マイナープロリーグの継続的サバイバルに必要なラインを探るために調べ始めたプロ野外ラクロスリーグMajor League Lacorsse (MLL)のことなのですが、調べていくといろいろおもしろいことがわかってきたのでメモとして残したいと思います。

まずMLLで最優秀の動員を誇るDenver Outlawsのこと。OutlawsはMLLの創設時(2001年)からのメンバーではなく2006年に加入してきたチーム。それ以前はMLLはチームがすべて東部のチームでした。現存するBoston Cannons, Long Island Lizards(ニューヨーク市郊外), Chesapeake Bayhawks(バージニア州、メリーランド州との州境), Rochester Rattlers(ニューヨーク州西部、正確には創設から移転してますが細かいことは省略)の他に解散したNew Jersey PrideとPhiladelphia Barrageの六チーム構成で出発。東部の地域リーグと言ってもいい配置だったわけですが、これはラクロスの人気自体がアメリカ東部に大きく偏っている事情からしかたのないところか。

ラクロス人気の分布の参考としてカレッジラクロスのDivision I校のマップを付けます。東部に圧倒的に偏重しており、西端はインディアナ州Notre Dame(ラクロスの盛んな東部を地盤とするBig East所属という理由もあるんでしょう)、その向こうは遙か彼方のコロラド州にDenverとAir Forceがあるだけで、大学カンファレンスで言うとBig Ten, SECの地域でも存在は薄い。Big XII以西ではほぼ存在しないスポーツなわけです。これはDivision IIも加えると西海岸の学校も数校ありますが、東部に超偏重なスポーツであることは間違いありません。

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東部超偏重となった歴史的理由はともかく、目立つのは飛び地となったコロラド州です。なぜかコロラド州。MLLの発展史的には2006年に初のリーグ拡大をしてDenver Outlaws以外にも三チームを西海岸LA, SFやシカゴといった大都市に新チームを作ってみてこの新設四チームで西カンファレンスを結成してみたのですが、Denver以外は経営継続の見込みが立たずリーマンショックなど経済環境の悪化も理由に三々五々撤退済みです。

東部の地域リーグだった時代はマイナーリーグらしくバス移動でコストをカットして運営していたであろうことは想像に難くないですが、Denverとなると飛行機移動以外あり得ない。車で行ったのでは24時間休みなしでハイウェイを突っ走っても着きません。つまりいきなり運営コストが上昇するわけです。それをペイするだけの経営成績をDenver Outlawsはなぜか達成しているんですね。このコロラド州のラクロス人気の元はどの辺にあるのかまたいつか読み込んでみたいような気がしますが、いずれにせよアメリカという国が連邦国家であることを思い出させる州の独自性の例と言えるようです。毎年独立記念日(まさに今日なんですが)にはDenverがホームゲームを開催して毎年のようにMLLの一試合での最大動員記録を更新している。昨年は27,000人超を動員。NFLが感謝祭の木曜日にDallas CowboysとDetroit Lionsがホームゲームを恒例開催しているのに似た形で恒例イベント化しているようです。


州の独自性というとラグビーでもユタ州やアリゾナ州でなぜか人気だったりします。アメリカでのラグビーの発展史(フットボール史と大いに重なるのですが)から言うと欧州移民の影響の強かった東部と、前パスを禁止したままの独自ルールで「フットボール」を続けた西海岸のStanfordとCalがアメリカラグビーの歴史的な拠点校。それが近年のラグビーの極マイナーからの脱出発展ではユタ、アリゾナもその一翼なんですよね。また別の種目の話になりますがサッカーだとプロサッカーMLSで例の圧倒的な動員力を誇る国の北西のはずれに位置するSeatttle Soundersが他のMLSチームの三倍以上の動員を叩き出すという例もあります。こういう各地のスポーツの好みの独自性の話はなかなかおもしろいと感じます。


ラクロスに戻って、MLLは現在第二次リーグ拡張の試みの真っ最中。ノースカロライナ州Charlotteとオハイオ州コロンバス近郊に今季から新チームが加入したところ。上で示した地図でおわかりいただけるかどうかわからないんですが、ラクロスの伝統的な勢力圏の外縁にこの新規二チームは位置します。TV契約を念頭に戦略的な勢力拡大の意図なのでしょう。ノースカロライナ州でラクロスと言えばDukeのラクロスチームが強豪ですが、Dukeの所在するDurhamとCharlotteは同州内と言っても車で二時間半と近場とは言えず、継続的な動員でDukeのラクロス関係者やファン、Dukeを目指す地元高校生などからの引きがあるのかは不明。オハイオの方もよくわからない。Ohio StateがDivision Iのチームを持っているとは言え、あそこは全米有数のマンモススクールで簡単にいうとスポーツならなんでもある学校。ラクロスが特に人気とは思えない。またこの二チームはどちらもコストカットが目的なのでしょう1920-30年代に建設された地方スタジアムをホームに採用しており、ユーザーエクスペリエンスの面で最初から間違っている可能性が高い。オハイオの方などはColumbus Crew StadiumというMLSのサッカー専用スタジアムが手近にあるのに敢えて築90年の老朽スタジアムで開催。馴染みの薄いスポーツをこの地方にプロ興業として紹介していこうというのに老朽スタジアムではリピート客の獲得に不利でしょう。それとも身の丈経営を考えるとこれが適正なのか。開幕戦は6,000人以上集めたようですがその後は苦戦中のようです。