最初にこのニュースを聞いた第一印象はセンスの良いタイミングだなというものでした。長年NBA Los Angeles Lakersを保有してきたBuss一族がLakersを$10 Billionで売却するというもの。Buss一族はLakersの小株主に後退してそのつながりは維持するものの経営・意思決定からは退くということです。買うのはMLB Los Angeles Dodgersのオーナーだとか。

NBAのフランチャイズの資産評価ランクだとGolden State Warriorsがトップ、続いてNew York Knicks、Lakersは第3位とされます。第4位にはBoston Celticsで、Celticsは最近に$6.1 Billionで売却された事実があります。Celticsが$6.1Bで、Lakersが翌年に$10B。アメリカ経済はインフレ傾向が止まっていないのですが4割の価格差。それでもLakersならこの価格はアリだろうなという気がします。

Lakersの人気は高い。地元および全国区でもそうでしょうし、たぶん米国外でもそうでしょう。単年の経常収入だとLakersがNBAトップです。資産価値ランクでWarriorsやKnicksに遅れをとっているのは別の事情からです。Warriorsは現ホームのChase Centerおよびその周辺のオフィスビル群などを資産として持っている。KnicksはMadison Square Gardenを所有している。LakersのホームのCrypto.com ArenaはLakersの所有ではないのでそこから発生する利益がない。この差があるのでフランチャイズ組織の資産価値比較になるとLakersが3位になるというからくりです。純粋にバスケフランチャイズ単体としての人気とセールスということならLakersがNBA随一、アメスポ全体でもNFL Dallas CowboysとMLB New York Yankeesと並ぶアメスポの象徴的なフランチャイズです。

そういうチームが売りに出る事自体が稀なわけで、買う側はカネに糸目はつけられない。欲しければこれが一生に一度のチャンスというモノなので価格は高騰するのは当たり前。特に買い手が同じLos AngelesでDodgersを所有してるというのですからなんらかの相乗効果も見込めるのもあるでしょうから行くのは理解できる。

売る側のBuss一族からすると遺産として受け継いでいたわけです。63歳。Phill Jacksonと親密交際していたりなんのかんのがあったり、また数年前には現社長のJeanie Bussは元Lakers選手・HCだったKurt Rambis夫妻の「進言」に強く影響されていてLakersの経営が実質Rambis夫妻の操り人形状態だという批判が湧いたり、経営者としての素養には若干の疑問があった。
その辺のごたごたがここ数年は聞こえてこなくなった。いろいろ取扱いのむずかしいLeBron JamesのLakers定着にも成功。新たなスーパースターとしてLuka Doncicの獲得にも成功してLakersの未来図も示している状態です。ただの名門なだけでなく、チームの基盤も整備された状態での売却であり、買い手にとって再建を覚悟して買うという物件ではない。良いタイミングだと思います。