NFLのオフシーズンの時期にマイナーリーグフットボールリーグが活動してみようというのは何度も試みられています。最近だと一昨年のAlliance of American Football (AAF)、昨年のXFLがそれぞれNFLのシーズン終了後に市場参入。いずれも予定されたシーズンを完遂することはできず途中崩壊しています。

それに懲りず今年もまたやるようです。今年はFan Controlled Football (FCF)というひねったのが登場予定です。ひねり具合が新しいのでどんなものになるのか見ちゃいそうです。放送はTwitchのみなのでスポーツファンの目に触れるのかどうかからして疑わしい面もありますが、新しい実験でもあるので裾野を広げるよりも視聴者は新しいコンセプトに親和性のあるファン層に絞った方が良いのかもしれません。

根本的にはこれは7人制インドアフットボールです。4チームによるリーグ戦とプレーオフで構成。4チームが総当りで戦い、その後プレーオフという名の4チームによるミニトーナメントというシーズン構成で3月末までの予定。
最大の特徴はリーグ名の通りでファンがプレーコールをすることです。Twitchで観戦するファンが投票で次のプレーを決めてそれを実際に選手たちが実行するというもの。簡単に言えばビデオゲームのリアル版という基本コンセプトです。投票に参加するためには視聴者はバッジと呼ばれるものを稼がないといけないようですけど、たぶん当初はかなり甘い理由でバッジは配布されて観戦するほぼ全員が投票の経験をできるのではないかと想像します。
そういう仕組なのでオンライン観戦じゃないと成立しないし、サクサク進むのであろう進行スピードからしてこの手の環境に順応したファンを募る必要もありそれでその方面の最大手Twitchでの放送なのでしょう。

目玉選手はJohnny Manziel。Johnny Footballの愛称でカレッジ時代からスーパープレーでファンを楽しませてくれた異端の選手です。NFLではCleveland Brownsの暗黒期にドラフト指名され、その後CFL、AAFを経て今回CFCにも出場するようです。現在まだ28歳。
NFLでは活躍できなかったのですがプレースタイルは現在のNFLの最大のスターであるPatrick Mahomesの悪役バージョンぐらいの選手だと思っておいていただければいいです。性格難素行不良も多々あってプロのアスリートとしては成功してませんが、才能レベルではMahomesに劣るとは思えないすごいプレーをカレッジ時代から何度も披露してきた異能です。

またチームオーナーとしてRichard Sherman、Marshawn Lynch、Mike Tysonなどお騒がせ系のアスリートや有名YouTuberなどが名を連ねるなどしてます。本当の意味で出資しているのかFCF側が雇ったのか正体不明ですがとにかくオーナーと言う名で参加して、がやがやさせてなんかお祭りかと思わせるべく努力してる感じですかね。


過去2年のAAFやXFLは野外フットボールで、中身も真面目にフットボールをやっていたわけです。XFLの場合はお気の毒ながらコロナ疫禍に直撃されて観客動員ができずビジネスプランが崩壊。その後を受けて出てきたのがバーチャルな観客しかおらず現実の動員を必要としないFCFというのがさすが動きの早いアメリカだなという感じではあります。この身の軽さやスポード感がアメリカ社会の強みです。アイデアから実現までのスピードは真似し難いところではないでしょうか。
選手たちは既に「バブル」入りしておりシーズン終了までホテル住まいで外部との接触を断って、コンタクトトレーシングをして検査も頻繁とされます。

ついでなので書きますが、アメスポブログを長年やっている私が言うのもなんですが既存のスポーツを真面目にやるだけでエンタメになる時代ってこれからも続くのかな?という疑問があります。
一旦メジャーとなったものはそう簡単には廃らないとは言え、消費者の時間感覚が変わってしまったのに、送り手の方は何十年前から同じことをやり続けているわけで、既存のメジャースポーツだってこの先も安泰とは言えない時代になってきているようにも思えます。今回のFCFはとってつけたようなビデオゲームの世界と現実の融合の試みですが、これを発端にもっと融合が進んだジャンルがどんどん出てくるかもなとも思えます。