NASCARシーズンが佳境に入ってきてます。Chicagoの公道レースでまたShane van Gisbergenが圧勝。Gisbergenは前日の下位シリーズであるXfinityシリーズの車体でも快勝しており、Chicago公道レースではもはや敵なしの状態となってます。どちらもポールもとって本レースでも快勝。明らかに一人だけ速い。

Gisbergenはニュージーランド人。それらしくレースに勝ったあとはラグビーボールにサインをして客席に蹴り入れてました。ニュージーランドではラグビーは男子たるもののたしなみということか。そういうのは地域感があって好きです。
Gisbergenは2年前に初めてNASCARに参戦したレースで優勝をこのコースでしてロードコースではNASCARのドライバーたちとは全然テクのレベルが異なることを度々示してきてます。NASCARの通常のオーバルコースで走らせると目立つ場面もなく中位から下位に沈むのが通常なのでGisbergenが上というよりはスペシャリストの扱いという方が現実に近いのですが、とにかくロードコースではNASCARのレギュラードライバーたちはまるで歯が立たない。Mexico Cityでの公道レースでもGisbergenは優勝しており今季2勝で堂々プレーオフにも進出します。
NASCARのドライバーランキングは基本的に勝利数が優先するのでロードレースを2つ拾ってGisbergenは4位扱い。

現行のNASCARのプレーオフは16人進出。ロードコースでGisbergenがめったやたらに強く、1勝すればほぼ確実にプレーオフ入りとなる現行制度下ではGisbergenに最初から1枠与えたようなもんになってます。もともとはオーバルばかりだったのにロードコース・公道レースを加えてシーズンをバラエティを豊かにしたのはNASCARの施策であるし、オーストラリアの箱車レースの強豪であるGisbergenを呼び込んだのもNASCAR承知のことだったわけで良い悪いは言えないですが、熱心な昔ながらのNASCARファンにはあまり評判が良いとも言えません。

おもしろいのはNASCARが公道レースを多めに採用し始めたのは海外の他のジャンルから有名ドライバー・外国人ドライバーが参入しやすくして商圏を広げたかったからですが、F1やIndyCarなど比較的知名度の高いオープンホイールのジャンルから来たドライバーはNASCARじゃまるで勝てないんですよね。接触上等のNASCARの激しい争いにはオープンホイールの選手たちはびびって太刀打ちできない。その点Gisbergenは本職も接触OKのジャンルから来た。Gisbergenはその経験からNASCARの接触プレーに動じずにロードコースを駆け抜けて勝ってるわけで、ロードコースに強い慣れているだけでは勝てないのがNASCARのロードコースってわけです。世界へ商圏を広げようとしてロードコースを増やしたのに人口の少ないニュージーランド人のオーストラリアで名の知れたGisbergenだけが成功している。欧州とか日本とか人口面で伸びしろの大きいところのドライバーがNASCARは欲しかったでしょうに、そうはうまくいかない。

ところで以前にも書いた通り今季からは夏の時期にNASCARは1ヶ月間にPrime Videoで独占放送、それに次いで今はTNTでインシーズントーナメント(=In-Season Challenge)でこちらも1ヶ月間放映中。コアなNASCARファンはそれに付いていってるんでしょうが、一般スポーツファンへの露出はどうなってるのか気になります。TNT部分ではインシーズントーナメントをやると大げさに事前に言っていた。でも実際の放送を見てみるとトーナメントの話はほとんどしません。そりゃそうですよね。トーナメントに含まれたドライバーが多重クラッシュを食えばそのままトーナメントから敗退で、トーナメントの組合せドライバー同士のデュエルみたいな状況にはほとんどなりません。

NASCARのプレーオフの最終戦は4人が残って、その4人のうち最終レースで最上位に来たドライバーが年間優勝というそういう仕組。直接対決がそのレースのテーマなわけです。4人のうちの最上位が20位だろうと年間優勝という意味であり、いまだに違和感はあるものの、現実的には他のドライバーが気を使って残った4人はほとんど事故に巻き込まれなくて最終レースで上位に並ぶことが多い。たぶん内々にペナルティがあるとかなんとか通達があって他のドライバーはあまり競らずに先に行かせるという行動をしていそうです。良いか悪いかはともかくそうなってきてる。

それに対して今やってるトーナメントは各部分は1対1とは言えよほど当該ドライバーのファンでもないと意識がそこへ行くわけでもないし、TVもその話題にはほとんど触れない。これでインシーズントーナメントをやる意味ってあんのかなという状態です。
今週で8名に減ったのでここから先は少しはデュエルっぽくなるのか。プレーオフのように他のドライバーが気を使ってくれそうにもないのでどうなることか。残った8人はあまり人気ドライバーといえる選手が少なくその面でも地味になります。
ま、アメリカの良いところはとにかくやってみて、やってみてから考えるというところでもあるので、今のところ無意味に近いように見えますが、もう少し人数が減ると、または年数を重ねるとなにかあるのかもしれません。