NFLの開幕週に今季のSuper Bowlのハーフタイムショーのメイン・アクトが発表されていました。私はそれを聞いた瞬間に「え、それでいいのか?」と思いました。説明します。

Kendrick Lamar、37歳黒人ラッパーが大役を受けたわけです。彼の最新のヒット曲は「Not Like Us」。この曲はしぶとくこの夏中ずっとかかりまくってました。いまでも相当の頻度で耳にします。あまりに頻度が高かったせいもあってNBA Golden State WarriorsのStephen Curryが「この曲は聞き飽きた」とわざわざ発言すらしていました。いま検索で見てみるとそれは7月中旬の話です。Stephたちは五輪代表として活動していた時期ですね。一緒にプレーしていたLeBron Jamesは無邪気に「やー俺は好きだ」とにこにこ。その2ヶ月後の今でもよくかかってます。

5月にリリースされてチャート1位に。その後時間差でビデオが出て1位に復活。であとは夏中ずっとでした。「Lyric (曲名)」で検索してもらうと歌詞が出ますから読んでもらうといいのですが、これカナダ人ラッパーのDrakeを相手に盛大にディスってるディスソングです。あまり深入してもしかたないんですがこの2人は長年遺恨を引きずってるということになってます。
Drakeの方はNBA Toronto Raptorsのファンで会場に良く来てるのがアメスポファンにはおなじみのはず。RaptorsがNBA制覇したときにもかなり映り込んでいたと思います。

で最初の私の感想に戻りますが、このタイミングでKendrick Lamarをハーフタイムショーに起用するということはこの曲をやらないという可能性はゼロです。必ずやクライマックスでこれを使うことでしょう。こういう他人をディスって「あいつらと俺らは違う!」と煽る曲をハーフタイムショーのクライマックスに持ってきていいのか?というのが私の疑問だったわけです。

Stephはただ「聞き飽きた」と発言しただけですが、可能性としては歌詞の内容もあまりSteph好みでなかった可能性を感じます。Stephはご存知の通りスポンサー様大安心の好人物で発言も荒れたところもないケチのつけられない優良選手です。彼のようなクリーンな性格だとこの歌詞の内容はちょっと行き過ぎていると感じても不思議はないような。
例えばDrakeをペドだとディスってる部分もある。ペドはPedophiliaの略で日本語のロリコンよりも犯罪者的な意味が強いきついニュアンスの言葉です。世の中には文字通り数え切れない数の音楽があり、歌詞をあまり気にしても仕方ないとは言えこの曲を選んで米国内だけで1億人以上が視聴する最強番組のSuper Bowlでやるのかーという。

ハーフタイムショーは複数の曲を繋いでやるわけですからこの曲でも比較的マズくない部分をやればTV的にはセーフっちゃーセーフでしょうが、「あいつらと俺らは違う!」と大合唱する分断ソングで良いのかなぁという。

2020年ほどではないですが今年2024年も大統領選挙年で両陣営からかなり汚い言葉も飛び交うし、本気で相手を殺しかねない国家の分断の危険な香りのする季節です。トランプ候補からは「我々から勝利が盗まれたらこの国は血の海になる」というお言葉も出てます。それを真に受けかねない支持者を抱えているトランプ支持者層。そういう年にNFLが分断ディス曲をSuper Bowlに採用って良いのかなと。Super Bowlの前には大統領選挙は終わって、次の大統領に代替わりした後(尋常に進めば)ですけど。

とここまで書いてから実はSuper Bowl本番ではDrakeも出演するというそういうオチかなという気もしてきました。Super Bowlのハーフタイムショーは多くの回で告知されていないサプライズ出演者がありますからDrake出演・Lamarと共演はアリかも。NFLの財力をもってすれば2人がどちらも納得して共演する金額を提示できそうです。