期でないので許容範囲でしょうか。

レースの放送中にもさらっと触れられていましたがMichael Jordanが共同オーナーを務める23XI Racingと Front Row Motorsportsの2チームがNASCARを違法な強権的行為その他で訴えて法廷闘争に臨むことになっています。
以前にもチーム側とNASCARがモメていることは何度か書きました。その後NASCAR側が最後通牒をチーム側に突きつけて上記の2チーム以外はしぶしぶなのかどうなのかわからないですが契約を更新、来季の出走権を確保しています。原告となった2チームは契約更新を拒否。NASCARの独占による優位な立場を濫用していると訴えているのとともに、法廷闘争をしている間の暫定措置として来季の参戦を認めるように裁判所に申し立てています。

NASCARの御用マスコミからはこの訴訟について猛烈な拒否反応が出ていたり、過去に原告側弁護士を取材したNASCAR所有のラジオ局は一旦そのインタビューを放送した後に局のアーカイブから削除して視聴者がオンデマンドで聞けなくしたりと強い嫌悪感を隠していません。オンデマンドについては削除したことがSNSで拡散した後にまずいと思ったのか再び聞けるようになっています。

その原告側の弁護士というのはJeffrey Kessler。この方はNFL、NBA、MLBの各選手会をクライアントとして持っており、また米女子サッカー選手の対米サッカー協会の闘争でも強い役割を果たし例の男女間の賃金格差闘争で選手側の勝利を勝ち取った法曹チームの方です。

つまりはMichael Jordanが連れてきたスポーツ争議での選手側を弁護する最上のスペシャリストということになります。JordanがNASCARオーナーとして参戦したのは2020年、レースに参加し始めたのは2021年冒頭から。当時は
「知名度抜群のMichael Jordanの参入はNASCARにとっても大歓迎のようです。NASCARは既にアメリカのモータースポーツで最大の組織ではあるもののマーケットはほぼアメリカ国内限定で、かつ米国内でも人気のある地域が偏っています。アメスポ全体のジャンル別順列だと7−9位程度。そこに正真正銘のアメスポのスーパースターが参入することでのアメスポメディア内でいままでなかった形の露出アップが期待できる」

と思っていたのですがこうなってみるとNASCARを家族で所有するCEO Jim Franceから見ればメジャースポーツ他ジャンルの契約習慣までNASCARに流れ込んでしまい70年以上家族経営してきたNASCARに法的なメスが入ることになったとも言える事態でもあります。
NASCARの御用マスコミは「たった4年半前に参入した新参が70年以上の歴史を持つ体制を捻じ曲げようとしている」と口を極めて批判してます。ただし御用マスコミは法的な争点については一切議論しておらず、たぶん意図的に避けている。そういう意味で逆にNASCAR本体の強い危機感も感じられます。

アメリカの大物弁護士の料金というのはやたら高い(1時間当たり$2000とか)ので中規模チームの23XIやFront Row(それぞれCup戦2台態勢)だけでそのコストを負うのはリスクが高い。Jordan個人はお金持ちですがそれでもこの闘争費用は安くない。Jeffrey Kesslerが出しているコメントによれば勝算はごく高いかのように言ってますから弁護士費用は後払いでごっそりNASCARから取る目算でこの訴訟を引き受けた可能性もありそうです。訴訟に勝った場合のみクライアントの支払い義務が生ずるという弁護契約は訴訟の相手が大きな企業だとしばしば行われます。

NASCARは訴訟に応えるために60日間の猶予があるためたぶん今季シーズン中にはこの件は進展しないと思われますが、それまでは原告2チームの来季の出走権が確定しないという不安定な立場となる可能性もあります。そうなれば両チームのスポンサーも困るわけで原告側としてもギャンブルになる。暫定出走措置だけでも早く決まって欲しいところでしょう。

NASCARが批判に耐えきれず制裁発表

最終ラップにトップのJoey Loganoをスピンさせ、次いでインを抜けていったDenny Hamlinのテイルも故意にひっかけて3番Austin Dillonがレースの勝利を得た先週末のレースに珍しくNASCARがペナルティを発表しています。

レース自体はそのまま成立、Austin Dillonのレース勝利およびそれに付随する賞金・トロフィーなどもDillionは維持。ただし通常ならレギュラーシーズンのレースの1勝はプレーオフ進出が確定しますが、この勝利によるプレーオフ進出は認めないという制裁となってます。またDillionチームのスポッター(無線でドライバーと常時連絡する役)が「Wreck it! Wreck it!」と故意の接触でHemlinをスピンさせる指示を出していた音声が確認されたためそのスポッターは3レースの出場停止。今季のNASCARはレギュラーシーズンがあと3戦なのでスポッターは今季のレギュラーシーズンには関われないことに。

それとは別に故意のスピンでレース優勝を奪われてブチギレだったJoey Loganoが、レース後にAustin Dillonのピットエリアに行って怒りの示威行為をしたことに対して$50,000の罰金が課されました。

普段腰の重いNASCARにしてはスルーせずに制裁は加えたことは珍しい。NASCAR専門メディアだけでなく一般スポーツマスコミでも取り上げられていただけに何か制裁をせざるを得なかったようです。確かにレースの翌日となった月曜日はスポーツネタが乏しかったせいもあって一般スポーツマスコミ・スポーツトークショーもこぞって報道してましたからそれが圧力になった可能性は高い。

Austin Dillionはこの勝利でのプレーオフ進出は否定されましたが、プレーオフ進出のすべてが否定されたわけではなく残りのレギュラーシーズン3戦のいずれかで勝利すればプレーオフには出場可能です。出たところでLoganoとHemlinに恨まれているのでレース中どこで引っ掛けられるかわかったもんじゃないレースの連続になりますが。

レース勝利はそのままとされたことで今季2勝目が目前だったLoganoは1勝のまま。LoganoとDillionがからまっている隙に抜け出して今季4勝目が目前に開けたHemlinの勝利も消えて3勝のまま。4勝だとトップのKyle Larsonに並んで勝利数でトップ。NASCARのプレーオフの仕組みではレギュラーシーズンのポイントは持ち越しになって各ラウンドの順位争いに関係する。LoganoもHemlinも損をしたままでその部分はNASCARは放置したことになります。

Dillionの所属先のRichard Childress Racingは控訴すると息巻いてますが、「ぶつけろ!」とスポッターが言ってるのが音声で残ってるのになにを息巻きたいのか。記録上の勝利はDillionやチームの通算勝利数に加算されるのだし、賞金も貰えるのになにが不満なのか。私が読んだ制裁リストでは対Richard Childress Racingの罰金はないみたいですからあの無茶なドライビングのおかげでお金は儲かってる。今季32位(から先週末のポイント加算で31位へ浮上)、元々今季は失敗シーズンなので優勝賞金が儲かっただけでも良いじゃないかという気がします。

ブチギレのLoganoの方がお金の面では優勝賞金は逃すは罰金は食うわでよほど損しているわけで。Loganoの示威行為への罰金はもっと高い可能性も予想されていましたが、事情からブチギレる気持ちもわかると斟酌して比較的穏当な罰金額になったようにも見えます。

なお数年前から採用されている現行の通称Next Gen車体は前宣伝通り堅牢でこういう無茶なレースをやってもけが人は出てません。
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