Big Tenなどカンファレンスの地盤や投票性向・情勢などについては文字で書くときに、各州の位置関係など日本の読者の方に伝わるのかなと以前から不安に思っていたところでしたのでこの機会にということで図表を拾ってきました。
赤系がトランプ、青系がバイデン、カーキー色が互角。色が薄いほどまだひっくり返る余地ありの州となります。2枚示したのは各種調査結果はかなり濃淡があるのでその雰囲気を味わっていただくために1枚に絞らず複数にしてみようかなと。元ネタはこちら

Sep2
July14


Big Tenのエリアは中央北の水色の多いあたりです。同圏内では西からMNミネソタ州、IAアイオワ州、WIウィスコンシン州、MIミシガン州、OHオハイオ州、PAペンシルベニア州までがこれから2ヶ月で揺れる可能性がある州でしょう。ここの水色州をトランプがいくつかひっくり返えさないと全体で敗戦となります。水色州+カーキー州を丸ごと赤に変えられれば戦況一変です。なぜトランプ陣営がBig Tenを重視するかおわかりになるかと思います。

MNミネソタ州は前項のコメントで指摘頂いた通り1980年代から連続で民主党が勝ってるんですけど近年は激戦で過去の勝敗の結果からするほど民主党の強固な地盤ではないです。今回はBLMの発端となった事件が起こったのがミネソタ州なので投票率が上がることが予想され、投票率が上がるということは強固な支持政党を持たない層の投票が増えるため予想が難しいことになります。
IAアイオワ州はswing stateですが代議員数が6と少ないので選挙全体への重要度は低いです。ここの勝敗が全体の勝敗に関わるようだと史上まれにみる紙一重での決着ということになります。

OHオハイオ州は1964年以来、すべての大統領選挙で勝ち候補を選んでいる、全米の中庸中の中庸、大統領選全体のバロメータ的な州です。オハイオ州で負けて大統領選挙に勝ったのは60年前、1960年JFKまで遡ることになります。日本企業も多い土地ですので繋がりのある日本の方も多いかも。
前回はトランプ。今回はトランプ優勢という予想を出している調査と、まったく互角という調査が入り乱れてます。

でまたOhio Stateフットボールの人気はとても高い。人口の多い他の激戦州はPower 5校が複数校ある場合が多いですがオハイオ州はOhio State一極。同州内のNFLのBengalsとBrownsが揃って弱いのもOhio Stateに人気が集中する要素です。Ohio Stateが春シーズン移行で「事実上CFP今季不戦敗」となるのか、「トランプの尽力のおかげで参戦できる」のかの瀬戸際とも表現できます。
ホントにそんな理由で世界で最も権力のある米国大統領が決まって良いのかと嘆じる方もいらっしゃるでしょうが、現実としてありえない話ではないのが民主主義の怖いところ、というわけです。それが愚民であれ選民であれ一票は一票です。


Big Ten地区以外だとトランプの防戦重要拠点州としてはFLフロリダ州がまったく読めないのと、あとは投票率が上がって南部GAジョージア州を落とす可能性が指摘されています。
ジョージア州は南部の最大都市アトランタを抱えて元々黒人人口は多く、投票率が上がるとその人口構成ゆえ南部の一角が崩れる可能性があるのは過去10年以上指摘されてきている州なんですよね。もしフロリダ州やジョージア州を落とすようなことがあるとトランプはBig Ten=中西部のswing statesを全勝しないと全体で勝ち目がなくなります。この辺は足し算をいろいろするととてもおもしろいのですがさすがにそれは自重。

フロリダ州はSEC校のFloridaがありますが、いわゆる南部とは気質がまったく違う土地柄なので読みにくい。同州は東部出身で隠居で移住してきた高齢者人口が多い。疫禍に最も弱いこの層がコロナ対策で後手に回ったトランプを嫌気するという動きになる可能性がある、とされます。これがあるからトランプさんはワクチン承認→接種開始を投票日前に実現したくて大騒ぎの最中、というわけです。公衆衛生の観点からは危険な行為ですが彼はそんなことにかまっていられない、気にするタイプでもないでしょう。またヒスパニック人口が多い土地柄でもあり、こちらも人種的にコロナに弱いとされ、それが投票行為にどう反映するか誰も読みきれていないという事情と理解しています。