五月末。アメリカは学年末の季節です。カレッジスポーツでは春スポーツが優勝争いのシーズンでもあります。いまはちょうど女子ソフトボールのCollege World Series手前のSuper Regionalと呼ばれる16強のシリーズが行われているところ。来週からは男子ベースボールのNCAAトーナメントも開始になります。他にもいくつか春スポーツがあるわけですが、録画で見たラグビーの大学選手権の話をしてみたいと思います。


ラグビーはアメリカではマイナースポーツ。日本ではラグビーという競技の存在自体を知らないひとは多くないと思いますが、アメリカならいくらでもいそうなレベルのマイナーさです。多チャンネル化した現在でも放送は多いとは言えない。ラグビーと一口に言っても日本で行われている15人制のラグビーユニオン、五輪種目となるセブンス、オーストラリアなどで盛んなラグビーリーグとそれぞれルールが異なりますし、ラグビーユニオンに絞ったところで分かりやすいルールのスポーツではない。またラグビーは大学スポーツの総元締め=NCAAの正式種目でもありません。そういうマイナースポーツなんですが意外とウケがいいようで、昨季からはESPN系に決勝トーナメントの放送が移管されて放送されています。以前はCSTV(大学スポーツ専門局のはしりの局、現在はCBS系に買収されてCBS Sports Network)でやっていたのですがESPN Uで放送、場所も昨年に続いてまだ美しいRio Tinto Stadium(MLS Real Salt Lakeのホーム)で開催。地元となるNo. 1シードBrigham Young University Cougars(BYU)対No. 2シードArkansas State Red Wolvesの決勝を見たのですが、これが内容が実におもしろい試合。

ラグビーというスポーツはちょっと地力の差があるとバカみたいな大量得点差になって勝負にならなくなってしまうし、かと言って実力が拮抗していたらいたで地味なつぶし合いが延々と続いてしまうような展開の場合もあり、おもしろい試合に出会えるかどうかのさじ加減が実に難しい性格のスポーツ。昨年のラグビーW杯も何試合も見たのですが、点数は接戦でも爽快感がまるでない接近肉弾戦だったり、新規ファンを獲得するにはあまりいい大会じゃなかったような気がしたものです。大ざっぱな感想ですみません。

そういうむずかしいスポーツであるラグビーの大学決勝戦。最終スコアは49-42でBYUが振り切って優勝(シーズン全勝)を果たしたんですが、終盤のArkansas Stateの追い上げが急で試合をぐっと締めてくれて好試合となりました。マイナースポーツ・非正式種目のせいもあるのでしょう、チームのサイトも整備もされていないので確認できないんですがたぶんArkansas StateのSHの選手は日本人の留学生選手では?絶好のボールさばきを何度も披露。最後7点差=1ポゼションゲームに迫るトライを産むミスディレクションパスも意外かつ鮮やか、盛り上げてくれました。大型選手の多いBYUをさんざん走らせることで終盤スタミナ切れに追い込んでの追い上げは思わず応援しないではいられない爽快感のあるもの。過去の大学選手権ではいかにも下手という感じが強かったのですが、今年の決勝は両チームとも練り込んだサインプレーなどがあちこちに見られてアメリカでラグビーユニオンが育っているのを感じさせる試合内容だったように感じました。