アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

ドーピング・PED

UFC王者Jones コカイン使用を認める

総合格闘技MMAの最大手UFCのライトヘビー級王者Jon Jonesがネバダ州のスポーツ管理当局による薬物テストに引っかかっています。本人もコカインの使用を記者会見で認めています。但し本人は中毒者ではないと否定。このニュース、反響がアメスポ内でも薄いんですがどうなんでしょうか。

麻薬の問題はアメリカ社会と切り離せない大きな問題です。この問題はアメリカに定住してしまった私と日本の一般的な方々とでは相当問題意識に差があると思うので、わかりにくい部分もでるかと思いますがご容赦ください。

まずスポーツビジネスの側面の方から。UFC・ジャンルとしてのMMAが明確に頭打ちになってきているこの時点で人気王者だったJon Jonesがコカイン使用発覚というのはUFCにさらに重いボディーブローとして効いてくるのかもしれません。本人は常習を否定していますがそれが信じられるかどうかというと、信じるべきものではなく本人がこれからの継続的な検査で更正を証明していく以外ありません。コカイン以外の違法薬物の使用については記者会見では大学時代にいろいろ試したとして具体的に何を試したのかは明言せず。UFCがどういう処分をするのか。人気王者だっただけに選手生命を絶つことはしないような気がします。それにコカインぐらいなら…という人もけっこういるしなあという。

PEDなど成績を伸ばすための薬物使用はあくまでスポーツ世界のルール違反であって、今回のような麻薬等の違法薬物の使用とは次元が違うのですが、PEDの方は大きな話題になるのにより大きな問題のはずの麻薬事件なのにマスコミの関心が薄そうなのがどうなのかなと。


アメリカに住んでいると誰それの親族がヘロインで家も車も売って全部ドラッグにつぎ込んだとか普通の子が麻薬のために売春に走ったとか行方知れずだとか言う話が流れてきます。他方ソーシャルメディアで薬を売り込みしてくる大馬鹿者もいます。もちろんダミーアカウントでしょうが。街中にはいくらでも売人がいます。ひどいものです。いや本当に。日本からアメリカへの留学生は近年減ったようですが、留学中に薬に引っかかって大変な状態になって日本に送り返されてからも止まらずという例も存じてます。

現在アメリカで最も大きな問題薬物はヘロインです。ざっとの話ですが統計上ヘロインにひっかかった人は9割方以上もう二度とまともな人生に戻れません。これは統計上の事実で、なんとか常習を断った人も心の中で常に葛藤している状態、常に我慢している状態とされます。受容体ブロッカーも既にあるんですが、そのブロッカー自体も常習性があって毎日摂取しなくてはならず…とキリがありません。ヘロインよりマシというだけです。そしてそういった患者を扱うクリニックの外にはドラッグディーラーが徘徊して元常習者をまた元に戻そうと活動します。そういうことでヘロイン禍は大変な社会的コストであり、家族にとっても悪夢の事態が全米中で蔓延しているわけです。

そういうヘロインという最悪の存在があるので「コカインぐらいなら」という意識が広がっているのがいまのアメリカなわけです。それがある種の常識になってきているのです。そういう背景があるので今回のJon Jonesも取り立てて大げさに謝罪するわけでもなく淡々とコメントを残して悔いるわけでもないということになるんでしょうね。

そういうお国柄なのでコカインよりさらに健康問題が少ないとされる大麻=マリファナは当ブログでも何度か取り上げた通り解禁論議が進行中。日本とは足切り点が全然違ってしまっているのです。

強調しておきますが日本の方が絶対いいのです。日本のダメ絶対的なキャンペーンはいまの日本の常識と現状においては間違いなく正しいので、ぜひぜひそのラインを死守していただきたいです。後戻りは効きませんので。大麻開放論者などの嘘に騙されないようにされてください。間違いなくゲートウェイドラッグとして機能してしまいます。今のアメリカのようになってしまうとどうしようもないのです。

A-RodはNPBに移籍できない?

New York Yankees Alex RodriguezへのMLBが課した出場処分の異議申し立ての仲裁結果が発表になっています。出場停止試合数は従前の211試合から162試合に短縮という内容。A-Rodは即座に連邦裁判所で争う旨のコメントを発表していますが、実際に提訴するかどうかは若干懐疑的です。顧問団弁護士に乗せられている可能性を感じます。2014年シーズンは諦めて2015年シーズンに復活を賭ける、でいいんじゃないのかなと思うんですがどうでしょうか。細かいことを言うと今回の処罰はPEDの使用そのもの以外の部分、捜査妨害で罰せられている面が強いのでA-Rodが実際にPEDを使ったかどうかはあんまり関係ない話になってきているんですが、マスコミでさらっと触れるファンにとっては違反薬物摂取ととられてしまうのでその点にA-Rodが拘っているのかなという気がします。MLB選手会側はMLBの手続き瑕疵や証拠への異議は唱えておらず連邦裁判所に持ち込んでもこりゃ見込みないんじゃないのかな?という感触です。


それはともかく。MLB Networkでこの件の詳細な特集番組をやっていたのですが、その中でおもしろいことを言っていました。Bob Costas氏が持ち出してきたのでどれほどそれが真実か裏は取っていないんですが曰く「2014年のMLBの出場停止は日本リーグその他も尊重するので、一年間だけ海外リーグでプレーするというのもできない。ありうるとしたら米国内の独立リーグだろう」というコメントがありました。え?という感じです。NPBはMLBの出場停止処分を尊重する?そんな話が過去にあったんでしたっけ?NPBの事情を私は知らないのでそうなのかもしれません。どうなんでしょうね?

私が意外だと思ったのはこういう過去事例があるからです。NFLの話ですが、RB Ricky Williamsが薬物違反(PEDではなく大麻。Rickyは大麻愛好家でオフシーズンはオランダで大麻三昧)で1シーズン出場停止処分となったときにCFLでプレーした事がありました。NFLとCFLは独立の組織ですが、相互不可侵条約を結んでいるであろう(そういう公表された事実はありません)CFLがRickyを受け入れていたのはOK。それがMLBとNPBだと不可?本当に?と思ったわけです。一年だけまだ賞味期限の切れていないA-Rodが日本でプレーするなんてNPBにはいい宣伝機会で良いんじゃないかと思っていたので、単なる紳士協定とかなら無視してNPBは取っちゃえばいいのにと思うんですがどうでしょうか。


ただNPBは例のポスティング契約のあまりのダメさにコメントする気も失せたほどの無○集団(失礼)ですから、MLBになんか言われるとそのまま受け入れちゃいそうではあります。本当はそれをバーゲニングパワーに使ってなんらか他の部分でMLBから譲歩を引き出すぐらいの手管があるといいんですが。

いよいよ出てきたMiami HurricanesのPED疑惑

いやこれはちょっと意外でしたが、妙なところから私の憶測記事が現実の話題に発展する可能性が出てきました。PED使用で出場停止中のMLB Milwaukee BrewersのRyan Braunを旧友が民事訴訟で訴えており、その中でBraunが大学在学中からPEDを使用していたということをぶちまけています。Braun側は現時点では全面否定。ただ過去の行状からBraun側の全面否定を信じるべき理由はまったくなく、関係ない第三者である私から見るとそういうことがあったのかもしれないねーという感じです。もうすでにMLBに対して全面降伏の方向で近々謝罪会見をすると言われているBraunがさらに何年も前の大学時代の事などもうどうでも良いわと相手にしないのは対応としては理解できるところ。

それよりも飛び火して迷惑するのはBraunの出身校=Miami Hurricanesでしょう。同校の学校ぐるみのPED違反について憶測だと散々ことわって記事を書いたのがつい先月のこと。散々憶測だと強調して、それを担保にまったく直接的な情報がない中、状況証拠を各種並べてMiamiを疑ってみたわけです。その時点ではそれが現実的に問題化するとは思っていなかったのです。大学スポーツの元締めであるNCAAは学生の小遣い稼ぎ規制やリクルート違反の摘発などに忙しく、大学レベルでのPED取り締まりには力は入れていない。Miamiの場合、前の記事にも書きましたがチーム成績の下降のタイミングからしてかなり以前にPEDの組織的な供給はやめているはずで(もう一度強調しておきますが憶測です)そんな過去のPED使用などNCAAが追求できる材料はないだろうし露見する可能性はほぼないと思っていたわけです。情報源があるとしたらまあお金に困った食いっぱぐれのOBぐらいでしょうか?

それが意外にもBraunの旧友(旧友ってなんでしょうか?)との諍いから表の話題として出てきてしまう。もし私と同様の疑惑をMiami Hurricanesに対してもっているジャーナリストがいればこの旧友氏に取材しておもしろいネタが書けるはずです。さあどうなるか。MLBが握っているBiogenesisの顧客リストというのもMLBは自分たちに関係のある部分だけ使用して処罰に使っていますが実際は他のジャンルの選手の名前も載っている可能性は十分。それがどこかのタイミングでリークしてくる可能性もあるのかどうか。それにHurricanesの選手の名前が載っているのかどうか。

適正手続きからA-Rodを擁護

では予告していたAlex Rodriguezの擁護をしてみたいと思います。まず以前に書いた記事のリンクを張っておきます。このリンク先の記事を書いたのは二ヶ月ほど前で今回処分対象になっている選手達の名前がBiogenesis社からMLBに提供されて、その処分についてのリーク情報(MLB側が意図的にリークしているような気がします)で過去のPED処罰と違う処罰が下される可能性が報道された時期です。

MLBは労使間の取り決めでPED違反者への処罰は三段階と決まっていましたし、いまもその取り決めは有効です。初回違反者は50試合出場停止、二度目は100試合、三度目は追放という三段階です。先日発表された初回違反者はこの取り決め通りに50試合の出場停止が課されたところです。シーズンの残り試合が50試合強なので優勝争いに関わるチームの処罰対象者は即座の出場停止を受け入れを表明していますね。控訴すればその控訴期間中は試合出場はできますが、それをやると強いチームの選手はプレーオフに出場停止がかかる。またプレーオフに出ない選手でも来シーズン冒頭まで出場停止がかかることになり問題を来季まで引き摺ることになるのは決して好ましいことではない。よって50試合出場停止組はほぼ全員が既に即時の処分を受け入れる方向です。MLBはこれを狙ってわざわざこの時期まで出場停止の発表を遅らせた可能性がありますね。


ただ一人事情が違うのがA-Rodです。以前に書いたリンク先の記事当時の話としてはA-Rodに対してはPEDの使用だけでなく捜査妨害を行った云々ということで初回処分を超えた懲罰を与えるという話だったんですが、最終的にMLBが下した処罰がなんと来季2014年シーズン末までの211試合出場停止。二ヶ月前に50+100で二回分の懲罰で150試合出場停止を課すという話でも理屈上おかしいな、という話なのにそれを超えて211試合ときました。これをA-Rod側は不服として徹底抗戦に向かうようです。そして私はそれを支持してみたいと思うのです。

まず一つ押さえておきたいのはこれまでMLBのPED違反使用処分で労使の申し合わせの三段階の処分以外の処分を与えられた例はただ一件だけです。先月先行して処分を受け入れたRyan Braunのケースです。但しBraunの場合は65試合の出場停止処分。初回処分相当に15試合毛が生えた程度です。Braunはご存じの通り既に一度サンプル移送の瑕疵を言い立てて逃げおおせた過去歴もある、言わばすねに傷を持つ身。理屈からいけば50試合の出場停止が相当のはずですが、ごねるよりも15試合余分に処分を受けて話題の中心から逃げた方が得策。それに調整面でももう今年は終戦してしまった方が本人も楽でもあります。チームもとうにプレーオフ戦線から脱落しています。諦めてしまった方がよいという判断は合理的に見えます。よってBraunは協定からはずれる処分を受け入れました。

A-Rodの方はBraunとは異なり、来季も丸一年出場不可の危機ですから必死です。年齢も上がっていますから実質キャリアエンドにつながる話だからでもあります。また高給取りのA-Rodにとっては来年丸一年間のサラリーが消える(PED出場停止期間中のサラリーは支払われません)わけですからその逸失利益を考えれば高額な弁護師団を組織して戦っても経済合理性もありそうです。それ以前に労使協定を理由に今回の処分の不当さを訴えるのは筋が通っているのですから弁護団もこの訴訟はいけると読むように思えます。

ではMLBはなにを考えてこの協定から外れた処分を課してきたのかという点についてはどうでしょうか。また私の推測好きが炸裂するのですが、MLBは最初からA-Rod側が控訴すること、そしてMLB側が敗訴して最終的には50試合または100試合または150試合なりの処罰になるのを読んでいてなおかつこの処分を課したのではないかと思うんですがどうでしょうか。なぜそんなことをするのか?といえばアナウンス効果。A-Rodという大物に稀に見る強い処罰で臨むことでのアンチPEDの宣伝効果を狙ったという可能性です。実際にA-Rod側のアピールで最終的な出場停止が50試合になったとしてもMLB側は強い処罰をもって厳格にこの問題に臨んだのだというアリバイになるから、ということでないのかなと。もし仮にA-Rod側の言い分が通って初回違反なのだから50試合となった場合、今度はMLBは選手会に対して強硬に現行の三段階の処罰基準の協定改定を迫るというシナリオを考えているのではないか。大騒ぎしても結局初回は甘い甘い50試合だけの出場停止なんて!という世論を喚起して一気に労使合意を厳罰化の方向の大幅改訂に持ち込もうというのを狙っているのでは、とまで疑っておきたいです。

そのMLBの遠望の犠牲にされるA-Rodはとばっちりというかお気の毒な役回りになってしまいました。PEDでの抜け駆けは非難されるに値する違反行為ですからそれは処分されるべきですが、MLBのアンチPED宣伝に無理矢理登場させられる、適正手続きを無視したMLBの戦術に翻弄される一選手という意味でこれは擁護してみてもいいのではと思う次第です。

PED以外のテクノロジーの利用

PEDによるドーピングの否定の論拠というのは

1 選手の健康被害を未然に防ぐため

2 特定選手(特に経済的有利な選手)へのアドバンテージを避け公平性を確保するため

3 ルール違反だから

というところです。それぞれの点にツッコミどころがあるわけですが、今回はまずPED以外の人為的なアドバンテージ、用具やトレーニング方法、または栄養補給などについて考えてみて後日のPEDの当否への前段としてみようと思います。

3に関しては後日議論したいと思うので今回はさらっと「じゃあルールが変わればいいんだね?」とだけツッコんでおくにとどめましょう。


今回は2の問題を中心に考えてみます。PEDの否定の論拠として2は実に弱いと思うのです。新興スポーツはともかく、プロでビッグビジネスとなっている競技や五輪に採用されるようなスポーツになると科学に裏打ちされた特殊トレーニングを積まないと上位に食いこむことはもはや不可能と言って差し支えないんじゃないでしょうか。五輪と言ってもいまはトランポリン競技やBMXなんていうのもありますから一概には言えないものの五輪の華と言えるメインの種目でスポンサー(国家扶助含む)からお金をもらってトレーニングをしないで勝てる種目があるんでしょうか?ビッグビジネスとなっているメジャープロスポーツで圧倒的な素の才能と伝統的な練習だけで勝てる種目がどれほどあるんでしょうか。


例えばですが高地トレーニングというのを考えてみます。高地トレーニングという発想自体は自然環境から学びさらに科学的に証明されて一般化したトレーニングですね。ではトレーニングに適した高地のない国の選手はどうするかというと遠く海外遠征するということで実現が可能でした。これだってすでに2のお金の問題に抵触するはずですが、まあそこは問わないでおきましょう。では高地をシミュレートした低圧低酸素施設でのトレーニングはどうなのか?というのはどうでしょう。日本やアメリカならできます。そんな施設へのアクセスがない選手は世界中にいくらでも発生してしまうんでうがこれはOKなんでしょうか。もっと言うと選手の血液性状や適応能力測定によりどれほどの低酸素がその特定の選手の能力向上に最適かを判定できるようになっているんですが、そういうテクノロジーを利用して効率的に酸素を減らし、低圧室内で運動能力を高めるのはOKでしょうか。これは2の理由でのPED否定と構造的にどこも違わないように見えます。ルールで禁止されていないので3はクリア。1の健康被害の可能性については当面はないと思われますが長期の影響はわかりません。だとすると副作用の報告がほとんどないと言えるHGHの投与と事情が変わるとは思えないわけです。なぜ低圧低酸素施設はよくてHGHはだめなんでしょう?その差は唯一3の「現行のルールに触れるから」だけなんですね。先にツッコんでおいたとおりじゃあルールが変わればいいんだね?ということになります。


最新テクノロジーを利用してのスポーツ能力の向上の例はいくらでもあるわけです。一時期話題になった水泳の水着もそうでした。あの場合は一部の製造業者が先行していたため他社が徒党を組んで反対したというまったく別次元のビジネス的理由もあって排除されてしまいましたね。3の理由を後から加えてダメにしてしまったというわけです。

水着は属人的でないから例としてちょっと違う面もありますので、もう少し属人的な色合いのあるスポーツテクノロジーによる競技能力の例を挙げると、例えば野球の打者や投手のフォームの乱れを定点観測して肉眼ではとても見えない・本人にも感知できない微細な変化を指摘・修正できるテクノロジーもありますね。以前なら個人の試行錯誤でスランプから脱出せねばならなかったのが今はこの技術によって早めの手当ができます。極端な場合成績が落ちる前に修正すらできる。試行錯誤の中でフォームをこじらせ悪化させるような事態は起こりにくいことになります。これだって例えば20年前の打撃の職人から見たらインチキに近いものかもしれないんですね。自分の感覚を頼りに修正していくことだって属人的技術のうち・選手の能力だったはずなのです。それがテクノロジーで属人的な部分を排除できてしまった例です。

栄養補給でもそうです。米代表サッカーチームが盛んにやっていますが、試合開始時刻から逆算して何時間前にコレ、さらに30分前にコレ、量も質も管理された(普通の食事ではない)栄養補給をして試合に臨みます。Pre-game mealと呼ばれています。こういう管理された栄養補給はドーピングではないですが、科学的な根拠をもって最大限効率化された栄養補給法が導入されている特殊なやり方とは言えるでしょう。男子サッカーなら国民の関心の高い他国もお金をつっこんでくるところが多いでしょうから突出したアドバンテージとはいえないでしょうが、女子だとそうはいかないのではないか。米国女子サッカーにとっては2のお金を背景にしたアドバンテージと言えます。


だからどうだというとですね、2を理由にPEDを否定するのは詭弁ではないのか?ということが言いたいわけです。ここをまず次回以降のポイントとして押さえておきたいかなと思い一項を設けてみました。

Miami Hurricanesが怪しい

今回の記事は憶測が多いです。ほぼ憶測なのでそのように読んでください。


Biogenesis社の元社員の証言として同社のクライアントとしてNBA、大学スポーツ、プロボクシング、テニス、MMAの選手たちがいた、という話が出てきています。この元社員の知る限りでは同社の顧客にNFLとNHLの選手はいなかったのこと。

Biogenesis社に類するクリニックは他にも存在している・いたわけで同社の顧客にいなかったからNFLやNHLがクリーンだと論ずることもできないですし、MLBやNBAが汚染されているという話に直結するわけでもないですが、そういう実態もあったという話です。

テニスというのはかなり目新しい証言です。わざわざマイアミのクリニックからPEDの供給を受けるということはアメリカをベースとしている選手でしょうね。連想されるのはここ数年急な復活劇を遂げたあの女子選手あたりでしょうか?MMAはPEDが蔓延しているというのは以前から言われていることですが、ボクシングもそうなんですかね?こちらはあまり聞いた記憶がありません。体重での階級制限の細かいボクシングでは筋肥大は必ずしも得になるとは限らないような。サッカーや自転車ロードレースなどと同じく持久系のスポーツですからPEDといっても血液ドーピングの方が効果的なのではないでしょうか。


テニスと並んで目新しいジャンルとしてここで取り上げられているのが大学スポーツ。大学スポーツもフットボールは巨大ビジネスとなっていますからPEDに投資してでも成績を上げたいという気持ちはわからなくもないです。但しPEDは安いものではないですから選手個人で購入するのはスポンサー(親を含む)がいないと難しいのではないかなと思われます。


そこで表題です。マイアミ市の南郊外に位置するUniversity of Miami。21世紀初頭にはニア二連覇、ニア三年連続BCS優勝戦進出とカレッジフットボール界を席巻したチームです。その前後に大量の優秀選手をNFLへ輩出。NFLドラフトでの数々の指名記録を塗り替えていた存在です。NFL内でもその勢力は強大でこういう他を寄せ付けない記録も持っています。そのMiami Hurricanesがここ数年がっくりとその成績を落としています。Miamiはフットボールでも強豪校ですが、実は野球でも全米的強豪。こちらもほぼフットボールを軌を一にしたタイミングで大きく成績が下降しています。

何が言いたいかというとMiami Hurricanesが学校ぐるみで生徒にPEDを供給していた可能性を考えているわけです。推測です。憶測です。完全に憶測ですが状況証拠だけならいくつもあります。Biogenesis社のあるマイアミ市から遠くない学校でフットボールをやっているのはMiami HurricanesとFlorida Internationalしかありません。Florida Atlanticも通える範囲内か。FIUとFAUはFBSの下位校で徐々に力を付けてきているところ。Hurricanesだけが全米トップ校から滑り落ちています。今回の社員からの情報リークで大学チームが顧客だったというのが出てきてまず一番に疑われるのはMIamiのフットボールでしょう。

Miamiが全米戦線を荒らしまくっていた時期によく言われたのはMiamiは三つ星以下のリクルートをスター級に育ててくるのがうまいというのがありました。☆5つの最強リクルートも入ってくるには入ってくるのですが、それ以外の選手の底上げが他校を圧倒していたので強かったんですね。当時は育て方がうまいという表向きの評価でしたが、いまこうなってこういう目で見てみると、ひょっとしてこれはPEDを学校ぐるみで提供していたのではないのかという疑いがあるかもしれない。

ほぼフットボールと同時期に成績が下降した野球の方ですが、こちらはまずRyan Braunが同校出身です。さらにMLBで選手生命が絶たれる可能性が取りざたされるAlex RodriguezはMiami Hurricanesの積極的な支援者で同校の野球場の改装にも多額を寄付したのでAlex Rodriguez Parkと命名されています。A-Rodは毎年オフシーズンのトレーニングをマイアミ地区で行っており、ある年はトレーニングパートナーとして同校の現役選手だったYonder Alonso (その後Cincinnati Redsドラフト指名、現San Diego Padres)を指名して毎朝トレーニングに励んだようです。A-Rodはプロ入り前にMiami進学を考えていて、ドラフト指名を受けて学期の始まる直前に翻意したのでNCAA記録上はMiamiの学生だったことはないですが、実際にはほぼ母校のような緊密な関係になっています。Miamiの野球の方は豪打で過去はならしたものですが近年はとにかく打てない。まったく打てない。これを状況証拠とするのは無理があるのは承知していますが、とにかくそういう事実はあるのです。

MLBは甘いのではないと擁護してみたい

さてRyan Braunをまず晒し者にして始まった今回の一連の粛正についてです。MLBの過去のPED関連の処分が甘いから根絶できないという説・批判は微妙に間違っているのではないかというMLB擁護を一発ぶってみたいと思ってこの項を書くことにしました。違反者のMLBからの追放までに二度も猶予があると明文化され、罰則は出場停止(とその期間のサラリー没収)のみというこれまでのMLBの処分は確かに甘かったですがそうならざるを得なかったのは選手会との取り決めに沿っているからで、選手会側の抵抗が問題なのにMLBを批判するのはちょっと違うかなという気がしているわけです。
50/100試合の出場停止というのが唯一MLBに許された罰則で、三度目違反の永久追放までの期間に重ねた記録、契約=カネ、名声その他もろもろの利益はすべて残るから選手側からすればPEDで成績を伸ばす経済合理性がある。それは事実です。だからいつまで経ってもPED問題がなくならない、というのはその通りですが、では選手会がそれを覆す処分案に同意するでしょうか。これまでも小出しの譲歩でやっと最近のオフシーズンの血液検査は導入に同意した選手会は罰則の強化にこれまでも消極的でした。

今回のBraunの処分発表直前の時期になって選手会側から「証拠があからさまな選手については今後選手会は援護しない」という声明をわざわざ出しています。Braunの陥落を予感させる声明ではありました。しかし逆に言えばこの声明はどうやっても救いがたいクロ選手でも今までは可能な限りフォローしてきたことを認めているのであり、今後もグレー選手は守るべく戦うぞと言っているわけです。選手会という組織の性質上、選手の権利を守るのは最大の責務で選手のために戦うという事自体は正しいわけです。

そういう抵抗がある中、処分が厳しくないとMLBの側を責めるのはちがうのではないか。MLBは年間通じて血液検査をしたくても、選手会側は抵抗してきたのは明かなのです。アンチPEDの流れに抗しきれず2012年からスプリングトレーニングの時期を含むオフシーズンの血液検査は導入されましたがいまもシーズン中の血液検査はありません。一旦シーズンインしてしまえば血液検査はないとはっきりしているのです。長いMLBシーズンでこれが有効な検査態勢でしょうか?足りないでしょう。でも選手会側が合意してくれない検査は実施できないのですからこうなっているのです。FA移籍した某強打者が血液検査導入初年度の2012シーズン序盤に大不振に陥ったのを見て「…」となった関係者・ファンは少なくないはずです。

もちろん選手会側の言い分もそれなりにわかるのです。ランダム検査ですからいつ・何度検査されるかわからない。夏場のスタミナの苦しい時期に血を抜かれる。先発投手がたまたま登板前夜に血を抜かれる。ランダムですからそういうこともあり得る。これがパフォーマンスに影響する可能性は確かにあるから、シーズン中は勘弁してくれ、というわけですね。それはそれで筋が通っている。年間に回数を絞っての検査ではその該当回数を済ませたらあとはやり放題になってしまうのでそういう回数制限はできない。

そういうせめぎ合いがあって現在の処罰基準になっているわけです。出場停止部分だけは無給ですが、その後PED抜きでただのヒトになってしまった高額FAの長期契約を抱えるチームは大損という仕組みです。


いきなり話は飛びますがここ数年、New York Yankeesが大物FAに手を出さないのは実はこの問題が関係があるのではないのか、と思っているのです。YankeesのGM CashmanはたびたびPEDの疑われる成績が急激に伸びた選手について揶揄コメントを出しています(あまり大きく取り上げられないですが、何度もコメントしています)が、あれは近い将来のPED検査体制強化を見込んで大物FA選手達が長期契約を満足に満了できず撃ち落とされていく可能性とその後のパフォーマンス激落を見込んでのことではないのか、と考えているのですがどうでしょうか。よってPED抑制がかかるようになって素の成績でFA相場が形成されるのを待っているのではないか、という見方が可能なのではないか。言ってみればいまのPEDによる成績のインフレ状態が収まるまでは大型長期契約を結ばないのが中期的な戦略として正しいと信じてFA市場から引いて、いわばノンポジを決め込んでいるという風に解釈できないかなと思うのです。

処分の順序立てを読んでみよう

MLB Milwaukee Brewers Ryan BraunへのPEDの処罰が発表になりました。PED関連の処分は労使間の取り決めがあり、これまでは初犯50試合出場停止、二回目100試合、三回目永久追放の三種類しか処分は存在しませんでした。今回のBraunへの処分で最も目立つ点が今季残り試合(プレーオフを含む)の出場停止という内容だったことです。Milwaukeeは処分が発表された時点(=昨夜の試合を含まない)で97試合消化、従ってレギュラーシーズンで65試合の出場停止処分ということになります。Milwaukeeは現在NL中地区最下位19ゲーム差、ワイルドカードを考えても現実的にはプレーオフの望みはほぼなくチームにとって都合の良い処分となったと言えるかと思います。どうせもう今季はトレード期限に向けて選手を処分しに回る側ですからBraunが出場しようがどうであろうがそれはもうどうでもいいことでしょう。


Braun本人の方は2011年のオフシーズンの最初の疑惑がかかったときに「真実は我にあり」「自分は完全に無実」と高らかに勝利宣言してMLBや検査員を真正面から非難してしまったのに、いまになってごめんなさいと言っても言葉の軽さが悲しいだけですが、とにかく今回は全面降伏することで出場停止は今季に限定され、来季は新たなスタートを切れるという処分で済みました。しらじらしく嘘をつき続けたことが白日にさらされたわけで今後人間性を疑われ続けることになりますし、どれだけ成績を残しても殿堂入りは苦しいということになるんでしょうが、とにかく現行の契約の残り部分のお金は稼げることになったようです。

上記でリンクした当ブログの記事はなつかしいです。Braunの潔白主張に同調してしまった人はMLB関係者・ファン含めて多数いたはずで、それらのファンを裏切ったことになるBraun、今後の選手生活はどうなるんでしょうか。ウィスコンシン州のスター同士で友人関係であるNFL Green Bay PackersのQB Aaron Rodgersも恥をかかされた一人ですね。Braunの潔白を訴える強い擁護コメントを過去に出しているんですが、今回のBraunの陥落・自白を受けてのコメントはまだRodgersからは出てません。なんでもBraunとRodgersは共同経営のレストランも所有しているそうで、状況によってはジョイントベンチャーの契約の解約などにも響くことになるので軽々しく言えない部分もあるのかもしれません。


今季のBraunの最終成績は61試合出場    225打数67安打.298、9本塁打38打点。ホームランを162試合換算すると15本程度。MVPに輝いた2012シーズンの33本、昨年の41本から激減です。二塁打も大きく減っており、打率こそ3割近辺となりましたが(但し規定打席には足りません)飛距離ががっくり落ちたことは否定しがたいようです。薬がないと飛ばないんだなあ…という単純な事実をまた見せられたことになるんでしょうか。


さて表題の件ですが、Braun以外にも何人も今回のBiogenesis社からPEDを提供を受けていた選手はいます。昨年の疑似首位打者Melky CabreraやNew York Yankeesの大物Alex Rodriguezも近い将来に処分を受ける可能性が高い。Braunの処分はBrewersがペナントに絡んでいないのでほぼ個人への処分ということですが、プレーオフ争いに絡んだ選手の処分を先行しなかったのはなぜか?という疑問が残ります。つまり違反者・処分予定者がBraunの処分後もプレーオフ争いのチームに貢献してプレーしているわけです。もし処分者がBraunに遅れること数週間の間に活躍してチームがプレーオフに滑り込んだら、なぜプレーオフに関係のないBraunの処分を先行したのだ?という疑問が沸くはずです。

該当者にはつい先日オールスター戦にも出ていたJhonny Peralta (Detroit Tigers)、Oakland A'sの快進撃を支えている13勝3敗Bartolo Colon 、Texas RangersのNelson Cruzなどがいます。なぜBraunの処分を先行したのか。なぜ優勝に関わるこれらの選手の処分を後回しにしているのか。


ここからは完全に推測ですが、Braunをまずは晒し者にしてアンチPEDキャンペーンの宣伝効果を高めることを狙ったと考えるべきなのではないでしょうか。2011年末に捕まえたのにすり抜けた(たかがうまく逃げただけなのに勝利宣言までした)Braunをまずはさらし首処刑というところと読みます。

同時にBraunの処分が比較的軽い(と私は思います)65試合の出場停止にしたことで、他の容疑選手たちに同様の残りシーズンの出場停止をすんなり受け入れるよう誘導しているのだと読むこともできるでしょう。(繰り返しますが労使間の合意通りなら初回の処罰は50試合出場停止のはずですから、合意通りに50試合じゃないのはおかしい、という違反選手側が抗弁することは可能です。二度目の違反の選手は問答無用の100試合から削減されるかどうか疑問)

ちなみにBraunの処分が確定して、残る最大の大物であるA-Rodに関してはリークされているところによればBraunよりも罪状が悪質かつ証拠も多いとされこちらは残り試合の出場停止で済むかどうかわからない。勝利宣言でMLBの顔につばを吐きかけたとも言える情状からすれば比較的軽い処分で済んだBraunの次には、A-Rodには大きめのペナルティが発表されるという可能性があります。小物選手たちのそれぞれの処分はその後かもしれません。

なぜかJohn Rockerに同意してしまう

John Rocker。皆さんご記憶でしょうか?MLB Atlanta Bravesで短期間クローザーとして活躍した大型白人投手です。が、ほとんどの場合John Rockerといえば舌禍事件で悪名を轟かせた鼻持ちならない選手として記憶されているかと思います。当時Greg MadduxやTom Glavineを擁して常勝だったAtlanta Bravesにやってきた恐れを知らない若き新クローザー。人を食った態度でアウェイのファンと悪罵の交換ぐらいは日常茶飯、その後人種偏見を全開にしたインタビュー記事がSports Illustrated誌に掲載後はPublic Enemy(社会の敵)ナンバーワンとなりメディアで取り上げられ、結局その影から逃れられずさすがの悪たれ坊主も成績が下降していって表舞台から消えていった選手です。当時はまだインターネットの普及が進んでいなかった時代ですが、あれがいまのソーシャルメディアの発達した現代だったとしたらどんな騒ぎになったのか。

当時、地元アトランタではRocker支持者というのはけっこういたものです。街頭のテレビのインタビューで堂々Rockerの言ってることは正しいと言い切る女性なんかも見たことがあります(サングラスはかけてましたが)。アトランタは南部ど真ん中、人種的な葛藤の大きい都市ですからRocker的な見方も支持を受けることができたようです。いまの実名ソーシャルメディアの世界だったら逆に支持者は支持を表明しにくくなるのかもしれませんし、どうなんでしょうか。そうやって考えてみると当時のBravesは中心選手の多くがアメリカ人白人だったなという気がします。McGriffなんかもいましたが…検証していないのでいまここでは印象だけで語っておきます。


さて表題の件ですが、その一昔前の人種関連発言についてではありません。最近になってRockerがPEDに関して発言したのですがそれに深く同意してしまったのでそのお話を。

Rockerの主張は、PEDのおかげでMLBもファンも散々楽しんだし、その遺産を今も受けて繁栄しているじゃないか、というものです。特にSammy SosaとMark McGwireのあのホームラン量産競争となったあのシーズンを例として挙げています。

これ、私はつくづく同意してしまったわけです。McGwireはPED使用で断罪されて涙の懺悔まで何年も苦しい思いをしました。Sosaは表向きMcGwireのような断罪モードでメディアに晒される機会はほとんど記憶にないですが静かに表舞台から消された・消えたという風に見えます。二人のあのホームラン協奏曲から遅れること数年、Barry Bondsがこの二人を抜き去って史上最多ホームランを記録したわけですが、毎日毎日、ホームランが出たのか出ないのか気になって仕方ないという興奮を味合わせてくれたという意味ではBondsよりもSosa/McGwireのときの方が上だったように感じます。後から見ればどちらもPEDで伸ばした飛距離と記録だったわけです。それを事後的になかったように扱うのは違うだろうというのは以前からときどき思っていたわけです。McGwireもSosaもBondsもなにかとんでもない悪事を起こしたかのように扱われる。McGwireは復権に向けて打撃コーチになってみたりしていますが、PEDで成績を伸ばした選手に打撃のメカニクスの指導ができるのか?という色眼鏡での否定も当然のようにつきまといます。あれだけの楽しみをファンに与えてくれた功労者を事後的なルール変更を理由に名誉をおとしめる。それは正しいのかなという疑問があります。

もちろんPEDの蔓延を防ぐための心理的防波堤としてPEDを使用した成功者は評価されないんだという実例を晒すことでの教育的効果はあるんでしょうが、あの奇跡のホームラン競争のシーズンがなかったことのようにされているのは悲しむべきことだと思います。間違いなくエキサイティングだったのですから。人々の興味が集中しMLBは多大な金銭的な恩恵と巨大なパブリシティを得たはずです。しかしMLBは当該選手たちを断罪するばかりで自らが当時得た利益は手元に残したままです。それを片手落ちだろという指摘は十分に成立する議論かと思います。

この点を指摘できるのは既にMLBから離れた仕事に従事し、イメージ的にも実際的にもMLBから切り離された立場(将来年金を貰うだけが関わりか)のRockerだから言ってしまえる部分でもあるのでしょう。



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