アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

ドーピング・PED

クリーンで打てない契約を球団は望まない

本当はWBCの米国チームの話をやりたかったんですが、ニュースネタになっているA-Rodの再度のPED疑惑に触れておこうかと思います。


概要としてはNew York YankeesのAlex RodriguezがPEDを処方するフロリダ州の医療機関の患者リストに名前が残っており、当該機関から継続的にPEDを処方されていたと疑われているというものです。但しA-Rod本人がMLBが実施しているPED検査にひっかかったことはありません。A-Rodは2009年にPEDの過去の使用を告白していますのでそもそも潔白ではありえないのですが、MLBの処分で言えば一度も処分されたことがないため、もし今回の事情から処分を受けるとなった場合は初の違反に当たりよって罰則としては50試合の出場停止が課されることになります。元々A-Rodは股関節の手術で今季の開幕には間に合わないことが確定しており、どこの時点からその出場停止の50試合をカウントし始めるのかからして微妙です。いずれにせよどれほど早くても夏、最悪の場合2013年はまったくプレーできないのに近くなる可能性も残ります。現在37歳、この夏には38歳になる選手が丸一年空くというのがその後のキャリアにどう影響するのか。最悪となれば今季だけでなく引退まで考えなくてはいけなくなるのかもしれません。

お金の面を考えれば2007年にYankeesと10年契約を結んでおりまだ4年も高額契約が残っているので治療に励んでぐずぐずしつつ集金継続するのが得策であり代理人(Scott Boras)もその方向で指導するはずです。これがYankeesの側から見ると邪魔なわけです。


Yankeesが贅沢税回避や来季以降に見込まれる中心選手Robinson Canoの高額FA再契約などを念頭にサラリー圧縮策にここ数年励んでいるのはMLBファンはすでにご承知のことと思いますが、ここで降ってわいたA-Rodの再度のPED疑惑を期になんとか変化球で不良債券化したA-Rodの契約を破棄できる方法はないかと模索しているという報道が出ています。

基本的にはそれはYankeesにはできないというのがルールです。PED使用への罰則は労使協定で三段階の出場停止が定められており、それ以外の罰則を加えることはできません。初回50試合の出場停止、二度目なら100試合、三度目は永久追放というのが現行ルール。罰則が軽すぎるという議論があるのは承知していますが、それは今回の件とは別問題。

メジャースポーツの契約では全ての外部医療行為はチームドクターから照会されて行われるのが原則で、Yankeesのチームドクターに照会せずに独自に外部の医者にかかった事自体が契約違反と言えるので、それを理由に契約解除が可能かどうか、などPED使用以外の部分で責めたい意向とされます。A-Rodサイドも、それをバックアップするであろう選手会もこれには強く反発するのは必至。PED罰則での労使の合意外の迂回処罰ではないか、という反論が当然のように出てくることでしょう。その結論がどう出るのかは見通せないところです。


PEDの使用問題はいくつも問題がからまっています。キャリア晩年の有力選手にとってはお金の問題とすれば50試合の出場停止などさほど痛くないでしょう。そこまでにさんざんお金も名声も得ているわけですから。もちろん殿堂入りという名誉は消える可能性もありますが、90年代以降の名選手がごっそり抜けた状態となったら野球の殿堂自体の価値が減ずるという可能性も否定できないと思うのです。名誉というのはまさに有名無実、形あるものではないのですから。成績の優秀な選手や有名選手がことごとく殿堂入りしない事態になったらどうなっていくのか。既に最多本塁打選手、最多安打選手は殿堂入りできていないですね。

またPEDで成績を伸ばして大型契約で加入してきた選手が契約締結時点でPED使用を止めるというのは球団側にとっては大変なリスクです。頭の中では過去の成績はPED込みかもなぁと思いつつもその選手と契約しているはずで、それが急にPEDを止めて成績降下されたら球団側は大損です。昨春のAlbert Pujolsの春先の大不振なんかはまさにその例で長期契約したばかりのAngelsはひやっとしたはずです。Pujolsの場合はその後復調、それがPED使用を再開したからなのかなんなのかは知るよしもないですが、Angelsから見ればPEDがどうのこうの言ってPujolsにケチを付けることよりも、大型長期契約をしたのに打てないことの方が大問題なわけです。クリーンかどうかなんて球団側からしたら興味がない。クリーンでも打てないんじゃ意味がないのです。

 A-Rodの場合だと、2009年のPED使用告白以前もそれ以降も、A-RodがクリーンかそうでないかはYankeesにとっては大きな関心ではない。要は出場して打ってくれればそれでいいわけです。なにせ10年契約でしたから。2009年の告白のときにもYankees側にとっては成績が大きく下降することが一番怖かったのであってクリーンかどうかは二の次の問題でした。まさかYankeesにしてもナイーブではないですから2007年の長期契約締結時にA-Rodが完全にクリーンだと思っていたわけでもないでしょう。2009年の告白のときもこれからクリーンとなるのかどうかでなく、既に2007年の54本塁打156打点をピークに下降ラインに入った成績がさらに下がるのかどうかの方が関心だったはずです。

それがさらに進んで成績の面では最近過去二年間合計で本塁打34本、打率も.270台、それよりも出場機会が落ちているしポストシーズンにも弱い(ポストシーズンの部分はPED関係ないか)。2013年も股関節手術で前半戦出場が見込めない。その上クリーンですらなかった。PEDで成績をブーストしていてそれでもここまで成績が落ちているとなるとYankeesとしても元々生え抜きでもないA-Rodの契約を尊重する理由がなくなっていると見ていいようです。そういう流れで迂回理由での契約解除を模索するであろうという話になっているようです。


個人的な感触で言わせてもらうと、たぶんYankeesの契約解除模索は失敗するのではないかと感じます。2009年当時のPED使用告白時にもチームドクター以外が処方を行った可能性は高く(そうでないと今度は薬事法違反で違法行為です。処方されたPEDの使用はMLB規定における「違反」行為であっても違法ではない)、それを理由に今回は契約解除を目指すものの2009年当時にはそういう動きをYankeesはしていない。つまり同様の契約違反があったのにまだ打てた2009年当時はスルーOKで、打てなくなった2013年には契約違反だと言い立てるのはダブルスタンダードで、その実は成績不振からの契約解除が真の理由だと反論されてYankeesの動きは裁判に持ち込まれて通らない可能性があります。

まあそれでもYankeesからすればダメもとで大した損はありません。成功すればA-Rodのサラリーがごっそり向こう四年間の予算から外れるわけで、その金はCanoやGranderson、または新先発投手との大型契約に振り向けられる。そういった損得勘定からしてYankeesがダメもとでA-Rod斬りに精を出すのは確定的、但し成功確率はいま表面化している程度の理由付けでは少々弱く失敗しそうなように思われます。

訳がわからない言い訳はしない方がいいと思う

明日から例のLance Armstrongのドーピング懺悔番組がオンエアになるということで一部は盛り上がっているようですが、個人的にはあまり興味がわかないです。あれだけ「やってないんだ!」と何年も言い続けて、昨年クロ裁定が確定してから、実はやってました、とか。なんでもその番組の司会者(日本で言うと徹子の部屋の黒柳徹子)によれば番組制作側が期待したほどには大懺悔大会ではなく、まだいろいろ正当化を付けたりとか全面降伏ではないらしい。私は見ないですがニュースが内容の要約はしてくれるでしょう。

スポーツ界のドーピング問題としては事実関係にはなんら変化を及ぼさないと思われますし、あるとすれば「否定して引っ張るとこうなっちゃうよ」という教訓の新たな一ページと言ったところか。なんでもArmstrongは自転車界からは追放されたが、別競技扱いであるトライアスロンに出場したいんだとかなんとか。まあ確かに一人の男の人生は競技から追放されてからも続くわけですから人生をギブアップしないこと自体は悪いこととは言いません。


ところで今回の表題ですが、Armstrongのことはオマケで本題はここからです。心から意味のわからないもう一つ別の言い訳問題が噴出しているのでそちらのお話。

今季のハイズマン賞(カレッジフットボールのMVPに当たる)のファイナリストだったNotre DameのLB Manti Te'oについて、Te'oの元ガールフレンドが白血病で死亡、その心の傷で自分を奮い立たせて今季頑張ったんだ、という感動のお話が実は全部嘘で、そもそも当該の女性は実在もしていなかった、とかいう話になっています。その女性のSNSアカウントも存在するけれどそれも実在しない人名で作られたアカウントで、使われていた写真は他人の写真だったとかなんとか…

あまりにも話が突飛すぎて理解するのに苦労してしまうのですが、Te'oがお涙ちょうだいを目指してこのストーリー全体を作ったという話…らしいです。それだけでもさっぱりわからないんですが、さらにそれに輪をかけて所属のNotre Dame大からは「Te'oは騙された!」というもっと訳のわからない公式擁護コメントも出てきて、いったい君たちはなにを言ってるんだ?状態です。Notre Dame側から出たコメントが擁護になっているのかすらわからない。

ばかばかしすぎる内容なのですが、たまたま前項で書いた通りアメスポは若干ネタ不足な隙間時期を迎えているだけに数日はこの理解不能な事件の解説や事実関係の掘り起こしで賑わいそうです。アメリカのメジャーSNSは基本実名アカウントなのでもしその人物が実在しないとなるとアカウント消去(それとも停止?なだけでデータは残る?)になるはずですが、こういうのってどうなんですか?関係者が作成したとされますから自主的に証拠隠滅するんですかね?それとも一応死人のアカウントなのでいまになってアクセスすると足が付くから放置か。というかハイズマン詐欺でしょうか?これ。ハイズマンも獲れず、BCS優勝戦も一方的大敗だったからまだいいですが、そうでなかったらどうなったんだろう、とホッとするやら呆れるやら。Notre Dameが擁護するように、そのガールフレンドが偽名でTe'oと交際していたとしても、写真もあるんだから少なくともTe'oはその顔をした誰かとは交際していたはずですよね?その子が死んだ、と連絡が来たとして…葬儀にも行かない、お墓にも行かない、その他名前が確認できるものがないということが… えーと… Notre Dameが言い訳してみようとしている想定状況からしてわかりません。

Te'o本人が言い訳するならともかく、Notre Dameまで訳のわからない言い訳に荷担しているのはよくわからないですね。相当学校側も狼狽しているということか。せっかくの復活シーズン直後にこんなどたばたとは。

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