アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

Rugby

ラグビーW杯米州最終予選第1戦

昨夜行われたラグビーW杯予選、米州からの2カ国目の枠を争うH&Aの第1戦。米代表がアウェイで南米チリと対戦した試合は終始接戦のままで22−21で米代表が勝ち。次戦は7月16日に米代表のホームで。2試合合計得点で競う方式ですので1点差での第2戦突入は、ほぼ次週の第2戦での一発勝負で勝者を決めるのに近い形になりました。
試合の様子からすると米代表が優勢、次戦でのホームでの突破は有望と思えました。大雨とぐちゃぐちゃの地面という戦術が限られる状況下で体格の差を利しての戦いになってます。

ところで特筆すべきこととしてこの第1戦、チリで19,000人の観衆を集めていることです。ラグビーでW杯に出場したことのないチリでそんなに観客が入るのかというのは驚きであります。それも土砂降りの観客にとっても悪コンディションの下でもキックオフ前から最後の時間切れまで熱く応援してくれる19,000人です。

米代表はW杯の常連。W杯に行くとほぼ全敗に近い成績ばかりですが。W杯常連だけれども米国内でのラグビー代表の集客力は弱い。第2戦の会場となるデンバー市近郊のInfinity Parkでは昨年2021年に対カナダ、対ウルグアイとのW杯予選が開催されていますが集客状況はいずれも2000人。適当に端折っているのでしょうから現実の動員は2000人以下だったのでしょう。昨日の@チリ戦に向けた前週の壮行試合があり、そちらは公式発表によれば3200人の動員。場所はテキサス州Houstonで。
来週の対チリ戦は崖っぷちの決戦なのでもう少し集まって欲しいかなと思ったりもしますが、チリが集めた19,000人には遠く及ばないことは確実です。会場となるInfinity Parkの席数上限は5,000席。

アメスポの集客数情報に慣れていると麻痺してしまうところがありますが、ラグビーで19,000人、それもラグビーの伝統のない国でのその数字は立派としか言いようがない。米国内でもAll Blacksなどを迎え撃てばそれ以上の動員の数字は出ますがそれはAll Blacksを生で見られるレアな機会だからだし、All Blacksと一緒に訪米する熱心な彼の地からの熱烈なファンも含めての数字です。ラグビー米代表を見たい応援したいという動機での動員は上にも示した通りで2-3000と少ないです。

アメスポ全体のスケジュールの都合上、夏の暑い時期にラグビーをやる羽目になるのもあって米代表のホームを高地のデンバーに定めたのは悪くないとは思いますが、これから2031年のラグビーW杯自国開催へ向けて米国内でのラグビーの露出を上げていかなくていけない。露出戦略としてはいつまでも高地に籠もっているわけにもいかなくなるという局面もありそうです。


今回のW杯予選のサイクルで米州からは既に南米ウルグアイが予選を突破してます。他に米州からはアルゼンチンは前大会成績でのシードで当選済み。過去米州予選からはカナダと米代表がほぼ常時W杯に進んでいたのが、今サイクルはカナダは敗退決定済み。米代表も初出場を目指すチリと互角の戦いを迫られている。これって南米でラグビーの人気と実力が高まっているのが今サイクルに一気に吹き出した結果ってことになりそうです。ラグビー新興国として世界のトップに食い込んだ隣国アルゼンチンからの影響なんでしょうが、それにしても一度に二カ国も実力がアップ、さらに人気の後押し付きというのは大変な勢いなのかなと感心します。南米大会の戦績を見るとウルグアイとチリが安定して強く、その次になるとブラジルのようです。

MLR決勝 そしてW杯予選へ

先週やっていたのについて書きそこないましたが、ラグビープロリーグMLRのプレーオフ決勝がありました。Rugby New YorkがSeattle Seawolvesを30-15で破って優勝。勝負を決めたのが12点差でまだSeattleが相手ゴール前に迫る場面もあって追いすがっている時間帯のドロップゴールだったのが味があって良いなと。これで3ポゼション差となって終戦となってます。
前回MLRに触れたときにも書きましたがなんと表現して良いかラグビーっぽい思考からの、ラグビーらしい決着の付け方なのが良いかなと。

決勝の会場はRugby New Yorkがホームチーム扱いでサッカーMLSのNew York Red BullsのホームスタジアムRed Bull Arenaを使用。公式発表で観衆は1,979人。私の目測でもその数字で正しいと思えました。Red Bull Arenaは収容25,000人とMLSののスタジアムとしても大きめ。なのでガラガラと言えばそのとおり。そのスタジアムのTVに映る向こう正面の3区画ぐらいに集中して観客を入れていたのでTV写りではまあまあ人が入っているようにも見える状態です。現在のMLRの実力では急に決まった試合での集客力はこの程度なのでしょう。少なくとも美麗なMLSスタジアムで決勝を戦えてよかったねという感じです。
これが決勝に進んだのがNew Yorkではなかったらその都市のもっと鄙びた会場での決勝になっていたかもしれないわけなんでしょうね。

決勝のMVPに選ばれたのはRugby New YorkのSH Andy Ellis。元All Blacksの38歳。この試合を最後に現役引退されるのだそうです。日本のコベルコでもプレーしたと経歴を見ると書いてあります。現役最後の試合でラグビー後進国での2000人の観客の前でのMVP獲得というのが彼にとってどんな価値があるのか想像が付きませんが、ご本人は試合後のインタビューでは涙声。家族も皆見に来ているんだなんて言ってこれがウチの娘とかって出てきた子がすっかり大人のサイズの女性で、こんな大きな娘かと。スポーツ選手としては珍しいかなと。38歳だとそういうことも起こりますよね。


これでMLRの5シーズン目が終了。
ここからはアメリカラグビーは代表の季節となります。今夜は対French Barbariansとの@Houstonでの親善試合があって最終調整。次週から2週のホーム&アウェイでのチリ代表とのW杯出場を賭けたプレーオフに臨むことになります。

7/9が@チリで、7/16がホーム、試合場所はコロラド州Glendale。Glendaleは標高1600mを超える高地です。先日のNHL Stanley Cup Finalでも問題とした高地・薄い空気の影響での息切れが想定されます。2試合での合計得点を争う方式で、2試合目が高地の試合というのはもし米代表が高地トレーニングをしているのなら大きなアドバンテージになるはずです。終盤に大量得点でひっくり返す可能性が想定できます。

例によってアメスポマスコミはまったくその辺のことは報道してくれません。それどころか米代表の公式ページを見てもどうやったら見られるのかの情報すらない(私が探した限り)ひどいもんです。代表公式のスケジュールのページもちゃんと表示されないです。

MLRのアメリカラグビー強化組み込み化

Major League Rugbyのプレーオフ準決勝が開催、FS1で放送。MLRの試合を観るのは久しぶりです。割とラグビーらしいこなれたプレーが多くなっていて大いに意外。どうなってんのかなと思ってメンバーを調べると今ってラグビー強国からの外国人選手がずっと増えてるんですね。
試合自体もキックも織り交ぜた攻めっぷり、接戦の中でのボールの出し入れの機微、難しい角度からのコンバージョンが決まって逆転なんていう場面があって、アレっと思うぐらい質も向上している。こんなのが蹴れる選手がいまはいるんだ?という意外性。

細かく見ていくと過去10年ニュージーランド代表選出から遠ざかっている元All Blacksの38歳スクラムハーフであるとか、州レベルの代表に8試合出場した34歳スタンドオフ(今は英語ではfly halfっていうんですが日本風のままで)だとか、彼の地では既にプロとして用済みっぽい感じの経歴の方が要所のポジションを占めていたようです。

あーそういうことかと納得。過去のアメリカ人アマチュア選手たちによるラグビーのマネごとのような試合だったのがすっかり変わったのは中身の人が変わってるからか。試合中の細かいところの流れが実にラグビーらしくなってます。細かく全員をチェックしきれませんでしたが(ラグビーの慣例で個人と背番号が固定でリンクしていないので)ロースター表を見ているとチームによってはSANZAR出身者とアイランダーで出場15人全員を揃えることすらできそうなぐらいの外国人選手を抱えています。アメリカに来る前は各国の二部リーグ所属だった選手など。強い国の二部リーグなら間違いなくMLRより強いはずです。

こういう人選で外国人選手をたくさんMLRに連れてきているということは現在のMLRはプロリーグという体裁の中でアメリカ人選手たちに本場のラグビーを体感させる機会になろうとしているのかなと思えます。
以前にも指摘したとおりMLRの予算は少額で、1チーム当たり$50万。これでチーム全員です。この額ではラグビー界のスター選手を呼ぶような力もないわけですし、よしんばその手の選手を無理に呼んだところで現在のアメリカでのラグビーというスポーツの認知度ではそれが露出増加になったりファン動員やらになって利益につながるわけでもないと判断できます。経済的なメリットはないと断言して良い。そんな一点豪華主義な選手を呼ぶよりも、強国で引退にほど近いような選手を実質選手兼インストラクターとして呼んで本場のラグビーの片鱗に触れるような形は今のラグビー三流国のアメリカラグビーには合っているという判断だとしたら、私は支持したいと思います。

15人制ラグビーっていうのは実に難しいスポーツで、競技の流れを感触を感じられるほどに見たこともないアメリカ人にとっては、コーチにああしろこうしろ言われてもできないと思うんですよね。両軍の選手の大半がラグビーの流れをわかっている本場風の流れ中に放り込まれて初めてアメリカ人選手にもそれを感じる機会になるというか。そういう実験というか未開地を開墾するようなステージが今のMLRなのかなというのを今回試合観戦して思いました。それには変にレベルの高い現役外国人選手よりも、引退間近の選手やら、向こうの二流選手が合ってるし、予算的にもそれならやれるってことでしょう。
過去のMLRや前身のPRO Rugbyなどはまったくの草ラグビーで、ここからどう良くなるのか見当もつかなかったのに、今の様子は進歩の可能性や将来へのロードマップ意識が感じられます。

2031年にアメリカでラグビーW杯の開催が決まっており、それまでに米代表ラグビーEaglesの底上げは至上命題です。アメリカラグビーに与えられたアメスポ市場での一度きりのチャンスとすら言える。そこへ焦点を当ててMLRも協力しているということなのかとも思えます。


他方、World Rugbyが容認している外国籍選手をプロ所属先国の代表に入れてW杯に出場できるという意味では、今いる年齢の上の選手たちは将来の代表の戦力としては見込みがないのでしょう。
W杯自国開催へ向けて今のMLRの環境の中でアメリカ人選手でチームを育てられれば最良ですが、そうでなければ日本とは違って元々が移民国家のアメリカなので、外国籍選手が混じっても大して目立たないから、2031年の一つ前になる2027年にも外国籍選手をかなり混ぜてでも成績は残そうとするんじゃないでしょうか。2027年大会のための外国籍の現役バリバリの選手をMLRが受け入れるようになるのはもう少し先か。全体として正しい判断だと思えます。


今週末に行われたMLRプレーオフ準決勝の結果、東3位Rugby New Yorkと西4位Seattle Seawolvesが勝ち進み次週の決勝へ。
尚、レギュラーシーズンで西1位だったAustin Gilgronisと西2位のLA Giltinisがサラリーキャップルール違反を問われてポストシーズンに出場できなかったという事件なんかもあったようです。てことはサラリーキャップルールの厳格運用が行われてるんですね。その上で外国人選手を多く採用できているって、どんな安い金額でリクルートしてきているのか。

2031年にラグビーW杯を米国開催へ

ラグビーのW杯の2027年と2031年の開催国が決定しています。2027年はオーストラリア、2031年は米国が開催するとのこと。また女子のW杯はそれぞれ男子に2年遅れで2029年がオーストラリア開催、2033年は米国が開催。開催インフラの使いまわしでコスト削減と事前の宣伝相乗効果狙いなのでしょう。

今年2月にこの話題を書いたときには、米国は2027年の開催国としても立候補していました。男子代表が僅か5年後の2027年にまともな、というか恥ずかしくない成績を残せるものか疑問を呈したわけです。今回2031年開催となったことで代表の強化に費やすことができる期間は伸びたことに。World Rugbyにとっては競技人気の最大の未開拓地アメリカ市場への侵攻挑戦は大事なプロジェクトでしょうから、準備不足になる心配のある2027年はオーストラリアに振り向けて、2031年を米国にという判断は理解できるところです。

とは言え米男子15人制代表の強化は簡単ではないはず。それでも準備期間と機会を得たのですからやるしかないですね。
ここまで代表強化選手にサラリーを出すプロ化、他競技からエリートアスリートをスカウトする強化策などアメリカらしい手は打ってきた。前者はまあまあですがW杯での結果につながっていない。後者は正直成功とは言い難いのが現状です。
他競技出身の好素材の選手たちをうまく受け入れられていないのはラグビーを見たこともないアメリカ人アスリートにとってはラグビーという競技の機微が難解過ぎるのか、それとも狭い了見で元からいるラグビー選手たちが拒絶している面があるのか。極マイナー競技なのでまともなマスコミが存在しないためどの辺に問題があるのか外部からはわかりません。

次のアメリカらしい促成強化策としては有力重国籍選手をラグビー国からスカウトするっていうのはありそうでです。

2027年ラグビーW杯に米国が立候補

つい先日知りました。米ラグビー協会が2027年および2031年に開催が予定される男子15人制ラグビーのW杯のホスト国として立候補していました。さらにこの立候補では2029年の女子のラグビーW杯開催の立候補も込みとか。

アメリカではラグビーは極マイナーな種目なので一般のスポーツニュースで取り上げられることは稀です。それもあって良いことも悪いこともめったにラグビーの話題を目にすることはありません。私が最後に米国ラグビー協会関係で知っていた事件は2020年の3月に自己破産を宣言したことです。パンデミックでアメリカスポーツ界が完全停止した時期の初期にも当たります。
当時のイメージではまだアメリカ経済・アメスポ業界が完全停止になる前のタイミングでさっさと破産を宣言したので、もちろんパンデミックの影響も皆無ではないにせよ財政状況が悪かったのはその前からずっとだったのだろうなという風に捉えていました。

そんな状態だったことからまさかラグビー協会がW杯の開催に立候補しているとは思いもせず。次期W杯フランス大会がもう来年に迫っていて、その次のホスト国は決まったのかなと調べていたところ、2021年6月の時点でアメリカが立候補していたことを知りました。現時点で残っている2027年大会の立候補国はアメリカの他はオーストラリアのみ。

米国は2026年にサッカーのW杯をカナダ・メキシコとの北米3カ国でのホスト国になることは決定済み。全米各地に存在するNFLスタジアムを利用することが決まっています。ラグビーW杯誘致も同様にNFLスタジアムのインフラを使うことが想定されていますが、具体的な会場などの具体的なプランは決まっていない模様。

ラグビー協会は2020年3月に破産して、15ヶ月後の2021年6月にはW杯誘致の立候補。破産なんてその時点の負債をちゃらにするだけの手続き、再出発するための手段って感じでしょうか。破産しても大胆に1年強後には次の大プロジェクトに進んじゃうんですね。この辺のビジネスセンスは計り知れないところがあります。本当にやれるのか。協会の破産の話題を以前に書いたときはとても誘致には動けないだろうと書いたのですが、大外れ。動けるんですね。そして破産管財人もそういう積極策を許すものなんですね。


2027年というのは2026年のサッカーW杯北米大会の翌年となります。さらに2028年にはLos Angelesでの五輪開催も決まっている。もし2027年のラグビーW杯が実現するとサッカー、ラグビー、五輪競技と非アメスポな海外依存なイベントを毎年連発することになります。
インフラ面ではサッカーW杯が使うのと同じ豪華なNFLスタジアムを使用できるでしょうし、NFLの巨大スタジアムでは過剰となるマイナー国同士のグループリーグの試合にはサッカーMLSの収容2万人程度の真新しいスタジアムのインフラも全米各地に配置されており、新たにインフラ投資をしなくても良いという意味ではラグビーW杯を迅速に開催できる環境はあると言えます。やれるやれないを言ったら確かにアメリカ開催は可能なのでしょう。

しかしながらサッカーW杯の翌年にラグビーW杯をやって一般の興味は惹けるもんなのでしょうか。サッカーもアメリカではメジャーではないですが、それでもラグビーとは段違いに上。またサッカーならその競技性から米国代表が弱くてもごまかしも効く。そんなに弱くないかのように振る舞える余地はありますが、15人制ラグビーはもっと残酷なスコアを米代表に突きつける可能性が高いスポーツです。実際昨年2021年10月の親善試合対ニュージーランド戦では14-104で惨敗。観客動員もパンデミック下で海外からの集客ができなかったせいか4万人に届かず苦戦。現在の環境下ではラグビーが4万人も集められたという評価の方が良いのか。そのもう一つ前の親善試合対アイルランド戦はアウェイで10-71。こういう点差の戦績のアメリカが2027年=わずか5年後にホスト国になってアメリカ国内に顔向けができるような成績って残せるものなんでしょうか。

日本が2019年のラグビーW杯開催権を獲得したときにも大いに悲観論は出たはず。ただ日本代表は自国開催の一つ前の2015年大会でのW杯史上最大のアップセット南ア撃破をやってのけて事態を大きく変えてます。アメリカが日本の大逆転大会ホスト成功への過程を真似るとすれば、既に来年に迫っている2023年のフランス大会で米代表はなにごとかを成し遂げないといけないわけです。

しかし現時点ではまだ米代表は2023年大会への出場を確定できていません。ウルグアイとの米州予選に敗れて、2022年7月にチリとH&Aでの試合で米州2カ国目としての本戦出場を目指す段階にあります。もしチリに敗戦した場合は11月の世界最終予選(4カ国で1枠)へ回るというルートになってます。米代表が2023年フランス大会出場を逃すようだと2027年の誘致はかなり苦しくなるのか。そうなると2031年ですかね。また長年米州からW杯へ連続出場してきた隣国カナダは2023年大会予選で既に敗退済みです。

All BlacksがDCにやってくる

米ラグビー協会の破産の話ばかり何度もしてきたのですが、それにもめげずニュージーランド代表All BlacksをWashington DCに呼んで米代表との親善試合がこの10月に行われることが発表されています。会場はNFL Washington Football TeamのFedExField。キャパ82,000人の大会場にAll Blacksを呼んでなにがしかの興行利益を目論むということでしょうか。

All Blacksのアメリカでの試合というと2014年にChicago BearsのホームSoldier Fieldで試合をしたことがありました。その後Maori All Blacksが2018年にやはりSoldier Fieldで。どちらも米代表が大敗してます。2013年当時の記憶だとニュージーランドから多くのファンがAll Blacksの試合を観戦するとともにアメリカ観光にやってきてスタジアムを埋めていたかと思います。
なぜいずれもChicago Soldier Fieldでの試合だったかと言うとこれは私の推測ですがChicagoはアイルランド系の住民が多いからではないかと思います。All Blacksに限らず、アイルランドのクラブチームもアメリカ遠征でChicagoで試合をしたことがあったはずです。

それが今回は趣向を変えてWashington DCでの試合。首都Washington DCは外国人割合の多い都市なのでラグビー国からの住民もそれなりにいるのかもしれないとは思いますが、今年の10月だとまだパンデミックが収まりきっているかどうかわからない時期。以前のように多くのニュージーランドからの遠征客が訪れてくれるものかどうかもわからない。破産したのにこんなところで興行的に勝負をかけていいのかと心配になりますが、とにかくやるらしいです。

15人制ラグビー米代表はパンデミック以来初の試合をアウェイで今月行い、@イングランドで29-43、@アイルランドで10-71と連敗。負けるのはかまわないんですがあまりにも大差です。10月の対All Blacks戦はホームなのであまり惨めなスコアで負けるのはやめて欲しいところです。大丈夫なのかな。興行的にNFLスタジアムを借りての勝負、フィールド上でも強豪All Blacksとの勝負。
All Blacksとは言ってもどんなメンバーで来るかはわからないですが。


ラグビーの記事なのでついでに書いてしまいますが、五輪の7人制ラグビーはノックアウトラウンドの初戦、21−0とリードした米代表が大逆転負けでイギリスに敗れてメダル獲得に失敗しています。もったいない負け方でした。
小型スピードスターのCarlin Islesはもう相手も良く知っているので武器にならなくなってきていますね。Isles本人も接触プレーになったらボールを奪われると自覚しているのでボールを持っても相手に突っ込まない。Islesももう31歳。この実験は終わりに近づいたと言えるのでしょう。セブンスの世界のレベルが上がったというのもまた事実なのでしょう。

ラグビーセブンス 全く報道がない

五輪期間、米国内の独占放映権を持つNBC系列がその宣伝に忙しい。多岐にわたる競技が行われることもあり、当然ながらメリハリで推しの競技もあれば、ほとんど触れられない競技もあります。私が好きで触れられてない側になっちゃってるところだとラグビーと柔道がほぼガン無視に近い扱いになってます。ラグビーと柔道、どっちもパンデミック下では濃厚接触が発生しやすい競技。柔道なんて街の柔道場も私の知るところはいまだに再開できてません。


五輪ラグビーは7人制セブンス。米代表は男女とも本戦参加予定。

男子の方はパンデミック前の2018-19年シーズンのWorld Rugby Sevens Seriesが予選を兼ねており、同シーズンは米男子代表にとっては出世シーズンで、最終大会まで優勝を争っての2位で終了しており、当時のメンバーも大半今回の五輪代表に残っており有望なのではないかと思うのですが、NBCからはあまり厚遇は受けられずとても地味な扱いになっています。
翌2019-20シーズンはパンデミックでシーズンが途中打ち切りで米代表は7位でフィニッシュ。今年の分は五輪後の9月から6戦の短縮シーズンを戦う予定になっています。

この暑い時期に日本でラグビーとか地獄だなーとは思うのですが、試合時間が短いのが取り柄のラグビーセブンスなのでなんとか耐えていただきたいところです。

先日から書いている通り米ラグビー協会は2020年に財政破綻で破産手続きを経ています。既に存在する債務の清算が優先されるため15人制でもセブンスでも男女問わず予算は緊縮にならざるをえない。せっかく一時点では世界の上位に食い込んだ男子セブンスも協会の財政破綻とコロナのダブルパンチで強化もままならないままで五輪突入。五輪予選が2018-19シーズンに済んでいて早々と出場を決めていただけでもラッキーと言えそうです。

さてその男子ラグビーセブンス競技は今日7/26に開始。米男子代表は初日2連勝であっさり決勝トーナメント出場を決めています。ケニアとアイルランドにいずれも僅差ながら連勝。明日はグループリーグの最後となる南ア戦があり、その後決勝トーナメント一回戦まで消化の予定。
一回戦の相手はフィジーかオーストラリアになりそうです。フィジーは2018−19年シーズンのWorld Rugby Sevens Seriesで米代表が最後まで優勝を争った相手であり、米代表が苦手としてきた相手国でもあります。南アに勝ってグループをトップ通過するとフィジーは避けられるのですが、避けた先の相手もオーストラリアかアルゼンチンかその辺なので楽ではない。南ア戦にベストメンバーで臨むか少々迷うところかもしれません。

NBCが全然番宣もしてくれないので気づかないうちに明日米国東部時間朝に一試合も見ないまま終わっちゃう可能性もあります。地球の反対側でやってる五輪ですからしかたないんですけど。

米ラグビー協会の破産とアメリカラグビーの行方

ここ最近、コメント欄で何度か触れたのですが米ラグビー協会は2020年に破産しています。Chapter 11と呼ばれる日本の会社更生法に類する管理下に置かれ、裁判所の承認を経て債権者に対して向こう5年間に渡って債務を返済していく計画になっています。返済計画が承認を受けたことで法律的には破産状態からは脱したことになりますが、2025年の負債完済までの期間内はビジネス上の積極的な動きは厳しく外部からチェックされることになります。

その意味するところのひとつは、一時期期待感を持って語られていたRugby World Cupの北米誘致に動けないことになるのでしょう。

Rugby World Cupは4年に一度開催。大会の歴史は短いですが概ね欧州での大会の次は欧州外での大会というローテーションになっている。
2019年大会は日本で開催。2023年はフランス開催が決まっています。そのローテが続くと仮定すると2027年大会は欧州以外。2019年が日本だったので一回開催権を飛ばされたラグビーの一方の雄を自負するSANZARまたはSANZAAR各国が2027年の開催を目指すのは自然ななりゆきでした。

実際に2027年のホスト国に立候補しているのはオーストラリア。SANZAARのアルゼンチンも一時立候補したものの撤退済み。そしてロシアが正式に立候補済み。2020年以前にはアメリカも2027年の開催を狙っていたと報道がありましたが正式立候補まで至らず断念。それからまもなくして米ラグビー協会は破産してます。今から考えれば2027年のラグビーW杯北米誘致案は米ラグビー協会にとっては財政破綻間近の窮状からの一発逆転を狙う賭けだったのかもしれません。

将来のラグビーW杯のホストにロシアというのは斬新ではあります。サッカーのW杯を開催したときに各地に建てた新しめのスタジアムがあるのでハードインフラは大丈夫としても、ロシアラグビー代表チームは世界ランク20位前後。サッカーと違って番狂わせの極少ないラグビーの競技性で世界ランク20位だとTier 1国相手ではほぼ確実に敗戦します。それも惨敗の可能性が高い。
ロシアはTier 2国に分類されますが、Tier 2内でも下位。旧ソビエト連邦の国ではジョージアがラグビーでは長年Tier 2内の上位国として歴史を刻んでいるのと比較しても遅れをとっている印象です。北の国の荒くれ者はたくさんいるのでしょうからうまく人材を揃えられると一気に強くなる可能性はあるとは言えるのでしょうが。

世界統括団体のWorld Rugbyから見ると、経済力のある日本でのラグビー人気を復活させたのはおいしかったはずで、それに続いてさらに経済規模の大きいアメリカ市場も開拓できれば上がりは大きいと皮算用をしていたであろうことは容易に想像できます。が、米協会が破綻。近い将来の自助でのアメリカ市場の(少なくとも男子15人制での)ブレイクは見込みにくい。破綻前の時点ではWorld Rugbyは南アの有名選手をコーチとしてアメリカに派遣するなどして援護していたと理解してますが、それでも成績向上とはならず2019年の日本W杯でも全敗。

フィールドでも冴えず、ビジネス上も破綻。World Rugbyが北米市場を狙いたくても中期以上のスパンで狙うしかない状態と言えそうです。そのタイミングでロシアがW杯開催に意欲を示しているのなら新規の市場を順次開拓ということを考えればアメリカよりも先にロシアを優遇する可能性は確かにありそうです。アメリカと比較してWorld Rugbyに対して裏金を流すことがやりやすい国であるとも想像できます。

もし2027年大会がロシア開催になったとすると、その次の2031年にはSANZAARが絶対に黙っていないと思えます。ロシアは欧州のラグビー伝統国ではないですが一応欧州なのでフランス大会と2大会連続での欧州開催と南からは見えるはず。SANZAARでのW杯開催は2011年のニュージーランド大会以来、20年ぶりのSANZAAR国での開催を目指すことになりそうです。
逆に2027年がオーストラリア開催だと、2031年は欧州での開催が有力になるということになります。ここにアメリカが誘致で割って入れるか。

前述したとおり米ラグビー協会は2025年までは破産裁判所の強い監視の下での活動にならざるを得ず、活発な誘致活動(それはたぶん裏金の出入りも含みそう)が2025年以降となって2031年の誘致に間に合うのか。2025年以降も急に金回りが良くなると想像するのも難しいように思えます。
もし2031年の誘致に間に合わないとすると次は2035年。もう遥か未来の話でその時期までにアメリカラグビーがどうなっているかは想像もつかないです。

ラグビー男子代表 @アイルランド

2020年に異例のスケジュールのシーズンだったり空白の1年だったりした各種スポーツがパンデミックから抜け出して、活動を再開しています。15人制ラグビーの男子米代表が1年半ぶりに活動を再開、欧州遠征で先週イングランド代表と、今日アイルランド代表と対戦しています。これが米代表にとっては2019年の日本開催のW杯に出場して以来の試合です。会場はAviva Stadium。Notre Dameのフットボールチームなどが過去公式戦を行ったこともある会場です。キャパ5万人超のところに8000人に限定して観客を入れての試合です。

先週の対イングランド戦は29-43で敗戦。いま英国はBritish & Ireland Lions(英4国合同代表チーム)が南アツアー中なので、たぶん米代表と対戦したイングランド代表のメンバーはかなり格落ちのメンバーになっているのだと思うんですが、そのイングランドに完敗。
欧州遠征第2戦となる対アイルランド戦(こちらもLionsに選手を拠出しているはず)では良いところを見せてもらいたかったのですが、またも完敗となってます。71−10。一昔前の日本代表が強豪国にズタズタにされていた時代を彷彿とさせるスコアです。
試合内容も相変わらず。キック処理だとか、タッチライン際の攻撃で簡単に押し出されてターンオーバーとかの拙いミスが多い。キーとなるポジションの選手にボールが手に付かないプレーが続出するなど、10年前から成長がないなあという中身です。一時期、元NFL選手など素のアスリートとしての素養の高い人材がラグビーに挑戦するという流れがあったのですが結果的にはそれでモノになった選手がいない。育て方が悪い、元からラグビーをやってる選手側が受け入れに消極的だった、ラグビー競技をまったく知らない見たこともないアメリカ人選手ではいかに素材が良くてもラグビーに落とし込めなかったなど色々事情はあるんでしょうが、それにしても進歩がなさすぎる。

米代表ラグビーはセブンスの方では長足の進歩を見せてパンデミック前の2018−19シーズンではシーズン最終戦まで優勝を争うという大健闘を見せて東京五輪出場権も獲得、アメリカラグビーに光明をもたらしたのですが、これが15人制になると成長が見えない。以前は米代表と同じような強さだった日本代表が一気にTier 1国に勝てるチームへと変貌していったのと比較してはいけないのかもしれませんが、内容も結果も伴わない。10年前に比べて良くなったのは隣国カナダにはコンスタントに勝てるようになったぐらい。

以前も書きましたがラグビー米代表のタッチライン際で押し出される頻度の多さはきっとアメリカンフットボールのプレースタイルの悪影響だと思っているわけです。
キッキングゲームが弱点なのも米代表の特徴で、キックで攻撃にアクセントをつけることができない。米国内のプロ組織Major League Rugby(MLR)の試合でもほとんどキックパスは見かけないのでそれに対する守りやそれが行われる前の警戒心構えもないので、欧州のチームにキックパスを出されると虚を突かれ算を乱して後退することになります。

38−3となった後半戦には米代表側が相手頭部へのタックルでレッドカード退場。これも変わらないですね。これもヘルメット着用のアメリカンフットボールからの悪習でしょうか。フットボールの方でも近年は肩より上への接触で反則を積極的に取るようになってますが、それは主にヘルメット対ヘルメットの接触を罰しているのであってディフェンダーの手が首にかかるぐらいは見逃されがち。そしてそれをラグビーでやっちゃうと一発レッドカードの反則に近い行為になってしまうわけです。
人数が減った米代表はその後なすすべなく大敗という結果になってます。

その昔、日本代表が100点差でボロボロにされて負け続けた時期に日本ラグビーはその人気を恐ろしいまでの勢いで失いました。その前の時点では日本のラグビーは国立競技場を年に何度も満員にする人気があったので、元々マイナーなアメリカラグビーとは比較になりませんが、それでも米代表が71-10というスコアはアメリカ国内のラグビーの人気を高めていけるような結果ではないとは言えそうです。
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