カレッジバスケットボールもFinal Fourを残すのみ。大半の学校がシーズンを終えたことでいろいろ動きが出てます。早くもNBAドラフト入り宣言をする下級生が出ています。上位指名予想される選手はまずもれなく宣言するでしょうからまたその話題は出揃ってからで良いでしょう。

西のバスケの古豪UCLAがKentuckyのHC John Calipariの引き抜きを画策、60歳のCalipariに6年契約を持ちかけたとか。それに対抗してKentuckyの方は引き止めとして終身契約を提示したとか。
この話、両校の状況も考えるとなかなかおもしろいです。

UCLAの方はカレッジバスケットボール史上、優勝回数などで最高の実績を誇るわけですが、こと近年に限ると優良校と呼ぶのは少々ためらわれるレベル。今季17勝16敗でNCAAトーナメントも逃してます。実績が高いことから関係者のプライドは高く、現実から乖離している感じだったのを、Calipariを招聘することで古豪復活につなげたいのでしょう。

先日のNCAAトーナメントの試合でおもしろいことがありました。その試合のTV解説には元NBA Indiana Pacers Reggie Millerが入っていました。その試合の客席にはReggieと同時代のNBAスターだったDikembe Mutomboが息子を連れて観戦中。Mutomboの甥っ子がFlorida Stateの選手なのでその応援に来ていたのです。でそのMutomboの息子Ryan Mutomboは15歳ですが背は既に6'9=206cm。まだどこのカレッジからも奨学金のオファーは受けていないそうですが、それをReggieが試合の合間に言ってタンパリングしたというのを放送中に自分で紹介してました。曰く「どうだい?UCLAのようなプレミア校に進学してみたら?」と。ReggieはUCLA出身です。それを聞いていた親父Dikembeがあの声で「Reggie。Only One School! Only One School」と言ってReggieを追い払ったとか。Dikembeがいう唯一の選択肢とは彼の母校Georgetownのこと。皆、母校愛があっていいねという楽しい話でした。しかし息子本人はその後のマスコミ取材に「North Carolinaに行きたい」と言ってしまったというオチもついてます。
話としては楽しい話なのですが、その中でもいろいろ感じるところがあります。その昔勇名をはせたUCLAでもGeorgetownでも、若い人の意識では今の今強い学校にはまるでかなわないというところが一つ。もうひとつはReggieがUCLAをプレミア校だと言い張ってもいまさら誰もそうは思ってくれないという点。
余計な話が長くなりました。とにかくそんなこんなでUCLAが古豪復活を賭けてCalipariの引き抜きに走ったという話です。

Kentucky側の事情はどうでしょう。少し前にも書きましたが今季のCalipariは明らかに元気がなかったです。一時期毎年全米最強のリクルートで若いスター選手を抱え込んでシーズン前から優勝候補筆頭だった時期とは明らかに違う。これは憶測ですがたぶんKentuckyもリクルートの裏金問題で後ろめたいところがあってそれで歯切れも悪くなり、一時期に比べるとリクルートの質も低下した(とは言えほとんどの他校からすればまだ羨ましいメンバーのはずですが)。
近い将来にそれが露見してKentuckyがNCAAの懲罰の対象になる可能性がある、としたら、CalipariからしたらUCLAに避難した方が良いと考える可能性もないではないです。そこまで見越してUCLAが声をかけたとしたら、移籍がありうるんじゃないか。
さらに穿った見方をすれば、Kentuckyが終身契約をすると言って引き止めたとしても実際に裏金スキャンダルが噴出してしまえば契約解除される可能性があるわけですから終身契約なぞは空手形であるかもしれないわけです。よしんば契約が残ったところで懲罰対象でリクルートの制限を喰って勝てないチームになってしまう可能性もあるので。