カレッジベースボールでWisconsin大が所属する選手に対して違反行為で転校を勧めたとしてMiami-FLを訴えてます。大学が学生アスリートに直接報酬を払って良くなったのがつい最近。早くもその仕組みを使っての選手の取り合いが始まったってことでしょうか。
カネを生むスポーツであるフットボールや男子バスケならともかく、少なくとも現在では大きな利益を生んでいるわけではないカレッジベースボールでもこれをやってるのかという意味でこのニュースにはおもしろみがあります。

女子のソフトボールでNILで$1 Millionを支払ってるという話を先日書きました。ソフトボールでそんなカネが動くのかという驚きはありましたが、ベースボールとは事情が異なる。ベースボールではカレッジでもプロ風に先発投手はローテを組んで出場するので、ざっとの話週1でしか先発しません。ソフトボールではエース投手は週2ぐらいは楽に投げます。トーナメントになれば連投も厭わない。つまり1人の圧倒的なエース投手の戦力としての割合がベースボールのエース投手より2倍3倍の戦力であるからその1人に大きな金額を投入できるわけです。

ベースボールはそうではない。カレッジの強豪校のエースならMLBを目指している選手たちで、カレッジが最大の舞台であるスポーツとは意味が異なります。MLBへ到達する可能性を考えてプロ風のトレーニングもしたいし、プロのスカウトの目で見られて評価される投球がしたい。それに加えて目立つステージにも出場したいという意欲もあるので強豪校に移籍できるならしたいという意欲もあるでしょう。だいたいそういう学校は練習施設も整っている。

カレッジベースボールはビジネスとして伸びる余地はある競技ではあるのでしょう。フットボールやバスケは既にビッグビジネスですが、カレッジベースボールは一部の学校のみ黒字。プロMLBという巨額の収入が望める「その先」があるカレッジスポーツにしては地味です。
ざっとの話ですがWisconsinの所属するBig Tenはベースボールは弱い。いまはBig TenにUCLAとかUSCという温暖な土地の学校も加わったのですが根本的にはBig Ten校のある土地はカレッジベースボールシーズンには寒すぎるのです。カレッジベースボールシーズンは1月から5月(College World Seriesを勝ち進めば6月まで)。
なので伝統的に南部や西海岸の学校がベースボールは強い。よってカンファレンスで言うとSEC、ACC、過去のPac-12などがBig Tenよりも進学先として優先されたし、いわゆるマイナーカンファレンス校でも温暖地の方がBig Ten校より優位でもあった。それが近年のカンファレンス再編でSECとBig Tenの二強化が進んでベースボールでもBig Tenが徐々に盛り返してきていたという流れがありました。

一方Miami-FLはここ最近戦力が低下してベースボールのエリート校とは言えなくなったのですが、10年ぐらい前までは全米でも有数のベースボール校でした。そういう経緯があるので、今回のニュースを聞いてああMiami-FLが復興に向けて活発に動いているのかなという感想を持ちました。一昔前に読んだマスコミ記事だとカレッジベースボールで恒常的に黒字なのは最多動員のLSU(Paul Skenesの出身校)を筆頭に10に満たないとされMiami-FLはその数少ない黒字校でした。

今年のカレッジベースボールシーズンを見てると雰囲気が変わってきていて、例のSavannah Bananasまで行かないもののベンチの選手たちが楽しそうにしてる様子がうかがえる。Bananasの影響が感じられて以前よりも非ストイックになってきてるのを感じます。あの方向性でカレッジベースボールがよりエンタメ寄りになって地域のファンを築いていくのかなという可能性を感じました。カネを払ってプロ向きのプロスペクトを集め、雰囲気も良くしてベースボールのエリート校復活を目指しているってところでしょうか。