7人制ラグビーWorld Rugby Sevens Series(全10戦)の今季最終戦がフランス・パリで行われ、フィジーがフランス大会を制覇、年間優勝もフィジーとなっています。年度最終戦であるこの最終日までフィジーと米代表の二カ国に年間優勝のチャンスがあり、パリ大会準決勝で両国は直接対戦。事実上の年間優勝の決定戦が行われたのですが、フィジーが33−14で快勝して文句なしで決着をつけています。フィジーはその余勢をかってパリ大会優勝。

米代表にとっては今年の
World Rugby Sevens Seriesは出世シーズンとなったわけです。過去年間順位で5位が最高だった米代表にとっては今季の2位でのフィニッシュは大きな進歩で、シーズン前の目標だった来年の東京五輪への出場権も確定(4位以上)。より一般スポーツファンの目に留まるであろう五輪の場への登場確定とともに、今季毎大会優勝争いにからむ実力を蓄えての年間2位ということで五輪金メダルが現実的な目標となったと言えましょう。
五輪で金メダルが有望という位置につけたことで来年の五輪前にラグビー競技の前宣伝が米国内で多く展開されるであろう地位も得たと言え、「アメスポの次」を狙う上で今季の好成績はタイミングも上々といえるのだと思います。

フィジーとの直接対決に敗れたのは大きな課題でもあります。今季フィジーとは1勝6敗と完全にしてやられてフィジーに年間優勝争いで逆転されて栄誉を逃しました。これだけ直接対決で差をつけられたのでは年間順位で下になるのも当然。
また米代表は今季10戦で大会優勝は地元Las Vegas大会での1回だけ。フィジーは5大会制覇。年間3位のニュージーランドが2大会、同4位の南アが2大会優勝と。大会制覇回数で上回るニュージーランドや南アを米代表が勝点で大きく上回れ、フィジーとも優勝争いを最後までできたのは年間を通してコンスタントに勝点を積み上げられたからです。全10戦で準決勝進出。その安定度は魅力ですが、さらなる飛躍を目指すには強い相手との大会後半の体力的につらい勝負に勝ちきれるか、という高い課題が残ったことにもなります。

巨視的に言うならばほんの10年前には同シリーズに全戦参加することもできなかったのが、最後まで年間優勝争いをできるようなチームに大きく育ったその長足の進歩を褒めるべきところ。10年前だと米代表も日本代表も実力には大差がなかったはずです。それが米代表は年度準優勝、日本代表は健闘しましたがコアグループから降格という結果になっているわけです。
但し熾烈な露出争いが繰り広げられるアメスポ市場ではそれだけでは十分ではないのも事実。五輪での金メダルを目指してあと1年間でどう強化していくのかが楽しみではあります。


なお日本代表は最終戦に降格争いで奮戦しましたが残念ながら及ばず来季のコアからの陥落が決定しています。降格争いのウェールズとケニアがどちらもパリ大会では奮闘。ケニアは今季初の上位トーナメント進出を決めて第1日に降格争いから脱出成功。日本とウェールズが最終日まで降格の可能性がありましたが、ウェールズが逃げ切ってます。

World Rugby Sevens Seriesの毎大会ごとのグループリーグ分けの仕組みが私はよくわかっていないのですが、このパリ大会では降格争いの日本ケニアウェールズと、優勝争いのアメリカフィジーが別のグループに分けて入れられていたのは各国にとって有利不利がでないという意味でフェアな組分けだなと思いました。