MLB Milwaukee Brewers Ryan BraunへのPEDの処罰が発表になりました。PED関連の処分は労使間の取り決めがあり、これまでは初犯50試合出場停止、二回目100試合、三回目永久追放の三種類しか処分は存在しませんでした。今回のBraunへの処分で最も目立つ点が今季残り試合(プレーオフを含む)の出場停止という内容だったことです。Milwaukeeは処分が発表された時点(=昨夜の試合を含まない)で97試合消化、従ってレギュラーシーズンで65試合の出場停止処分ということになります。Milwaukeeは現在NL中地区最下位19ゲーム差、ワイルドカードを考えても現実的にはプレーオフの望みはほぼなくチームにとって都合の良い処分となったと言えるかと思います。どうせもう今季はトレード期限に向けて選手を処分しに回る側ですからBraunが出場しようがどうであろうがそれはもうどうでもいいことでしょう。
Braun本人の方は2011年のオフシーズンの最初の疑惑がかかったときに「真実は我にあり」「自分は完全に無実」と高らかに勝利宣言してMLBや検査員を真正面から非難してしまったのに、いまになってごめんなさいと言っても言葉の軽さが悲しいだけですが、とにかく今回は全面降伏することで出場停止は今季に限定され、来季は新たなスタートを切れるという処分で済みました。しらじらしく嘘をつき続けたことが白日にさらされたわけで今後人間性を疑われ続けることになりますし、どれだけ成績を残しても殿堂入りは苦しいということになるんでしょうが、とにかく現行の契約の残り部分のお金は稼げることになったようです。
上記でリンクした当ブログの記事はなつかしいです。Braunの潔白主張に同調してしまった人はMLB関係者・ファン含めて多数いたはずで、それらのファンを裏切ったことになるBraun、今後の選手生活はどうなるんでしょうか。ウィスコンシン州のスター同士で友人関係であるNFL Green Bay PackersのQB Aaron Rodgersも恥をかかされた一人ですね。Braunの潔白を訴える強い擁護コメントを過去に出しているんですが、今回のBraunの陥落・自白を受けてのコメントはまだRodgersからは出てません。なんでもBraunとRodgersは共同経営のレストランも所有しているそうで、状況によってはジョイントベンチャーの契約の解約などにも響くことになるので軽々しく言えない部分もあるのかもしれません。
今季のBraunの最終成績は61試合出場 225打数67安打.298、9本塁打38打点。ホームランを162試合換算すると15本程度。MVPに輝いた2012シーズンの33本、昨年の41本から激減です。二塁打も大きく減っており、打率こそ3割近辺となりましたが(但し規定打席には足りません)飛距離ががっくり落ちたことは否定しがたいようです。薬がないと飛ばないんだなあ…という単純な事実をまた見せられたことになるんでしょうか。
さて表題の件ですが、Braun以外にも何人も今回のBiogenesis社からPEDを提供を受けていた選手はいます。昨年の疑似首位打者Melky CabreraやNew York Yankeesの大物Alex Rodriguezも近い将来に処分を受ける可能性が高い。Braunの処分はBrewersがペナントに絡んでいないのでほぼ個人への処分ということですが、プレーオフ争いに絡んだ選手の処分を先行しなかったのはなぜか?という疑問が残ります。つまり違反者・処分予定者がBraunの処分後もプレーオフ争いのチームに貢献してプレーしているわけです。もし処分者がBraunに遅れること数週間の間に活躍してチームがプレーオフに滑り込んだら、なぜプレーオフに関係のないBraunの処分を先行したのだ?という疑問が沸くはずです。
該当者にはつい先日オールスター戦にも出ていたJhonny Peralta (Detroit Tigers)、Oakland A'sの快進撃を支えている13勝3敗Bartolo Colon 、Texas RangersのNelson Cruzなどがいます。なぜBraunの処分を先行したのか。なぜ優勝に関わるこれらの選手の処分を後回しにしているのか。
ここからは完全に推測ですが、Braunをまずは晒し者にしてアンチPEDキャンペーンの宣伝効果を高めることを狙ったと考えるべきなのではないでしょうか。2011年末に捕まえたのにすり抜けた(たかがうまく逃げただけなのに勝利宣言までした)Braunをまずはさらし首処刑というところと読みます。
同時にBraunの処分が比較的軽い(と私は思います)65試合の出場停止にしたことで、他の容疑選手たちに同様の残りシーズンの出場停止をすんなり受け入れるよう誘導しているのだと読むこともできるでしょう。(繰り返しますが労使間の合意通りなら初回の処罰は50試合出場停止のはずですから、合意通りに50試合じゃないのはおかしい、という違反選手側が抗弁することは可能です。二度目の違反の選手は問答無用の100試合から削減されるかどうか疑問)
ちなみにBraunの処分が確定して、残る最大の大物であるA-Rodに関してはリークされているところによればBraunよりも罪状が悪質かつ証拠も多いとされこちらは残り試合の出場停止で済むかどうかわからない。勝利宣言でMLBの顔につばを吐きかけたとも言える情状からすれば比較的軽い処分で済んだBraunの次には、A-Rodには大きめのペナルティが発表されるという可能性があります。小物選手たちのそれぞれの処分はその後かもしれません。
以前もMiamiClinic関連で質問したのですが、この案件は「いつ」提供・使用したことへの処分なのでしょうか?2011年使用したこは以前私もそうだろうと言ったのですが、では2012は?と。厳重監視されるようになった2012も仮に使用していたのならば、MLB機構の検査能力の低さも同時に露呈したことになりますよね。Braunファンだから(正確にはだった…ということになりますが)擁護しているわけではなく、MLBのあり方を考える上でどうなの?って話です。
MLBの経営センスの良さは実に素晴らしいことですが、同時に闇の部分へのメスの入れ方の甘さはたびたび議論になってますよね。①薬物使用で成績向上→②(疑いながらも)team成績あがるしファンも目を瞑る→③グッズ、動員よくなる→④一定潤ったら薬物バッシングっみたいな図が出来上がってるような気がするんですよね、悲しいことに。(Bondsなどがいい例でしょうか)
とはいっても私はまさに②に該当してしまう、盲目的なファンなんですがね(´・_・`)これからの機構の動向には一層注目したいと思います。