MLBのシーズン開始日の候補として独立記念日の7月4日がクローズアップされてきています。
3月31日の段階でカナダトロント市が6月末まで市内での公開イベントの禁止を早々と宣言。現実的には6月以前に今回の疫禍が終息することは考えられないという意味では宣言は驚きではないですが、米国内の首長の多くは大統領を含めてそれを言いたがらず2週間単位で伸ばしたりなど小出しにしているのとは趣をことにします。小出しにしてそれを真に受けている人がいるせいなのか株価がいつまでもズル下がりしている。トロント市のような現実的対応の方が良いのかも。私見では悪材料なんて出尽くしてるんじゃないのか?なぜまだ売る?という気持ちが強いですが。

MLBは30球団25都市圏にチームが存在(Oakland/SFが一体、MilwaukeeもChicagoと一体とみなして)。かなり早い段階で感染が広がったSan Francisco/Oaklandと、それより1ヶ月遅れで今混乱をきたしているNew York、まだこれからが本番と思われるテキサスやフロリダでは当然のことながら終息時期もばらつくはず。すべてのフランチャイズ都市で野球ができるようになるのを待っていると7月初旬でも全然間に合わないだろうという感じがします。
ただ象徴的な意味で独立記念日にMLBのシーズンを開幕させたい、という意向はわかるような。

以前に「独立記念日のMLB」という記事を書きました。毎年独立記念日にはMLBが各地で星条旗モチーフの特別なユニフォームを着用して試合を開催。軍機のフライオーバーもあって特別感を高める日でもあります。今回の疫禍でアメスポがほぼ全滅。どこかのタイミングでメジャースポーツが疫禍からの国の復興の象徴的な意味合いでそのシーズン再開をぶち上げるというのは間違いなく起こるわけです。そしてMLBからしたらぜひそれを自らの手でやりたいであろうと思われます。そしてその象徴性を最高に高めるためには独立記念日は最良の選択、というところまでは読めます。


現実的にはどうか。7月初旬では現在の状況から推定すれば30球団全部でのシーズン開幕は苦しいのではないか。都市によっては終息宣言できるところが出る可能性もありますが、全米で揃ってそうなるとは想像しにくい。いま全米で展開されている外出禁止令は感染を止める手法ではなく遅らせる手法です。ピークを低くして中期戦にもちこみ医療崩壊を阻止したいという意図です。感染スピードを遅らせているのですから当然終息も遅くなる。全都市が揃うのを待っていたら独立記念日の時期なんてとてもとても、というように私には見えます。
もちろんこうやって時間稼ぎをしている間に有効な治療薬が見つかって状況が激変という可能性はゼロではないでしょうし、それはいまアメリカはじめ各国でやってるところでしょうが、選手のコンディション調整も考えてフル規格でのMLBのシーズン開幕を7月初旬というのは相当に苦しいのでしょう。米国内の終息もともかく所属の外国人選手たちが母国に帰っている場合にシーズン再開に合わせてアメリカに再入国できるのかという問題もありますし。日本選手だとMasahiro Tanakaが日本に帰国しているみたいですけど、その時期までに日本の方も落ち着いていないとアメリカに入れてもらえない可能性があります。

というようなことを考えると独立記念日のMLBシーズン開幕という意図と意欲はわかるし、例えばトランプ大統領などは「偉大なアメリカの勝利宣言」みたいなのを好みそうで支持しそうですが、そうはならないかなあと思えます。

フル規格ではなく象徴的に終息宣言できた都市で2チームによる単発エキシビションならどうか。それならありうるかもなあ。でもそれでも他都市へ間違ったシグナルを送るという理由で反対する人はでるかな。