アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

Lacrosse

17年目のMLL

先週末にプロラクロスリーグのMajor League Lacrosse (MLL)の決勝戦がありました。場所はNFL Dallas Cowboysのインドア練習施設であるThe Ford Center at The Starで。練習施設と言ってもCowboysのそれ、立派な観客席もある美麗な施設です。フィールドの真ん中にはCowboysのロゴのローンスターも描かれてそこでフェイスオフ。ちょっと残念なのはフェイスオフのボールが置かれる位置がスターの中心じゃなかったことですが。

試合の方は最終第4Qに7連続ゴールで試合をひっくり返したOhio Machineが17-12でMLL初制覇。MLLの常勝チームであるDenver Outlawsとの二年連続の優勝戦での対決、昨年の借りを返しています。Ohio Machineは創設6年目の後発チーム。ラクロスが盛んとは言えない中西部Ohioをホームに観客動員では苦戦しながらもチームを存続させて遂にMLLの頂点へたどり着きました。

試合内容は良かったです。私がラクロス観戦馴れしたから、という可能性もあるので確たる事は言えないですが、見所の多い楽しめる試合。最後のOhio Machineの7連続ゴールラッシュではフェイスオフでボールを勝ち取ったフェイスオフ専門選手がそのままDenverゴールへ突進して真正面からスコア!なんてこともあり勝ったOhio側は大盛り上がり。


今季のMLLはTV露出が落ちて、観客動員数もリーグ全体で約10%低下という数字が出てます。全9チーム中Ohioを含む過半数の5チームが試合当たりの観客動員が2,500人以下。よくこれでリーグが維持できてるなあという数字。MLL創設17年目。後発プロスポーツリーグということで比較されるサッカーMLS(22年目)、女子バスケWNBA(21年目)の17年目と比べると彼我の差は大きい。動員規模だと創設5年目の女子サッカーNWSLの動員力と近い線ですか。NWSLは露出は低いですが女子サッカー全体というくくりだと全米規模でかなりの露出が確保できているNWSLと、それに類するものがほぼ皆無、国内での普及地方が偏っているというMLLラクロスではファンベースの厚みがまったく違うので簡単には論ぜられませんが、17年目、そろそろ黒字転換できるチームが増えてきて欲しいところか。

Ohio Machineの地元となるオハイオ州ではカレッジスポーツの総合商社The Ohio State Buckeyes(及び所属先のBig Ten)が重い腰を上げて2015年からやっと正式種目としてラクロスを採用。採用するとなったら勝たないと気が済まないのがOhio Stateという学校で、大いに力を入れて学内でもプッシュしているようです。今季はNCAAトーナメントで躍進、全米準優勝。プロでOhio Machineが優勝、地元の大人気Ohio Stateが全米準優勝と、決してラクロスが盛んでないオハイオ州のチームが気を吐いているという展開となります。

MLL 7チームが8勝6敗で並ぶ大混戦のままフィニッシュ

野外プロラクロスMajor League Lacrosse(MLL)のレギュラーシーズンが終了しています。今季は9チーム(過去最大)が参加して行われたリーグ戦(各14試合)の結果、なんと7チームが8勝6敗の同成績でシーズンを終える混戦。二週間前には首位から2ゲーム差に7チームがひしめいていたのが、上のチームがことごとく負けてそのプレーオフ圏内の7チームが完全に並ぶということに。タイブレーカーの規程では3チーム以上がタイだった場合はそのチーム同士での勝敗、得点差で決着云々とあるんですが、なにせ7チームでの比較なので計算が大変で結局のところ全試合が終わるまで誰もどこがプレーオフ(4位以内)に当選したのかさっぱりわからないということになりました。おもしろいと言えばおもしろいですが、混乱もかなりした模様です。マイナースポーツでスポーツマスコミの専門家の解説なんていうものもないですからMLL公式が発表するまでよくわからないまま。

結果は同一勝敗ながら上からOhio Machine、New York Lizards、Denver Outlaws、Charlotte Houndsの4チームがプレーオフに進出。今季はMLLは準決勝と決勝をそれぞれ中立地で行うという試みのため順位で上位になったOhioやNew Yorkにもホームフィールドアドバンテージなし。Ohio x Charlotte戦はミネソタ州で、New York x Denverはコネチカット州で。それぞれの試合の勝者がジョージア州アトランタで決勝に臨むというスケジュールになってます。New Yorkが近場のコネチカットで試合ができるのがほぼ唯一の地縁のポストシーズン。MLLはオールスター戦やプレーオフを所属チームの地元以外で開催するという試みをここ数年続けていて、それらの試合をMLLの将来の拡張宣伝にしているというわけ。拡張意欲が旺盛なのはマイナースポーツにしては積極的で意気良しというところですか。

今季はMLLはシーズン中の試合放送が激減。プレーオフの3試合はCBS Sports Networkで放送予定なんですが、3試合とも中立地での試合でTVに映るのがガラガラのスタジアムだったり、地元の応援が見込めない状態だったりするのはマイナスじゃないのかなあと心配になります。

ラクロスMLLの曲がり角シーズン

8月になりました。アメスポの各種マイナープロスポーツ・春夏型リーグが結末を迎える月です。9月のフットボールシーズン開幕を前に、または各種学校の夏休みの終わりとともに店じまいをする感じであります。先日お伝えした新設15人制ラグビーPRO Rugbyもその一つ。最大規模のものはマイナーリーグベースボール各レベル。他にもArena Football League、野外ラクロスのMLL、女子サッカーのNWSL、女子室内フットボールLFLなどなど。かつてはメジャースポーツにほど近かったIndyCarシリーズも昨今は9月にシーズンを終了する春夏型のスケジュールでマイナーの側に寄ってきています。

そのひとつ、ラクロスのMLLについて少し。過去当ブログではMLLについては何度も取り上げています。今季はMLLにとって創設16年目。チーム数が過去最大の9チームによるシーズンで過去数シーズン続いていた二回総当たり制でのスケジュールが組めなくなっています。各チームの試合数は昨年までと同じ14試合。現時点で各チームが2~3試合を残して首位から2ゲーム差内に7チームがひしめく大混戦となっています。上位4チームによるプレーオフが待っていて、レギュラーシーズンの最終盤の生き残り戦からファンにとっては大いに盛り上がるところかもしれません。(2チームだけ脱落しているのは今季新設されたAtlanta Blazeと2014年に設立のFlorida Launch。健全です)

ただ気になるのが今季MLLの試合放送が昨年から激減したように我が視聴環境からは見えるところです。カレッジラクロスの放送が今年は大幅に増えたのと比べるとこの激減は目立つ。但しこれはそうは見えない家庭もあるはずではあります。MLLの放映権を地元のケーブル専門局が積極的に購入している余波でそうなっているようです。我が家ではケーブルではなくサテライトなので全国一律の数百チャンネルが見られるわけです(それに各種スポーツパッケージを追加)。そのサイズメリットに対抗すべく地域限定型のケーブルTV運営会社は近年地元のマイナースポーツ(プロ・カレッジ問わず)を積極的に放送するようになっています。つまり全国型サテライトと地域型ケーブルの顧客の取り合いの武器としてマイナースポーツ放送の囲い込みが進んでいて、その流れにMLLも巻き込まれ、その結果全国型のプロバイダと契約で見ている我が家ではMLLの試合を見る機会が激減したという流れです。

MLLのような一般的人気が微妙なプロリーグにとってはこの争奪戦は有り難い収入なはずです。先日見に行ったPRO Rugbyの試合にも地元のケーブルTime Warnerの放送車が横付けされて、ああ地元ケーブルではPRO Rugbyの放送があったんだなと感心。アメリカ市場経済・競争原理の結露だなあと思って眺めていました。全国放送には向かないけれど地域ならそれなりに人的地域的につながる人たちが見る(かもしれない)ものを他にもいろいろ細かく囲い込んで全国型TVプロバイダに対抗している。このビジネス戦略パターンは極マイナーなものが大半ですが、マイナーとメジャーの中間というべきサッカーMLSやさらにその上のホッケーNHLや野球MLBにも食指を伸ばそうかという勢いがある。人目に触れ易い時刻・チャンネルでの全国放送がしっかりとあるメジャー級のスポーツはそうなっても全国レベルの露出はあまり落ちませんが、ラクロスMLLのように全国放送が脆弱(今季はCBS Sportsnetworkでプレーオフ3試合など極僅か)だと一気に露出が落ちちゃうんだなあと。これからまだ伸ばしていかなければならない立場のマイナープロとしては痛し痒し。当面は地域チャンネルからのお金で財政立て直しという感じでしょうか。せっかく大激戦になっているリーグ戦終盤が露出が落ちているのはもったいないかも。

なお私の視聴環境でも試合を積極的に見ようと思えばESPN系のネットストリームであるESPN3を通じてほとんどの試合は見ることはできます。単にTVでたまたまという露出機会の喪失という話です。カレッジラクロスが大幅に露出を伸ばしたタイミングでプロがそれを上手く拾う機会を逃しているのはもったいないですが、経済的体力を養っている時期ということになるのかもしれません。

NCAAラクロスはノーシードのNorth Carolina 男女ともに制覇

アメリカでは月曜日はMemorial Dayの祝日、三連休。アメスポでこの毎年の三連休というと中日の日曜日にIndy 500が行われるのが恒例。注目度は大きく劣りますがカレッジスポーツの方では男子ラクロスの全米準決勝戦二試合が土曜日に、決勝が月曜日に同じ大会場で行われるのももうひとつの恒例です。激戦が多く楽しめた今年のNCAAラクロストーナメントはノーシードから勝ち上がったACC所属のNorth Carolinaが、元ACC所属・現Big Ten所属となったNo. 1シードのMarylandを熱い延長戦の末に破って優勝。カレッジラクロスの世界では新参となるBig TenからNCAA初制覇となりそうな瞬間もあったのですがそうはならず。

North Carolinaは準々決勝から三試合連続となる試合開始直後からの連続ゴールでMarylandを攻め立てポゼッションを明け渡さないままの4−0での発進。序盤にNorth Carolinaのロングショットがズバズバ決まるのは前の二試合と同じで、前の二試合ではそのまま相手を圧倒して大差で勝利していた(それぞれ終盤に相手が点差を詰めましたが最終スコア以上の圧勝)だけに、この決勝戦もNorth Carolina一辺倒になるのかと思われたのですが、そこからMarylandが逆襲して4-4。Marylandの逆襲はラッキーな面もあったのですが(シュートのリバウンドがMarylandの選手にきれいに収まってそのままセカンドチャンスゴールが4点のうち3本)、それで息を吹き返したMaryland。それ以降は一進一退の熱い試合となり大変楽しめました。過去のNCAA決勝観戦歴の中でもトップクラスの試合となったと思います。終盤のターンオーバーや反則でポゼッションが激しく入れ替わるどんでん返しの連続もラクロスではなかなかない白熱の最終盤につながりました。レギュレーション終了間際に犯したMarylandの反則(1分間1名退場)が延長戦開始時に続いてそのまま決勝ゴール。North Carolinaは前日に女子ラクロスでもMarylandを破って全米制覇で男女同時全米王者の快挙。過去Brownも男女同時制覇したそうです。

ラクロスに詳しくない友人と準決勝ともに観戦していたのですが「なぜアメリカではラクロスは人気がないの?」という質問が出るほど楽しんでくれたようでした。ちなみに準決勝の土曜日は同時刻にUEFA Champions Leagueの決勝があって、二画面で見ていたんですが、ご存じの通りCL決勝の方はあまりおもしろいと言える試合ではなく、かつ例によって恥ずかしいニセケガで審判を騙そうというサッカー界の大一番を汚すような行為まで出てました。その裏で双方が攻めまくる熱いラクロスの試合を見ていたラクロスバージンのような人がサッカーよりも野球よりもラクロスおもしろいかもという感想を漏らしていたのは(単に私の個人的な経験とは言え)ラクロスの人気スポーツ化に光明なのかなという気もしました。以前から書いてますが20世紀の人気スポーツだったサッカー、野球、ボクシングはともに何かが起こるまでファンを待たせる面が強く、アクションが続くラクロスも提示の仕方をさらに工夫すればメジャースポーツに互していける隙はあるのかもしれません。

カレッジスポーツの方では月曜日に野球のNCAAトーナメントの組合せの発表がありました。カレッジの春スポーツの本命はまだ野球の方だと思いますが、ラクロスが急速に春スポーツのナンバー2の地位を固めつつあるのが印象的な2016年シーズンだったかと思いました。

Belichickは両刀

NFL New England Patriotsの名将Bill Belichickが学生時代にラクロスもプレーしていたという話は過去に当ブログでも何度か書いています。今週末からカレッジラクロスのNCAAトーナメント(18校出場)が始まっており、それに合わせてラクロスメディアがBelichickのインタビューを公開、試合中継中に宣伝をしていました。YouTubeで見られます。なにがおもしろいと言って、フットボールの話をするときとはまるで違う笑顔が素敵というところがすごい。話を聞いていてもラクロス、好きなんだねえというのがひしひしと感じられました。Belichickの子供さんたちもラクロスをプレーして育ったという話をしていました。Clevelandに住んでいた頃はプレー環境は良くなかったけれどNew England、New Yorkとラクロスの盛んな東海岸に移住してからは子供達の環境もアップしていったという話なんかもしてくれました。

ビデオの後半には実際にキャッチボールをしながらの場面があるんですけれど、おもしろいのは右利きなのか左利きなのかBelichickは誰にも明かしたことがない、と言ってキャッチボールも右左両方でさらりとこなしていたのです。「たぶんうちの子供たちも自分がどっちが利き手か知らない」と言うほどで、それが現役時代のBelichickの武器だったとか。お歳になった今でもインタビュワーに利き腕を何度も訊ねられても口を割らないという徹底ぶり。その辺の裏をかくという考え方、普段から、そして長い時間をかけてその裏をかく準備の周到さなんかはPatriotsでのプレーコールに通じるものがあるかななんて思いました。


NCAAトーナメントの一回戦も好試合が続いていて楽しんでます。Dukeの大型フォワードMyles Jonesを見事に封じたMaryland-Loyolaの好ディフェンスが光った一戦はカレッジラクロスのレベルがここ数年で一気に高まっているのかなということを感じさせる試合でした。Jonesについては二年前にも少し書いています。これでJonesはカレッジでのプレーを終えてプロリーグMLLに加入していくんでしょう。


Belichickのインタビューの話に戻りますが、現行のラクロスのルールをひとつ変えられるとしたら何を変えたいですかという問いに、攻守両方に参加できるミッドフィールダーをルール上でもっと許して攻守分断を弛めたらどうかという話をしていました。

カレッジラクロス戦国時代到来か

男子カレッジラクロスで昨年の全米チャンピオンだったDenver Pioneersが所属のBig Eastトーナメント決勝で敗戦しています。相手はMarquette Golden Eagles。このBig East決勝戦@DenverをFOX Sports 2が放送していました。少し前に当ブログでも書きましたが今シーズンは多数のスポーツ専門局がカレッジラクロスの放送を積極的に展開しています。この試合、地元開催となった王者Denverが前半リード。それが後半に入ってMarquetteが怒濤の6連続ゴールで逆転。第4Qに入って激しい争いとなりましたが最後は1点差を追うDenverの攻撃を振り切ってMarquetteのBig East初優勝。DenverはBig East加入以来3年目でBig Eastの学校に敗戦するのは初。この両校はともにNCAAトーナメントに進出することが決まっています。試合自体は激戦。前半に今季全勝・昨季王者で地元のDenverが4点差で折り返したときはこのままあっさりDenverかなと思ったのがMarquetteがフェイスオフで主導権を握って連続で得点を重ねたところの迫力はなかなかにエキサイティングでした。

Big Eastカンファレンスがラクロスを正式種目としたのは2014年からで今季が3年目。Big Eastカンファレンス自体がフットボールの都合で完全に分裂したのが2010年。その後は名称は昔ながらのBig Eastですが、現在はカソリック校10校(フル所属)を集めた小規模カンファレンスになっています。フットボールはFBSから消え、バスケでもその存在感を大きく減退させたBig East。その後のカレッジスポーツ界での生き残り策の一環としてラクロスの採用が進んだということのようです。但しBig Eastの所属校でラクロスを持つ学校は5校しかなく、外部のラクロス有力校だったDenverを招いて6校制としてスタートしたのが2014年。Big East新王者となったMarquetteが創部したのが5シーズン前。初優勝したチーム内にも5年目のシニアも数名残っており、まったくの新興チーム。つまりはカンファレンスもできたて、Denver以外は歴史のあるチームもないというのがBig Eastラクロスということです。それが中西部ウィスコンシン州ミルウォーキー市の新興Marquetteがカレッジラクロスの西の雄=Denverを下してNCAAトーナメントに登場するわけです。

ラクロスは伝統的にアメリカの東部で人気です。そのひとつの現れとしてカレッジラクロスの全米分布について過去に書いたことがあります。当時掲げた分布図で見ると明らかですが、西に大きく飛び地となったDenverを除くと、カレッジラクロスのDiv-I校のテリトリーの西の果てはインディアナ州のNotre Domeでした。それが新興でつい最近になってDiv-Iに昇格したMarquetteが単にラクロスのテリトリーを広げただけでなく、全米チャンピオンを堂々破ってカレッジラクロスの勢力図を中西部に持ち込んだことに意義があります。カレッジスポーツの最大カンファレンスであるBig Tenが昨季からラクロスを正式種目としたのと併せて、東部に極端に偏っていたラクロスがいよいよカレッジスポーツの一大根拠地である中西部に実力校を持つに至ったというのはラクロスが全米規模のスポーツに展開していく過程として大きな一歩なんだろうと思います。

春スポーツでラクロスが攻勢に

カレッジスポーツでは現在冬シーズンのバスケットボール、アイスホッケーがシーズンのフィナーレを迎えています。バスケのFinal Four、ホッケーのFrozen Four、と最終局面に向かうところ。その裏で春スポーツである野球、ラクロス、男子バレーボールなどがシーズン前半を戦っているところでもあります。

先週バスケのMarch Madnessの熱戦があった週末の昼間にラクロスの試合の放送を見ていました。No. 3 Syracuse@No. 5 DukeというACCの試合。ラクロスの世界では両チームともに名門と言えます。試合は双方のガッツを感じさせる大激戦でかなり楽しめました。その日の前後の時間帯や、その前週もカレッジラクロスの試合が多数放送されていて、え、最近はこんなにたくさん放送するんだ、という感じでした。

春スポーツというとアメスポ・学校スポーツの伝統的な流れでは野球だったわけです。秋はフットボール、冬はバスケ、春は野球というローテがある種の王道。もちろん自由主義のアメリカですから個々の興味と体格と才能に合わせて自由に選んで秋にサッカー、冬にレスリングなりホッケー、春にテニスや陸上をやる人も多くいるわけですが、ことステレオタイプな王道パターンはいわゆるプロの三大スポーツとマッチしたその三種目だったのです。その春スポーツでどうもTV放送の予定を見ているとスポーツ専門局は野球からラクロスに大きくシフトしているように見える。これはけっこうな新味であろうかと思います。

各種データからアメリカの子供達が「やるスポーツ」としての野球を選ぶことが減っている(それでもまだ上位ですが)という点は過去に何度も指摘されているところ。では何にシフトしているかというと学校スポーツの春シーズンに限定するとどうも現時点でのその答はラクロスになりそうなのです。他にもサッカーやラグビーという解答もありうるのですが、「見るスポーツ」としての当面の解答としてはスポーツ専門各局はラクロスを選んでみたようです。

以前から指摘しているとおり「待たせるエンタメ」である野球は、我慢強くなくなった21世紀の視聴者にとっては少々問題のあるコンテンツになってきている可能性がある。カレッジであればCollege World Seriesやその前段であるNCAAトーナメント序盤はESPN系列がしっかりと囲い込んで放送してまずまずの視聴率を確保するものの、そうではないレギュラーシーズンの試合は視聴者が待ってくれない。今回、ラクロス放送の攻勢に置き換えられた状態のように見えるのもその文脈上の変化のように思えます。各カンファレンスやTexasは独自の専門局を持っておりそちらでは野球やソフトボールは放送されているのでカレッジベースボールを積極的に見たいという人が見ることのできる試合数はそこそこあるのですが、一般的なスポーツ放送のESPN系などでの放送ではラクロスが優勢になったのかもということです。

ジャンルとしてはまだまだ一般への馴染みはラクロスは野球に大きく劣る現状においては、一般のスポーツファンがたまたまラクロスの試合の放送にぶつかるという機会はラクロスにとっては最良のものでありましょう。まだまだ小さな変化ですが、今季のカレッジラクロスの露出がどういう視聴率を記録していくのか、また将来にどうつながっていくのか興味があるところではあります。

ラクロスMLLは拡張主義に耐えうるのか

前項でサッカーMLSがMLBを始めとするメジャー興業との競合になったときに耐えうるのかという話をしてみました。MLSに関しては興業実力はまだまだメジャーとは言えないものの、創設20年を経てビジネスの足腰は強くなりこの5年ほどはもはや潰れることは心配のないところまで来ています。初期の赤字続きの時期からすれば長足の進歩です。発足当初のスロー成長に賭けた戦略がうまくいったと評価していいはずです。

今回のテーマはさらにMLSのもう一つ下の人気と規模となる野外ラクロスプロリーグであるMLLについて。前項の内容およびコメント欄で述べてきたようにMLBが再び攻勢に転じてチームの移転や新設を通じてMLSのマーケットに圧迫を加える可能性というのを少し考えてみたわけですが、その影響を受けるのはMLSだけでなくMLLでも大いに影響を受ける可能性があります。

MLBの拡張先の候補としてCharlotteがあります。ここにはMLLの新興チームCharlotte Houndsがあります。2012年からリーグ参加で4シーズン目を終えたところ。同市にはメジャースポーツとしてはNBA Charlotte Hornetsがあり、マイナーリーグベースボールはありますが春~秋は人口の大きさと比較してスポーツエンタメ市場の空きが大きいと言える都市圏ということでMLLが新興チームを配置したんですが今季の試合平均動員は2,282人でMLL8チーム中6位。苦しい数字です。これで黒字はまずない。そのCharlotteはMLBの将来の拡張または移転先として語られることが多く、その場合シーズンがかぶるMLLがチームを維持できるのか疑問もあります。まだいつMLBが来るとも決まったわけではなく来ないかも知れませんからいまから手じまいモードになる必要はありませんが、将来MLBがやってくる前にいまの2000人級の動員力からは抜け出していたいところでしょう。

MLL 2015 Attendance
MLLの2015年の動員記録を見るとラクロスの競技人口が多い東部の各都市(Boston, New York, Chesapeake)とラクロスの楽園飛び地であるDenverが上位で事業として及第点かと思われる数字を出しているのと、確実に赤字であろう下位4チームとの隔絶が目立ちます。尚、Denverが突出しているように見えますが、その数字には毎年30,000人を動員する独立記念日の花火大会込みの試合の動員が平均に含まれているのでそれ以外の日の動員だと2~3位のチームと動員力はほとんど変わりません。Cheasapeakeは日本からは馴染みがないでしょうが海軍基地の街です。

リーグの半分が苦しい状態で運営されている中、MLLは来季Atlantaに新チームを作ると発表しています。Ohio, Charlotte, Floridaと新興チームが軒並み動員が苦しく軌道に乗っていると言えない中、また新チームを作るのかと聞いたときに思いました。それもラクロスの競技人口の多い東部ではない、南部か、と。場所はAtlantaと言っても以前に女子サッカーWPSのAtlanta Beatが本拠地を置いたのと同じ郊外。マイナープロスポーツが使いやすいスタジアムがあるのでマイナープロがなびくみたいです。Atlantaは男子サッカーMLSも拡張先として既に計画が進行中。元々NFL/MLB/NBAと揃っている街(NHLは不振で2011年に転出済)で、MLSも進出してくる土地にMLLが侵攻して勝算があるのか。MLS Atlantaは2017年にリーグ参加予定なのでその前に機先を制してMLLが来季から活動開始なんでしょうがどうなることか。リーグ全体の経営が傾かないか心配になります。リーグとして体力のないMLLがこうい積極拡張策に走るのは危険な気がしますが、投資家からカネを集めるには勢いも大事なのも事実でしょう。

カレッジラクロス準決勝 西へ進むラクロス地平線

NBA/NHLのカンファレンスファイナルが進む週末です。但しNBAの方は…西も東も下手をすると四タテで終わってしまいかねない勢いです。東のトップシードAtlanta Hawksがホームで二連敗でClevelandに移動。その上Kyle Coverをケガで今季残り戻って来られないことが確定して戦力ダウン。意気消沈、ここから盛り返せそうな気がしません。Clevelandの方は第二戦余裕でKyrie Irvingを休ませても快勝してしまっているわけで。Love、Irvingと二枚欠いてもノープロブレム。Finalが始まるまでNBAは良いかなぐらいの勢いです。西も第三戦もGolden Stateの圧勝ですか。終わってますね。

NHLはただいまChicago x Anaheimが撃ち合いで延長戦に突入するところ。それ以外では明日のIndy500がアメスポのメインメニューです。

そういう中で私の今日の注目競技はカレッジラクロスNCAAトーナメントの準決勝二試合でした。ともに最後まで行方のわからない激戦で楽しませてもらいました。第一戦はNotre Dame x Denverというラクロスの西の果て対決。インディアナ州にあるNotre Dameは他のスポーツでは西の果てとなることはありえないんですが、ラクロスに関してはそうなるんですね。下の地図はDivision-Iのラクロス部を持つ学校を示したものですが、ラクロスは東部偏重でDenverは飛び地のような西の最果て、Notre Dameですらラクロスの行われる地域では西の端ということになります。正確には今季からBig Tenがラクロスを正式種目として採用したためこれから数年でBig Ten所属各校がラクロス部を整備することでNotre Dameよりも西にもDiv-I校ができることになります。(現時点ではBig Ten所属14校のうちMaryland, Michigan, Penn State, Ohio State, RutgersプラスJohns Hopkinsの6校)


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その西の果て対決はNotre Dameが終盤猛烈な追い込みで4分残りで4点を立て続けに叩き込んで9秒残りで遂に同点。Notre Dame二年生のSergio Perkovicが最終第4Qだけで5ゴール。最後の同点ゴールはそのPerkovicを囮にして空いた隙を突いた攻撃がものの見事に決まって延長戦へ。Denverが悪い流れを断って最後は勝利をものにしましたが両軍とも健闘。最終スコアは11-10。DenverのSports Center Top 10級の鮮やかな背中越しで相手ゴーリーの股を通したゴールなんかもあっていろいろ楽しめました。

もう一試合は新設されたBig Tenからの二校=MarylandとJohns Hopkinsがこれも最後の最後までわからないデッドヒートを展開。Marylandが12-11で逃げ切り。Big Tenと言っても今季ラクロスだけでBig Tenに参加したHopkinsと、昨年から加入したばかりのMarylandなのでBig Tenぽくはないのですが、それでも上で述べた通りラクロスの勢力圏が西へ拡大していく大きな動きの中心でもあるBig Tenの代表ではあるわけです。

Denverは過去五年間で四度目の四強進出で初の決勝へ。デンバーはDenver大がカレッジでも毎年コンテンダー。プロのMLLでは動員力最高のDenver Outlawsがあり、また昨年のラクロス世界選手権も行われアメリカラクロスでも象徴的な都市。そのDenverと対するのがこれからの10年、ラクロス西進の推進力になるであろうBig Ten代表のMaryland。ラクロス人気の全国化の進展の象徴になるような組合せと言えましょう。月曜日=祝日の決勝での好試合を期待します。

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