アメスポの人気ナンバーワンNFLと第二位ジャンルのカレッジフットボール。それぞれが独自の発展をしている面が強いわけです。その二強ジャンルによるスタジアム共用についてお題をいただきました。
なぜ大学チームがNFLスタジアムを間借りして、独自のスタジアムを持たないのか?こういう疑問が出てくること自体、カレッジフットボールがどれほど盛んかの証明な気がします。カレッジ各校が独自でスタジアムを持っていて当たり前と感じられているわけですから。
カレッジとNFLのスタジアム共用の例としてコメントで指摘いただいたのがUMassのGillett Stadium (New England Patriots), Pittsburgh PanthersのHeinz Field (Pittsburgh Steelers)そしてTempleのLincoln Financial Field (Philadelphia Eagles)。それ以外に私がぱっと思いついたのはMiami-FLがDolphinsと、South FloridaがTampa Bay Buccaneersと、あとTulaneがNew Orleans Saintsと同居している事。そんなところかと思いましたが、調べて見たらもう少しあるようです。San Diego StateがChargersと同居。さらにはTennessee TitansのLP FieldがTennessee Stateと共用というのはFCSの学校なのでまったく知りませんでした。Georgia DomeのメインテナントがAtlanta FalconsでSun Beltカンファレンス所属のGeorgia Stateも同所を利用しているそうです。
カレッジフットボールの人気校のスタジアムは10万人超のものをいくつか含めてNFLのそれを収容人員で大きく上回ります。カレッジの方の動員トップ32校(NFLのチーム数に合わせて)とNFLの動員を比較すればカレッジの方が圧倒的に上回ることは確実です。足し算をしてみるまでもありません。箱の大きさが圧倒的にカレッジの方が大きいのですから。
で、ではなぜそういうカレッジフットボールの世界でNFLスタジアムに同居してみようと思う学校が出るかというと、それは結局は立地の問題でしょう。基本的な話としてカレッジの巨大スタジアムの立っている街というのはカレッジタウンで都市機能が大学自体を中心に成り立っている場合が多い。そういうカレッジタウンではスタジアムこそがコミュニティの象徴的存在でもあるわけです。逆に言うと巨大カレッジは大都市近辺ではない場合がほとんどです。例外と言えるのはOhio StateのColumbus市の人口が比較的大きいのが目立つぐらいでしょう。
対してNFLはほとんどが大都市圏にその本拠地がある(Green Bayのみ例外)。都市人口が多いわけですから当然のNFL所在地市内にも大学はあるんですがそういうところにはあまりフットボールの強い学校はないんです。
それがたまたまなのか、非大都市圏の広大なキャンパスを持つ学校がコミュニティとして成立するには強い求心力が必要でそのためにフットボールに力を入れたから強い学校はカレッジタウン型の学校ばかりになっているのか。いずれにせよNFLのチームのある都市に強い学校はあまりないのは事実のように思われます。
数少ない例外を拾ってみるとスタジアムこそ共用していないですが例えばGeorgia TechはAtlanta市のど真ん中にキャンパスがありますし、Minnesota Golden Gophersは長年VikingsのホームMetro Domeを共用していました。こうやって挙げていくとGeorgia Tech, Miami-FL, Pittsburgh, Minnesota, 触れてませんがUSCといったところが都市型キャンパスを持ちながら全米制覇したことのある学校ということになります。
Miami-FLは五度の制覇(Alabama, Notre Dame, USC, Oklahomaに次いで優勝数5位)とカレッジの歴史上の強豪でありながら自前スタジアムを持たない学校として特異と言えます。ホームだったMiami Orange Bowl Stadiumが取り壊されたのが2008年で、その後はDolphinsのSun Life Stadium(移った頃は別の名前だったと思いますが。あそこはコロコロ名前が変わるので)に同居。但しMiami Orange BowlがMiami-FLの単独のホームだった時代は1987年からの約20年間。その前はDolphinsもOrange Bowlでプレーして同居したいたのです。同居→別居20年→同居ですね。
21世紀初頭のMiamiの全盛期の後を継いでカレッジフットボール界を席巻したUSCは近年はNFLと同居しようにもNFLのチームがLAにはありませんから同居のしようがない。RaidersやRamsがLAに在った当時は同居していました。
質問をいただいたPittsburghはどうかというとTony Dorsetを擁した1976年が最後の全米制覇とかなり昔の思い出という感じになってきているのですが、地元ではまだ強かったと認識されているんですかね。Minnesotaの全米制覇も大昔の話で当然私も知りません。Georgia Techの優勝時は覚えてます。
こうやって見ていくと都市型キャンパスの学校は強いところもあまり自前のスタジアムにこだわらずNFLとの同居を選択しているところが多いみたいですね。Pittsburghについて言えばNFL SteelersがNFL屈指の人気チームであるのでPittsburgh大の方が独自にスタジアムを持つのはリスクが多すぎるという判断もあるのかもしれません。いまのHeinz Fieldが建つ前のThree Riversの頃から同居を選択しているわけですから。
そして、スリーリバーススタジアムが竣工する以前、確か、チャック・ノル時代にできあがったと思いますが、それより前は、スティーラーズがPittのスタジアムに間借りしていたという話を読んだ記憶があります。
それを踏まえた上で申し上げますと。
ピッツバーグは、ハインツフィールドもその前のスリーリバーススタジアムも市街地の中心で、ピッツバーグ大とは目と鼻の距離にありますからね。ちょっと離れた郊外に大きなスタジアムを作ったところで、イマサラ感があるのでしょう。むしろ、逆に、今ビッグ10に加入して、ペンステートやオハイオステート、ミシガンと毎年対戦するようなことになったりしたら、「10万人入るスタジアムが欲しい」という考えが湧いてくるのではないでしょうか。