NFLのWashington CommandersとMLBのCleveland Guardiansがトランプ大統領から名指しでチーム名を元のRedskinsやIndiansに戻すようにという口撃を受けてます。

タイミングから言って他に話題を他に作りたいから持ち出してきた感が強く、トランプさん自身もさして実現に本気ではないだろうなという気がします。いま高級性接待事件(首謀者は既に獄死)にトランプ大統領も関与していた可能性が取り沙汰されていて、そっちもどうにも迂遠な話でどっちへ転んでも大した話にならないように私には見えますが、いま米国内の政治ニュースはそれが多い。そのタイミングで別のネタを供給した感じかなと。

Indiansの名を廃止したとき、Redskinsが改名したときそれぞれ記事を書いてます。特に前者の方ではなぜRedskinsやIndiansがアウトで、存続しているNHL Chicago BlackhawksやNFL Kansas City Chiefsはセーフなのかなどについての解説を書いてます。今読み返してみましたがほとんど付け加えることがない、今回のトランプ大統領主導の揺り戻し局面でも説明としては十分に耐えうる内容だと思います。

そういえばトランプさんは以前に韓国映画がアカデミー賞を獲得したときにも「そんなのじゃなくて『風と共に去りぬ』みたいなのが良い」と発言してます。これも政治的な意図が見えている発言だったかと。風と共に去りぬは1939年の名画なんですけど、奴隷制は廃止されていても人種隔離はたっぷりあった時代の映画なので今の目で見ると気になるところがある(らしい。私は見たことがない)とのことで、当時の言い方で言うとキャンセルカルチャーにひっかかってパージされた映画らしいんですね。キャンセルカルチャー批判として当時発言したのだと理解してます。

そういう経緯があるので今回のRedskins/Indians復活要求も似たようなもんだろ、キャンセルカルチャー批判にウケてくれる自身の支持層へのプレゼント的な。なので実現するかどうかはあまり問うていない本気じゃないんじゃないかなと。

私の個人的な正直なノスタルジックな感想で言えばCommandarsとRedskinsと比較したらRedskinsの方が耳馴染みがあって良い。もっと言えば名称は戻せないにしても、旧ロゴは残しても良いというのはあっても良いかもとは思います。カレッジの強豪であるFlorida State Seminolesは原住民の顔のロゴを維持しているんですから、Redskinsも名前はちょっと維持しがたいですが、マーチャンダイズで旧ロゴはありという落とし所はあるのかないのか。

あとはWashington DCや近隣州境をまたいでメリーランド州など地元は強固なブルーステイト。大統領の口出しに呼応してあっさりRedskins復活にしたら地元民からスカンを食うことが確実なのでそういう意味でも地元民を敵に回してまでRedskins名称復活は無理筋でしょう。
問題はスタジアムの移転でWashington DC内に戻るという状況下だと、過去なら川向うのメリーランド州でもDC内でも大きな違いはなかったのが、トランプ大統領と対立したままDC内に移転するとなるとDC政府の頭越しに細かい嫌がらせを受けることになるという問題が生じること。通常はDC内の内政問題はDCの市長が仕切るんですけど、DCは連邦政府の直轄地なので市長の頭越しにトランプ大統領が権力をふるえる法的根拠が残るという微妙な土地です。

Guardiansの方は過去記事でも書いた通り「インドの」という意味ではIndiansという言葉は残ってますがアメリカ原住民を指してIndianと呼ぶことはほとんど死語なので、戻しにくいでしょう。Indiansの場合は名称変更よりも先立ってChief Wahooのロゴは使わなくなっていたという事情もあります。今のGuardiansのロゴが良いかというと良くない。なのでChief Wahooを懐かしむ人も出るのかもしれませんが、Redskinsほど広がりはないんじゃないかな。
Redskinsは20世紀終盤にSuper Bowl制覇3度。Indiansは2度World Seriesを制してますが1948年が最後。その優勝を見ていまもご健在な方は極少なかろうと。つまり全国区のイメージでRedskinsの名やロゴは、Indiansの名称やロゴへの馴染よりかなり上ではないのかとは思えます。

Redskins/Commandersの方の地元の政治事情を書いたのでついでにClevelandについても。
同市があるオハイオ州は中西部の州で、大統領選挙の代議員の数では50州中7位。影響の大きい州です。オバマ大統領の頃まではスイング州と認識されていました。1964年から2016年トランプの1回目当選したときまで14度連続で大統領選挙で勝利した大統領を選んだのがオハイオ州で、国全体の傾向を示すリトマス試験紙のような州であった。それがトランプ1度目の当選のときに大きく赤に振れてその後は揺り戻しもなく共和党で固定しかかっているというそういう州です。ただ南部のような固着した共和党支持というわけでもない。中道右よりぐらいの政治風土です。
ですからトランプ支持者もメリーランド州やDCに比べれば多いはずですが圧倒多数というわけでもない。それにいくらトランプ支持者でもIndiansに変えることのメリットがほとんどないことは感じるでしょうしオハイオ州民がGuardiansに熱心に圧力をかけるというのがありうるのかなという点で実現性は薄いように思います。DCのような連邦政府の直轄地でもないので大統領による直接的な権力も及びません。