Shohei Ohtani選手が日本NPBからMLB Los Angeles Angelsへポスティングで移籍。移籍の過程からしてお金の額にほとんどこだわっていない、マネーゲームの激しいMLBひいてはアメスポの中では相当に毛色の変わった移籍交渉になったようです。自分の感覚を信じて選んだというAngelsでのキャリアが良い物になることを期待したいと思います。  


表題の件。NPBとMLBの大きな差のひとつとして先発投手のローテーションがあります。NPBは6人、MLBは5人で廻す。MLBの方が年間試合数も多く試合のない日も少ないことから先発投手の負担は日本よりも遙かに重い。Ohtani以前にMLBにやってきた日本球界のエースたちも最初に必ず訊かれることは休みが一日少ないMLBで日本でやってきたようなパフォーマンスが維持できるのかという点。これまではできるもできないも、やるしかなかったわけです。公にそれに異を唱えたのはYu Darvishでした。トミージョン手術が必要となる故障があまりにも多発するMLBの現状に関連して、日本風の6人ローテの優位性を唱えた発言だったんですが、ほとんど話題を呼びませんでした。

それとはまったく別のアングルですが、今オフにNew York Metsが先発投手に打順三巡目には投げさせない、という新方針を宣言したというのがありました。先発投手の数は増やさないが先発の負担を減らす・年間の投球数を減らすという意味では同じ文脈かもしれません。黙って4月を迎えたって良かったのに、なぜそれをオフの早いうちに公表したのかな、ということを考えるとなにかMets側に深い考えがあるような気もします。


MLBが6人制ローテを試せないのは一軍のロースターの枠がNPBより3人も少ないことがまず最初の問題。日本では前日の先発投手などをベンチ外とすることでMLBと同じ27人のベンチ入り人数でも6人の先発投手を一軍に維持することができる。MLBはこれができない。これが第1点。

さらにMLBの選手契約形態も6人ローテを難しくします。起用方法が契約に明記された投手が多い。先発型の契約をしたらポストシーズンでもないとリリーフにまわせない。よってローテの選手が欠場するとマイナーから先発投手を引き上げる=一軍には予備の先発投手がいない。

さらに投球イニング数で出来高を決める契約を持つ選手も多い。つまり先発回数が減ると全体として投手の手取りが減ることを意味する可能性が高い。こういう選手の報酬待遇に関わってくる変更は選手会の同意が必要になりそうで球団側が簡単に変えることができるものではない。Metsは本当は6人ローテをやりたかったのに、その辺の理由でそうは公言できないのではないか、という勘ぐりを私はしています。先発の担当イニング数が減るのをカバーするために第6の先発となるべき先発型の投手をベンチ入りさせる口実ではないかと。単なる私個人の憶測です。私の知る限りそういう憶測をしているマスコミ記事を見たこともありません。


6人ローテと言いますが、一年中6人で廻す必要もない。これまで5人で廻してうまく行ってる投手や、春先なら5人で良い。疲労が高まり暑い夏場は6人ということでも良いはず。

で、Ohtaniです。彼がふれこみ通りに投打で活躍できたとしたらですが、MLBで6人ローテを採用できない第1の問題は解決します。狭いMLBの1軍ロースターに打者扱いでOhtaniを入れて、実際には彼を含めて6人の先発投手を持つことが可能になるでしょう。投打両刀という特殊事情でもあり選手会も静観することでしょう。実際に6人で廻すことになっても異変に気づきもしないかもしれない。

で、もし夏場になってAngelsの6人ローテが成功しているということになったときが見物でしょう。大半は新人のOhtaniの特別な起用方法に目を奪われるでしょうが、それが落ち着いた後「ちょっと待て、6人ローテ、いいんじゃないか?」という話が出てくるようだとMLBの変革へ繋がっていく可能性を感じます。そう簡単な話ではないですが、突破口になる可能性はあるんじゃないかと。