先週末にこのコマーシャルを何度か目にしました。アメスポファンはAaron Rodgersの顔は即座にわかると思います。もうひとりはColin Jost。アメリカの土曜夜の定番コメディ番組Saturday Night Liveの脚本ライターであり、自身も俳優・コメディアンであり、かの女優Scarlett Johanssonの婚約者であったりもする、そういう方です。

このコマーシャル自体はIZOD社のラガーシャツの宣伝です。ラグビーがマイナースポーツであるアメリカ市場でラガーシャツを売るのかぁという、ちょっと珍しい広告です。それもRodgersとJostを起用するというのですから企画コストもかかってるはず。どういう勝算があっての宣伝かはちょっとはかりかねますが、とにかくこういうCMが放映されていたわけです。

おもしろいなと思ったのはこのCMではNFLのスターQBであるAaron Rodgersがラグビーをプレーしたらボロボロにされちゃうという、このイメージです。大げさにやっているのはもちろんそうなのですが、それにしてもアメスポナンバーワンジャンルのフットボールの現役スター選手でもラグビーをやったらボロボロにされちゃうかもというぐらいの激しさのイメージをラグビーにもやっと持ってるのかなというところですね。

対比でいうとラグビーに先行すること30年前にアメスポシーンに次のメジャースポーツ候補として挑戦していたサッカーはその軟弱なイメージにつきまとわれ長年アメスポ市場で苦戦しました。

30年前のアメリカにはサッカーはほとんど試合の放送がありませんでした。ちょうど今のラグビーの試合放送がほとんどないのと同じように。しかしサッカーの例のちょっと触れただけで地をのたうちまわって痛がる滑稽な姿をバカにしたコメディなどはその時代でもいくらでもありました。試合は見ないのにそのイメージだけが先行してしまったのです。そしてそのイメージは長くサッカーというスポーツのアメリカ市場での展開の足かせになったと思います。男らしさを重要視するアメリカ人男性、とくにスポーツファンを公言するタイプの男性には、あの惨めなサッカー選手の行為への蔑視は深く浸透してしまったわけです。それを覆すために長い年月と若い世代の成長が必要でした。

それに対してラグビーはいまも観戦スポーツとしては極マイナーな域を出ませんが、しかしながら試合を見たこともない人たちもラグビーはタフなスポーツだという漠然としたイメージを持っている、それもNFL選手でも大変だというイメージを植え付けられているとしたら、それはラグビー競技の将来のアメリカ市場での発展には大きな無形資産だよなと、今回のCMを見て思ったのでした。


ちなみに間もなく開幕するラグビーW杯日本大会については一般スポーツマスコミではまったく事前報道はありません。そういう大会があることもスポーツファンでも知らない方が圧倒多数であるはずです。W杯が開幕間近で、さらに米代表が出場しているのを知ってるのはよほどラグビーを気にしてる人だけでしょうね。