今日からMLBプレーオフが開幕。ワイルドカードラウンドは当たり前ですがこれぞというようなカードはなく地味になりがち。それも1発勝負だった時期から拡張されて2戦先勝制に変わったので緊張感も減ってます。そんなですがそれでもとりあえずDetroit Tigersを応援してみようかなと。相手はプレーオフ常勝のHouston Astros。分が悪そうです。

Tigersを率いるのはA. J. Hinch監督。HinchはAstrosがサイン盗みで泥を塗った2017年の当時のAstrosの監督です。当時のAstrosの主力の面々は「Cheater!」と敵地でブーイングされるのが恒例でしたが事件発覚から年数を経てファンの記憶からは徐々に薄れてきている昨今ではありますが、Hinchが敵将として帰還となれば放送ではその話題にならざるを得ない。場所は@Houstonで3戦とも行われるのでこのラウンドではCheatersのチャントは聞こえてこないのでしょう。

Tigersを推す理由ですが、早ければ来季から先発投手の6イニング義務制が始まるかもと言われているこの段階でオープナー戦術を今季後半に多用して7月以降でMLB最高成績(48勝30敗)をあげてプレーオフに登場したから。8月以降のチームの防御率は2.81とMLBベスト。夏前の時点でシーズン開幕時の5人の先発ローテの4人がケガや不調で離脱。ワイルドカードの第1戦に先発登板するTarik Skubalだけが開幕からの通しの生き残りです。地元ファンかマニアしか知らない効率の良い投手陣がアップセットをもたらすか。


一般論としてはオープナー戦術の何が悪いんだというのが私の意見で、6イニング義務制とかやめて欲しいなあとは思っています。創意工夫の芽を摘む施策というのが気に入らない。オープナー戦術を最初に開発したTampa Bay Raysもそうでしたがロースターに金をかけられない弱者の戦術としてチーム全体で繋いで勝つオープナーで始める投手リレーは選手も監督も腕の見せ所だらけで良いじゃないかと。

もっと言うとオープナー戦術が増えれば先発投手のコストが高過ぎることの是正にもつながっていくかと思うのでそういう意味でオーナーたちはオープナー戦術を許容するルールの方が得なんじゃないのかなというようにも思います。

エース級の先発投手が肘の故障で離脱するのはもはやMLBでは常態です。6イニング義務制が巡り巡って先発投手たちがペース配分をわきまえた投球をしてケガが減る未来というのがあるのかないのか想像がつきませんが、もしあるとしてもそこへたどり着く前の過程では大量の負傷者を出さないと「こりゃあかん、ペース配分するように指導しよう」となるところまでたどり着かないんじゃないのか。これまでも十二分にけが人を出してきたその上で6イニング義務制でまだ犠牲者を出すつもりか。
既に巨大実質終身契約を勝ち取ったエース級ならペース配分を考えた軟投投球に早々に変更もあるかもしれませんが、若く向上心と巨額契約獲得の夢に駆り立てられた投手はやっぱりペース配分よりも自身の価値を上げるべく高出力の投球を続けそうでもあります。もし採用されるとこれまでのルール変更とは趣の異なる新ルールになりそうです。

同時に弱者の戦術であるオープナーを6イニング義務制後もDH剥奪上等でやるチームもあるのかもしれませんけどね。DHには前日たっぷり投げて今日は完全休養の予定の投手でも最初からいれておけば良い。NLは長年DHなしでやってきた実績もあるのでDHがないならないで良いと割り切ってオープナー戦術やブルペンデーは戦えば良い。昔ながらの投手の打順でのダブルスイッチも復活で見られることになるのでは。

でそれは6イニング義務制が採用された場合の話。今季はひょっとしたら6イニング義務制がない最後のシーズンかもしれない。その2024年をオープナー戦術で勝ち上がったDetroit Tigesにはその戦術の有効性を全国区で披露して欲しいなあ、史上最後の露出機会かもというそういう意味もあって弱応援してみようかというわけです。地方球団なので全国区でTigersの戦いぶりを見ているファンは稀なはずでもありますし。

Tigersのワイルドカードラウンドのロースターが確認できませんが日本のKenta Maedaは含まれるのか。開幕当時ローテに入っていたのが降格配置転換でブルペンへ。9月はほぼブルペン専業。打順1巡以上は投げさせず、これが当たって防御率も低下。とどのつまりは信頼に足る先発投手が足りなくなってオープナー戦術を多用するようになった中でMaedaも役目を与えられて成功したということだと理解してます。

日曜日のレギュラーシーズン最終戦でMaedaは久しぶりに先発投手としてMLB史上最多敗戦のWhite Soxを相手に5回途中まで投げ(自責点5、敗戦投手、3勝7敗)ているので休養日数の必要性も考えてワイルドカードラウンドはロースター入りできない可能性が高いと考えた方が良さそうではあります。チームがワイルドカードラウンドで敗退するとプレーオフに出られないままってことになりますが。

Maedaと言えばDodgers時代にポストシーズンでリリーフに回されて便利屋的に使われた過去もありますね。いまとなって見ればあれはあれで将来の降格配置転換を先取りしていたことになるのかも。