この週末のアメスポ関連で一番おもしろかったのはWWEのPLE Summer SlamでのDominik Mysterio最低男ぶりだったんですが、それはほとんどコメントを付け加えることがないぐらい完璧にサイテーで、書きたい気もするものの文章がうまく書けません。なのでその話題は書くのを諦めてNASCARの内輪もめの話にしたいと思います。

NASACARの本部と参戦しているチームとの間の収入の分配の交渉が進んでいないことは1ヶ月ほど前に書きました。現在はNASCARは放映権を持つNBC系列が五輪放送に全力投球中でもあり夏休み中。このタイミングではなにもないだろうと思っていたら、意外にもこんな時期でもモメているという話が浮上しています。

Netflixで放映している「NASCAR: Full Speed」というリアリティ番組があるんですが、チーム側がこれへの出演をボイコットする構えを見せているとか。交渉がろくに進んでいないし、以前にも指摘しましたがざっとの話NASCAR本部の方が交渉が有利な立場であるため、チーム側としては交渉に使えるカードとしてNASCAR: Full Speedへの出演を辞める可能性をちらつかせているという話になってます。

アメリカのストリーミングサービス中、加入者数で最大のNetflixはスポーツが苦手。Netflixは元々貸しビデオ屋からスタート、進化していまのビジネス形態になっている。映画やTV旧作が元々の得意分野だったためスポーツコンテンツは弱点であり、遅ればせながらそちらもケアしようとWWEと大型放映権を結んでみたり、来月に放映されるホットドッグ早食いの伝説のチャンピオン対決を企画してみたりしてます。WWEにせよ早食いにせよスポーツかと問われると微妙なのですが、Netflix的にはスポーツ寄りのコンテンツでしょう。

そういうところでNASCAR: Full Speedも放送されていると。それなりに好評なようです。私は見たことがない。これまで一番番組に協力的なのがMichael Jordanが共同オーナーをつとめる23XI Racingなんだそうです。同番組での露出も23XI Racing関連の選手・オーナーが目立つのだとか。

一方23XI RacingはNASCAR本体との交渉について公に批判的な発言をするチームでもあります。Michael Jordanも盛んに発言をしていて「こんなことをしていたらNASCARは死ぬ」と過激発言もしています。ただNASCAR自体がニッチジャンルなのでJordan的には過激発言のつもりなんでしょうがNASCARファンの外にはそんな発言も届かない。NASCARファンの間でもそんなレース以外のことを気にしてるかどうか疑わしい。NBAのレジェンド、アメスポのレジェンドでもNASCARという異郷に入ればただの後発レーシングチームの共同オーナー。その上NASCARは白人度がやたら高いのでJordanは異端。

ついでに23XI Racingのドライバーであり現在唯一のCup戦の黒人ドライバーであるBubba Wallaceも異端。その辺の黒人をBlack Lives Matterで荒れた時期に擁護したもう一人のオーナーのDenny Hamlinは南部の古いタイプのNASCARファンからは憎悪の対象となりレースの現場ではブーイングばっかり浴びている。23XI Racing自体がNASCAR内で孤立しがち。
ところがその方がNetflix辺りで非NASCARファンに露出するにはちょうど良いようでもあります。

とまあそういう難しい立ち位置の23XI Racingが、NASCAR: Full Speedボイコットという新手を考え出したのではないかという憶測ができそうでもあります。

一番モメてるのは当面のカネの分配もそうですが、チャーター(出走権)を現行チームに7年間(新放映権契約期間にマッチ)に限って与える=7年後以降はまたチャーターをチーム側が買わなくてはいけないという仕組みをNASCARが譲らないところです。
他のプロスポーツならそれぞれのチームをオーナーが所有してそれは保有資産なわけですが、NASCARが今主張しているのはチャーターは期限のあるライセンスだという。資産ではなく時が経てば消えてしまうモノだと。チーム側からしたら譲れないのはわかるんですが、譲らないとどうなるかの緊急落とし所もないんですよね。
そんな事態の中、チームオーナー側がほとんどない交渉のチップとしてNASCAR: Full Speedボイコットを編み出したのではないかという話です。23XI Racingが主導してその案を編み出したのではないかというのは憶測の域を出ませんが。