最終ラップにトップのJoey Loganoをスピンさせ、次いでインを抜けていったDenny Hamlinのテイルも故意にひっかけて3番Austin Dillonがレースの勝利を得た先週末のレースに珍しくNASCARがペナルティを発表しています。

レース自体はそのまま成立、Austin Dillonのレース勝利およびそれに付随する賞金・トロフィーなどもDillionは維持。ただし通常ならレギュラーシーズンのレースの1勝はプレーオフ進出が確定しますが、この勝利によるプレーオフ進出は認めないという制裁となってます。またDillionチームのスポッター(無線でドライバーと常時連絡する役)が「Wreck it! Wreck it!」と故意の接触でHemlinをスピンさせる指示を出していた音声が確認されたためそのスポッターは3レースの出場停止。今季のNASCARはレギュラーシーズンがあと3戦なのでスポッターは今季のレギュラーシーズンには関われないことに。

それとは別に故意のスピンでレース優勝を奪われてブチギレだったJoey Loganoが、レース後にAustin Dillonのピットエリアに行って怒りの示威行為をしたことに対して$50,000の罰金が課されました。

普段腰の重いNASCARにしてはスルーせずに制裁は加えたことは珍しい。NASCAR専門メディアだけでなく一般スポーツマスコミでも取り上げられていただけに何か制裁をせざるを得なかったようです。確かにレースの翌日となった月曜日はスポーツネタが乏しかったせいもあって一般スポーツマスコミ・スポーツトークショーもこぞって報道してましたからそれが圧力になった可能性は高い。

Austin Dillionはこの勝利でのプレーオフ進出は否定されましたが、プレーオフ進出のすべてが否定されたわけではなく残りのレギュラーシーズン3戦のいずれかで勝利すればプレーオフには出場可能です。出たところでLoganoとHemlinに恨まれているのでレース中どこで引っ掛けられるかわかったもんじゃないレースの連続になりますが。

レース勝利はそのままとされたことで今季2勝目が目前だったLoganoは1勝のまま。LoganoとDillionがからまっている隙に抜け出して今季4勝目が目前に開けたHemlinの勝利も消えて3勝のまま。4勝だとトップのKyle Larsonに並んで勝利数でトップ。NASCARのプレーオフの仕組みではレギュラーシーズンのポイントは持ち越しになって各ラウンドの順位争いに関係する。LoganoもHemlinも損をしたままでその部分はNASCARは放置したことになります。

Dillionの所属先のRichard Childress Racingは控訴すると息巻いてますが、「ぶつけろ!」とスポッターが言ってるのが音声で残ってるのになにを息巻きたいのか。記録上の勝利はDillionやチームの通算勝利数に加算されるのだし、賞金も貰えるのになにが不満なのか。私が読んだ制裁リストでは対Richard Childress Racingの罰金はないみたいですからあの無茶なドライビングのおかげでお金は儲かってる。今季32位(から先週末のポイント加算で31位へ浮上)、元々今季は失敗シーズンなので優勝賞金が儲かっただけでも良いじゃないかという気がします。

ブチギレのLoganoの方がお金の面では優勝賞金は逃すは罰金は食うわでよほど損しているわけで。Loganoの示威行為への罰金はもっと高い可能性も予想されていましたが、事情からブチギレる気持ちもわかると斟酌して比較的穏当な罰金額になったようにも見えます。

なお数年前から採用されている現行の通称Next Gen車体は前宣伝通り堅牢でこういう無茶なレースをやってもけが人は出てません。