総合格闘技MMAの最大手UFCのライトヘビー級王者Jon Jonesがネバダ州のスポーツ管理当局による薬物テストに引っかかっています。本人もコカインの使用を記者会見で認めています。但し本人は中毒者ではないと否定。このニュース、反響がアメスポ内でも薄いんですがどうなんでしょうか。
麻薬の問題はアメリカ社会と切り離せない大きな問題です。この問題はアメリカに定住してしまった私と日本の一般的な方々とでは相当問題意識に差があると思うので、わかりにくい部分もでるかと思いますがご容赦ください。
まずスポーツビジネスの側面の方から。UFC・ジャンルとしてのMMAが明確に頭打ちになってきているこの時点で人気王者だったJon Jonesがコカイン使用発覚というのはUFCにさらに重いボディーブローとして効いてくるのかもしれません。本人は常習を否定していますがそれが信じられるかどうかというと、信じるべきものではなく本人がこれからの継続的な検査で更正を証明していく以外ありません。コカイン以外の違法薬物の使用については記者会見では大学時代にいろいろ試したとして具体的に何を試したのかは明言せず。UFCがどういう処分をするのか。人気王者だっただけに選手生命を絶つことはしないような気がします。それにコカインぐらいなら…という人もけっこういるしなあという。
PEDなど成績を伸ばすための薬物使用はあくまでスポーツ世界のルール違反であって、今回のような麻薬等の違法薬物の使用とは次元が違うのですが、PEDの方は大きな話題になるのにより大きな問題のはずの麻薬事件なのにマスコミの関心が薄そうなのがどうなのかなと。
アメリカに住んでいると誰それの親族がヘロインで家も車も売って全部ドラッグにつぎ込んだとか普通の子が麻薬のために売春に走ったとか行方知れずだとか言う話が流れてきます。他方ソーシャルメディアで薬を売り込みしてくる大馬鹿者もいます。もちろんダミーアカウントでしょうが。街中にはいくらでも売人がいます。ひどいものです。いや本当に。日本からアメリカへの留学生は近年減ったようですが、留学中に薬に引っかかって大変な状態になって日本に送り返されてからも止まらずという例も存じてます。
現在アメリカで最も大きな問題薬物はヘロインです。ざっとの話ですが統計上ヘロインにひっかかった人は9割方以上もう二度とまともな人生に戻れません。これは統計上の事実で、なんとか常習を断った人も心の中で常に葛藤している状態、常に我慢している状態とされます。受容体ブロッカーも既にあるんですが、そのブロッカー自体も常習性があって毎日摂取しなくてはならず…とキリがありません。ヘロインよりマシというだけです。そしてそういった患者を扱うクリニックの外にはドラッグディーラーが徘徊して元常習者をまた元に戻そうと活動します。そういうことでヘロイン禍は大変な社会的コストであり、家族にとっても悪夢の事態が全米中で蔓延しているわけです。
そういうヘロインという最悪の存在があるので「コカインぐらいなら」という意識が広がっているのがいまのアメリカなわけです。それがある種の常識になってきているのです。そういう背景があるので今回のJon Jonesも取り立てて大げさに謝罪するわけでもなく淡々とコメントを残して悔いるわけでもないということになるんでしょうね。
そういうお国柄なのでコカインよりさらに健康問題が少ないとされる大麻=マリファナは当ブログでも何度か取り上げた通り解禁論議が進行中。日本とは足切り点が全然違ってしまっているのです。
強調しておきますが日本の方が絶対いいのです。日本のダメ絶対的なキャンペーンはいまの日本の常識と現状においては間違いなく正しいので、ぜひぜひそのラインを死守していただきたいです。後戻りは効きませんので。大麻開放論者などの嘘に騙されないようにされてください。間違いなくゲートウェイドラッグとして機能してしまいます。今のアメリカのようになってしまうとどうしようもないのです。