アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

NHL/Ice Hockey

Vegas 初年度からトレード期限の買い手側に

これはかなり珍しい事態でしょう。NHLの今季の新規拡張チームであるVegas Golden Knightsがトレード期限最終日の月曜日にDetroit Red Wingsから左ウィングTomas Tatarをトレードで獲得。代償として2018年の1巡目+2019年2巡目+2021年3巡目とドラフト権を放出。リーグ参戦初年度から勝ちに出たということになります。アメスポメジャースポーツで新チームがいきなり初年度にトレード期限で買い手側に回るとは。前例がないはずです。
現時点でVegasはNHLの新チームの最高の成績。過去50年で見て他のメジャースポーツと比較しても、デビュー年に最も成績が良かったのはNFLのCarolina Panthersの勝率.438、MLBだと1969年Kansas City Royalsの勝率.426、NBAだと1967年のChicago Bullsの.407(Bullsは51年前だと言われると、1971年のPortland Trailblazersの.354)。これ以外は初年度勝率4割に届いたチームは過去50年間ないので、勝つためのシーズン中のトレードの買い手に回ったチームはまずないはず。サッカーMLSだとChicago Fireが参入初年度に優勝しちゃったりもしてますが、通常メジャースポーツという括りをする場合にはまだMLSは入れてもらえないので、Vegasがアメスポ史上最高成績のエキスパンションチームということになると思います。

NHLでは過去のエキスパンションチームで最も早くプレーオフにたどり着いたのは1993-94シーズンに参入したFlorida Panthers(正確を期すと別のチームなんですが=後述)で、参入3年目にStanley Cupプレーオフに進出しています。Vegasも結成当時の目標は3年目までにプレーオフに届くこととしていたんですが、その目標はもう初年度で達成したに近い。当ブログでも昨年書いた通りVegasは今季後に契約切れの選手を(意図的に)多く抱えており、勝ち進みつつもそれらの選手を売りに出したかったはず。しかしVegasの成績はトレード期限がやってきてもなお上位でそれらの契約切れ間近の選手たちを売りに出すことはやめた。それどころか初年度にここからさらに勝ち星を重ねようという意気込みで補強にも乗り出したと。再建期に入ったDetroitからすると3年契約が残るTatarを将来のサラリーから外せるというメリットもありトレード成立。Tatarの契約の全額をVegasが負担する上に、3つもドラフト指名権を手放すというのはちょっと商売が下手な気もしますが、とにかく補強をするのだという前のめりの意思ははっきりしているということですね。シーズン前には負けまくるはず、選手も切り売りするはずだったチームが早くも勝負にきているというのはすごいです。



*注 上で少し触れた新チームのプレーオフ進出の正確な記録は1967~68シーズンに4つの新規参入チームがプレーオフに到達しています。但しこれは特殊な状況で、このシーズンに6チームが一度にNHLに参入してNHLは12チーム体制になったのですが、既存のOriginal 6の全チームが東地区、新設の6チームを西地区に振り分け。各地区から4チームずつがプレーオフに参加するという形式だったので、シーズンが始まる前から拡張新規チーム4チームがプレーオフに進出するのは確定していたという事情でした。必ず新チームがStanley Cup Finalに出場するのもシーズン前に確定していたというわけです。そういう事情なので新チームによるプレーオフ進出の記録には含めていません。その年のPhiladelphia Flyersが参入組の最高成績で31勝32敗11引分ですから勝率で比較するとメジャースポーツの過去最高勝率だったということになると思います。但し同じ事情で新規チーム同士の試合が多かったから勝ち星が増えたというわけでもあります。

五輪アイスホッケー決勝 撃ち合いの末ロシア

いやーすごい試合になりました。この試合を五輪の決勝で見られる幸せ。ロシア、ドイツ両国で語り継がれるであろう緊迫の名勝負でした。日本で観戦した皆さんもお楽しみいただけたかと思います。こういう試合こそがそのスポーツがそれまでファンでなかった方々のハートを掴む試合なんだなと、興奮冷めやらないアメリカ東部時間午前2時半であります。土曜日なので大丈夫です。(女子の決勝は平日の午前2時過ぎ終了だったので辛かったです)

正式にはロシアではなくOrympic Athletes from Russia, OARが4−3、延長戦の末ドイツを下しています。第3ピリオドの試合展開はもう大変でした。ロシアの勝ち越しゴールが決まって2−1となってあー残り時間も少ないしこれはロシアの貫禄勝ちコースか、と思ったところからの10秒後のドイツの同点ゴール!続いてドイツの逆転の一撃!試合時間が2分強になってからの追うロシア痛恨の反則!しかしショートハンドとなったロシアがゴーリーを引き上げて最後の攻撃で同点!すごい展開で痺れました。
延長戦ではドイツがハイスティックの反則をとられて4人対3人(延長戦は4人対4人なので)。ロシアがアレを狙ってるのがわかっていたと思うんですが、3人のドイツディフェンスの真ん中を横切る横パスからのワンタイマーが技あり鮮やかに決まって熱戦に決着を着けました。

ドイツに肩入れして見ていたので残念ではありますが、これはホッケーというスポーツにとっての勝利と言える素晴らしい試合でした。見て良かった。ホッケーというスポーツにありがとうと言いたい、ホッケーの良さを存分に味わえる試合でした。

細かい話で言うとドイツの逆転の3点目が、ロシアのお馴染みPavel Datsyukのドイツ陣内でのパックロストが起点になっての速攻でのゴールとなりました。ロストしたあとのDatsyukの必死の追従もスピードが足りずディフェンスにまわりきれなかった。あれがね。ドイツが逆転したのは飛び上がって喜びましたが、あーこれでロシアが負けてしまうとDatsyukの現役最後のプレー(本人は引退宣言してるわけではないですが)がロシアの敗戦の原因になってしまうじゃないか、それはちょっとつらい。あれほどの好選手の記憶に残る最後のシーンがこれになっちゃうのは嫌だな、と。
しかし終わってみればすべてがうまく行ってロシアが苦しい試合をものにしました。Datsyukご本人はNHLの当時と同じで勝ってもあんまり嬉しそうでもないのが、ああいつものDatsyukだなあと、それも良かったです。

これでロシア・OARは今大会を金メダル2個でフィニッシュ。通常のロシアなら不満な数でしょうが、数は足りなくても勝ったのが女子フィギュアスケートシングルとアイスホッケーという冬季五輪の花形種目ふたつで、どちらも壮絶な勝利でしたから、ロシアの国民も溜飲を下げたことでしょう。ロシアへの処罰という意味ではあまり処罰にならなかったことについては批判的な意見も当然あることでしょうが、それを封じてしまうようなパワーがスポーツがもたらす感動にはあるかなとも思いました。

ドイツが決勝進出決定 NHLの欧州進出にプラス?

平昌冬季五輪の男子アイスホッケーでなんとドイツがディフェンディングチャンピオンのカナダの猛追をかわして4−3で勝利、決勝進出を決めてます。これはNHLの不参加が意外なメリットとしてNHLに返ってくる状態となるか。

ドイツは決勝進出で銀メダル以上が確定。過去のドイツの五輪でのメダルは西ドイツ時代の1976年インスブルック大会で銅メダル、ヒトラー執権以前の1932年に銅メダル獲得の史上二度のみですので、現時点で同国の過去最高の成績となることが確定しています。前回ソチ大会には予選敗退で出場できず、その前のバンクーバー大会では11位。今回もグループリーグで1勝2敗(1勝は延長戦勝利)。オリンピックには来たもののメダル候補とはまったく考えられていなかったチームが、グループリーグで全体首位だったスウェーデン、ホッケー強国カナダを連破して決勝へ。ドイツの対カナダの過去の対戦成績は1勝27敗1分だったとか。決勝の相手はOARです。

試合は第3ピリオドにカナダが王者の意地での反撃で2ゴールを挙げてその後もドイツゴールに迫る緊迫の終盤戦となりました。ドイツは第3ピリオド、SOG1(唯一のSOGはペナルティショット→失敗)で防戦一方。身体を張って耐えきっての勝利となってます。
カナダは第1ピリオドでのペナルティ連発(2つ目はフェイスオフで審判の指示に従わなかったという無意味な反則)で5対3の場面となって先制点失点、第2ピリオドにドイツに押されまくった挙句、ラフ行為で5分のメジャーペナルティを食うなど自滅っぽい敗戦。最終ピリオドのあの迫力が出せるのに、その時点までギアがトップに入らなかったのが今回のチームの限界か。

このドイツの突然の確変。これが起こった下地はNHLの選手たちが今回の五輪に来ていないことでしょう。カナダや米国を始め、他のホッケー強国のベストの選手たちは大量にいまもNHLでシーズン拘束中。対してドイツは自国内リーグの選手たちで固めています。ざっと調べてみると現役のドイツ人NHL選手は7名、うち2名はゴーリー。過去の国際試合の戦績も冴えない、NHL内での存在感も低かったドイツが躍進できたのは他のホッケー国と比較するとNHL選手の五輪不参加でのチーム力低下が比較的軽微だったからでしょう。
そしてもしこの大躍進を期にドイツ国内でのホッケーへの注目度が高まったら、近年欧州での公式戦を頻繁に組んでいるNHLは喜んで来季ドイツでの公式戦を組むことでしょう。NHLが選手を五輪へ派遣しないことでの国際的な露出低下などデメリットを云々する議論もあったわけですが、ことドイツに関してはなぜかNHLの派遣拒否がホッケー市場の拡張に繋がったなんてことになるかもしれないのです。

決勝はドイツを応援してみたいと思います。ロシアの方がずっと強そうですが。

ホッケー米男子代表準々決勝で力尽きる

NHL選手が出場していないこともあってほとんど見ていなかった平昌冬季五輪の男子アイスホッケー。4年前の当ブログの記事を見るとソチ五輪でのホッケーにかなりいれこんでいた様子が伺えて、今回との落差がすごいです。過去大会ならアメリカやカナダの試合だけでなくロシア、スウェーデン、フィンランド辺りの優勝候補どころかドイツだスイスだの予選の試合から相当の数の試合を見て各国の調子まで感じられるほどだったのに、今回はさっぱり。五輪が始まるまでKHLの選手が出場していることすら知らなかったほどです。

女子フィギュアスケートのショートプログラムを生中継で昨夜見ていて、その続きの時間帯で米男子代表対チェコの準々決勝を後半からシュートアウトまでを観戦できました。選手には馴染みはなくてもホッケーは見るとやはりおもしろいです。熱戦の第3ピリオド+延長の末、シュートアウトにもつれ込むと、「今、T.J. OshieがTwitterで”Terry Terry Terry!!!”とツイートしました」と実況が紹介。今回の米代表メンバーの中でシュートアウトのスペシャリストとされたTroy Terry(Denver大所属)を指しての応援ツイートというわけです。

T.J. Oshieは四年前にソチ五輪での対ロシア戦で伝説的なシュートアウト戦をやってのけた選手。当時はSt. Louis Blues所属、現在はWashington CapialsでスーパースターAlexander Ovechkinの相棒としてトップラインを張ってます。当時の五輪のシュートアウトルールは最初の3人が終わって同点の場合は、そこからサドンデス(現在は5人)。4本目のサドンデスからは既に出場した選手が何度でもシュートアウトに出場しても良いルール。ロシアとのシュートアウトは延々続いて8本目で遂に決着がついたのですが、T.J. Oshieはトータルで6本に出場4本を決めて米代表のヒーローになってます。ロシアの方はサドンデスに入ってからPavel DatsyukとIlya KovalchukとNHLの大重鎮スーパースターが代わる代わる出てきたのを、Oshieが一人で次々とゴールを決めて勝利。相手が相手。ロシア。Kovalchuk。Datsyuk。それを一人でねじ伏せたその鮮やかさで一気に人気爆発してOshieを人気選手にした伝説の一戦となったのでした。
そのOshie。ちゃんと真夜中なのに五輪ホッケーを生TV観戦してたんですね。タイミング良くツイート。好きなんですね。

残念ながら米代表は5人が一人もゴールを決められずシュートアウトは1−0で準々決勝敗退となりました。今回はマイナーリーガー大学生選手NHLから契約が貰えなかったベテランでの構成で、大きな期待はできない大会ではあったものの健闘はしたという評価になるのでしょう。特に若い選手たちはこの経験を糧に将来のアメリカホッケーを盛り上げてもらいたいところです。

NHLの拡張に伴う地区割変更の可能性

SeattleがNHLに正式に加入申請を済ませNHLの32チーム化が確定的。それに伴って地区の再編成が話題にのぼっているようです。
現在NHLは31チーム4地区編成。Seattleは北西の果て。現在の地区割だとPacific地区・太平洋地区に入るのが自然なのですが、Pacific地区は今季からVegasが加わったことで既に8チーム。4地区のうち唯一7チームなのが中地区。こんなことになるなら地理的に太平洋地区では東の境界に近いVegasを最初から中地区に入れておけば良かったんですが、もう遅い。なのでSeattleを飛び地で中地区に編入するか、太平洋地区のどこかを中地区へ移動させるか、ということになる。地図で見るとArizona Coyotesが一番中地区に近い。Coyotesは後発チームでもあり太平洋地区のチームと強いライバル関係があるわけでもないのでCoyotesかなというのは自然な発想とは思いますが、Arizonaのオーナーがうんと言うかどうか。SeattleとVancouverの特別な都市ライバル関係を考えるとSeattleとVancouverは同じ地区にしたいとリーグは考えるように思われます。

32チームというのはNFLと並んで北米メジャースポーツでは最多のチーム数となります。NFLでは32チーム化後に全体を8地区に再編成しています。そういうこともあってかNHLファンの間ではいくつか地区の再編試案が提案されています。例として()()()などを見つけました。最初のリンク先では33チームになった場合(新チームとしてHoustonを想定)、34チームになった場合(Quebecを想定)まで考えている、現実性はともかく凝った案を考えてる方もいます。
ただどの案もなんというか異論反対が出そうな案だなあという気がします。例えば東海岸の人口の多い地方のチームの中で一番南になるWashington Capitalsが他の東海岸近隣のチームから切り離されて不人気なフロリダの2チームやCarolina、Columbusと組んで地区にされる案なんてCapitalsファンは速攻で大ブーイングでしょう。かと言ってCapitalsを入れないと新興チーム不人気チームばかりの地区があまりにも寂しいから、という区分けの苦心はわかりますが、あまりうまくいきそうな感じがしない。(2)のESPN案の4地区再編案が比較的現実的かなという気がします。でも4地区で現在と地区の数が変わらないなら再編する必要性がそもそもあるのかという話になりかねない。最初の1チームを太平洋地区から中地区へ移籍させて終わりの方がモメなくて良いような。

NHLの場合、カナダのチームをできるだけ同じ地区に固めるべしという長年のポリシーとか、ニューヨークにある3チームはさすがに同じ地区でしょ、だとかの縛りがあるので、その従来の常識を尊重するとそれ以外の地区にどうしてもバランスの悪さが出てしまいますね。

また地区再編案で6地区、8地区として区割りを今よりも細分化している案が出てるわけですけど、それだと現行のプレーオフも模様替えしなくてはいけなくなります。現行のNHL Stanley Cupプレーオフの制度はNHL独自のもので基本的なアイデアは地区内のチーム同士で一回戦二回戦を戦うというもの。地区内のライバルをより意識させようという意図で数年前からやっている方式です。6地区ならやろうと思えば同じコンセプトでやれますが希薄化する、8地区だとそれはもう不可能になります。また地区ライバルを意識させようという意図なら地区割が頻繁に変わるのは良くない。
そういうことをいろいろ考えると(2)のESPN案が3案の中では良く、現行の4地区を基本的に維持する方がさらに良いように感じます。どうでしょうか。

ところでSeattleが加わることが確定したことで、Detroit Red Wingsは東カンファレンスに永住することになりそうです。Detroitが東カンファレンスに移動した後の時点では東16チーム西14チーム。東西各15チームでも良かったのにわざわざDetroitを東に動かした。その当時は将来のリーグ拡張先としてQuebecやToronto第2チームの方がよく話に上がっていたので、それらのチームができたらDetroitは再び西カンファレンスに戻ることもあるのかなと思っていたんですが、現実はVegas、Seattleと西への拡張となったのでDetroitが西へ戻る可能性は地区の大規模再編以外ではなくなったことになりますね。
そうなるとDetroit x PittsburghやDetroit x New York RangersのStanley Cup Finalのゴールデンカードはもう二度と見ることはできないことになるのかもしれません。




手をゆるめないNHLの時短策

今季からNHLでは相手ゴールに対してそのオフェンスポジションの際にオフサイドがあったかのビデオ判定を要求するチャレンジに新たな罰則が設けられてます。実際にそれを試合観戦中に出くわしたので少しそれについて。
ヘッドコーチが相手ゴールに対してオフサイドの反則があったかどうかをビデオ判定を要求して問うことができます。昨季まではその要求が間違っていればタイムアウトを剥奪されていたんですが、今季からはタイムアウト剥奪に加えて遅延の反則を課されることになっています。つまり相手のゴールは有効と判定された上に、再開時に自軍は1名ペナルティボックス行きのショートハンドとなるわけです。これは基本的には時短策です。昨季までのルールだとビデオ判定でゴールが無効になりそうになくても、タイムアウトをどうせ使うタイミング(試合の終盤など)であればチャレンジしておけば良い。30秒のタイムアウトの権利は失うけれど、ビデオ判定を審判がしている間に30秒よりもずっと長い試合中断となるので実際にはタイムアウトをとったのと同じまたは有利であったわけです。つまり無駄なチャレンジが発生していたとNHLは判断したわけです。
2016−17シーズンにはオフサイドへのチャレンジは117度あって判定が覆ったのは39度。数字だけで言えば3分の1も覆っているならさほどチャレンジが濫用されている数字には見えないですが、NHLはこれでも遅延が気になったようで、今季からはとりあえずチャレンジという行為に遅延の反則を課すことで歯止めとしました。これはコーチのチャレンジを制度化しているNFLやMLBにとっても参考になるルール変更かと思います。

メジャースポーツにおけるビデオ判定はもう止められない流れですが、しばしば試合の流れを悪くしているのは見かけるところ。それには歯止め策が必要であり、NHLが問題が拡大する前にどんどん手を打っているのは賢明であると思います。

プレーオフ目前でもギブアップ宣言

NHL関連で連投します。Vegasはシーズン前の予定を変えてタンクするのをやめたようですが、別のチームが堂々タンクへとシフトしています。
東の人気チームNew York Rangersの首脳が公式のSNSで署名公開書簡を出して、トレード期限を前に今季のギブアップを宣言しています。今季の残りはチームを将来へ向けての立て直し策に向けるとしています。これはなかなか新しいことをやりだしました。

現在Rangersは東カンファレンスの11位、プレーオフ圏内の8位までは勝点差は僅か3。残り試合数は28試合もある。ギブアップ宣言したものの来週の今頃までにプレーオフ圏内に復帰していたりするかもしれないような僅差です。この時点、この位置で公開ギブアップというのはアメスポで過去例がないのでは。
トレード期限を控えてプレーオフを目指した補強をしないどころか、手持ちのベテラン選手の売る側に回るよという意味でしょう。Rangersの細かい選手の契約事情は存じませんがこれは新しい。NFL/MLB/NBAでタンク流行りなのは何度か当ブログでもご紹介してきましたが、その流行がNHLにも波及してきたということか。

New Yorkでタンクというと一昨年、MLBのNew York Yankeesがシーズン中にベテラン選手をごっそり処分してシーズンを投げたことがありました。Alex Rodriguez, Mark Teixeira, Alordis Chapman, Carlos Beltranと軒並み放出・引退勧告。NHL Rangersのように言葉でギブアップ宣言したわけではないですが、どう見てもギブアップな態度。
ところが若手にざっくり切り替えたら若手が活躍して成績が伸びてしまった。若手に切り替わった直後の8月に勝ち越してプレーオフも見えてくる始末。Chapman放出早まったか?と言われたりしたんですが、9月に勝ち星が伸びずプレーオフは逃しました。しかしファンはいきの良い若手選手たちに来季の飛躍の可能性を感じてハッピーな新旧交代のシーズンとなったわけです。そして実際に翌年2017年シーズンはAaron Judgeが大ブレイクを果たすなどでコンテンダーに。ちょっとうまく行き過ぎなぐらいうまく行ってます。

Yankeesの世代交代の大成功を同市内で間近に見ていたNHL Rangersの首脳。Yankeesのアレをウチでもやりたいねという話になったとしても気持ちはわからないではないです。サラリーの高いベテランを外しつつ他チームのプロスペクトやドラフト権をかき集める。今季の残りシーズンは若手中心に切り替えて今NHLで流行りのスピード重視の走り回るホッケーでもやって、それで少々勝点が伸びれば安価にかつ将来の希望をファンに与えつつプレーオフ圏内到達することだってありうるね、そうなったらラッキー、ならなくてもまあ良いじゃないかというところか。
Yankeesの世代交代がうまく行ったのは一気に切り替えにいった2016年以前から4年ほどかけて自前の選手育成に励んできたからです。大物FAにあまり手を出さずに(Ellsburyは失敗例)、自ら悪の帝国の座から降りて自重した。悪の帝国はやめても他のMLBのタンクチームのようにボロボロにはならなかったので目立ちませんでしたが、Yankeesのようなチームとしては相当に我慢したと言える。そういう準備がRangersにできているのか。たぶんできていないはずです。昨年まで毎年のようにトレード期限に補強していたのですから。それでもこの新しい公開ギブアップの試みがファンにどう受け止められるのかはちょっと楽しみですし、その戦略が数年後にどういう風に形になっていくのかは気になります。

Vegas Golden Knights、腹を括る

昨年11月の段階でNHL新設チームVegas Golden Knightsが好成績なのにタンクに走るかもしれない、という記事を書きました。その後もVegasは好調を持続。本日の試合が始まる時点で西カンファレンスの首位、NHL全体でも勝点1差で2位。前回の記事を書いた時点よりもさらに状況は良くなっています。新年になってからチーム内に多数抱える今季後FAの選手のひとりJonathan Marchessaultと6年の契約延長に合意して戦力維持に力が入り始めました。もう裸踊りのような全面タンクはしないということですね。もう一人のオフェンスの立役者James Nealとは契約延長交渉が進んでおらずトレード期限ぎりぎりまでトレードの駒にするか、Marchessaultとともにフランチャイズの核としてキープするのか様子見という感じでしょうか。Nealは30歳、Marchessault27歳。どちらかを好契約を提示してキープするなら後者の方を優先したというのは理解できます。但しMarchessaultはホッケー選手としては小柄、優男系のルックス。小柄でNHLのスターというとChicago BlackhawksのPatrick Kaneがすぐに思い浮かぶんですけど、公称ではKaneよりさらに小柄で175cm 75kgほど。NHLだとこのサイズはかなり小さいです。チームのこれから5年間の命運を賭ける選手としてはちょっと怖いようにも思いますが、乗りかかった舟、どうなるか見ていきたいです。

西カンファレンスの首位と書きましたがプレーオフ圏外の9位との勝点差は13。他のスポーツ風に言えば6ゲーム半差。失速すれば簡単にプレーオフ圏外に転落することだってありうる。実際前回の記事を書いていた時期にVegasと西の首位を争っていたLos Angeles Kingsはあれから短期間で圏外転落、今も西9位にとどまっています。例年NHLのプレーオフというのはシード順にはあまり意味がなく、シーズン終盤に勢いをもってプレーオフに乗り込んでくるチームが強く、シード順が上でもこんな団子レースのシーズンはほとんどアドバンテージもないと考えていい。
シーズン中は以前にご紹介した通りVegas Flu(ベガス風邪)と言われるビジターチームの夜遊びでの体調不良なんかが取りざたされて、その結果としてVegasのホームでの成績がすごく良かったりしましたが、プレーオフになればそんな間抜けな相手チームはいないでしょうからそのアドバンテージもたぶん消える。上位でプレーオフに突入してもなにが起こるか予想できないのがNHLのプレーオフってことです。
いずれにせよ創設初年度プレーオフ出場は十分以上に手の届くところまで来てます。その先に何が待っているかはやってみないとわからないですが、腹を括って臨むことになります。

MLS Columbus Crewの転出問題 初のNHLとの競り合い負けの例か

以前にも記事を書いたサッカーMLS Columbus Crewの移転問題。先日のMLS Cup決勝戦のハーフタイムに恒例のMLSコミッショナー Don Garberのインタビューの放映がありました。今回は録画で。以前はほとんどが生でインタビュー出演していたもんですが、なにか不規則質疑を嫌ったか。その中でColumbus Crewの移転問題にかなり時間を割きました。その件については硬く暗い表情を作ってColumbusの現状は厳しい手は打ち尽くした転出やむなしの方向と発言。来季2018年シーズンがCrewにとって最後のシーズンになる可能性が強まったということでしょう。ただGarberは役者なので危機感を煽って来季のCrewの地元動員が大きく好転する一助になればと考えている部分もあるような気もします。聞き手だったTaylor Twellman(元MLS得点王)は私と似たようなノスタルジーをCrewに感じているようで「初期のMLSの功労者的チームだったColumbusをなくすのか」と食い下がったんですがコミッショナーは「MLSのビジネスの基準が変わった(上がった)」とつれない返事。ビジネス上のどこが問題かについて述べる中でコミッショナーさらっと触れたのですが「企業セールスが伸びていない」ということを言ったのを私は聞き逃しませんでした。あー!と。

どこに合点したかというと、同市内にはアメスポ4大スポーツの唯一のチームNHL Columbus Blue Jackets(CBJ)が所在します。CBJが同市内にやってきたのはMLS Crew(1996)より後の2000年。ホッケーでの成績は伸びず弱いチームですが企業セールスではあっさりMLSやMiLBの先行地元チームを上回ってしまったとされます。ホッケーに縁があるような土地柄でもなかったはずですが、同市内唯一のメジャープロスポーツという触れ込みが効いたのと、アリーナでの環境のよい観戦環境が接待に用いられる企業セールスには向いていたということか。CBJ程度の成績でもこれぐらいの規模の都市でもとりあえずこのぐらいの利益にはなるという実例はNHLの今後のリーグ拡張を考える上でも参考になるところ。NHLのリーグ拡張についてはまた項を改めて論じてみたいです。


対するMLS Columbus CrewのホームであるMapfre Stadiumは屋根もなく、企業向けとなるであろうスイート席もオープンエア。3~12月がシーズンのMLSの観戦ではかなり寒暖厳しいでしょうから接待に不向き。NHLを含むメジャースポーツ会場のスイートのようなガラスで囲われ冷暖房完備の快適なものでも、入退室時の動線確保も含めて一般から隔離された美麗特別感のあるものでもない。Mapfre Stadium(当時はColumbus Crew Stadium)が開場になったのは1999年、まだサッカーがマイナーな時代でゴージャスな席の需要予測とか想像もつかない時代。先の見えない潰れるかもしれない赤字のプロサッカーのためにスタジアムを建てるだけでも大変だったのにスイート席もちゃんと作っただけでも当時は立派な判断だったはずなのです。あれからほぼ20年。MLSはこんなスタジアムじゃ企業セールスが伸ばしようがないからスタジアム建て替えてくれと市側に要求、嫌なら出て行くという話になってるわけですね。なるほど。言ってみれば後発のNHLに弾き出されたとも言える。
ただ一旦転出したとしてもMLSが同マーケットを完全に放棄することはまず考えられない。快適スイート席を大量に完備した新スタジアムとともにどこかの時点でColumbusに再参入してくるのでしょう。
ちなみにもし本当にColumbus Crewが出て行ってしまうとMapfre Stadiumは常打ちのメインテナントを失うことになる。Rock on the Rangeという毎年のサマーロックフェスがありますが、それ以外は単発イベントだけになりかねない。空き家になったら現在は同市郊外で興業しているプロラクロスMLLのOhio Machineが入り込むなんていうことがありうるのか。Rock on the Rangeはなかなかに賑やかで日本からはBabyMetalが来年も来るみたいです。BabyMetalは2015年にも同フェスに出演してます。

Columbus問題とはまったく別に、MLSは今後のリーグ拡張先として4都市の名前を挙げています。Columbusから近い同州内のCincinnati、Detroit、Sacramento、Nashvilleの四都市です。ここから二都市が当選予定。一番意外なのはDetroitでしょうか。SacramentoはメジャープロスポーツはNBA Sacramento Kingsしかないですから確かに狙い目。NashvilleはAltantaとの南部つながりの地域ライバルを作るのが目的なんでしょう。Cincinnatiは別途当ブログで報告済みですが、マイナーリーグサッカーで全米最大の動員をする昨年急浮上した謎の新サッカー都市です。
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