アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

MLS/Soccer

LSU8度目のCWS制覇

NBA Finalsが最終第7戦にもつれこんだせいでメニュー豊富な日曜日のアメスポになってます。Finals第7戦は夜8PMから。Kevin Durantのトレードの話はまた別途やります。

今日のメニューはまずはカレッジベースボールのMCWSの決勝シリーズ第2戦。北米大陸の大半が灼熱になってる中での試合で大変です。
2戦先勝制で前日の試合はLSUのエースKade Andersonが130球での完封勝利。隅1の1点差を守りきって1-0でLUS TigersがCoastal Carolina Chanticleersを破って今日の第2戦で優勝を狙います。暑い中での130球3安打10奪三振完封での1−0勝利は甲子園的な快感のある気合の入った投球でした。アメリカ人もやればやれるんじゃんの130球。
Kade Andersonは今年のMLBドラフトで投手としてトップ2以内の指名が予想されてます。この活躍で全体1位指名に自身を押し上げたかどうか。全体1位の指名権はWashington Nationalsが持ってます。

Coastal Carolina Chanticleersは他の競技ではあまりカレッジスポーツファンにもおなじみではない学校でしょうが、CWS制覇経験のあるベースボールでは有力校です。先発はCoastal Carolina側のエース大型右腕Jacob Morrison。サイズの大きさがあるのでこの投手も将来MLBで見られるようになるかも。
今日の第2戦はこの暑いのに現地1:30PM一番暑くなる時刻からの試合開始。もしCoastal Carolinaが勝つと月曜夜に決着第3戦というのがスケジュールです。月曜夜はアメスポ習慣的にはまずまずの放映枠です。

試合が荒れていて1回裏にCoastalの監督と一塁コーチが退場。確かに主審のストライクボール判定は怪しかったので文句を言いたくなるのもわかりますが一回裏ですか。これもしCoastalが勝っても翌日の第3戦も監督はベンチ入りできない。
試合の中身はボールになる変化球を早いカウントから振りまくるCoastalの打線が相手投手Anthony Eyanson(これもドラフト上位指名見込み)を助けて投球数も少なく試合深くまで続投。で次に出てきた救援が100マイル以上を連発。LSU 5-3 Coastal Carolina。SEC校が6連覇、8年間で7度優勝となってます。


CWSが終わる頃の時刻にはサッカーのGold Cupのグループリーグ最終戦米代表対ハイチ戦があります。そちらは会場がインドアのAT&T Stadium。熱波は関係ない。巨大スタジアムなので入りは寂しい入りになるのは確実ですが、放映をする地上波FOXは来年のW杯をあてこんで「W杯への道はここからはじまる!」とやけにハイテンションな番宣を打ってます。米代表は既に2戦2勝(対トリニダード・トバゴ &対サウジアラビア)で準々決勝進出決定済みの第3戦。意義のある試合ではないです。ノックアウトラウンド初戦はコスタリカかメキシコが相手なので勝てるかどうかは怪しいですが、見る分にはそちらの方が楽しみはあります。

Gold Cupもそうですし、同時に米国内各地で開催中のFIFA Club World Cupもチケットの値段を下げたのに入りが悪いという話ばかりが聞こえてきます。CWCの方はある種の実験イベントでの32チーム化の初回。ホストとしてカネも一部ふところに入る米サッカー協会からすると一回限りのイベントなのでチケットが売れていないとなってからは宣伝告知に力が入らないのも仕方ないか。FIFAが欲の皮をつっぱらせて大会場を好んだのでしょうが、開催会場が11スタジアムで同じ都市で複数の試合が予定されているのも一般サッカーファンの買い控えを起こすスケジュールだと思います。そのクラブのファンでなくても見たいような好カードはノックアウトラウンドに入らないと見られないのですし。来年のW杯も同じ都市での開催が多いのも買い控えに繋がってると思えます。

あとはあてこんでいたであろう海外からのサポーターが昨今のアメリカ入国管理の厳格化を嫌気、大きく減った可能性もありそうです。入国審査時に当局によりスマホの中身を全部抜かれる(合法)ことがあるという評判もありがたくないですよね。私だって嫌です。スマホ解除を拒否すると自動的に入国拒否とか。ざっとで入国者1万人に1人程度が入国プロセスで別室送り、スマホ全抜きや中身の書き込みの内容でしぼられるのはさらに少ないらしいんで確率は高くないですが、わざわざ遠くアメリカまで行って嫌な目にあったり追い返されるかもと想像したら旅費も試合のチケットも無駄になるし行くのやめとこうかというのは合理的な思考と思います。

この問題はCWCに限らず来年2026年のW杯本番や2028年のロス五輪でも同じになりそうです。2029年初頭まではトランプ政権下なので大きく入国管理が緩んだり、または積極的に入国管理を緩めたよ!と公言宣伝することはなかなか難しいように思えます。国際情勢からしても外国人によるテロには敏感にならざるをえないでしょうし。
たぶん今年の夏が終わる前に旅行者の減少でアメリカの旅行産業が多大な打撃を受けた云々のニュースが出回るのは確実でしょうが、それでも政権の支持基盤を考えると現政権は方針を変えられないような。

そういえば来年はまたWorld Baseball Classicの開催年ですが、野球はイスラム国家は参加しないので比較的に平和なんでしょうか。ただしイスラエルはD組でMiamiでのグループリーグに出場予定です。他にトランプ政権下で敵性国家扱いとなっているベネズエラ・ニカラグアもD組。わざと集めてる‥んですかね?

男子代表ボコボコ

ひどいことになりました。サッカー男子米代表のスイスとの親善試合。前半だけで4-0でボコボコにされてます。二軍だとか親善試合だからだとか言い訳はすれば良いですがそれでもここまでスコアとして示されてしまうとなんとも。米代表は枠内シュートゼロ。
サッカーの応援って試合の流れを無視して太鼓や合唱が試合開始から終わりまで続く場合が多いんですけど、4-0になった時点で太鼓も鳴り止んでしまい何の声も聞こえない。ああ、あの太鼓の人たちもめったやたらに叩いてるわけじゃなくてちゃんと人間でがっかりするんだなという変な感想を持ってしまいました。

スイスはこの試合の前に対メキシコ代表戦で4-2で快勝していて、それに満足したのかスイスの監督は試合前のインタビューで余裕ニコニコ。メンバーもかなり入れ換えて臨むと言ってました。その向こうの二軍だか三軍だか知らない相手に4-0ボコボコにされる米代表。親善試合・公式試合を問わず前半で4-0でリードされているのは40年以上で最多のビハインドだと試合中継中に言ってました。40年以上、という表現が悲しい。つまりそれより古いデータはすぐにはTV局にも調べられないぐらいの惨状ってことです。
その後の調査では1980年45年前にメキシコにやられたのが最後だそうです。1980年の米代表だとW杯に出場できない弱小の頃ですからそういうこともあったのでしょう。

試合開始直後は米代表が相手GKまで追い回してスイスに深い位置でターンオーバーをさせるなど意欲的だったんですが、そこをかわされるようになるとあとはスイス一方的。数日前の対トルコ戦でも序盤は良くて先制ゴールを奪ってたんですけど。


この試合、米代表側はレインボーカラーの背番号。サッカーはアメリカではLGBTQ+と親和性の高いジャンルとなっていて、7月はPride Monthということもあってこういう特別ユニフォームになってます。ですがこんなふうに負けてるとそんなことやってる場合かとか八つ当たり的な批判も浴びそうですね。

この二軍メンバー(プラスGold Cupに備えて出場を見送ったTyler Adams)でGold Cupを戦うので、勝ても負けても事情はあまり変わらない。次は秋の対日本、対韓国戦。ここはもう一軍じゃないからどうのこうのの言い訳の効かない、そこでも中身がないとさすがにパニックスイッチが入ることになるかな。

来夏のWorld Cupは本当に起爆剤になるのか

今夜サッカー米男子代表がスイス代表と親善試合で対戦。この試合前まで代表戦3連敗中(対パナマ・カナダ・トルコ)の代表の評判はよろしくない。この親善試合が済むとそのまま地区の隔年大会であるGold Cupが始まるんですけれど、来年の代表の主力となる選手たちは出場しない。同時期に重なるFIFA Club World Cupの方に拘束される選手もいますが自主的に休養で出場しない主力選手もいます。

休養優先の代表格がエースのChristian Pulisic(AC Milan 26歳)。その判断が古株の代表OBたち=現在のサッカー評論家たちにしつこく酷評されてます。リーダーシップの欠如だ云々。
それについては以前から何度も書いてますが現役の選手たちと、サッカー不遇の時代に現役でサッカーの米国内の人気向上に苦労したOB世代では意識が異なるのは確実です。マイナー扱いだったサッカーをTVに乗せ、大型スタジアムを埋められるのを夢に見て奮闘し続けたOB世代にとっては来年2026年のWorld Cupはその苦労が報われ、サッカーがアメリカでメジャースポーツと認められることになる長編物語のクライマックスなわけです。サッカーという競技のマイナー扱いだけでなく、米女子代表が人気を先に獲得してしまいサッカー内ですらも下に見られる男子という口に出せない鬱憤もあったはずです。

そういう思い・鬱屈の強いOB世代と、サッカーが虐げられてきた時代を肌で知らない今の現役世代では意識が異なる。国内リーグのMLSも安定して存在する時代しか知らない、欧州クラブと契約してプロスポーツ選手として胸を張れる収入を得ることが容易になったあとの今の20代前半の選手たちにはそんな長編物語は他人事です。

こと地元開催W杯が来年という事情を別にすればGold Cupに大した意義などないのは事実です。隔年開催という頻度からして特別感はまったくない。地区全体でサッカーが不人気だった時代にCONCACAFがなんとか予算をひねり出すために開催頻度が高かったという事情がいまも続いているんですけど、米国内開催でもスタジアムにやってくる観客は相手国からの移民ファンが大多数というのがGold Cupの通常の風景で、米代表を応援する観客は常に少ない。PulisicだってOB世代だってそれは知っている。ただの集金大会でファンのサポートもなくモチベーションが低くなるのもしかたない。

そもそもサッカーの世界はアメスポと比較して年間の拘束期間が長い上にこんな意義の薄い大会をやってそれにも本気で出場しろとか勘弁して欲しい。来年の夏はちゃんと出るから今年の夏はじっくり休みたいという気持ちはわかります。特に米代表は昨年夏にCopa America北米大会にも出場してるんで毎年夏に「本気出せ」みたいなことを要求されるのが過剰要求だと感じても無理ないです。

一般スポーツマスコミは昨年のCopa Americaだって大した報道量ではなかったのに負けると(グループリーグ突破失敗)それを延々くさされる。今年のGold Cupが意義がない大会でも出場すれば優勝しない限りエースのPulisicに批判は集中するのは確実なんで、出ても批判出なくても批判なら出ない方が良いやという判断はまっとうかなと私には思えます。代表フルメンバーが揃わないのもわかってるし。


さすがに最近はまったく聞かなくなりましたがPulisicが20歳前後の頃には今の代表の常連連中たちを指して2026年に向けて米代表史上最高の黄金世代だという表現が散々されました。Pulisicだけでなく当時は次々と10代の米国人選手の活躍が欧州から伝えられ、2026年の自国開催より前に2022年のカタールでも凄いことになるかもと期待があった。ところが今になってみれば結局米代表はPulisic頼みでロースターの細い、一昔前にLandon Donovan頼みだった当時の米代表と大して変わらない有り様に落ち着いてしまってます。Pulisicはよくやってます。彼を責めてはいけない。

問題は黄金世代に見えた他の同世代のメンバーが2020年2021年辺りから評判が上がるような活躍ができていないことです。良いかもと言われた選手たちも代表でモノにならず代表のロースターの底上げもできず夏の長い大会を戦うのにまた昔から変わらず同じ11人を酷使する戦いをしそうな陣容になってます。もうじき始まるGold Cupは常連選手が出場しないので若い選手を使っての底上げの機会・露出機会のはずですが、そのメンバーで戦う親善試合の報道を見てもサッカーマスコミからは出色の選手がいるという話はまったく聞こえてこない。

数年前の目論見では2024年のCopa America、2025年のFIFA Club World Cup、2026年の本番W杯と3年連続で米国開催でサッカー熱は2026年のクライマックスへ向かって毎夏高まっていくという話でした。それは当時も何度も当ブログでも書きました。
じゃあそうなってるのかというとなってない。Copa Americaでは大会史上初の開催国のグループ敗退で終わったし、CWCはそれなりに盛り上がるでしょうがそれは海外サッカーのお好きなファン向け。アメスポファンとのリンクはたぶん薄い。さらにそのCWCの裏のGold Cupなんて一般スポーツファンに存在が認知されていないし、知っているぐらい米代表サッカーを追ってる人ならメンバーが二軍なのも知ってる。これで盛り上がれというのが無理。

その上現代表監督のMauricio Pochettinoは外国人で英語も下手。以前の外国人監督だったJürgen Klinsmannよりもはるかに下手。選手とのつながりもうまくいってるという報道を見たこともない。そもそも勝ててない。監督が変わってからの戦術的な変化も明らかでない。そして欧州のクラブの監督に空きが出ると毎度Pochettinoの名前が挙がり代表監督職を放り出すのではないかという疑惑が狭いファン層からは噴出する。OB世代たちは外国人監督じゃだめだとまたぞろ身内起用論をぶちあげる。こんな状況ではPochettinoが辞めたくなっても無理ない。

そんなこんなでつまりはホントに来年のW杯ってアメリカサッカーの大団円になるの?という、長編物語にずっとつきあってきた私にも疑問を感じさせる状況なのです。つか本番でグループは突破できるんだろうな?ぐらいの心配があります。このW杯でサッカーが地位向上に失敗したらもう目の黒いうちにサッカーのメジャースポーツ化を見ることはできないであろうOB連中の不安感は私以上でしょうからぐちぐち言いたくなるのもわかるんですけど、そんなこと言ったって米国人監督の下でも勝てなかったし、若い素材はいっぱいいたようだったのにそれをことごとく育てられなかったのも米国人監督時代でしょう。

MLSシーズンの秋春移行問題

サッカー国内リーグのMLSのシーズンを秋春制に改めようという動きがあります。世界の多くのリーグに合わせて移籍市場、特に夏の市場がMLSのシーズン中になるのを改めようという意味があります。

他には現行の2月開幕、レギュラーシーズン10月終了 & プレーオフは12月まで続くという現行スケジュールではもう伸びしろがないという理由もとなえられてます。アメスポ最強のNFL&カレッジフットボールシーズンに丸かぶりに重ねられるMLSの現行のプレーオフの時期では今後も露出強化は困難という認識からでもあります。

元々MLSが春開幕だったのは弱者の発想から。創設時の1990年代のサッカーは現在よりずっとマイナーな存在で、寒い時期に集客できるとは思っていなかったからです。当時は4月中旬、ちょうど今頃のシーズン開幕でした。当時見ていた感想では4月初旬から始まる春開幕のメジャースポーツのMLBの開幕がホーム&アウェイで一巡して落ち着いたタイミングでMLSはニッチ狙いで開幕していた。当時の状況下ではそれはそれで間違っていなかったと思います。MLSの初期の経営はコンパクトな予算と一攫千金の夢は見ない経営で徹底していました。リンク先は当ブログが2006年ほぼ20年前に書いたMLSの経営の話です。

さらに当時はMLSには自前のスタジアムなんてないですからカレッジやプロのフットボールスタジアムを間借りしてシーズンを戦っていた。よって秋に入るとフットボールシーズンが開幕、特に急に決まるプレーオフの試合をMLS側の都合の良い日に組むことはできなかったという事情もあり秋は早々にシーズンを終えていたわけです。

それが地道なリーグ拡張とサッカー専用スタジアムの建設という新しいマーケティング手法が都市再開発という市政のテーマとうまく噛み合って今となってはMLSチームは新スタジアム建設とほぼ一体となってリーグ経営の安定化に成功しています。

但しサッカー専用スタジアムは2万人前後の収容とすることでフットボールスタジアム(6万人規模またはそれ以上)と棲み分けできており動員には自己で作った動員の天井が存在するという固定事態も引き起こされています。上で出したリンクでも初期のMLSのサッカー専用スタジアムの素晴らしさに触れていますが、あれはリーグ創設時には想定していなかった大ヒット運営方針となって今はもうMLS拡張には欠かせない要素となってます。

経営危機や失敗フランチャイズが出て何チームか離脱など紆余曲折ありましたが今はもう潰れる心配はないレベルに成長したMLS。それでシーズンの時期の見直し問題が出てきた。以前はFIFAからシーズンの秋開始を強要されても完全に無視していたのがなぜここに来てシーズン移行問題が表にでてきたのか。

初期からMLSのコミッショナーを務めるDon Garberは秋春シーズンについてはずっと否定的だったのが急展開となってます。なぜかというと2024年になって匿名でMLSのオーナー達への意向の聞き取り調査をしたところ29チームのオーナーが秋春制を考えても良いと回答したという話が公になったからです。この調査結果はコミッショナーにとっては寝耳に水だったらしいのですが結果はそうなった。
誰がどう回答したかはわからないという場においてはオーナーたちの大多数が秋春でもかまわないと回答、しかしコミッショナーの目がある場では彼らはそうは言っていなかったらしい。他人の目があると発言できないという心理が働くオーナー会議は風通しが悪そうですが、それはまあ今回は良いとしましょう。

そもそもが匿名での意向調査をしようという話なったところからして内々にMLSのコミッショナーが常々対外的に言ってることに同意していないオーナーが存在するということを知っていた誰かが匿名調査をすべきと言い張ったからなんでしょう。
そういう調査が実際行われて、その結果もファンの耳に入るようになっているというのはそれなりに自浄作用があるとは言えます。

その聞き取りでは、いつもサッカーのコアなファンが言い募る昇降格制も質問になっていた。それにはオーナーたちはシーズン移行ほどには同意していないようですからMLSでは起こらなさそうです。他方シーズンの移行はありとなって、コミッショナーも軌道修正して議題として検討することになってます。

2月から12月まで現行やってるんですからプレーオフの深くまで行くチームにとってはオフシーズンはたったの2ヶ月。今どきのアメスポとしてはやたら長いシーズンですが、欧州などに合わせればそんなものでしょう。アメリカの学校の夏休みの時期も考えると7月開幕5月にプレーオフ終了という意味になるのだと思います。5月だと気候も良い。NBAやNHLのポストシーズンとかぶりますが、フットボールシーズンと丸かぶりの秋の週末開催よりは良いという認識かと。5月の野外のスポーツ観戦は気持ちが良さそうでもあります。室内競技のNBAやNHLよりも開放感があるだろ、と元米サッカー協会の会長候補者だったEric Wynalda(弱い頃の元代表ストライカー)辺りも言ってます。

但し積極的に秋春制が良いと言ってるわけではなく、鼻っから否定はしないという話です。後から入ってきたオーナーたちは海外のビリオネアなんかも多いのでそちらの人たちはアメスポの常識に縛られていないし欧州リーグのスケジュールに慣れているからNFL出身のコミッショナーのように思考が現状のMLSの仕組みに縛られていないんでしょうね。
移籍期間という仕組みが定着してしまったのでシーズン中にそれがあってもMLSの監督は獲得可能な選手を吟味する暇がないのでチームのニーズで補強という活動がほとんどできないという問題があります。




代表メンバーのMLS回帰傾向

たまたまTVでイタリアSerie AのInter Milan@Parmaっていう試合を見ました。CBSでやってました。ParmaのGKが日本代表の方だということを初めて知りました。それでついでに日本代表サッカーの選手の所属先一覧を見たんですが本当に海外クラブ所属の選手ばっかりなんですね。

米代表も海外クラブ所属の選手が多いと思っていたんですがそれどころではない。日本代表の所属を見たら米代表は国内リーグMLS所属の選手がそこそこいるという評価の方が正しいのかと認識を改めました。

先の国際マッチデーでパナマとカナダに連敗を喫して身内のOB評論家たちからボロクソに言われている米男子代表チーム。その中で言われているのが欧州クラブと契約したものの出場機会が確保できていない選手たちは今年の夏の移籍期間にMLSに戻ってコンスタントに出場機会を確保しないと来年夏のW杯自国開催のロースターに割って入れないという議論です。

一番わかり易いところでGK。
正GKとして前代表監督下でも多くプレーしていたMatt Turner30歳が英Premier LeagueのCrystal Palaceで出場機会を失っているんだとか。先のパナマ戦カナダ戦に出場したTurnerの控えとして招集されているのはパリ五輪サイクルのU-23代表で唯一出色だったPatrick Schulte24歳(MLS Columbus Crew)と Zack Steffen30歳(MLS Colorado Rapids)はMLSでレギュラーとして出場中。このままだとTurnerを代表GKとして起用し続ける理由が喪失する、Turnerはこの夏のうちにMLS移籍してShulteやSteffenとのポジション争いに加わらないと、という。

MLSは最近は外国人選手だけでなく米代表選手たちにもDP(Designated Player サラリーキャップ外の高額報酬選手)枠を与えるようになってますが、それは限られていて有り体に言ってMLSのサラリーは安い。プロとしての報酬を得るためには欧州クラブと契約してまずはカネを得ようというのは当然の人生設計でしょう。それはわかる。ただそれで若い伸び盛りの年齢に出場機会が限られるのはまずいという話ですね。
特に来年の自国開催W杯は米サッカー界にとっては一世代に一度きりのアメスポ内での地位向上の機会。それは特別な事情であり欧州クラブで控え選手をやってカネ稼いでる場合じゃないという、自分がカネを稼ぐわけじゃないOBたちの勝手な言い分ですが、とにかくそういう議論があります。アメリカ国内に持続可能な国内サッカーリーグが存在し、サッカー選手という職業も確立したあとに生まれた今の世代の選手たちにとっては過去しいたげられてきたOB世代のアメスポ内でのサッカーの地位向上という悲願もあんまり共有・響いてないように思えます。

細かくチェックしているわけじゃないのですが他にも例のMF Giovanni Reyna22歳もBorussia Dortmundで出場機会が減っている。ケガが契機だったので不幸な面もありますがまずい。先の国際マッチウィンドウでは同タイプのMLS所属のDiego Luna(Real Salt Lake 21歳)に起用で先を越されました。
Brenden Aaronson(Leeds 24歳)も苦しんでるらしい。PSVに行ったMLS出身のFW Ricardo Pepi22歳はケガなのでMLSにいようと欧州にいようと出られないのかもですがせっかくMLSと米代表での活躍を認められて欧州クラブにスカウトされたという生い立ちなのに向こうでの活躍の機会が足りないのを見ると、じゃあMLSに残っていたらという気持ちが出てくる。

それもこれも米代表に結果が出ないからではあります。


サッカー米代表Nations League惨敗 時間がなくなってきました

遅れて準決勝があったことを知った男子サッカーCONCACAF Nations League。どこで放送をやっていたのか後から調べたらParamount+での放送でした。Paramount+はCBS系列の有料ストリーミングサービスです。

ここ数日地上波はチャンネルがCBSに合ったままの我が家。カレッジバスケットボールのMarch Madnessが開催中でその放映はCBSにとっては年間の最大のスポーツコンテンツ。CBSは他ではゴルフのThe Mastersの放映権も長年維持してますんでMarch MadnessからThe Mastersの流れの春がCBSのスポーツ放送としては最強の時期となります。(あとは数年に一度NFL Super Bowlの放映の順番が回ってきます)

でCBSをMarch Madness開幕後ここ4日間で20時間以上見てると思うんですが、ただの一度もCONCACAF Nations Leagueの宣伝を見ていません。
Paramount+の番組宣伝をしていないかというとそうではない。よくやってます。ではサッカーの宣伝をしてないかというとそうでもないのです。4月に始まるUEFA Champions Leagueの宣伝は何度も見かけました。UCLもParamount+の独占放送。自国の代表の出場するCONCACAF Nations Leagueは宣伝はしないけれどUCLの宣伝はする。これがアメリカサッカーのリアルというわけです。その結果CBSのスポーツ番組を延々見ているのにどこで米代表が試合をしているのか、そもそも試合をやってることすら気づきませんでした。

準決勝でのパナマ戦ではスタジアムのガラガラぶりも批判の対象になってます。Los Angeles郊外での平日開催で不利だったにしてもこれはひどいだろうと。パンデミックの頃を思い出したとか代表OBたちに言われてます。

来年夏には北米3国共催のFIFA W杯があるのになぜこうなのか。
理由はいくつか。W杯の本番は他系列FOXの独占放送なのでCBSには今サッカー米男子代表をプッシュする動機は少ないでしょうし、そもそも今プッシュしたところでCBS自身の最大のスポーツ資産であるMarch Madnessの裏番組だし、よしんばプッシュしたとしても大した数字にならない、Paramount+の普及にも貢献しないと見切られているということでしょう。

というわけで今日日曜日の三位決定戦と決勝がどこで放送するのかも自主的に探さないとわからず。三位決定戦だけでなく決勝戦もParamount+でした。あまり多くのご家庭では見られそうにありません。
過去の米代表のOBたちは現代表の選手たちのプレーを熱量が足らないと口を極めて酷評しますがその声が届く範囲も狭そうです。

結果は1−2でカナダに負けてしまったのであまり多くの人に見られなくて良かったという皮肉になってます。
米代表監督のMauricio Pochettinoはつい最近「米代表は今後5年10年で世界最強になれる」とかふかしてたんですけど、現実はパナマとカナダに連敗。こっからどうやって5年で世界最強に届くのか、発言の真意を疑わねばなりません。

20世紀末に米サッカー協会関係者が2010年までにW杯を制覇するというのをよく口に出して言っていた時期がありました。大風呂敷を広げた状態ですね。
ただそれは目標の4年前=2006年ドイツ大会グループリーグ最下位に沈んで絶対ありえないとどんな楽観的な人でも認めざるをえなくなってそのまま発言はなかったことになったという経緯がありました。人気商売なので大風呂敷も良いんですけど、寂しい顛末でした。あれ、当時は本当にできると思って言っていた人もいたように思ったんですがコソコソとそういことを言っていた人は皆消えました。

それが今2025年に復活。外国人のPochettinoが過去の米協会のお気楽優勝発言の過去を知っていたかというとたぶん知らない。知ってるにせよ知らないにせよ今の米代表が5年10年で世界最強にという発言は派手さとマスコミへの露出を目指した発言でしょうか。

しかしその発言の直後にパナマだのカナダだのそれぞれW杯ではグループ突破が目標であろう国に連敗して「ウチは次の大会の頃には世界最強レベルになるから」では通らない。ほぼギャグでサッカー人気国でだったら総叩きでしょう。タコツボ化したアメリカのサッカーマスコミが伝える代表監督のコメントは一般のスポーツファンには認識もされないので身を張った連敗ギャグでも身内しかツッコミもしてくれません。

もうW杯地元開幕まであと400日強しかない。予選が免除されているので今回のNLが終わってしまったあとは、今年夏のGold Cupしか公式戦の機会はない。但しその時期はFIFA Club W杯と時期が重なり、FIFAははっきりCWCが優先と宣言しているので米代表でCWCの出場チームに所属する選手たちはクラブに拘束されてGold Cupに参加できません。米代表の中心選手であるChristian PulisicのAC Milanや、Sergiño DestのPSV EindhovenはCWCには出場しないので米代表としては招集できる。Juventus所属のTimothy WeahとWeston McKennie、Borussia Dortmund所属のGiovanni Reynaは招集できない。

Giovanni Reynaは代表内での評価がまた低そうなのはどうなってるんですかね。準決勝で敗戦した対パナマ戦では出場なし。三位決定戦対カナダ戦でも途中出場。パナマ戦での米代表のプレーの意外性の欠如が言われて、なぜReynaを投入していないのかという批判も出ていたのですが、三位決定戦でその役目として先発起用されたのは同タイプのDiego Luna(MLS Real Salt Lake、21歳)の方でした。そしてLunaは今大会の米代表の唯一のゴールへの貢献を含め相手ゴール前で良い形で何度もボールにからめていました。

Gioは2022年カタール大会での起用法でモンペが騒いだ例の事件もありそれが尾を引いてるのか。それともそんな経緯は知らないけれど今の外国人新監督の目にも同じようにGioの態度が悪いと映ってるのかなにか、起用が限られてる。その上CWCの事情で残り少なくなった米代表の実戦機会であるGold Cupにも出場できなさそう。出てきたときは十代で欧州の一流クラブと契約、黄金世代と期待された現米代表の中心選手のはずだったGioはこのまま腐っちゃうのでしょうか。

サッカーのスケジュールの融通の利かなさ

March Madnessが一番盛り上がる一回戦の日の夜に男子サッカーCONCACAF Nations League準決勝があったようです。なぜそのアメスポカレンダーの365日のうちで最も重ねてはいけないであろうMarch Madness16試合が次々と1日中放送されるその日に代表サッカーの試合をやるのか。さすがに米サッカー協会はそれがどれだけダメなスケジュールなのかは理解しているんでしょうけど、それでも避けられないということですか。国際マッチデーはアメスポのスケジュールに配慮なんてしれくれませんもんね。

その上その試合、ロスタイムでパナマに負けたそうです。そうです、というのは知らなかったので。さすがにこの日ではスポーツニュースでもとりあげられてなかったと思います。スポーツニュースの時間取り争いではSuper Bowlの日より悪い日かも。


ところでアメリカ人一般は全然気にしてないでしょうが、実は今年になってパナマでは反米意識で国内はすごく盛り上がってるんですよね。トランプが大統領就任して「パナマ運河を取り戻す」とあっさりと発言しているのがパナマ国内で大きな反発を呼んでいるためです。他にいくらでも娯楽とスポーツのあるアメリカと異なりパナマは男子サッカーが最大の娯楽。その代表が敵地に乗り込んでロスタイムに決勝ゴールで憎きアメリカ代表を下したんですからあちらは大喜び。でも負けたアメリカは全然それどころではなくMarch Madnessで忙しいのです。

明日日曜日に米男子代表は対カナダの三位決定戦を戦う予定だというのを読んで初めて準決勝があったことやまたパナマに敗戦してたのを知りました。
パナマには昨年のCopa America米国大会でもグループリーグで敗戦したばっかり。それで大会史上初のホスト国のグループリーグ突破失敗につながってます。

来年にはホストとしてW杯開催だというのにパナマ程度に連敗(正確には親善試合でその間に一回勝ってますけど意味のある大会で)していてどうなるんでしょう。米サッカーにとっては30年に一度の国内での地位向上の機会だとか、黄金世代だとか言ってたんですけど大丈夫なんでしょうか。

その準決勝は見ていないので中身についてはなにも言うことはないですが記録を見るとGiovanni Reynaはベンチ入りしているのに出場してないんですね。パナマはかなり引いて戦っていたらしいんで創造性がある(とされる)Gioを出しておいたらもっと攻め手があった云々言う戦評がネットに上がってますがどんなもんか。昨年9月に代表監督に就任したMauricio Pochettinoにも批判の声が多いです。

明日の対カナダ戦もアメリカ人一般や選手たちは気にもしてないでしょうがカナダ国民はトランプ政権の「51番目の州になるべき」発言だとか高率の関税を対カナダでかけたことで反米感情が高まってるところ。カナダ代表はパナマ戦同様、やる気満々ってことになるんだろうと思います。アメスポ文化には三位決定戦はなくアメリカ人気質的にはどうでも良い試合。Pochettinoはマスコミに「我々のキャラクターが試される試合」だの言って対カナダ戦に向けて選手を煽ってるようですが、それに乗ってくれるものかどうか。

新代表監督の下での@メキシコ親善試合で米男子代表完敗

Mauricio Pochettinoが代表監督として正式に任命されてから初めてのサッカー米男子代表による国際マッチデー。週末にパナマを相手に2−0で勝利。火曜夜は@メキシコで良いようにやられて0-2で敗戦。昨今の強くもないメキシコ代表相手にやられるのは久しぶりに見たような。

米代表の方は主力選手が第1戦のパナマ戦後に代表を離脱して早めにクラブに戻っていてベストメンバーではないし、メキシコの方は功労者の代表引退・送別試合なので米代表よりは気合が入っていたという事情はあるにせよ90分見て良いところをほとんど探せない酷い試合になってます。

新代表監督のPochettinoカラーが出ているのかと言われると、特筆すべきことがない。一つ前のマッチデーのときに暫定監督で前監督のGregg Berhalter時代の残滓の最終ラインまでボールを下げてそこからビルドアップするという戦術にこだわって(うまくいかず)カナダに惨敗したのも記憶に新しい。あれはBerhalter時代のスタッフだった人が暫定監督だった試合だからもう忘れようとナイことにした試合。

ではメキシコ戦はどうだったかというと、相変わらず底のTim Reamまで何度も戻して時間をとってます。Reamって37歳なんですよ。誕生日を迎えたばかりなんで2026年のW杯開幕時には38歳なんですけど、本当に本番もReamで行くつもりなんですかね。今日の2点目もボックス内でボールを奪われて失点したのが見栄えが悪かったです。それよりもReamの戻してからの展開がなにもなかったことの方がより問題に思えます。

前述した通りメキシコ戦での米代表は二軍とでも一軍半でも呼び方は自由ですがベストメンバーではないのはその通りですが、新監督を迎えて相変わらずのこの試合というのはいかがなものか。古い世代のOB=解説者たちは「なぜ地域最大ライバルのメキシコ相手にもっと熱が入らないんだ」などと嘆いていますが、でもほぼこれが近年の男子米代表の標準になってしまっているような。カナダに負けても悔しくないし、メキシコに負けても悔しくない。2026年のW杯がアメリカサッカーがメジャーに這い上がれる半世紀に一度来るか来ないかの機会だとか言って力んでるのも古い世代=苦労した世代だけで、今の欧州クラブで良いお金を貰ってる現役世代はもっと冷めているかもなという世代ギャップも感じます。

Pochettinoに関しては英Premier Leagueで指揮してきた人なので英語はうまいのかと思ったらインタビューなどたどたどしくってアレこんななのという意味で拍子抜け。熱量が足りない今の米代表に喝を入れるようなペップトークができるのかには不安を感じます。

しかしながらもう残り時間もないんですからPochettino指揮下であまり冴えない試合が続いても2026年までこの態勢で行くしかないわけです。

プレーオフに出られないチームが勝点を剥奪されても

小ネタです。女子プロサッカーのNWSLのAngel City FCがサラリーキャップ違反があったとかで勝点3を剥奪、罰金$200,000を食ってます。NWSLでは資金の豊富なチームであり入場者数でも試合平均19,000人を超えるNWSLの優等生のAngel City FCですからサラリーキャップが強化の邪魔で多くお金を払ったってことのようです。

しかしながらです。剥奪前の段階でAngel City FCは14チーム構成のNWSLで6勝12敗4分の勝点22で10位。NWSLのプレーオフは8チーム出場なので圏外、8位までは勝点6差でした。そこから3引かれて勝点19となって残り少ないシーズンでプレーオフ進出はほぼ望めない状態となったようです。
でもアメスポってプレーオフに進出できないとなったら勝点は少ない方がドラフトで得になるからこの時点で勝点剥奪って全然ペナルティになっていないのではないのか。残り4試合で勝点6差で逆転が苦しいとなってから勝点剥奪って意味があるんですかね。

NWSLは零細ですから数少ないカネの稼げるチームであるAngel City FCを叩くのを躊躇する面があったのかなという憶測がしたくなります。


めったにNWSLの話など書かないのでついでに前からちょっと気になっていたことを書いてしまいます。NWSLの新参チームでSan Diego Wave FCというのがあって、ここの暫定監督を元男子代表ストライカーのLandon Donovanが務めています。2023年実績で動員平均2万人超えという実績になっておりNWSL最大。新規参入チームとしては急な成功といえます。

Donovanは現役時代にはアメリカサッカーの顔でしたし、引退後も解説業でよく顔を見ます。この夏もEUROの放送の方だったかで実況解説してました。女子チームの指導について語っていたのを1−2ヶ月ほど前に聞いてなるほどDonovanみたいな性格の人には女子の指導は向いているのかもなと思いました。曰く「女子の方が男子より指導を聞いて学ぶ姿勢がはっきりしてる」「男子選手たちのようなエゴがなくて指導が楽」「戦術的に指示したらその通りやってくれる」と男子を指導するより指導しがいがあると充実感を語っていました。なぜかDonovanの暫定の肩書がなかなか剥がれずその辺が訝しいですが。

San Diego Wave FCは現時点でNWSL10位でプレーオフ圏外。人知れず国の南西隅でDonovanが奮戦しているんだなあと想像するとそれはそれで楽しいです。
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