テニスの全米オープンの女子単4回戦で敗戦した米国籍Shelby Rogersが敗戦後の記者会見でSNSに送りつけられる殺人予告の山への対処の不安を吐露しています。Rogersは3回戦で今大会の本命の一角だったオーストラリアのAshleigh Bartyに勝って注目され、その次戦となった4回戦で敗退。どうもBartyに勝った後にも大量の殺人予告だったり記者会見では言えないような罵倒が送りつけられたと。記者会見で言っても良い罵倒の例は「fat pig」といったものだったそうで、言えない内容の酷さが思いやられます。

Ashleigh BartyはWTAランク1位で、前年優勝のNaomi Osakaも敗退後でもあり、BartyとRogersが対戦した時点ではBartyが女子単の優勝候補筆頭になっていました。それがWTAランク43位のRogersに敗戦してトーナメントは本命不在に。

テニスに限らずですが、プロアスリートたちはスポンサーとの契約上SNSアカウントを閉じるという選択肢が事実上ないようです。SNSで一定の露出を維持するのもプロ活動の一部ってことですね。基本給がチームから出るチームスポーツならともかく不安定な賞金以外だとスポンサーからの収入が頼りのテニス辺りだとSNSをやめるということはできないという事情のようです。

Rogersのように目立たないプロ選手でも殺人予告や罵倒の山では、有名選手だと見るに耐えない状況になっているのは想像に難くないです。NBA Washington WizardsのRui Hachimura選手が五輪前だったかな、人種差別メールなんて毎日来ると諦め顔で発言していたと思います。

Rogersが急に注目を浴びたのはAshleigh Bartyに勝ったから。ということはRogersに嫌がらせを開始した人たちの正体はオーストラリアのBartyファンとか、あとは本命Bartyに賭けていた人たちでしょうか。後者の方がありそうなのかな。
賭け関連だとサッカーのアメリカW杯でオウンゴールをしてしまった選手が大会後に地元で射殺されたというのを思い出したりします。闇賭博で損をした胴元ギャングによる犯行だとされました。

SNSが生活の基盤の一部になった。スポーツ賭博の合法化も止められない。人種差別発言もなくならない。性差別問題も派生問題も含めて収まりがつきそうにない。この状況下で常に露出が求められる立場の人間は攻撃の対象になってしまいやすいし、相当ひどい状態になっている可能性があります。

そういう攻撃の対象となる彼らを守るすべってあるんでしょうか。それ以前に守るべきだという社会的合意は形成可能なんでしょうか。