Megan Rapinoeのヘイターが欣喜雀躍しています。すごい量だなと感心します。サッカー米女子代表の敗戦で生き生きとしてます。これはアメリカの分断という大きなテーマの一段面であり来年の大統領選挙前年でもあり共和党の大統領候補選びのプロセスが始まる今の時期ですし。

トランプ前大統領が名指しで「サッカー女子米代表はアメリカを憎んでいる」と煽って、トランプが煽れば全部受け入れる層が存在するのが今のアメリカの現実。煽られると本当に国会襲撃しちゃう層ですから。それで今回の女子W杯の視聴ボイコット呼びかけに。ボイコットすると言いつつ実は誰それが国歌を歌っていない云々と検閲。特に怨嗟の対象であるMegan Rapinoeへの攻撃はその方面では過激化していて、ナイフをちらつかせながらお前らのところに行くぞ的なイカれたビデオクリップをアップする輩もいたりでやれやれであります。

Rapinoeは大会前から今回の代表活動で代表を引退することを表明済み。中盤の核として長年活躍してきたRapinoeですが以前の判断良く切れの良いプレーは既に消えていて実力本位で選考するなら今回の代表漏れもありえた状態だと私には見えてました。
ただそういうRapinoeへの露骨な攻撃が多い中で彼女を代表選抜漏れさせるとそれはそれでその圧力に屈したかのようなイメージになりかねず逆に外しにくかったかもしれません。Rapinoeとは直接ポジションはかぶりませんが代表候補の有力選手たちにけが人が多かったのもあってRapinoeが選ばれる余地が多かったということも言えます。同じくスウェーデン戦でPKを外したベテランのKelley O'Haraが代表に選ばれたのもけが人の多さのせいだったといえる。結果的にはそんなこんなで代替わりがうまく進まなかった上での早期敗退となってます。

敗戦後には今回代表でCBを務めたJulie Ertzが現役引退を表明。Rapinoeも引退、O'Hareももう代表に選ばれる可能性は低そう。けがで今回選ばれなかった主将格だったBecky Sauerbrunnも年齢的に最大やっても来年の五輪までか。あとはAlex Morganの去就次第では米女子代表も人気が一番高かった頃からのメンバーは皆去って次のサイクルは総入れ替えということになります。
Julie Ertzの場合はNFL選手と結婚していて経済的な不安がなく寿退社に近く他のメンバーのように30代後半まで人生削って頑張って稼ぐ理由が少ないのでまあ納得。このパターンとしてはNBA選手と結婚したLauren Holiday(旧姓Cheney)があっさり引退したというのもありました。MLB Nomar Garciaparraと結婚したMia Hammもそのはしり。

Rapinoeが単独で攻撃の的になったのは彼女が同性婚をしていてサッカー協会との男女同額報酬の労働闘争のリーダー格とみなされていたしColin Kaepernickの国歌膝つき問題でもいち早く呼応したりと保守派の嫌う要素をいくつも兼ね備えていたからです。前回の大統領選挙のときもトランプはNBAやWNBAの影響力を大いに攻撃するなどスポーツ選手が政治影響力を持つことに敏感でその続きってところもあるのかもしれません。
Rapinoeがその怨嗟の焦点にいたことで他の若手選手たちは名指しでの批判は避けられたという面もあったのは今後どうなるか。Rapinoe攻撃に隠れてますが実は以前に比べて米女子代表の白人率はかなり下がっているんですよね。人種年齢的に米女子代表に自身を重ね合わせて支持していた少女層での人気が白人率が下がっていったときにどうなるのかの動向は以前から気になってました。その数字はまたそのうち出てくることでしょう。

そういうRapinoe叩きがあった一方で「Thank you, Megan」と題されたGoogleのTVコマーシャルが流されています。GoogleによるRapinoe支持の表明ですね。Googleぐらいの強大なインフラだとトランパーがボイコットしようにもさすがに無理でしょうからGoogleのサイズだからこそ出せたCMかもです。
あーまた政治の季節が近いんだなあと。