アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

Female Sport/女子スポーツ

Caitlin ClarkはWNBA行きを宣言

昨日カレッジバスケットボールでは各地でシニアナイトが開催。最上級生たちが最後のホームゲームで表彰されたりする各競技での恒例行事です。これはカレッジだけでなく高校でもやります。カレッジでの競技資格をあと1年残していたIowa女子バスケのCaitlin Clarkはシニアナイト前日に今季がカレッジでの最後のシーズンであると発表済み。当ブログでも何度かカレッジに残ったほうが薄給のWNBAよりも収入の面ではいいのではないかということを書きましたが静かにWNBAドラフト入りの運びとなってます。

同じ境遇だったUConnのPaige Bueckersが既に同校のシニアナイトの前に「これは私の最後のシニアナイトじゃない」とカレッジ残留を発表済み。Bueckers辺りでもカレッジに残ったほうが得なら全国区の人気に育ったClarkならなおさらかとも思いましたがWNBA行きで決着のようです。

ということはWNBA側が危機感を持って裏から通常のWNBAのルーキーサラリー以外の大型の金額をオファーしたということなんでしょう。こうなってみるとWNBAが男子NBAの一部門であるというのが効いてるでしょう。WNBA自体が儲かっていないし別項で検討したようなカレッジ側がオファーできるであろう金額よりも大きな金額を張り込めるような資金力もないだろうし、Clarkに稼がせる企画力も持ち得なかったでしょう。でもWNBAの裏にはNBAという超優良スポーツエンタメ企業が付いている。今がピークと言って間違いないClarkの市場価値を鑑みて今季ClarkにWNBAドラフト入りしてもらうためにNBAが資金投入するのはビジネスセンスとしては良いはずです。
センスとしては良くてもWNBA単体だったら無い袖は振れないわけで、きっとNBA側からの援助ありで金額を積み上げてClarkのWNBA行きを確定させたのはPaige Bueckersのカレッジ残留が決まったあとだったかなと想像します。

この日のCaitlin Clarkはレギュラーシーズンの最終戦でNCAAの史上最多の通算得点に到達。女子のNCAA記録は既に抜いていて、この日は男子の記録であったPete Maravichの記録(3,667得点1967-70)及び男子2位だったAntoine Davis(3,664得点, 2018-23)を一気に抜いてます。
Pete Maravichとの比較はなかなかおもしろくて、私などにはIchiroがシーズン最多安打記録を出したときにGeorge Sislerの名前が浮上してきてSislerという人が何者だったかを知ったり当時の野球と現代の野球との環境や集計上の違いを学んだのに似てるかなと思い出させられました。Maravichの時代には3ポイントシュートもなくショットクロックもない時代。そこで試合平均44得点とかめちゃくちゃな数字で3シーズンで積み上げた記録です。

この日の相手はレギュラーシーズンのBig Ten王者となったNo. 2 Ohio State。Iowa@Ohio Stateでの試合は延長戦に行く激戦で、その試合は見ていて大変楽しめた試合でOhio Stateが勝利。そのリベンジ戦で昨日の試合ではNo. 6 Iowaが快勝しています。Clark自身のシュートは明らかに普段より下のできだったんですがでも終わってみれば35得点。

UConnバスケの女子選手が来季もカレッジでプレーすることを発表

Caitlin Clarkじゃなくてもカレッジに残った方が得だという選手がいるってことのようです。カレッジ女子バスケの名門校であるUConnのPaige Bueckersが今季後のWNBAドラフト入りを回避して来季もUConnでプレーすることを発表しています。Bueckersは今季後のWNBAドラフト予想では全体3位で指名がされるのではと予想されていた好選手。しかしながらカレッジに残留して5年目のシーズンを戦うんだそうです。パンデミックの年に全選手に特例措置がされ通常のプレー期間である4年間にカウントされなかったため今3年生4年生辺りの選手たちは本人が望むならば5シーズン目がプレーできる状態になっています。

少し前に「WNBAよりBig Tenの方が払いが良いのではないのか」という記事を書きました。今週女子バスケのキャリア通算得点記録で史上最多に到達したIowa Hawkeyes所属のCaitlin Clarkが来季もカレッジに残った方がWNBAに行くより儲かるのではないのかということを書いたものです。根本的にはWNBAが零細風でサラリーが安く、特にルーキー選手のサラリーは低く抑えられておりなんと$74,305。そんな額ならカレッジから新卒で就職しても稼げる学生はいくらでもいそうです。なんとも夢のない金額。
WNBAのオフシーズンに選手たちは海外リーグでもプレーして年収を上げるべく働くという労働環境になっていて、WNBAからのサラリーだけがプレー収入ではないですが。

Caitlin Clarkの場合は現在知名度も抜群。今季は男子バスケの方でNBAドラフトの目玉になるようなカレッジスターがいないのもあってClarkが最も知名度の高いカレッジバスケ選手と言って良い。ホームゲームは常に満席。アウェイに行くとそちらも満員&敵地の動員記録を出す。地元のフットボールスタジアムで特別試合をやれば55,646人を動員。Iowaも敵地の側もホクホクのマネーマシン状態です。

現行のルールではカレッジ選手がお金を稼ぐことができる仕組みNILが成立しており、そんなに動員ができるならWNBAの安サラリーの数倍を支払ってもIowaはClarkに来年もプレーして貰った方が得だし、アウェイでの試合を確保できるBig Tenのカンファレンスの他チームだってお金を払って残留してもらうほうが良いほどです。WNBAのルーキーサラリーが余りにも安くてバランス感覚を欠いている状況とも言えます。

Clarkは特別かなと思っていたら今日のUConnのBueckersですらカレッジ残留。取材に答えてチームが好きだから云々綺麗事を言ってますがClarkクラスでなくてもBueckersでもカレッジに残った方がお金ではっきり得なんだろうなというのはかなりショックな話になりそうです。
カレッジ5年目をプレーできるのは今の世代はパンデミックの事情でほぼ4年生全員がその資格があるはず。下手をするとWNBAドラフト回避の選手がこれからも大量発生してドラフトがスカスカになってしまう可能性があります。弱くてドラフト上位指名権を得たチームが好選手が軒並みカレッジ残留で通常年なら2巡目ぐらいの選手を最上位指名しなくてはならなくなるかもとなったらどうするんですかね。なにか救済措置でも取るのか。

WNBAが儲かっているという話は聞かない。検索してみると最新のシーズンで収入は$180-$200 Millionの間だろうと出てきます。収入です。利益ではない。これでも2019年と比較すると2倍近くに増えている模様ですが、利益はほとんど出ていないらしいという話が過去に何度も出ている。男子NBAとホームを同じアリーナとし男子のオフの時期をシーズンとすることで二毛作状態となりコスト削減や固定費・雇用維持にはなっているので利益はさほど出なくても良いという話はあります。いろいろ言ってますがとどのつまりはあまり儲かっていない。だからサラリーもそんなに出せない。特にルーキーには渋い。

昔はWNBA以外にも女子リーグがあってそちらの方が選手のサラリーは出していたんですがWNBAのイメージ戦略勝ちでもう国内に競合する女子プロバスケリーグは存在せず、WNBAのサラリーの額が安くとも云々しようがありませんでした。

ところがカレッジスポーツのNILが施行されたことでNCAAというWNBAよりもチーム数も多く歴史もある事実上のプロリーグが発生した。そしてWNBAと違って全員にカネを払う必要はなく商品価値のある選手だけにカネが集まるという仕組み。これでWNBAが駆逐されようとしているってことになります。

この事情が発生したのはパンデミックで5年目のプレー資格がほぼ全選手にあるのとNILの施行のタイミングが重なったからで、パンデミック後に入学してきた世代になればしかたなくもWNBAに来てくれるのかもしれませんが、WNBAってそんなに安いのか‥と今季後に悪目立ちする可能性がありそうです。

WNBAよりBig Tenの方が払いが良いのではないのか

昨夜の女子カレッジバスケットボールの試合No. 3 Iowa@Maryland戦。IowaのCaitlin Clarkは今季最大のカレッジバスケのスター選手。今季は男子側に将来のスーパースター候補がいないため男女共通でもCaitlin Clarkが最大のスターと言って差し支えがない。

この日の@Marylandの試合は18,000人で会場のキャパシティ超の観客を集めて盛況。今季はIowa女子が行くところ満員の連続、各地の動員記録を更新しまくってます。この日はMarylandが第3Qに一気にIowaを抜き去るなど健闘したため最終盤まで好試合となり地元の客も応援ができて堪能できたはず。終盤に来てClarkの3ポインターで勝ち越し、そのままIowaが逃げ切りとなって遠路来場したIowaファンも満足の試合であったでしょう。Clarkは38得点。最後の最後にどフリーのレイアップを外して40得点を逃したのはご愛嬌。

この試合での得点を加えてキャリア通算3,462得点。NCAAの女子の記録では先週2位に浮上していて、最多記録の3,527点まで65点、新記録まで66点。今季の平均得点が33得点近辺なので平均を維持できると2試合後の最終盤に史上最多に達成可能という計算になります。
Iowaの試合予定は次戦がホームでPenn State(16勝6敗)、その次がアウェイ@Nebraska(14勝8敗)。@Nebraska戦はFOXが地上波で放送予定。この試合はまたアウェイでの動員記録を打ち立てそうです。
もしそこで記録更新を逃した場合次戦はホームでMichigan(15勝8敗)。記録更新がホームでもその前の@Nebraska戦でもこのMichigan戦では新記録達成のお祝いが準備されそうです。

@Nebraskaというと男子の方で今季好動員を記録した試合がありました。その試合のことはタイミングがズレて書き損なったんですけどNebraskaの日本人選手Keisei Tominagaが活躍して当時全米ランクNo. 1だったPurdueに完勝した試合。試合後は観客がフロアに流れ込んでお祝い。発表では14,106人動員(キャパ15,500)で大盛り上がり。でもClarkの史上最多記録を目指すことになる試合ではその数字を超えてくるかもしれません。


さらにCaitlin Clarkはそのさきで男子の方の通算記録も抜ける可能性があります。男子の記録保持者はPete Maravichで3,667得点。それとの差は205点。Iowa女子の今季の残り試合はレギュラーシーズンが7試合。その後Big TenトーナメントとNCAAトーナメントがあります。平均が33点近辺でそれをほぼキープするとレギュラーシーズンの最後の7試合でPete Maravichの記録に近いところに届くはずです。

女子のポストシーズントーナメントは下位チームとの力の差は男子より大きいので実力上位のIowaが初戦敗退する可能性は極小さくどんな少なくとも3試合ぐらいはポストシーズンをプレーするはずです。最大だとBig Tenトーナメントで3試合、NCAAトーナメントで決勝まで行くと6試合の計9試合のポストシーズン。Pete Maravichの記録も更新してNCAA記録を打ち立てる可能性はケガを除いては高いと考えて良いようです。

ちなみにPete Maravichという方は1960年代にLSUでプレー。この3,667点を3シーズンで叩き出した伝説の選手です。カレッジ在籍は4年ですが、当時の制度はカレッジの1年生は別枠のフレッシュマンのみ出場の試合でプレーしているためそのシーズンの記録はNCAA記録の3,667点に含まれていない。さらには当時は3ポイントシュートというルールも存在しないのでこの3,667点を2点シュートとフリースローで3年間、シーズンあたりの試合数もいまより少ない中で記録した隔絶した大記録です。


表題は先日もちょっと当ブログで触れたのですがプロのWNBAのルーキー契約の金額がとても安いのでCaitlin Clarkはカレッジの残った方が得なのではないのかという話。これだけ各地で満員の連続というのは大変なことです。
プロに行く場合既にWNBAのドラフト順は確定していてIndiana Feverが全体1位指名権を持ってます。このままプロ行きだとIowaからIndianaへ行くことになる。いっちゃなんですが田舎から田舎。WNBAのサラリーが一般人並に安い上にサラリー外での稼ぎも限られそうなIndianaに行くのはキャリア設計人生設計という面では周りにブレインがいたら止めてもおかしくないような。

現在Caitlin Clarkが行くところ各地でフルハウスの連続。女子バスケではBig Ten校でも入らない学校は2000人以下とマイナー。Big Ten14校(今季。来季から18校)の平均で5000人を超えるのは5校のみ。それがIowaが来る試合は軒並みフルハウスまたは動員記録更新なので、その動員増メリットだけでも楽々WNBAの安サラリー以上の経済効果があります。
Big Tenが女子スポーツの盛り上げのためにClarkの引き止めをしても勘定は楽に合っていそうです。このレベルの知名度のスター女子選手が次に登場するのはいつのことかは想像しがたく引き止めるのはアリでしょう。来季からBig Tenは拡張するのでClarkのIowa新加入の西海岸の学校に遠征するならそれはそちらでの女子スポーツのブーストにもなるという胸算用も可能です。

カレッジでは基本的に4年間のプレーが可能ですが、2020年のパンデミックがあってトーナメント部分がキャンセルになったこともあって当時在籍していた選手は当時のシーズンは可能年数にカウントされずもう1年プレーが可能です。Clarkも該当するので本人が望めば来季もカレッジでプレーすることはできます。

個人記録は今季ですべて塗り替えられそうなのでその点では残る理由はないですが、お金の面では来季のもカレッジでプレーした方が儲かりそうなんですよね。昨季はIowaはNCAAトーナメント決勝で敗退。今季もし優勝に届かなかった場合ならもう一年やる名分も立つ。

今季の彼女のインタビューを聞いていると明らかに昨季よりも喋りの技術が上がっていて女子バスケのプロモーションもあっさり風味で喋りに含めていて嫌味がない。Big Tenとしては立派にスポークスパーソンになれる。

WNBAの放映権契約は2025年まではESPNが保持。Big Ten校のカレッジバスケの方はFOXやPeacockが放映権を持っている。そちらの方が1年でもClarkを余計にキープできるならWNBAのサラリー分ぐらいは楽に支払ってくれるんじゃないですかね。
逆にWNBA側からすると慌てなくても1年遅れでは必ず加入してくるだろうし、放映権者のESPNにしてもあまりインセンティブがなさそう。WNBAのルーキーサラリーはCBAで決まっていますからいくらClarkが大物でも余分に払うということはルール上できない。よってカレッジ残留の可能性を残したままでシーズンを終えそうです。

9年目のカレッジキャリア

カレッジ女子バスケのIowa G Caitlin Clarkが日曜日の試合で今季最多の45得点(キャリアハイは46)を挙げるも敗戦。この日の得点を加えてカレッジ4年目でのキャリア総得点が3,351点となって現在NCAAキャリア通算ランクで4位。通算トップまであと170点ほど。つい先週元BaylorのBrittney Grinerを抜いたところでそれもニュースになってました。Brittney Grinerは例のロシアで草関連で拘束されていろいろ報道されていた方です。
今季の平均得点は30点前後なので残り試合数を考えればケガがなければ通算記録を抜けそうです。

Grinerもカレッジ時代は騒がれて動員力も強かったですが、Caitlin Clarkはそれ以上になってきている模様。地元のIowaの試合は満員の連続。アウェイでも満員またはその学校の動員最多記録を連発していてこの日の@Ohio State戦も札止めだったとか。

Clarkは現在4年生で今季後の女子プロバスケWNBAの全体1位指名が確実視されていますが、WNBAサラリーなんて一般人と差もない($76,535!)ですからカレッジに残った方が儲かったりしないんですかね。2020年のパンデミックでカレッジ選手のeligibilityが全員に1年余分に付与されているのでClarkも望むなら来季もカレッジでプレー可能なはずです。その程度のサラリーなら倍額をIowaが支払っても動員その他であっという間にペイするんじゃないんでしょうか。

Iowaは全米ランク2位(1位はSouth Carolina)。昨季はNCAAトーナメントで準優勝。今季優勝をしてキャリア通算得点もトップに立ったらさすがにもうカレッジに思い残すことはないってことになると思いますし、よほどのことがない限りプロ行きで決まりなんでしょうが。
Clarkは本人の得点力もそうですがアシストの勘も抜群なのでIowaが勝っているのの大半はClarkのおかげ。プロに行けばIowaの動員は激減必至。


話は変わって表題はカレッジのeligibilityが様々な理由で伸びる選手がいる中でも超異例の9年目のカレッジシーズンに臨む選手が出現したという話です。Miami-FLのフットボールチームのTE Cam McCormickという選手がそれ。
通常NCAAではどのスポーツも4年間プレーができます。またケガでシーズンの大半を棒に振った場合に申請するとNCAAから当該年のeligibilityの繰越を許可される場合がしばしばある。なんでもこの選手は4度に渡ってケガをしたとか。最近になって来年分のeligibilityの追加がNCAAから承認されたのが3年分目の追加になる。
それに加えてred shirt(1シーズンに限って限定的な出場シーズンをeligibilityにカウントしないルール)での1シーズンと、2020年にパンデミックで全選手がeligibilityを消化しない特別措置が取られたのと全部合わせて来季が9年目のカレッジキャリアになるとか。現在25歳。
アメリカの学生には社会人経由とか軍所属を経てとか他のスポーツでプロを経験してから別の競技でカレッジ復帰、などなど様々な理由で年長の学生はいるものですが外に出ないままで9年目の所属の25歳はさすがに珍しい。

この選手は現在はMiami-FL所属ですが高校から最初に行ったのはOregon。現NFL Los Angeles ChargersのQB Justin Herbertと同期でOregonにリクルートされた選手でもあるそうです。Herbertは今NFLの4年目のシーズンを終えたところ。カレッジ時代には全米制覇を目指してドラフトで高評価であったのにカレッジに残留シニア年までOregonでプレーした選手。カレッジにも長居してプロでも既にルーキー契約から脱している。既にNFLで年齢的には新人の域を脱したHerbertの同期がまだ来季もカレッジでプレーするってことです。


余談ですがリンク先の2018年のHerbertのカレッジ残留の記事のコメントで自分で書いた(でも完全に忘れていた)コメントが悪くないかなと思いました。
Tua Tagovailoa は イメージで近いのがRussell Wilsonで、視野が抜群、走りながらのパスセンスが稀有 そういう面ではWilson以上になれるのかも。ただプロとしては小さい。左利き。評価が割れるんでしょうね。
HerbertはCarson Wentzになってくれたら最良か。なんとなくですがRiversみたいなイマイチ勝てないQBになる可能性を少し感じたりもします。そのイメージは来季の全米獲りシーズンで覆せるか。
Tuaはプロ加入してしばらく苦労しましたが遂に今季評価を上げたところ。Herbertはほぼ当時の感想通りで見た目は良さげだけど‥みたいな状況はカレッジ時代から全然変わってないとも言えます。

バレーボールが女子スポーツの動員世界記録更新

以前に紹介したNebraska大女子バレー部の企画したフットボールスタジアムでの特別試合が行われて公式の動員が92,003人と発表されています。これは女子スポーツの動員の世界記録になったそうです。当時紹介したプロモビデオも派手だったんですが現実にスタンドとフィールドを埋め尽くしたNebraska大のファンたち。すごいなという。女子スポーツの躍進という切り口なんでしょう普段スポーツを扱わない一般ニュースにも取り上げられていました。

ちなみにこの92,000人超の動員はNebraska大のフットボールチームが同スタジアムで記録した動員記録の91,585人をも超えたそうです。フットボールはフィールド内には限定的にしか観客は入れられないですからですがそれにしてもという強烈な動員力といえましょう。フットボール部が記録した91,585人の最多記録の試合は2014年の対Miami-FL戦でのもの。NebraskaとMiami-FLというとBCS時代の全米優勝戦もあったしそれ以前も両校とも最強時代にも激突していましたから立ち見でも入りたい人はいたんでしょうね。

以前にも紹介していた通り今回更新される前の米国での女子スポーツの最多動員は1999年サッカー女子W杯の決勝戦@Rose Bowlの90,185人。さらに女子スポーツの世界記録の方は昨年4月にCamp Nouで行われた女子Champions League準決勝のFC Barcelona対Wolfsburg戦の91,648人となっていました。これも突破して世界最多動員を名乗るバレーボールの試合となってます。

試合の方はNebraskaが3−0で快勝。今季4戦全勝としています。ビデオを見てると試合が終わるまでスタジアムのびっちりの観客が帰っていない。Nebraskaファンの同大スポーツへの忠誠心の強さはすごいです。フットボールでもめっちゃ弱いシーズンが近年ありましたけど動員も衰えないし声援も熱かったですし。

Thank you, Megan という国の分断

Megan Rapinoeのヘイターが欣喜雀躍しています。すごい量だなと感心します。サッカー米女子代表の敗戦で生き生きとしてます。これはアメリカの分断という大きなテーマの一段面であり来年の大統領選挙前年でもあり共和党の大統領候補選びのプロセスが始まる今の時期ですし。

トランプ前大統領が名指しで「サッカー女子米代表はアメリカを憎んでいる」と煽って、トランプが煽れば全部受け入れる層が存在するのが今のアメリカの現実。煽られると本当に国会襲撃しちゃう層ですから。それで今回の女子W杯の視聴ボイコット呼びかけに。ボイコットすると言いつつ実は誰それが国歌を歌っていない云々と検閲。特に怨嗟の対象であるMegan Rapinoeへの攻撃はその方面では過激化していて、ナイフをちらつかせながらお前らのところに行くぞ的なイカれたビデオクリップをアップする輩もいたりでやれやれであります。

Rapinoeは大会前から今回の代表活動で代表を引退することを表明済み。中盤の核として長年活躍してきたRapinoeですが以前の判断良く切れの良いプレーは既に消えていて実力本位で選考するなら今回の代表漏れもありえた状態だと私には見えてました。
ただそういうRapinoeへの露骨な攻撃が多い中で彼女を代表選抜漏れさせるとそれはそれでその圧力に屈したかのようなイメージになりかねず逆に外しにくかったかもしれません。Rapinoeとは直接ポジションはかぶりませんが代表候補の有力選手たちにけが人が多かったのもあってRapinoeが選ばれる余地が多かったということも言えます。同じくスウェーデン戦でPKを外したベテランのKelley O'Haraが代表に選ばれたのもけが人の多さのせいだったといえる。結果的にはそんなこんなで代替わりがうまく進まなかった上での早期敗退となってます。

敗戦後には今回代表でCBを務めたJulie Ertzが現役引退を表明。Rapinoeも引退、O'Hareももう代表に選ばれる可能性は低そう。けがで今回選ばれなかった主将格だったBecky Sauerbrunnも年齢的に最大やっても来年の五輪までか。あとはAlex Morganの去就次第では米女子代表も人気が一番高かった頃からのメンバーは皆去って次のサイクルは総入れ替えということになります。
Julie Ertzの場合はNFL選手と結婚していて経済的な不安がなく寿退社に近く他のメンバーのように30代後半まで人生削って頑張って稼ぐ理由が少ないのでまあ納得。このパターンとしてはNBA選手と結婚したLauren Holiday(旧姓Cheney)があっさり引退したというのもありました。MLB Nomar Garciaparraと結婚したMia Hammもそのはしり。

Rapinoeが単独で攻撃の的になったのは彼女が同性婚をしていてサッカー協会との男女同額報酬の労働闘争のリーダー格とみなされていたしColin Kaepernickの国歌膝つき問題でもいち早く呼応したりと保守派の嫌う要素をいくつも兼ね備えていたからです。前回の大統領選挙のときもトランプはNBAやWNBAの影響力を大いに攻撃するなどスポーツ選手が政治影響力を持つことに敏感でその続きってところもあるのかもしれません。
Rapinoeがその怨嗟の焦点にいたことで他の若手選手たちは名指しでの批判は避けられたという面もあったのは今後どうなるか。Rapinoe攻撃に隠れてますが実は以前に比べて米女子代表の白人率はかなり下がっているんですよね。人種年齢的に米女子代表に自身を重ね合わせて支持していた少女層での人気が白人率が下がっていったときにどうなるのかの動向は以前から気になってました。その数字はまたそのうち出てくることでしょう。

そういうRapinoe叩きがあった一方で「Thank you, Megan」と題されたGoogleのTVコマーシャルが流されています。GoogleによるRapinoe支持の表明ですね。Googleぐらいの強大なインフラだとトランパーがボイコットしようにもさすがに無理でしょうからGoogleのサイズだからこそ出せたCMかもです。
あーまた政治の季節が近いんだなあと。

バレーボールVNL決勝トーナメントin Texas

今季の女子バレーボールのNations League(VNL)の決勝ラウンドがテキサス州Arlingtonで開催。トーナメント一回戦で米代表が日本代表を3−1で破ったのち準決勝でトルコに1−3で敗退となってます。1−3ですが各セット接戦で敗戦直前の第4セットに米代表が追い上げて逆にセットポイントを迎える場面もあるなど地元の声援を受けて粘りを見せたところなんかは地元開催の意味があったかなと感じました。
その後最終日に3位決定戦に進出ポーランドと対戦。これに敗戦して米代表は4位で終わってます。成績は期待を下回ってしまったかもしれませんが内容は決して悪くなかったし会場も意外にも熱気がありアメリカ開催をずっと渋ってきた米バレーボール協会も胸をなでおろしているのではないでしょうか。

この米代表の地元3試合での観客席はTVに映る範囲は空席は少なかったしたまに映る上部席にも人が入っているのが見えていました。木曜日の日本戦が5000人弱の動員、土曜日の対トルコ戦は5500人、日曜日の3位決定戦対ポーランド戦が4,402人となってます。ご存知の通り3位決定戦文化のないアメリカなのでどうなるかと思ったのですが4400人ならまあまあではないのか。アメリカのバレーボールとしては立派な動員と思います。その上歓声やUSAチャントも大いにあがっていて盛り上がっていて、やっぱりスポーツ興行は観客との共同作業で作られていくことが大事だと再確認できたように思います。英語実況の方も会場の盛り上がりに感銘をうけていたようです。普段が低いので感激する閾値も低いかもしれませんが。

もうひとつアメリカの出場しない決勝戦がどういう動員になるのかと思っていたんですが中国対トルコというカードで5,838人と公式発表になってます。地元米代表が絡まずこれは立派な数字に思えます。ひょっとすると同日で先に行われた米代表の試合を見に入場した人も加算したり云々細かい数字のトリックはあったかもしれないにしても収容7500人の体育館で5800人なら8割方埋まっている。良かったのではないでしょうか。
決勝の前日にチケット販売サイトを見たところ前の方の席は完売、一階席の最後部に数席と二階席でばらばらと残ってる感じでした。
チケットの単価を公式からたどると一番高い席でも$53、二階席だと$18ぐらいとかなりお安い。その単価で5000人クラスの動員x3日。1日2試合の通し券と1試合のみのチケットと売ってました。総売上でミリオン超えはないでしょうが米代表が一回戦で負けなかったおかげでなんとか成功と言える動員と売上は達成したのかなと想像してます。もし一回戦で負けてたら2日目と3日目に米代表は出場しないわけですからもっと減っていたのか。

この実績で今後も協会がアメリカでの女子VNLの開催を希望するものかどうか。米代表が出場する試合でも5000人前後というのをどう評価するべきでしょうか。今回は決勝ラウンドだったので海外からのお客様も多めだった可能性もあります。対日本戦は日本からの応援とおぼしきお客様もけっこういたようにみえました。通常ラウンドをアメリカ開催でこのレベルの動員は確保できるものなのか。
それとも発想を転換して開催場所を同じ小会場でもLas VegasとかOrlandoにして旅行とセットでバレーボール遠征に来てくれる海外客をアテにするというような小技を利かせるべきとか?今回の会場となったArlingtonはテキサス州Dallasの郊外に当たります。Dallas自体が観光資源に乏しい街でArlingtonはさらになにもない。私ならAT&Tスタジアムツアー(NFL Dallas Cowboys本拠地ドーム)でも楽しめますが。

新機軸プロ女子バスケリーグUnrivaled設立発表

起業家精神の高いアメリカらしい計画だなと思います。女子バスケの新リーグの計画が発表になっています。新団体の名前はUnrivaled。計画によれば所属選手は30名が6チームに分かれて1月から3月までMiamiで開催。30名は現在WNBAなど現役選手バリバリの選手たちを想定。WNBAのスターであるBreanna StewartとNapheesa Collierが設立代表となってます。

30人で6チームということは各チーム5人所属ってことです。5人でどうやるかというと新リーグでは3対3および1対1で戦うとか。明確にニッチを狙いで人員を絞るというところはなかなかビジネスセンスは悪くないのではないでしょうか。人数が増えてしまうと損益分岐点が上がってしまう。
設立の眼目は選手主導で米国内でWNBAのオフシーズンの働き場所を作ろうというところにあります。

WNBAは現在シーズンが進行中。WNBAのシーズンはざっと5月に始まり9月上旬に終了の4ヶ月強。基本的にはWNBAは男子リーグNBAの裏作でNBAシーズンが終わると始まりNBAが始まる前にシーズンを終える形。今のWNBAシーズンでも設立初期に比べればシーズンは伸びています。
選手たちはWNBAに対してシーズンの大幅延長とそれに伴うサラリーの上積みを要求していますがWNBA側には気がない。WNBAから見ればNBAの裏作だからアリーナやサポートスタッフの稼働率を上げられるというメリットが見えるわけですが、WNBAシーズンを延長してNBAとダブったら専任のスタッフを雇うことになるなどコスト増となるのは見えているなと私には思えます。

他方WNBAはオフシーズンに選手たちが別のリーグでプレーすることは禁じておらず過去から選手たちは海外でプレーしてWNBAでのサラリー以上の稼ぎを得ていました。これができるのはWNBAが夏に開催して世界のほとんどのバスケットボールリーグのシーズンの時期がWNBAのオフシーズンだからですね。
しかしながら例のBrittney Grinerのロシアでの拘束事件もあってアメリカ人選手の海外リーグでの活動の場は狭まって海外リーグでの出稼ぎのデメリットがクローズアップされることになりました。そうでなくても半年間に渡る海外生活には家族を伴えない場合が多いようで米国内でもっと稼ぎたいなあというWNBAのトップ選手たちにとっては共通の願望であったという背景があります。

それを叶える方法としてひねり出したのが今回の新リーグUnrivaledというわけです。対戦形式を3対3や1対1とすることでWNBAとの直接の競争団体となることを避けながらビジネス展開。3対3バスケは既に五輪競技化している。男子ではBig 3という3人制のプロ団体も存続してます。プロ競技としては1対1は新機軸かと思います。人数を絞ってWNBAのスター選手に参加を限ることでスター選手同士の1on1のデュエルを売り物にしようということですか。
この企画がどれほどの支持を得るかはやってみないとわからないですが切り口のセンスとしては悪くないのではないかというのが私個人の第一印象です。過去のマイナープロスポーツが選手主導で組織を作ると互助会みたいになって人数が増えてしまう傾向があったのを断ち切って少人数という割り切りもビジネスライクで良い。現役女子選手が設立の旗振り役になっているというのも目新しくて良いのではないでしょうか。起業家精神を広げることで成り立ってきたこの国の活力のひとつの現れとして良いことであるとしたいです。
但し前々から何度も書いていますがスポーツをやって見せるだけでビジネスが成立するという発想自体が時代から遅れ始めているという点は留意する必要があるとは思います。その辺の工夫をどうするかはまた別の話ですね。

解説者の質をあげよう

カレッジフットボールのレギュラーシーズンが先週末で終わった土曜日です。毎年恒例のNavy x Army戦はあり夜にはハイズマン賞の発表はありますが今年も終わったなぁという感は強いです。これが2年後からはプレーオフの12校化でプレーオフ一回戦開始は12月中旬でもうすぐとなってシーズンの流れの感触が変わるのでしょうね。このぽっかり空いた感じを肌で感じられるのも今季と来季が最後。

この時期の週末はショッピングモールがとても混みあいます。クリスマスショッピングです。なのでアメスポ最強NFLといえども無理強いして強力カードをこの週には持ってこないし、試合のないチームも多い。カレッジフットボールも終わってそちらのファンもTVの前から離れてショッピングや家の飾り付けに忙しい。
今年に関してはサッカーW杯が進行中なのでそれを見る方なら一応今日土曜日の昼間は埋まることになりますが。

ところで24時から毎晩FOXでWorld Cup Tonightという番組をやってるんですが、あれって誰が見るんですかね。時代錯誤も甚だしい気がするんですが。たぶんFIFAとの放映権契約で放映を義務付けられているのではないのかと想像しますが、このご時世に昼間忙しくてW杯の試合をライブで見られなかった方がわざわざ24時を待ってハイライト番組を見るとはとても思えないんですけど、見てるんでしょうか。私は一度も見てないです。

以前にも書きましたが今回のW杯の放送はほぼ解説陣をアメリカ人元代表選手で固めています。その中で実況解説で一番良かったのがAly Wagnerでした。元女子代表で、WPSの徒花スーパーチームだったLos Angeles Solで優勝したときのメンバーでもあります。他の試合解説の元男子代表Stu HoldenやLandon Donovanよりテクニカルな解説が冴えていて感心しました。声の質も良いし落ち着いている。話のレパートリーも多い。今日モロッコがポルトガルをやぶった試合も担当してました。男子W杯の放送に初めて登場した米人女性解説者ということですが、こういう方が実力で出てくるのは頼もしいと思いました。選手時代も中盤の押さえで気の利いた選手でした。

というかMLS放送でもレギュラー解説をやっているStu Holdenの解説とかまるで無意味な内容ばっかりでうんざりしますから比較対象のレベルが低いせいでWagnerの解説が際立つ面もあります。

モロッコがアフリカ国として初の準決勝進出。放送ではそれはあまり言ってはいけないらしいのですが初のムスリム国家からの準決勝進出。モロッコ以外のアラブの国旗もモロッコ応援団にかなり混ざっていたのが目立ちました。アメリカ国内でもそうなんですかね。
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