テニスのUSオープンが始まっています。今日初日の目玉試合はメジャートーナメントに18ヶ月ぶりに復帰したMaria Sharapovaの一回戦。相手は第2シードのSimona Halep。なんでも過去の両者の対戦成績はSharapovaの6戦全勝とか。結果は熱戦の末、Sharapovaの勝利。満員のメインスタジアムの観客総立ち、一回戦に勝っただけなのに優勝でもしたかのような騒ぎです。Sharapovaも勝った瞬間にコートに伏し、涙。試合もおもしろかったし、放送したESPN2にとっては狙った以上の放送になったのは間違いないでしょう。
でもこれでいいんでしょうか?Sharapovaが欠場していたのはケガではない。ドーピング発覚での出場停止処分です。そういう選手が帰ってくるのが話題になるのはわかりますが、諸手を挙げてお帰りなさい!ヒロインの帰還のような扱いでいいものなのか。
試合の途中に他の選手たちのTwitterが紹介されていて、Sharapovaへの痛烈な批判を表明する選手もいたのですが、その辺は適当にスルー。解説のChris Evertも「彼女はテニス界の財産」などとまで言ってしまう始末。
考えてもみてください。例えば過去のMLBのドーピングがバレたスーパースター選手たちの状況を。Barry Bondsが、Mark McGwireが、Sammy Sosaが近いところではAlex Rodriguezがどういう扱いになったかを。殿堂入りは完全に否定され、残した輝かしかったはずの数字も眉唾ものとされている惨状です。彼らを「野球界の財産だから」などと言って臆面もなく擁護した人はいなかった。本当は彼らは野球界の財産だったのです。少なくとも私はそう思います。少なくとも全否定はやり過ぎかもしれないと思う面があります。(特に初期の違反者はルール整備が遅れていた時期に「違反」した選手たちは本当は違反でもなんでもない、とすら擁護できます。ルール整備が進んだ後でもそれを進んでやったA-Rodは初期の「違反者」とはちょっと訳が違う。)
ただドーピングの撲滅のためにはそれぐらいの厳罰が必要だという理由で彼らが全否定の対象になっている、という理屈も十分にわかるので、殿堂入りを許せとかそういうことは思わないんですけど。
で、それと比較して今夜のSharapova大歓迎の大盛り上がり、いいのか?ということです。なぜMLBのスターはダメで、テニスのスターはOKなんでしょう。女性だからですか?美人だから?どうも理屈がわからないです。テニスのプロツアーのドーピング検査態勢がどういうことになっているのか知らないのですが、色々疑問を感じる試合後の状況でした。
試合内容はおもしろい試合で楽しめましたし、Sharapovaの衣装もあーこれは売れそう(対してHalepのウェア、あれはひどい…注目の試合でコレかという…)などいろいろとエンタメ度は高い一回戦だったと思います。
最近日本ではサプリメントの異物混入や、海外産牛肉のジルパテロール、のど飴のヒゲナミン問題がありました。
https://tf-ver3.blogspot.jp/2017/08/blog-post.html
http://vox.hatenablog.com/entry/2016/04/22/185301
https://www.fizz-di.jp/archives/1063680877.html
これらを避けることってほとんど運のような気がしますが、アスリートには求められるわけです。過去には五輪ボランティアが処方させた薬を摂取したために失格になった選手もいました。
ドーピングをしてもスポーツの価値が下がるとは思えません(むしろパフォーマンスが上がり面白くなるかも)。
フェアプレイという話なら国によって施設や補助が違う時点でそもそもフェアプレイではないですし、全ての選手が薬物使用可能ならフェアです。
健康を害するという話も用法用量によるでしょう。普通の治療行為ですら薬物検査には引っかかるのですから。
MLBとテニスの話ですが、競技団体が違えば対応も違うのでしょうね。幾つかのマイナー競技団体はそもそも薬物検査しませんし。実際のところ、客は選手がドーピングしてようがしてまいが盛り上がればいいのではないでしょうか。