今回の記事は憶測が多いです。ほぼ憶測なのでそのように読んでください。


Biogenesis社の元社員の証言として同社のクライアントとしてNBA、大学スポーツ、プロボクシング、テニス、MMAの選手たちがいた、という話が出てきています。この元社員の知る限りでは同社の顧客にNFLとNHLの選手はいなかったのこと。

Biogenesis社に類するクリニックは他にも存在している・いたわけで同社の顧客にいなかったからNFLやNHLがクリーンだと論ずることもできないですし、MLBやNBAが汚染されているという話に直結するわけでもないですが、そういう実態もあったという話です。

テニスというのはかなり目新しい証言です。わざわざマイアミのクリニックからPEDの供給を受けるということはアメリカをベースとしている選手でしょうね。連想されるのはここ数年急な復活劇を遂げたあの女子選手あたりでしょうか?MMAはPEDが蔓延しているというのは以前から言われていることですが、ボクシングもそうなんですかね?こちらはあまり聞いた記憶がありません。体重での階級制限の細かいボクシングでは筋肥大は必ずしも得になるとは限らないような。サッカーや自転車ロードレースなどと同じく持久系のスポーツですからPEDといっても血液ドーピングの方が効果的なのではないでしょうか。


テニスと並んで目新しいジャンルとしてここで取り上げられているのが大学スポーツ。大学スポーツもフットボールは巨大ビジネスとなっていますからPEDに投資してでも成績を上げたいという気持ちはわからなくもないです。但しPEDは安いものではないですから選手個人で購入するのはスポンサー(親を含む)がいないと難しいのではないかなと思われます。


そこで表題です。マイアミ市の南郊外に位置するUniversity of Miami。21世紀初頭にはニア二連覇、ニア三年連続BCS優勝戦進出とカレッジフットボール界を席巻したチームです。その前後に大量の優秀選手をNFLへ輩出。NFLドラフトでの数々の指名記録を塗り替えていた存在です。NFL内でもその勢力は強大でこういう他を寄せ付けない記録も持っています。そのMiami Hurricanesがここ数年がっくりとその成績を落としています。Miamiはフットボールでも強豪校ですが、実は野球でも全米的強豪。こちらもほぼフットボールを軌を一にしたタイミングで大きく成績が下降しています。

何が言いたいかというとMiami Hurricanesが学校ぐるみで生徒にPEDを供給していた可能性を考えているわけです。推測です。憶測です。完全に憶測ですが状況証拠だけならいくつもあります。Biogenesis社のあるマイアミ市から遠くない学校でフットボールをやっているのはMiami HurricanesとFlorida Internationalしかありません。Florida Atlanticも通える範囲内か。FIUとFAUはFBSの下位校で徐々に力を付けてきているところ。Hurricanesだけが全米トップ校から滑り落ちています。今回の社員からの情報リークで大学チームが顧客だったというのが出てきてまず一番に疑われるのはMIamiのフットボールでしょう。

Miamiが全米戦線を荒らしまくっていた時期によく言われたのはMiamiは三つ星以下のリクルートをスター級に育ててくるのがうまいというのがありました。☆5つの最強リクルートも入ってくるには入ってくるのですが、それ以外の選手の底上げが他校を圧倒していたので強かったんですね。当時は育て方がうまいという表向きの評価でしたが、いまこうなってこういう目で見てみると、ひょっとしてこれはPEDを学校ぐるみで提供していたのではないのかという疑いがあるかもしれない。

ほぼフットボールと同時期に成績が下降した野球の方ですが、こちらはまずRyan Braunが同校出身です。さらにMLBで選手生命が絶たれる可能性が取りざたされるAlex RodriguezはMiami Hurricanesの積極的な支援者で同校の野球場の改装にも多額を寄付したのでAlex Rodriguez Parkと命名されています。A-Rodは毎年オフシーズンのトレーニングをマイアミ地区で行っており、ある年はトレーニングパートナーとして同校の現役選手だったYonder Alonso (その後Cincinnati Redsドラフト指名、現San Diego Padres)を指名して毎朝トレーニングに励んだようです。A-Rodはプロ入り前にMiami進学を考えていて、ドラフト指名を受けて学期の始まる直前に翻意したのでNCAA記録上はMiamiの学生だったことはないですが、実際にはほぼ母校のような緊密な関係になっています。Miamiの野球の方は豪打で過去はならしたものですが近年はとにかく打てない。まったく打てない。これを状況証拠とするのは無理があるのは承知していますが、とにかくそういう事実はあるのです。