毎年のことですがカレッジフットボールシーズンが終わった最初の土曜日はうつろな気分になります。Army x NavyとかFCSのプレーオフ(けっこうおもしろかったです)はあるにはあるんですが、やっぱり違うんですよねえ。カレッジフットボールの怒濤の一日40~50試合開催の勢いは独特のものがあります。

でレギュラーシーズンが終わったこの週末はHeisman賞発表の日でもありますが、今年はもうOregon QB Marcus Mariota以外はあり得ない。昨年までの数年の受賞者であったRGIII, Johnny Football, Winstonあたりだと何を言い出すかわからない意外性も期待されましたが、真面目人間で物静かなMariotaではそういう楽しみも少なめなのが予想され見ていませんでした(受賞後のスピーチがとても良かったとか)。

では何を見ていたかというとNHLホッケーとカレッジ女子バレーの準々決勝です。NHLの方はたまたまその時間帯にやっていた試合が大変盛り上がった好試合(Pittsburgh Penguins@Columbus Blue Jacket)。ケンカあり華麗なショットありペナルティショットあり追いつ追われつの試合展開終了間際の同点ゴールあり延長戦でのパワープレー合戦ありと盛りだくさんで、しばしカレッジフットボールのない土曜日の鬱を忘れさせてくれました。

バレーボールの方は準々決勝四試合のうち三試合はその地区の上位シードが顔を揃えていて順当なカードだったのですが、一試合が共にアップセットで準々決勝に残ってきた試合でした。No. 19シードNebraska x ノーシードのBYUというカード。Nebraskaの女子バレーボールについては当ブログでは何度か紹介しています。カレッジバレーボールで全米二番目に観衆を集めるのがこのNebraska。平均動員で4,200人ほど、多い試合だとアリーナ超満員の8,500人も動員するという、バレーボールがマイナースポーツであるこの国としては異例の人気を誇ります。ちなみに全米一動員を集めるのはHawaii大の一試合平均6,700人。動員面から注目して今季もNebraskaの試合は何試合か見ていたのでなんとなくNebraskaを応援しているような気分で見ていたんですが、結果はBYUの完勝3-0。ノーシードからシンデレラ驀進でFinal Four到達です。

でおもしろかったのがこのBYUチームに女子プロバスケWNBAの選手がいること。Jennifer Hamsonという選手なんですが、昨年はBYUのバスケチームで活躍して同校にとって史上初16強まで進出。シーズン後WNBAドラフトでLos Angeles Sparksが指名。Hamson本人はバレーボールもやりたいということで学校に残りレッドシャツシニアとしてバレーボールの今季に臨んだとか。BYUはノーシードですからレギュラーシーズンの成績はそこそこだったはずですがなぜかトーナメントに入ってからチームは咬み合ってアップセットの連続で同校に昨季のバスケ以上の成績をもたらすことになりました。この選手、とにかく大きいです。背高いのではなく全体が大きい。そのサイズに似合わない俊敏さでアタックを打ちまくって勝利に貢献。バスケの方でどういうプレーをしているか知りませんがこの俊敏さとスタミナぶりでこのサイズならWNBAでも活躍できるのか。複数スポーツのアスリートの話は私はとても好きです。

その他でおもしろかったのは準々決勝のある試合で解説者が女子米代表監督のKarch Kiralyだったこと。現役選手時代は米男子の五輪優勝チームの主力だった選手で、まだ日本で男子バレーボールが人気があった時代に米代表のスター選手だったので日本のスポーツファンでも覚えている方がいるかもしれません。このKiralyさん、解説がうまくて端的で、また声の質がなかなか色っぽい色男風でとても良かったです。現在は米女子代表監督ですからカレッジ女子のトップチームの試合を見て将来の代表候補をじっくり観察できて、現場で有力選手に声をかけてコネ作りもできる。そして解説でもお金も貰えるという一石二鳥の仕事です。

バレーボール女子代表は今年Kiralyの下で初めて三大大会に優勝したばかり。2016年のリオ五輪での優勝を目指します。観戦スポーツとしてはマイナースポーツであるアメリカのバレーボールを一つ上のレベルに引き上げようという努力がなされている中でKiralyは最大のキーマンと言えるかもしれません。