ESPNはアメスポの最大手ケーブル局。多数のサブチャンネルも持ちESPN系列を抜きでアメスポは語れません。ほぼ全てがスポーツの放送・報道なのですが少々の例外もあります。この日曜日にビデオゲームストリートファイターの決勝大会(EVO World Championship)の放送がESPN2でありました。これはかなり目新しい試みです。ビデオゲームの大会の中継は過去にゲーム関連のチャンネルであったので放送自体は珍しくないですが、ESPNのナンバー2局であるESPN2というベース視聴者の多い局で、スポーツ局でというところが珍しい。先日も少しバーチャルリアリティとスポーツのことに触れましたがそちらへの序章のひとつかなという感じもします。今回の放送のクライマックスへ向けてESPN系ではMadden NFL 2016優勝戦、Heros of the Dormトーナメントの総集編なども放送して視聴者にゲームの実況中継というESPN系にとって新しい試みである放送をサポート。最終的にどういう反応が視聴者から返ってきたのか、今後の同系のTVイベントにスポーツ最大手のESPNがどういう手応えを得たのか興味があります。
選ばれたゲームがMadden、ストファイとそれなりにスポーツ色のあるゲームなのでESPNも手探りなんだろうな、という感じはします。
ESPN系列で非スポーツの人気番組というとWorld Series of Pokerというのがあります。あれもスポーツではないですがESPNの固定視聴者の多さという局自体の強さ、編集のうまさもあって人気番組になりました。Texas Hold'emというポーカーのスタイルを一気に全国区の標準型にまで高めた番組です。その後他局も参入して有象無象そこらじゅうで放送しています。World Series of Pokerはブランド化したもののポーカー番組を独占することも人気プレーヤーを囲むこともできず、という結果に。
今回のe-Sports(と総称)放送への初の本格参入はポーカーと違って囲い込みは(もしESPNが望むなら)比較的しやすそうではあります。それ以前にESPNの番組として受け入れられるのかどうか。
またESPN系列が新しいジャンルをさらに欲していたんだなという点でも興味深いです。夏場は確かにメジャースポーツはMLBだけ。MLBは週三回の定時放送以上には増やせなさそうな中、夏序盤にCollege World Series、夏の終わりにLittle League World Seriesがあって、野球はほぼそれでいっぱいいっぱいか。サッカーの欧州選手権が今年はありましたがサッカーはスポーツファンの中で好き嫌いが激しく見ない人はまるで関心がない。そもそもEUROは時差もあり昼間の放送が多数でプライムタイムには無理。この時期になると欧州のトップクラブが毎年のアメリカ遠征ツアーを行い、その放送もありますがそれは所詮プレシーズンの小手調べ。欧州では人気の自転車ロードレースはどうにもアメリカではウケない。カレッジスポーツは夏休みなので将来にわたってもこの時期にはコンテンツを作りようがない。ESPN自前でX Gamesというコンテンツは作ってそれはそれで成功したもののせいぜい数日間の穴埋めでしかない。多局化展開しているESPN系列だけにコンテンツ不足はこの時期慢性化しているということになる。その結果、いままで手を出したことのないe-Sportにも進出してみることになった、ということなんでしょうね。