疫禍の毎週日曜日にライブスポーツとして好評をはくしているeNASCARで、おもしろい宣伝をしていました。次週の放送分でNorth Wilkesboroでのレースを放送すると言ってます。North Wilkesboro Speedwayはノースカロライナ州に現存した1945年建造、2011年に閉鎖された古いレース場です。

いまやっているeNASCAR iRacing Pro Invitational Seriesは基本的には本物のNASCARが全米をツアーするのと同期して同じレース場でやってることにしているんですが、次週分は現実には使われていないNorth Wilkesboro Speedwayで。
同レース場は廃墟と化していたのを有志を集めてeSports開発陣が場内をスキャンできる程度までデブリを処理。一般向け商品としては次のサイクル(2020年年末商戦用)に新コースとして追加される予定だったコースだそうですが、これを初のお披露目として次週のeNASCAR放送に使うということです。

本物のNASCARのCup戦で同レース場が最後に使用されたときの優勝者はJeff Gordon。Jeffは今はFOXのメイン解説者として本物のNASCARも、eNASCARでも活躍中で、次週のレースが同所で行われるという発表時に、自分も出場しようかな、とやる気を出してました。なかなか楽しいのではないでしょうか。


これが実現できるのは元のレース場が状態は悪いにせよ残っていて立体スキャン可能だったからですが、これからのご時世は古い建造物を壊す前に3Dスキャンデータを残すのがお作法になっていくかも、という可能性を感じました。
スポーツに限っても旧Yankees Stadiumだとか、King Dome、Silver Dome、Boston Garden、Orange Bowlなんかのデータがあればレトロな会場でeSportsの試合をすることなんかもできたりするわけですよね。いまとなっては手遅れなところがほとんどかとは思いますが、これから先の未来はこういうのがアリになっていくのかなと。有名所の旧会場なら残っている写真も多いでしょうから手間暇かければ疑似的なものは作れるかもですけど。

また試合場部分だけでなく外観やコンコースなども丁寧にデータがあるならそれを再利用する道もまた開けるかもと夢想してしまいます。例えばDRL(Drone Racing League)のバーチャル版が全然良くないと一ヶ月前に不満を漏らしてみたわけですが、そのレースコースの背景を一気にアップグレードしてリアリティを高めることができる可能性が出てくることになります。新しい建物なら設計段階のCADデータもあるでしょうからそっからの流用も(データの所有権の問題はあるにしても)可能なのかもです。


本物のNASCARの方が再来週には再始動の予定で、このeNASCARが主役なのは今週、そしてその来週の廃墟をバーチャル再生したレースがとりあえず最後になるんでしょうが、それもまた良いのでは。飽きられる前に終わっておくとまた次が楽しみですし。