これでいいのか、という内容でW杯予選前の最終調整試合の対カナダ代表との試合。観衆は大声で応援する大量のアメリカファンを含めて15,247人、場所はMLS Toronto FCのホームBMO Field(収容21,859人)

結果は0-0ですが、誤審でのカナダゴールの取り消しがありラッキーな0-0。Klinsmann時代になって初めて代表の両エース=Landon DonovanとClint Dempseyが揃って先発する試合になりましたが、その効果はほんの一二度のワンツーぐらいしか見えないまま格下のはずのカナダに苦戦しての引き分けとなりました。最後まで奮戦するカナダに対して、終盤は足がまったく止まってしまった米代表。試合はフレンドリーだったので交代枠五つ、前戦=四日前のブラジル戦と先発が入れ替わった先発選手もいるわけで、二連戦出突っ張りなのはMF Michael Bradleyだけのはず。それを考えると疲労はチーム全体の足が止まってしまった言い訳にはならないのになぜあれほどぴったり止まってしまったのか。それともカナダがひさびさに良いチームなのか?(カナダは過去数大会北米最終予選にも残れていない)中盤からいいようにカナダにビルドアップされる意外な展開。それとも単に米代表のコンディションやモチベーションが上がっていないのか。スコットランド、ブラジル、カナダと続いたこの三連フレンドリーの三試合の中で最悪の試合となってしまいました。気温も決して高くなく場所もトロントなんていうのは国内移動と同じような場所でもありその手の言い訳ができる試合でもないです。来週からのW杯予選はカリブの小国(=Antigua and Barbuda)との初戦なだけにこの調子でも勝つのでしょうが、いただけないことには変わりないです。続く二戦目はアウェイのグアテマラ戦でそこでこんな調子ではポイント落とします。


一方アメリカ国内に米代表以上に厚く熱いファン層を抱えるメキシコ代表はブラジル代表を向こうにまわして2-0と快勝。四日前に米代表がブラジルに4-1で敗戦しているのと比較すると彼我の差の大きく出た結果に。試合はNFL Dallas CowboysのホームCowboys Stadiumに84,519人ソールドアウトの観客を集めての試合。改めて人気でも実力でもアメリカ最強サッカーチームはメキシコ代表だと示した試合となっています。但しこの試合の結果などは英語マスメディアにはまったく乗らないのでネットでわざわざ情報を拾わないならば試合の存在自体を一般アメリカ人は気づかないわけですが。

ブラジルは五輪代表組、メキシコも昨年のGold Cupのメンバーに近い若手中心のメンバー。但しFW Chicharito Javier Hernandez(Manchester United所属)は若いと言っても五輪には出ないようなので五輪チーム同士の力関係だと不明ですが、次期W杯を見据えてメキシコ代表もW杯予選に突入していくのですが、現時点ではこの地区では相当に力は抜きん出ているようです。来週からの北米カリブCONCACAFの予選も問題なく突破するでしょうし、最終予選(3.5枠に対して六各国参加)でも問題なくブラジルW杯に到達していくのでしょう。


ブラジル代表の方はこのあと来週はニューヨーク郊外でアルゼンチン代表との一戦も待っています。場所はNFL New York Giants/Jetsのホーム=MetLife Stadium=旧称New Meadowland Stadium(収容82,566人)で。こちらも既にソールドアウト。つまりブラジル代表は対米、対メキシコ、対アルゼンチンと米国内で三連戦=NFLスタジアムツアー。その三戦のうちソールドアウトにならなかった(収容79,000人のところ67,619人、およそ85%の動員)のは対米戦だけということに。地元のアメリカ代表戦だけが売り切れない、というところがアメリカのサッカー人気の限界を示していると見るべきなのでしょう。もちろん「アメリカ国内のサッカー人気」ならこれだけの観客を各都市で巨大スタジアムに呼べるわけですから人気スポーツだ、と言う言い方もできますが、アメリカ生まれのアメリカ人の間でのサッカー人気はそれに劣るというのも相変わらずの事実なのでしょう。