15人制ラグビーのプロリーグMajor League Rugby(MLR)の今季の優勝戦が行われました。場所はSeatGeek Stadium(収容2万人)で。ここはサッカーMLS Chicago Fireや女子サッカーNWSLのChicago Red Starsのホームスタジアムです。今季からMLRに12チーム目として加入したChicago Houndsがここをホームとしています。中立地での決勝戦。San Diego Legion x New England Free Jacks。それぞれ東西のカンファレンスで他を圧倒して勝ち抜いてきたチームです。
MLRのひとつ前の国内リーグだったPRO Rugby時代のひなびた会場での草ラグビーっぽさからするとこういうスタジアムで試合をやれること自体がアメリカラグビーの進歩であるのでしょう。収容2万人のスタジアム、目測で観客動員は4000人程度でしょうか。これがMLRの6シーズン目。

昨季もこの時期にMLRの事は書いてます。今日も試合の中身はずいぶん良くて楽しめました。夏のラグビーのせいか後半にはバテている選手もいましたけれど全体としてはMLR初期から大きくレベルが上がってるのは確実。試合のフローも細かいプレーもこなれている。アメリカラグビーで過去目立ったルールの理解がいっていないかのような明らかな反則もほぼ消えました。キックの混ぜ方のセンスも悪くない。試合の最終局面でSan Diegoが1点差で追う展開でのドロップキックの隙を狙う両軍の選手の気配りの感じもわかってるなぁと。こういう風にこなれた試合がアメリカ国内でも見られるのようになっているのは大きな進歩でしょう。たぶん実況のアナは南ア出身者ではなかったかと思います。サッカーなどもそうですが彼の地にその競技が解ってるアナの人材がいるというのは大いにTV観戦の助けになります。審判も外国人。これも正しい措置と思います。

審判や報道陣だけでなく両軍のロースターを確認するとラグビー国からの選手で米国カナダ出身の選手はチームロースターの半分程度。要のポジションは外国人選手で固められてます。これならプレーのレベルが上がるわけです。New England Free Jacksが25−24で勝って初優勝。

以前からアメリカの次に勃興する可能性のあるチームスポーツとしてバレーボールとラグビーとラクロスを並列で何度か語ってます。それぞれのジャンルの強みと弱みがあるのですがラグビーからの回答の一つの形としてMLRのような外国人選手の大量導入でのレベルアップというのはアリだなと思えます。
2031年には米国でのラグビーW杯地元開催も待っています。できうれば米国人選手で固めた陣容で地元開催に臨みたいところでしょうが、今年2023年は米代表はW杯にも出場できないという低迷期にある。あと8年で地元開催。自前の選手がそれまでに育てば良いですが楽観はできない。自前で選手が揃わなければMLRでプレーしている外国人選手を取り入れて恥ずかしくない力量の米代表を組んで地元W杯にするという二段構えのプランってことでその二段構えのためにもMLRは存続し続ける必要がある存在ということになります。

ラクロスについては先週まで世界選手権がらみで何本も記事を書きました。バレーボールについては気になっていることがあって下書きしてます。またお目汚しします。


【追記】主催者からMLR決勝の動員の発表がありました。10,103人とのこと。TV画面で映らない手前のスタンドがたまに映るとガラガラだったので1万人はちょっと盛ってる気がしますがまあ良いでしょう。