大学の7人制ラグビーの決勝シリーズCollege Rugby Championshipの決勝その他が開催され、Ivy LeagueのDartmouthが昨年に続いて二連覇で幕を閉じています。今日もNBC地上波で午後たっぷり放送していました。決勝はPac-12 Arizona Wildcatsとの対戦でしたが、早々にArizonaのキー選手が二人立て続けに負傷退場するはめになってしまいDartmouth Big Greenの快勝へ。テンポもよくまずまずおもしろかったので良しとしたいと思います。

このDartmouthのセブンスの監督はこの試合を最後に退任、2016年リオ五輪でのラグビーセブンスの米代表監督に就任するとのこと。マイナースポーツであるアメリカに於けるラグビーセブンスの大学二連覇校の監督を採用というのは国内的にはできる限りの万全の態勢なのでしょう。


番組中も何度も宣伝していましたが、アメリカは五輪ラグビーの最後の金メダル国で、2016年にラグビーが五輪に復帰する際には五輪ラグビーのディフェンディングチャンピオンとして臨むという売り文句があります。これは当ブログでも過去に触れたこと。1920年ベルギー・アントワープ五輪、そして1924年フランス・パリ五輪で米国はラグビーで二連覇したままラグビー競技は五輪から消えているため、アメリカが現役五輪チャンピンということになっています。当時は一週間の船旅で大西洋を渡って五輪に参加したそうでなんとも時代を感じさせます。

当時のラグビーはラグビーユニオン=日本で単にラグビーと言った場合に指す15人制のラグビー。リオ五輪で92年ぶりに復活するラグビーはセブンスということで競技自体も違うと言えば違うんですが、五輪競技名としてはどちらも単にRugbyとなっているので同一種目扱いの模様。

今日勝ったDartmouthのユニフォームはスクールカラーの濃緑の前面に大文字の「D」をあしらっただけのIvy Leagueらしいクラシックなイメージなのも、約一世紀の時を経て復活するラグビー競技という現時点での売り文句にマッチしているようでなかなかいいです。


実際に五輪でラグビー三連覇が狙えるほどアメリカが国際的に強いのか、強くなれるのかというと現時点では大いに疑問。大学選手権にしても今大会での注目有力選手でも大学入学時は野球選手として入学した選手だったり選手層や経験値はまだまだ低そうで、現在の大学の好選手というのが四年後のリオ五輪で活躍できるものかはわからない。以前にも紹介したように米国ラグビー協会は五輪を目指してより資質の高いアスリートをラグビーに取り込もうと躍起になっているところ。その誘いに乗って元NFLドラフトにかかったような選手たちもラグビー界に飛び込んできています。現時点ではそういう資質の高い選手がどうラグビーの試合の流れを理解していくかは全くの未知ですし、まだ代表で試合出場するにも至っていない。そういうエリートアスリートとラグビーを地道にアマチュアでやってきたこれまでの選手達の折り合いであるとか、面倒なこともいろいろあるのだと思われます。セブンスの国内事情は大学選手権はあっても、大学以上ではほとんどチームがないから試合もろくにできないという状態。NBCが五輪の盛り上げとして予算は注入してくれるんでしょうが、それをどううまく使ってこれからの四年間でラグビーが能力を上られるのか、またこのスポーツの極端に混み合ったアメリカで人気面でも伸びうるのか、おもしろい局面になってきていると思います。


(本当はNCAAベースボールトーナメントの話も一緒に書こうかと思っていたのですが、長くなったのでまた別に)