アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

前日のノーコールが影響

NBAプレーオフ一回戦が進行中。東西のNo. 1シードチームOklahoma City ThunderとCleveland Cavaliersは4戦全勝で二回戦進出をさっさと確定。残る6カードのうち5カードまでが3勝1敗となってます。

昨夜の西No. 2 Houstron Rockets@No. 7 Golden State Warriors戦は最終盤1分を切って同点のところでWarriorsのJimmy Butlerが左隅からの3ポインターを打った。これがHouston Dillon Brookのファールと判定されてButlerはフリースロー3本を獲得、全部決めて3点差、117-114。結局この差を埋められずこのフリースロー3本が決勝点、119-116で下位シードのWarriorsが3勝1敗として一回戦突破に王手がかかりました。

接戦の試合の終了間際のファールは審判は取らない面が強い。それはバスケNBAに限らず他のスポーツでもありがちなことで、審判が試合の結果を左右するのは避けるべき、選手たちのプレーに試合の結果は委ねるべきだからだ、ということは過去何度も繰り返し議論されてきたことです。

なので終盤以外なら鳴ったとしても、試合のこの段階ではこのBrookの手がButlerに当たってるのは軽微と判断されて笛が鳴らないことが多いのですがこの日は鳴ってしまった。Houston側は不服としてコーチからビデオ判定チャレンジがされましたが、判定変わらず。まあビデオを見たらはっきり接触はしてるので反則じゃないと判定を反転させるのはむずかしい事案です。終盤だから笛を吹かないというのは審判団の傾向としてはあるのですが、それはビデオ判定には反映させるわけにはいかない。終盤だからビデオ判定の基準も変えるというのは難題ではありましょう。


でなぜここで笛が鳴ったかというとプレーオフを追ってれば間違いなくわかります。前日のNew York Knick@Detroit Pistons戦終盤でまったく同じ左隅からの3ポインターに笛が鳴らず、Pistonsが1点差惜敗したのが批判されていたからです。PistonsのTim Hardaway Jr.が放ったショットにKnicks Josh Hartの体が接触したのがノーコールで、ショットは大きくハズレてそのまま試合終了。ノーコールにはチャレンジできずどうしようもなく、激戦を戦った再興途上のPistonsはシリーズを2勝2敗に戻すチャンスを逸してKnicksが王手となってます。

このコールがあったのがRockets@Warriors戦の審判に影響したのは確実に思えます。Knicks@Pistons戦に同試合の審判団からは「ミステイクがあった」と声明が出ておりTim Hardaway Jr.への反則コールはされるべきだったというのが公式見解になっていた。当然Rockets@Warriors戦の審判団もそれは認識していたのがButlerへの反則に笛が鳴った理由でしょう。前日のあれがなければあの笛は鳴らなかった可能性は十分あるでしょう。

これは審判を責めるのは酷だろうという気がします。笛を吹くか吹かないかは瞬時の判断でビデオを見て決められるわけではない。実際ビデオ見てもはっきり接触はあるのですから誤審でもないし。
ただし元選手たちを中心に「あんなのを反則にするのは軟弱判定」と非難する声が多く出てます。そっちの気持ちもわかります。ぎりぎりのせめぎ合いこそが試合の魅力なのに軽微な反則が取られるという傾向では手も縮こまってしまう全力プレーの妨げになるじゃないか。その通りです。

TNT「Inside The NBA」ではShaquille O'Nealがまさにその通りのことを言っていて、苛ついたのか同じデスクのCharles BarkelyとKenny Smithに向かって「そんな軟弱なこと言ってるからお前らは2人でリング2つしか取れなかったんだろ」とかむごいことを言ってました。Shaqさんそれは酷いでしょ。それ、判定・批判内容と関係ないし。誰も笑ってないから洒落でもない。
こういうリアルな酷いこと言うのがウケていてこの番組はTNTでの試合放送が終了した来季以降も存続するんですけど。

ESPNは忖度継続、CBS Sportsは開き直って情報提供

NFLドラフト最終日3日目。4巡目以降の指名が正午から開始されます。事前の予想では1巡目に指名される可能性が言われていたQB Shedeur Sandersは3巡目までに指名されず最終日まで残ってます。ドラフト前の段階でQBの指名の可能性があるとされたチームはほぼすべて3巡目までにQBを指名済み。指名してないのはPittsburgh Steelersぐらいになってます。

SteelersはAaron RodgersがFAで加入するという未確認ながらまことしやかに語られているシナリオがあるので、本当にSteelersとRodgersの間で黙約があるのならそもそもSteelersにはQBのニーズはなかったということかもしれません。

おもしろいのはスポーツ報道最大手のESPNのドラフトアナリストが興奮して「Sandersは絶対に2巡目以内の才能で、4巡目以降に落ちたのは説明不能だ」と大騒ぎしていることです。その解説(Mel Kiperさんですが)以外のESPNのドラフトスタッフもShedeurはすでに指名された他のQBよりもプレー能力は間違いなくあると口々に言ってる。

しかし一人ぽろりとこぼした解説者がいました。「我々はフィールド外のことは追求せず、フィールド上の能力について語ってる」と言って私が前日に書いた父親Dieon SandersやSanders一家のリアリティTV番組の影響などには一切触れていない。そしてあの言い方からすると番組制作ミーティング段階でShedeurについてはフィールド外の問題については言及しないこととお達しが出ていたことが推察される発言だったと思います。
余計なことを言って人気・影響力のあるDieonを刺激しないという共通認識がアメスポマスコミ内に蔓延しているのがここで再び確認されたようなもの、と私には受け取れます。

では前項で指摘した、すでにDieonから取材拒否とされているとされるCBS Sportsはどうなってるのか。こちらがおもしろいです。Johnathan Jonesという解説者が話してるんですけど、ESPNと内容が全然違う。これだから報道の自由というかメディアは画一化されていないことが大事なんだよなと思わされる内容です。このリンクのところから「Shedeurとその周囲の人々がドラフトに臨んだ姿勢」について語ってます。ESPNが意図的に避けた話題を展開している。
真っ向から批判をするというスタイルは避けていますがいろいろおもしろいことを言っています。1年前にDieonがShedeurが「Eli Manningルート」で行き先を選べるということを言ったという発言を掘り返しています。

ご記憶のない方もいらっしゃると思うので解説するとOle MissのQBで全体1位でSan Diego Chargersに指名されたEli ManningはSan Diegoでプレーすることを強く拒否(たぶんドラフト以前からChargersには拒否の意向は伝えていた可能性)、当日のうちにビッグマーケットであるNew York Giantsにトレードされています。
今となってはそんな顛末は誰も覚えておらずEliは人の良いイメージとなってますが、Eliのドラフト当時にSNSがあったらかなり叩かれていた可能性はある案件でした。その例をひいてウチの息子も行き先を選べるとうそぶいたのがNFL全体から拒否されているという解釈を語ってるんですね。最大手のESPNとは切り口がまったく異なる。

さすがにその発言はまずいと思ったのかその後はDieonはEli Manningルートについては言わなくなったが、その後はDieonはLas Vegas Raidersが敗戦するたびにツイート。Raidersの成績が下降=ドラフトポジションが上昇してShedeurがそこにハマりRaiders行きとなることを好むかのような発言をしていたという点も指摘。
こうなってくると取材拒否を食ってるのはもう動かせないので開き直って他の忖度報道機関ができないネタを投入しているように聞こえます。
他にもShedeurの各チームとの面接でうまく周りの雑音について回答できず複数のチーム側に不安感を残したという情報元不詳のネタもあり。見て良かった報道となってます。

現時点ではShedeurもDieonも指名前なので何も語ってないですが、今日の指名が終わったあとにはなにか言わないではいられないはずで、そうなったときに忖度メディアは忖度を継続するのかどうかも見ものになってきました。

4巡目以降となれば各チームにとってはShedeurが拾い物になる可能性もゼロではないので特に喫緊のQBのニーズのないチームがShedeurを指名する可能性が出てきてます。49ersの最終指名から先発QBとなったBrock Purdyの例もあります。こっから先はどこが手を挙げるかわからない。Dieonの意中だったらしきRaidersが手を出すかもしれない。Dallas Cowboysが指名したらウケますが、変にDak Prescottを刺激するのもアレなのでそれはないか。Eliルート発言を把握していたらSanders一家に好まれなさそうな地方都市のチームは指名権を無駄にしないかもしれないし、逆に指名しとけばRaidersがお得な取引で下取りしてくれるんじゃないかという思惑で下位の指名はするというところも出るかもしれません。

Deionはモンペ扱いか

今NFLドラフト2巡目の中盤に入ってますがいまだにQB Shedeur Sanders(Colorado)の名前が呼ばれません。1巡目という話じゃなかったのという。ついさっきNew Orleans SaintsがQBを指名、Shedeurではなく25歳のTyler Shough(Louisville、元Texas Tech、元Oregon)を指名してます。

こうなってくるとShedeurが避けられているのではないかという話題になっちゃうんでしょう。昨日の1巡目でShedeurが指名漏れしたときはまだ2巡目の冒頭でCleveland Brownsが指名する可能性もあったので、全体33位=2巡目最初なら1巡目とそんなに変わるわけじゃないので、昨夜の段階では、あー1巡目漏れだね、だけで済んでいたのが、QB3番目も25歳の選手より下の評価となるとざわついてきます。

中継しているABC/ESPNでは2巡目序盤Clevelandにスカされたあとにちょっとだけ父親のDeion Sandersの様子を映してましたが、Tyler ShoughがShedeurに先んじて指名されたときにはDieonやShedeurのことにはあえて触れないようにしていたのが丸わかり。

ドラフト専門家による現在残っている中でのベスト5には1巡目終盤からずっとShedeur Sandersの名前は含まれているのに全然呼ばれないだけに悪目立ちしてしまっている。もう触れてはいけない領域に入ってきてる感じです。
QBの他のドラフト指名候補選手としてはカレッジのプレミア校のQBが残ってます。AlabamaのJalen Milroe、昨季の優勝校Ohio StateのWill Howard、昨季の序盤の時点では上位指名もあると思われていたTexasのQuinn EwersというところとShedeurは次のQB指名を争ってることになります。カレッジのシーズンを見ている私からするとハラハラしますね。エリート校でQBを張るような選手たちは高校生の頃からずっと才能ありとされ注目され続けて勝ち続けている選手たちばかり。ドラフト予想ではShedeurより遥かに下とされていたのが、逆転もあるのか。


表題について。Shedeur Sandersの指名順がここまで落ちているのは父親であり人気の高いCoach PrimeことDeion Sandersを各チームが煙たがっている可能性のことを書いてます。Deion Sandersはカレッジ時代、NFL現役時代から派手な言動で目立ち続けた選手でした。MLB Atlanta Bravesにも所属、2スポーツでプロだった万能アスリート。アスリートとしての才能だけじゃなくて喋りの方も若い頃から一流だったです。当時から明るさがあったので嫌味には見えなかったのではないかと思うんですが、相当余計なことをべらべらと喋るタイプでした。

カレッジのときはすでにスター選手。「もうプロに行くからかんけーねー」と宣言して期末テストを全部放棄。そのせいで期末テストを受けないとボウルゲームへの出場不可というルールができた原因がDieon。
NFLではINT後のダンスで目立ちまくり。派手な言動で当時の事情で言えばディフェンス側の選手としては例外的な知名度になってました。

MLBでは史上初のMLBとNFLの同日出場という快挙を実現すべく昼間にNFLの試合に出場して、その後個人でチャーターしたヘリと飛行機でBravesの夜の試合に間に合わせたということもありました。ただしこれはBravesの監督だったBobby Coxの不興をかったようでCoxはDieonをその試合で出場させず。Dieonの目論見は成功してません。

Bobby Coxは私の当時のイメージでは昔乍らのアメリカの頑固親父らしい面構え。もっと言えば赤ら顔が目立ち、時代も時代ですしBravesは南部のチームでもあり生粋のアメリカ人っていうイメージは強かったです。そういう方だしBravesの黄金時代を築いていて組織内での立場も盤石に強かったはずで、Dieonの目立ちたがりなMLB/NFL同日出場という行動に迎合しなかったんですね。まあ派手なDieonとは相性が良いとは言い難いタイプの方です。

そういうわけでDieon個人はずっと派手で通してきたし、そのスポットライトの中で天性の喋りのうまさも磨かれていきました。

それが再び脚光を浴びたのはカレッジのHCとして成功してから。FCS校のJackson StateのHCに就任すると最初に聞いたときはあのDieonに指導なんてできるのかと思いました。が、抜群の知名度で移籍組の獲得で成功。メジャーカンファレンスの一角のColoradoに移籍したときも話題先行ではありましたがとにかく数字が出てしまう。今のご時世は数字が正義だし、とにかく喋りのうまさ、アドリブやウィットの効きぶりは一種の天才でしょう。

そこまでは良かったのですが、その後徐々に様子がおかしくなった。Dieonが気に入らない記者からの取材や質問を受けなくなったというんですね。Dieonはやたらと数字を出すので各メディアは気をつかってDieonが嫌がりそうな質問、突っ込んだ質問をする記者がいなくなってしまったとされます。具体的にはcbssports.comの記事が気に入らなかったとかでCBSの記者の質問を無視するようになったというのがこっそり報じられてました。CBSとcbssports.comは別の企業で、その記事を書いた記者とCBSの取材者はまったく別人でも容赦なしだったと。
そういう事情なのでDieonがそういう態度でマスコミに臨んでいるということすら自由に報じられなかった。

んで今こうして(もうじき2巡目の指名も終わります)Shedeurの指名が避けられているかのように見えると、これ、NFLチームがDieonが息子の起用法などに遠回しか直接か口出ししてくるのを警戒しているんじゃないのかとか、ファンからDieonをHCにしろみたいな圧力が発生するのが嫌だとか、なにか忌避される理由になっちゃってる可能性がありそうなんですよね。

Brownsは不作の今季を避けて来季のQBに賭ける

これは予想外の展開です。NFLドラフト全体2位の指名権をJacksonville Jaguarsがトレードアップで獲得、WR/CB Travis Hunterを指名になってます。その指名権を持っていたCleveland Brownsは全体5位の指名権に加えて今季2巡目指名権+来季のJaguarsの1巡目指名権も獲得(その他下位指名権交換あり)。そこまでしてTravis Hunterは獲りたい選手とJaguarsの目には映ったことになります。

こうなってみると、ああ確かにJaguarsはカレッジフットボールファンみたいなところが指名傾向にあるなという感想も出ます。Jaguarsのスター選手であるQBのTrevor LawrenceもRBのTravis Etienne Jr.もカレッジでのスター選手。Clemsonの全盛期の選手たちです。選手の選び方がオーナーの好みに強く引っ張られている可能性があります。Travis Hunterは良い選手ではあるでしょうがトレードアップ、それも今季の2巡目と来季の1巡目は相当高い対価でしょう。

Clevelandの方はDeshaun Watsonの歴史的失敗トレードの後始末の次期QBの獲得を翌年に繰り延べることに成功。前項でも書きましたが2025年はQBも不作だし他のポジションもとても豊作とは言えないドラフトですから、Jaguarsが好条件を出してきたので喜んで今季はトレードダウンというところでしょう。

ただ来季にカレッジから出てくるQBに今の時点から見込める強力な下級生がいるわけでもないです。有名どころではManning家の甥っ子Arch Manning(Texas)とかLSUのGarrett Nussmeierぐらい。でも今はっきり不作とわかってる2025年ドラフトで無理に指名するよりは今ノーマークでも来季のカレッジシーズンで一気に伸ばしてくる選手がいるかもしれない2026年に指名を先延ばしできるのはBrownsにとっては悪い話ではないです。来季が不作となっても不作確定の今年より事情が悪化するわけではないでしょう。

それでもTitansはCam Wardで行くらしい

NFLドラフトが明日から。全体1位指名権を使ってTennessee TitansはMiami-FLのQB Cam Wardで行くそうです。カレッジシーズンが終わった時期から大半の期間で言われていました。他にはColoradoの攻守二刀流WR/CB Travis Hunterを全体1位に推す向きも僅かにありましたし、HunterのチームメイトだったQB Shedeur Sandersも一時点では高く評価されてましたが結局Cam Wardでほぼコンセンサスになったようです。

結局この時期になっても一度もWard以外の名前がトップまたはその近辺に浮上しなかったのは今季のドラフト全体はあまり豊作とは言えなさそうということでもあります。実際にプロでプレーすると評価が一転するケースはいくらでもありますから、今季の選手が皆よくないといいたいのではないです。ただドラフト前の盛り上がりや期待感は例年より低いなあというのが正直な感想です。

Wardは地肩が強そうで小さなモーションから強いボールは投げられるし、足も悪くなくカレッジシーズンを見ていた限りでは右でも左でも小さな半径でまわりこんでも体勢が崩れにくく時間を稼ぐ能力はある。
以前コメント欄でも書きましたが悪いQBではないですが全体1位がこのQBだと今季のQBもそれ以外も不作なんだろうと感じます。Wardは1巡目後半か2巡目で取れたら良い指名ですが全体1位はちょっと。Titansが営業的に新しい顔としてのQBが必要なのはわかりますが、星回りが悪い感じがします。

Shedeur Sandersもそうですよね。Coach Primeの息子だし、リアリティ・ショーの出演で過去のカレッジQBよりも顔は売れてましたしカレッジのシーズン中には今季のカレッジでベストQBという評価をする解説者もいた。ただ純粋にカレッジQBの能力としてはこのレベルの選手は過去にいくらでもいたと思えます。

Shedeur Sandersは1巡目後半でQBの方向性が長年定まっていないPittsburgh Steelers行きという予想があり、それはちょっと話題性がある。Shedeurの派手さはSteelersの伝統のカラーの中では異色でしょうが、そういうのもたまには良いのではないか。
SteelersのQBはBen Roethlisbergerが引退してからは迷走。迷走しながらもちゃんと勝ってくるところがSteelersのSteelersたるところでそれは素晴らしい。NFL有数の全国区の人気を誇るSteelers。そこへShedeurがうまくハマってQB状況が安定して次のSteelers黄金期が始まる可能性も否定できません。

Cam Wardの話に戻りますが、今季の状況だとWardに全体1位は高すぎでも全体1位をトレードダウンすることもできなかった可能性を感じます。

ESPNのNBAショーの廃止はDEI廃止の動きとの連動か

前項でInside the NBAが来季からESPNのNBA放送のプレ・ポストショーに移籍すると書きました。それでたぶんクビとなる現行のESPNは黒人女性のMalika AndrewsとKendrick Perkinsが今夜出演。地味ですよねえ。地味なだけでなくMalikaは採用されるときにひと揉めあったのが思い出されます。

彼女が採用されるときに交代したのは白人女性で長年ESPNのNBA情報ショーに出演してきていたRachel Nicholsでした。交代が決定したときにRachelから「私が仕事を失ったのは人種だけが理由だ」とESPNの判断を批判して議論を呼びました。

Rachelは長年NBA取材を続けていて選手たちとのつながりでも定評があったし、知識も熱意も視聴者から見ても感じられました。平日のNBA情報番組でも積極的な取材のあとが感じられる放送を続けていました。
それが新人に近いMalika Andrewsに置き換えられてしまった。入れ替わりになった当初はMalikaはトレーニーかと思うぐらいデキも悪かったし急でもあった。あれから4年ですか。MalikaもこなれてきてはいるもののRachelのときのような情報の深みは私には感じられない。それと軌を一にしてNBAが休養を取る選手ばっかりになってレギュラーシーズンの魅力が落ちていった。それはMalikaの非ではないですがあまり魅力ある番組にはなっていかなかったのも事実でしょう。

Kendrick Parkinsの方はTNT側のCharles Barkelyから「NBAでろくに成績も残せなかったやつは偉そうなこと言ってないで黙ってろ」と口汚く批判されたりもしてます。試合に出たことのない名解説者や名監督もいるのでBarleyの言い分が正しいとも思いませんがParkinsの語り口が視聴者に魅力があったかというと、まあない。
そんなこんながあるので前項で書いたESPNの判断でTNTの人気出演者で構成する「Inside the NBA」をESPNの放送にそのままライセンス導入するのはありなのでしょう。
そしてMalikaとParkinsはNBA放送からカット。Parkinsは露骨にBarkleyにその地位を奪われるということにもなりました。

Parkinsの方はESPN内の他のスポーツショーにも頻繁に顔を出しているので全面クビではないかもしれませんがサラリーカットは必至。Malikaに至っては今後居所があるかどうかすらわかりません。


それで表題の件につなげます。急に入れ替わりになったときにRachel Nicholsが批判していたようにMalika Andrewsの起用は白人司会者から黒人司会者にへというDEIの動きで、Rachelはその犠牲になったという主張がありました。これはこの特定のケースに限らない現在アメリカ社会の重大な問題でもあります。

DEIというのはDiversity, equity, and inclusion(多様性、公平性、抱合性)の略称。私はその手のことに疎いのでDEIという略称がなにを意味するのか昨年の大統領選挙戦の途中まで知りませんでした。当時トランプ候補もDEIという言葉をよく使うしそれを報ずるマスコミもDEIと略称だけで話すのでその筋では説明不要な略語なのかというところまでは了解したのですが意味がわからずグーグルするはめに。トランプ陣営の主張にはそういうトランプ用語みたいなのがしばしばあるので驚きはしませんでしたが、あーその話をDEIと今は称して一般化しているのかと了解した次第。

でDEIというのは黒人など人種マイノリティの積極採用、女性の積極採用、さらには性の多様性の容認というなどの概念を含みます。そしてそのDEI政策が近年行き過ぎになったという反発があり、トランプ政権、特にいまの第2次政権では積極的にDEIの廃止政策を矢継ぎ早に打ち出しています。良いにつけ悪いにつけ政権のスピード感はすごい。

DEI政策を大学入試なので使うのは人種差別を禁止する憲法違反だというのが基本的な価値観と根拠。白人学生が憲法違反状態で差別されているという主張です。大統領はDEIを廃止して「メリットベース」日本語に意訳すれば能力基準で採用はされるべきだということを折に触れて発言しています。それぞれの立場で意見は様々あるでしょうが、とにかく選挙で選ばれた現政権が推進する方針が憲法を盾にしてるのもあって表立っては強い反対は出てないようにも見えます。

そういうアメリカ社会の流れのあるこの時期にMalika AndrewsのNBA中継からの排除(正式発表にはなってませんが)が急に決まった。Inside The NBAの外注化で実現するのは偶然と読むべきなんでしょうか。それと同時に気になるのはDEIの被害者(自称)だったRachel Nicholsの復権はあるのか。私はRachelの情報番組は好きだったので復帰できるならそれはそれで楽しみです。
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