NBAの2025年から11年間の新放映権契約が確定したようです。長年NBA放送を続けてきたTNT(親会社はWarner Bros. Discovery、以下WBD)はAmazon Prime Videoに競り負けして放映権を失うことに。これで来る2024-25シーズンがTNTにとっては最後のシーズンということになります。

TNTとともに現行の放映権者であるESPNは放映権を維持。それに加えて地上波NBC、及びAmazon Prime Videoが放映権を持つことになりました。NBCは久々にNBA放送に復帰することになります。Prime Videoの方は木曜日夜の枠を使ってNBA放送をするとか。Prime VideoはNFLのThursday Night Footballの放映権を獲得済みですが、NFLシーズン末にThursday Night Footballが終わるとそのままそこへNBAの試合を入れるのだそうです。他にも金曜夜にも放送など、かなり力が入っています。

TNT側には現行契約からの既得権として英語で言うところのfirst refusalという条項があり、Amazonのオファーした内容と同内容を飲めば放映権は維持が可能だったのですが、WBDの経営状態からしてAmazonの財力に抗することができず、またTNT側はケーブル局での放映にこだわったためAmazonからのオファーと同内容のカウンターオファーをしたとみなされず。過去にも触れましたがこれでTNTのスタジオ解説陣は解体。Charles Barkley(およびその制御役だったKenny Smith)は行き先がなさそう。

NBAから見ればTNTとESPNの2局態勢から3局態勢へ拡充。それもケーブル局のTNTを切って地上波のNBCとストリーミング大手のPrime Videoに移行、そして契約金額も大幅アップで向こう11年間安泰ということになりそうです。

WBDはこれで苦しくなった。NHLの放映権も持っていますがどこまで行ってもNHLはアメスポ内4番手。TNTの姉妹局のTBSがMLB放送を持っているしMLBのプレーオフも放送はしますが、NHLとMLBだけでケーブル視聴者を繋ぎ止められるのか。他だと男子および女子の米サッカー代表の試合の放映権を持ってます。W杯のCONCACAF予選なんかもそのうちなんですが、男子の方は2026年がホストなので予選自体がない。

こうなってくると間接的に利益を得るのはプロレスAEWか。AEWが放映権の更新タイミングなのに史上最少視聴者数の放送をしてしまうなど苦しい状況に陥っていたのですが、AEWを放映するTNTやTBSが最強のスポーツコンテンツであるNBAを失うことが確定してしまったため、AEWの先行きも怪しいもののWBDとしては失うわけにはいかないと考えそうで、そうなるとAEWとしてはありがたい状況ということになりそうではあります。

しかしながらTNTのような老舗大手のケーブル局でもこういう具合に苦境に陥ってしまう。ケーブル局という形態の緩慢な死がまた一歩近づいたようにも見えます。