パリ五輪の裏でNASCARが再開。再開いきなりのレースが大遺恨のフィニッシュとなってます。最終ラップでトップの22番Joey Loganoを追う3番Austin Dillonが最後のコーナーでテールを引っ掛けてLoganoをスピンさせ、その内側から抜けようとしていた11番Denny Hamlinも返す刀で弾き飛ばしてフィニッシュ。当夜時点では反則はとられずAustin Dillonが勝者となってます。

スピンさせられたLoganoはレース後ブチギレ。当然でしょう。NASCARは車体の接触は許されているコンタクトスポーツです。最後の競り合いで車体がともに接触、押し合いながらフィニッシュラインに飛び込むのはNASCARの特殊な醍醐味ですが、今日のこれはさすがに一線を超えてるように見える。Dillionは通常のランでは抜けない差があるのでコーナーでLoganoを回すつもりでスピードを落とさずに突っ込んだように見えます。

ポイント状況で言うと16枠のプレーオフにはシーズン中に1レースでも勝てばイン(17名以上勝者が出る可能性もありますからその場合は事情が変わりますが現実的にはそういうケースはこれまでない)。Loganoはもう今季1勝しているのでプレーオフには進出できますが、プレーオフに入ってからの立場もあるから2勝目も当然欲しいところ。Austin Dillonの方はポイントランキングではとてもプレーオフに届かない30位前後だったところで、つまりは今日を含め残りのレギュラーシーズンのレースでの勝利のみがプレーオフへのチャンスだった。そういうのもあってこれが今季唯一のチャンスだからと博打に行ったということでしょう。

NASCAR幹部は「あらゆる映像・音声・データを精査してペナルティがあるなら火曜日に発表する」としてます。ただし「歴史的に言ってレースの結果を変えることは過去ほとんどない。でも精査してから」とも言ってますからこれが通ってしまうのか。
いまは各車の操舵操作の詳細がデータとして残っているのでドライバーの意図はデータからかなり読めるはず。よってDillionの最終コーナーでの尋常でないスピード超過は明らかになりそうなんですけど、それを反則とするかどうか、反則だとしてどのようなペナルティを与えられるものかは不明。

反則なしで通してしまったらAustin Dillonは確実にLoganoから報復を受ける。それもプレーオフに入ってから。NASCARもそれはわかってるからLoganoに事前警告もするでしょう。Logano陣営が自重して今季のプレーオフで報復しなければ来季にやるでしょう。遺恨確実。
と言って勝利取り消しとして誰を勝者とするか。

このフィニッシュでのもう一人の被害者のHamlinの方はレース直後はあまり怒っていない。ライブの最中は何が起きたかわからなかった模様です。Hamlinは今季3勝でランクでも2位につけておりその面でも余裕があります。