個人的にプチ盛り上がっているラクロス世界選手権デンバー大会は準決勝を終え、あと二日を残すのみ。三位決定戦と決勝だけでなく、順位戦もまだ多く残っており上位国だけでなくほとんどの参加チームがまだ試合を残しています。日本代表はスコットランドに延長戦で敗れて7位決定戦に回ってイスラエルとの対戦が最終戦に。スコットランド、イスラエルとも今大会は過去の成績を大きく上回りイロコイやオーストラリアという3位を目指すチームを脅かす試合を展開。日本代表は次回大会で最上位ディビジョンから転落する(今大会と同じ形式なら)ことになるのか。米加に迫るチームはそう簡単には出てこないでしょうが、その下の3位争いのできるチームはこれから激戦になっていきそうです。日本代表にとっては次の四年間は踏ん張り所か。

この大会に私が惹かれるきっかけになったのは四年前の前回英国大会の決勝戦の放送を見たからです。それが気になっていたところに、その後プロラクロスのMLLの試合放送が急に増えたこともあって試合を見る機会が増えました。見慣れてくると徐々に見やすくなってくる。ときどき当ブログにもラクロスネタを書いていると意外にも反響があり続けて見ていくことになり、四年後の今、楽しくデンバー大会を見ているというわけです。このようにしてファン層というのは広がっていくものなんですね。前回大会は決勝のみ放映だったのが今回は放映試合も多く、私がハマったようにふーんラクロスもおもしろいかも?と思った人が今大会でも人知れず増えたことでしょう。今大会は米国での開催ということもありESPNUが放映に手数をかけてくれましたが2018年次回大会はまたイングランドでの開催。どういう放映態勢になるのか。

それはともかく表題の件です。マイナースポーツの世界大会の順位戦というのはなかなか良いものだなと思ったという話をしてみたいと思います。これはラクロスに限らず、セブンスラグビーなどでも採用されている大会形式です。女子サッカーのAlgarve杯もそういう機能をもっていますし、少年野球のLittle League World Seriesも少し形式は違いますが既に敗戦したチームに追加の試合の機会が与えられています。

スポーツの世界大会が世界一のチームを決めるという単一目的で開催される場合、次々と敗れたチームは大会を去ることになります。いわば弱者排除型です。私もそれが普通だと思っていました。が、順位戦を多く組むというやり方をすることで世界大会が世界一決定戦として以外に、下位のチームに多くの強化試合の機会を提供するという機能を持つことになっているわけです。弱者への機会提供型とでも言いましょうか。ラクロスの場合は特にトップチームとその他のチームの力の差が極端に大きく、まともに総当たりのような事をすると虐殺試合が多発してスポーツの普及どころか負けた方の競技への意欲を失わせるマイナスの機会となってしまうわけです。その点を鑑みて現実的に勝負にならないレベルの違うチームは別枠に入れて、下位チーム同士は優勝と関係ないところで切磋琢磨してください、という運営形式にしたのがこの順位戦型の世界大会です。マイナースポーツであるため各国代表は予算も少ないし国際試合を組む機会もめったにない。その事情をカバーするためにせっかく皆が集まる大会を排除型ではなく機会提供型にしたというわけですね。機会提供型にすることで大会への参加国枠も増やすことができるようになっています。今大会は過去最多の38カ国の代表が参加。アフリカから初の参加となるウガンダ代表が元気と思い切りの良いプレーぶりで現地での人気者チームとなっているそうです。ウガンダ代表というとLittle League World Seriesにやってきた少年野球団のことを思い出します。あの子達もとにかく明るいのがとても良かったのですが、今回のウガンダ・ラクロス代表もやたらと明るい選手達で、明るさと積極性というのは人をひきたてる魅力だなあと思わされますし、全く違う野球とラクロスチームでどちらもこれだけ明るい選手たちがやってくるのだからウガンダという未知の国への好感も増します。

話を元に戻して世界大会の運営方式としての順位戦があるゆえに最下位に近い国の対戦も続いており、ウガンダ代表も昨日初勝利をあげ、明日33位決定戦に臨むようです。こういう形の世界大会なら参加各国が楽しめるし同じレベルのチームと戦って競技の魅力に触れられる。同時に強いチーム同士の試合も隣のグラウンドでやっているからそれを見て、ああこうやるのかという発見もできる。参加国が大会の最後まで一緒にいられるのも良いじゃないですか。どのスポーツが最初にこの手の世界大会の運営方式を編み出したのか知りませんがラクロスの現状に合ったとても良い形式だと言えると思います。