これは現時点では地味な話ですが、将来のスポーツの市場開放問題を考えると実は大きな事件の始まりなのかもと思われるのでメモ程度に。
Haas F1 Teamが2016年シーズンのデビュー戦でポイント獲得に成功。関係者は「我々にとってはレースに勝ったようなもの」とフィニッシュ直後から手放しの大喜び。F1自体はアメスポ市場ではまだまだマイナージャンルと言えますがこのHaas F1 Teamの好スタートが将来のアメスポシーンの変貌に一役かうことになるんでしょうか。
Haas F1 Teamは本拠をノースカロライナ州に置き、NASCARのStewart-Haas Racingと姉妹チームということになる存在。その存在の仕方からして異例です。ノースカロライナ州は多くのNASCARチームの本拠が所在するNASCARの総本山的な土地です。
過去アメリカのモータースポーツの世界はNASCARにせよIndyCar(名称は度々変わってますが)せよドラッグレースにせよバイクにせよアメリカ独自の国内レースがほぼ独占。F1を頂点とするFIA主催の国際レースはアメスポ内では存在感を示せないままで21世紀まで来ています。それが2012年の欧州型最新サーキットであるCircuit of the Americasの開場で風向きを変える体制を整えて各種の欧州型モータースポーツイベントが次々とアメリカに参入。徐々に地歩を固めて今年のHaas F1 Teamの参入となったわけです。過去にもアメリカ人ドライバーのF1挑戦はあったもののビジネスとしては成立せず。それが今回、アメリカのモータースポーツのメジャーリーグであるNASCARの有力チームであるHaasがその名を名乗ってF1参戦。そして2名所属のドライバーのうちフランス人ドライバーRomain Grosjeanが6位入賞。マーケティング的にはもう一人の若いメキシコ人Esteban Gutiérrezが勝ってくれればHaasにとって、そしてアメスポ市場での人気には良いんでしょうが、そんな贅沢は言えない。初戦でポイント獲得できたことで初年度から戦えるという手応えを得たと。参戦決断当時には下積みで何年か苦しむことだってあり得ると想定していたでしょうから、それと比較したら上々のスタートと言えます。
欧州とアメリカのスポーツ市場の相互開放という視点でこのアメリカチームのF1参戦や、Circuit of the Americasの開場が語れるのかどうかはもう少し勉強してからにしますが、NFLとEPLの成功例の次の事例として考えると、ラグビーは欧州でも決して大きなビジネスではなく、モータースポーツの方が市場開放のメリットは大きいだろうなとは想像できます。