先日ちょっと触れかかったので消化してしまおうと思います。大した話ではないのですが。
Tour de Franceに代表される欧州の人気スポーツである自転車ロードレースをアメリカでも輸入してやってしまおうということで「America Pro Challenge」という大会が八月下旬にコロラド州で開催されるということに関連しての話です。America Pro Challengeは昨年始まった歴史の浅いイベントです。名称はUS Pro Challengeとも書かれていることもあります。どちらにせよ名前が悪い。もうちょっとなんとかならないのか。(またはいい名前はこのイベントが継続的にうまく行きそうだとメドが付いた時点のためにとってある可能性もありますね。それぐらい今のイベント名はひどいように感じます。)
この話を知って思い出したことがあったのです。もう十年近く以前のことですがその年の夏に私はロッキー山脈方面を車で旅していました。山を巡りテント泊もまぜて二週間ほどうろうろしていたわけです。アメリカ西部を車で旅したことのある方はご存じでしょうがアメリカの西部というのはほとんどの場所に人が住んでいません。街と街の間は遠く、その間にはほとんどなにもないことが当たり前。東部や中西部でも「なにもない」と表現することはありますがそのなにもない具合が西部は違う。西部のなにもないは本当になにもないんです。道だけ。あとは放牧牛の一団か。街と街の間隔もやたらと遠いことが多い。ガソリンもタンク半分以上入っていてもその次のステーションがどこにあるかわからないからとにかくあるところで満タンに入れないとガス欠ドキドキの大変な目にあったりする、そういう距離感です。ユタだのネバダだのというと他では出会えない奇景に出会ったりもするのですが、いくら奇景でも似たようなのが二時間延々続くともうこれいいよ…という感じになります。とにかくなんでもやたら遠いわけです。そういうところを回ってコロラドに入るとここは奇景というより山また山です。街と街の間が遠いだけでなくて山なので道の見通しが利かない。どこまで行けば次の街やらさっぱりわからないなんていうところがいくらでもあるわけです。
そういうコロラドなのですがときどきランナーとすれちがうんですよね。それに驚かされたわけです。一体キミはどこから走ってきてどこまで走る気なんだ?と。遭遇地点から最寄りの街までの距離は自分で車で走ってきてだいたいはわかりますから相当な距離を既に走った(進行方向同じなら)かこれから走る(反対向きなら)のだとわかります。なんでまたそこまでの距離を走るの?と。ランナーだけでなく自転車の人もいる(ランナーの方が多かった)んですが、まあ自転車ならそこそこ距離は伸びるとは思いますが、走りだとなあ。私の遭遇した範囲では皆ひとりで走っていました。後から気づいたのですが高地トレーニングで日本の長距離の選手なんかもコロラドに合宿に行くとか読んだので、ああかなりの上級アスリートだったのかなと納得はしたものの最初はびっくりしました。だって本当になにもない長距離のアップ&ダウンが延々続く道ですから。途中でリタイアしようにもしえないようなところなのです。誰も住んでもいないようなところですから考えようによっては安全なのかもしれませんが。
その新企画のアメリカ版自転車ロードレースの舞台となるのがコロラド州の州内をまわるコース。きっとああいうなにもないところを走るんだろうなあ、と思いをはせたわけです。Tour de Franceなんかだと山岳部分でも路肩のギャラリーがうるさいほどいますが、コロラドのレースでは無人ばっかり牛しか見てないんじゃないか、いやそれとも人が来るものなのかな。州全体が高地で空気も薄い、高低も激しいとあって過酷なレースになるのかなあという気がします。但し高地なので涼しいという特典はあります。コロラド自体が相当に標高が高いですから少し山の方向に上がっていくと夏場の盛りの時期でもかなりひんやりしていています。トレイルを歩くにもジャケットを着ていかないとちょっと寒いという経験をしています。もっと標高を上げると夏場でもかんじき(snow shoe)を履いてスノートレイルが楽しめます。
そこまで考えてあっと頭の中でつながったのがまたラクロスの話。例のMLLの最高動員力を持つDenver Outlawsですが、ひょっとして高地ゆえに涼しく夏場の観戦が楽、という可能性はないでしょうか?またラクロスの普及に涼しい高地だというのがうまくはまったという可能性はないでしょうか。ラクロスは学生スポーツとしては春スポーツなのですが、あの運動量の高い競技を春〜初夏にやるのはアメリカの大半では暑すぎる、しかし高地であるDenverやAir Force(どちらもNCAA Div-1校)ならできるからコロラド州でラクロスが盛んになったのでは、という可能性を考えつきました。思いつきですから正解かどうかまったく自信はありませんが、あり得ないことではないように思います。