既に従業員を解雇していたXFLが破産を選択、法的処理に入りました。不可避な災厄、しかたのないところでしょう。
XFLは背後に好調WWEを持つだけに、順調でも黒字化に時間がかかるのはわかっていたXFLのビジネスにこうなってまで拘泥する理由が薄い。12−18ヶ月かかると言われ続けているワクチン開発のスケジュールを考えればXFLの来シーズン(2月開幕)も観客が入れられない可能性は高い。さらにここに来て抗体もできない人がいるという潜在的にとてもまずい報道もあり、XFLとしては粘るよりも精算した方がお得という判断があっても不思議ではないところでしょう。

こうあっさりやめられるのはWWEという本来のビジネスが好調であるからですが、他のマイナープロスポーツはそんなにあっさりやめられるわけもないでしょう。
先日トランプ大統領との電話会談に呼ばれたメジャー認定されたスポーツ団体はともかく、そこに呼ばれなかった=事実上マイナー認定されてしまった団体の危機感は高いでしょう。(カレッジスポーツNCAAが呼ばれなかったのは管轄違いもあるか)


呼ばれなかったプロスポーツを思いつく順に列記すると、経済規模が最大のものはボクシングとなります。他はラクロスやインドアフットボール、X Sports、Bull Riding、Big 3、アリーナクロス、アイスショー、女子サッカー、バレーボール、ラグビーといったところ。五輪スポーツは東京五輪の1年延期とセットでどうなるか、それについてはまた別の機会としたいです。

ラグビーのMLRのような零細で10年先20年先の勢力拡大を目指して立ち上げた組織にとっては今回の疫禍は災難。昨年MLLとPLLに事実上分裂した野外ラクロスのプロも選手関係者離散に近い状態になる可能性もありそうです。シーズンが消滅する可能性はとても高い。何度となく立ち上げる話が出ては失敗してきた歴史を持つアメリカ国内での6人制バレーボールのプロ化計画も頓挫となることは確実でしょう。
コロナ後にもボクシングは間違いなく残ってるでしょうが、あとの団体はたぶんどこも財政的にかなり苦しい。ワクチンが行き渡るとされる2年後に再びビジネスを元の軌道に乗せられるかどうか、そこまで組織がもつか。


ボクシングはUFCと違って試合カード発表から実現までのサイクルが長いという慣習がこの環境下では仇になりそうです。UFCが今でも開催にぎりぎりで動き回っているのと比較するとボクシング界の動きは鈍く見えます。もちろんUFCという単一の会社と、ステークホルダーが数多くいるボクシング界では意思決定のスピードに差があるのはしかたないことですが。

私の理解ではボクシングはPPV販売やチケット販売とともに、開催会場のホテルからの多額のキックバックが収入の柱になっている。しかしその部分は今の状況下ではそう簡単には元に戻りません。その部分を外して興行をすれば収益率は落ちる。選手もプロモーターもそのマイナスを飲まずに過去と同じようにビジネスを展開しようとしたらボクシング興行の再起動は遅れるばかりでしょう。試合開催そのものにかかる人員の数は少ないスポーツなのですから発想をシンプルにすれば興行はしやすい(UFCと同程度には)はずなのにそうなっていないのは、興行主の発想に問題がある可能性があります。