この夏実はボルダリングのジムに誘われて何度か行ってました。いい歳してボルダリングかよと言わないでください。我が地元ジムはもちろん20代の若い人が圧倒的に多いんですけど白髪のご年配の常連さんもいたりで自由の国アメリカだなあという感じがしました。

私の行っていたところは大型のジムで100人ぐらいはいつ行ってもいる感じでした。多いときはさらに5割増しぐらいかな。これだけ入るならビジネスも成立するなぁと相変わらず採算性が気になってしまう。
女性の比率が高いのも目立ちます。ざっと5割弱は女性客。これなんかも20世紀から続く女性解放の成果なのかなという気がします。ほぼ半数が女性でも不自然さもなく活気があります。一般論として人口の半分を占める女性も顧客になるならばその産業は男性だけにしかウケない産業より市場は二倍です。


ウォールクライミングのジムは10年以上前にも参加したことがありましたが、そこの壁は高さがあるのが特徴でボルダリングには力が入っていなかった。五輪競技採用前の時代だったからかと思うんですが競技ルールは意識されていなくてビレイ訓練や安全装備のインストラクションが必須。ヘルメット着用も必須。現実の岩登りの安全な場所での練習・シミュレータ・疑似体験的な色合いが強かったです。

でも今は方向性が全然違う。短いミッションを皆がおのおのトライしてみる感じでゲーム性が強い。難ミッション達成してもせいぜい1分程度だし落ちる人は数秒ですぐ落ちるから回転が早い。これは今の人に合ってるのはすごくわかる。一つの壁にいくつかのレベルがほどよく混在しているのもスキルレベルの違う人の登りを自然に見られて良い。ゲーム配信観戦に似てるとさえ言える。気楽。初期段階では背が高い手足が長い方が有利な場合が多いんですが中級になってくるとそれを否定するようなミッションが出てくるというビデオゲームのレベルがアップしていくのと似た感覚もまたそれ風なのです。よほど股関節が開かないとここには足をかけて力を入れられないとかあってそこを工夫して乗り越える知恵を絞る。最初は針に刺されたような痛みで簡単にボロボロになっていた指が耐えてくれるようになってミッションをこなせたときの達成感がやみつきになる人がいるのもわかる。
あと女性の方が有利な可能性のある課題もあります。男性だと指が2本しかかからない小さめの手がかりに女性だと3本かかる場合があって体重保持に有利になりうるんですね。この辺の不利が有利に転換する絶妙さも楽しいです。

ボルダリング専門ジムだと壁の高さも必要ないし下も床ではなくて全面クッションなのでこれならめったにケガもしないしまず死にようもないしビジネス保険の額でも昔の高い壁より安いかもなとも思えます。高さがさほど必要がないのでジムを開設する建物物件も多いはずなので今後も全米各地に広がっていく可能性が感じられます。

一方昔行っていた高い壁のあのジムはそれはそれで別のアドバンテージはありそうです。今は改装して同じ高い壁でも五輪競技を意識してスピード競技やリード競技がやれるようになってたりするのかなと想像。ボルダリング専門ジムとの差別化も生き残り方向かなとは思います。ちょっと偵察に行きたい気分。


見るスポーツとしてのボルダリングと自分でやるボルダリングにはかけ離れた技術とパワーと発想力の差が如実にあってどれほどのボルダリングのジム会員が競技観戦に目を向けるかどうかはわかりませんけど、他の幾多の新興五輪競技よりは自分でやれる機会が多い分チャンスは他の競技よりもあるかもなあとも思いました。