いつも思うのですがNFLのドラフトは総括というのは無理ですね。一チームのメンバー面での穴と補強という観点で見て行くだけで評価は割れます。大学フットボールから上がってくる選手達の層の厚さも反映してよく見て行けば六巡目七巡目といった下位でも優れたポテンシャルを感じさせる人材もいるのがわかるし、実際毎年掘り出し物を当てるチームが少なからず出るのがNFLドラフト。
それを全32チーム見渡してやるのは不可能。プロのスポーツサイトでも間違いなくかなりの人員で手分けして記事を担当してるはずで一観察者の私には手に余るところ。せいぜい早い順目のやりとりぐらいしかフォローしきれません。

特に私の場合、近年NFLにひいきのチームを持っていない(以前のひいきチームはまるでカラーが変わってしまった)ため観察の焦点が絞りきれなくてうまくブログに書けない感じです。大手メディアの受け売り記事を書けば総括とか書けるんですがそういうのは退屈なのでそれはしません。


全体の評価は横においておいて個別の選択で目立った所にコメントを。
まずBaltimore Ravensがどたばたした挙げ句に獲得した一巡目全体十八位のQB Joe Flacco(Delaware)。この選択への評価は思い切り割れているようです。

大学の下位ディビジョンであるFCS(一シーズン経過しましたがいまだにこの呼称に馴れません。元のI-AA。日本風に言えば二部相当)のDelaware大の出身。下位ディビジョンからの一巡目指名は過去数名しかおらず。その数少ない過去例の一人が先日引退を表明した当のRavensのQB Steve McNair。McNairの成功再びという感じですか。

評価が割れる理由もよくわかります。カレッジのそれも下位ディビジョンでの成績なんていうのがNFLでアテになるものかという先入観が大半を占めるのは間違いないところ。もちろんその通りでほとんどの場合それで正しいのです。
ただ今回の場合、Flaccoへ高い評価をしてるのが元の名QB連中というところが気になります。ESPNのドラフト中継の解説をしていたSteve Young(元San Francisco 49ers)もその一人。彼が強調するのはFlaccoの狭い狭いターゲットへ投げ込む能力の高さ。大学とNFLでのQBに要求される精度の差は相当に大きいのは両方の試合を見ていればはっきりわかります。ディフェンスの全ポジションの個人能力の高いNFLでは僅かに開いた隙間に即座にパスを投げ込む能力が要求されるわけですが、Steve YoungによればFlaccoにはその才能があるというのですね。
また強肩も持ち合わせているようでパスの実飛距離で75ヤード投げているのが計測されています。75ヤードっていうのはスクリメージラインがフィールドど真ん中でもエンドゾーンに楽に投げ込める飛距離で、これはプロ連中でもそうそう出る飛距離ではありません。

まあ問題は彼が下位ディビジョンの選手であるため解説陣にしてもファンにしてもハイライトフィルムしか見た事がないってことで、いいところだけ集めてコレができると言っても本当のところはわからないんですよね。フロントラインから圧力がかかってみないと本番での能力なんてわからないわけで。
いずれにしろそういうQBにBaltimoreは賭けてみたというわけです。

元々BaltimoreはこのドラフトでQBが欲しいのは明らかで、今年のQB一番手のMatt RyanがAtlanta Falcons全体三位に指名された時点で当初持っていた全体八位指名権をトレードダウンして全体二十六位までさげたのは既報ですが、気が変わったのかその一時間ほど後にまたもトレードアップして十八位へ移動。

このFlaccoを獲るためにトレードアップですよね。トレードダウンで貰った権利をかなり譲渡してこの十八位に割り込んだということは十八位と二十六位の間の各チームのどれかがQBを獲ってくると思ったんでしょうか?Carolina, Tampa Bay, Atlanta, Dallas, Pittsburgh, Tennesseeといったチームが間には並んでいたんですがどこも特にQBを獲りそうには見えない。それでも大慌てで当日二度目の指名順位変更に走ったということはなんらかの危機感があったはずで、だとすると当初三十位の指名権を持っていたGreen Bay Packersが二十六位Baltimoreより先に割り込んでくると察知したのかもしれません。それで大慌てで再び指名順位アップに奔走したと。

Packersはご存知の通り長年不動のQBだったBrett Favreが引退。Favreがすべての試合に先発しつづけたためにGreen BayのバックアップQBはほとんどNFLでプレーしたことがない。一応数年前にCaliforniaから獲得したAaron Rodgersがいますが今年のシーズンでは不安視されていたところ。一人の未経験QBよりは二人の未経験QBの方がどれほどいいかわかりませんが。
結果からみればたぶんBaltimoreの危惧は当たっていた可能性あります。BaltimoreがFlaccoを指名した後、Green Bayは三十番目指名権をトレードダウン、一巡目指名なしとしました。そして二巡目にLouisvilleの(私の好みの)QB Brian Brohmを獲得。QBとしてはMatt Ryan, Joe Flaccoに次いで全体三人目の選択。Green Bayとしては二巡目中位でこの選手獲得ならかなりのお買い得でしょう。Brohmはもし前年にドラフトエントリーしていたら一巡目上位確実とも言われていた選手ですし、今年のシーズンの内容が特に悪かったわけでもないわけで。GBは七巡目でもうひとりQB(LSUの全米制覇QB Matt Flynn)獲ってますので若手QB三人並べてFavreの後継選びスタートということになるようです。

というわけでそれぞれのチームの思惑で上げ下げした挙げ句、RavensもPackersも、そしてGBの直後で全体四人目のQB MichiganのChad Henneを獲得したMiami Dolphinsもそれぞれ意中のQBを獲得したんじゃないかという感じです。
Dolphinsも全体一位を使ってMatt Ryanに行く可能性とかも一部で囁かれてましたけど、無難にそうグレードが落ちるわけではないHenneに行っておいてよかったと思います。