アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

格闘技

Masters報道とWrestle Mania報道

Hideki MatsuyamaのゴルフMasters制覇の試合。4打差のトップだったためティーオフ前からCBSが完全フォロー全打生中継となりました。私も全編見てしまいました。途中日本のTBS(Tokyo Broadcastingと紹介していました)の中継音声も何度か流して日本での盛り上がりを伝える努力をしていた放送でした。1番でいきなり曲げて、4打差リードがいきなり1打差になってうわーという出だしでしたが、なかなか楽しめました。メジャー大会の中でもMastersはゴルフでは別格のイベントなので(少なくとも米国視点ではそうです)そこでの勝利はまた格別のものとなったかと思います。

スポーツメディアでMasters報道がトップ扱いなのは問題なくそうなのですが、意外にも同日に行われたWWEのWrestle Mania 37の報道量がMastersに劣らないぐらいメジャースポーツマスコミサイトがいくつもあるのが目立ちました。WWE報道が一般スポーツマスコミでこれだけ多くなっているのかと感心。

アメスポ報道最大手のESPNはMastersの木曜日金曜日の放映権を持っており、土日もメインの地上波CBS(=別系列)とは別のアングルの放送を有料ストリーミングのESPN+で同時中継するなど力が入っている。1956年以来60年以上にわたってMastersを放映しているCBSに対して、ESPNは2008年から木金の放映権を確保。いわばMastersはESPNにとっても準手持コンテンツ。

対してWrestle Maniaは今年はNBC系列の新しい有料ストリーミングであるPeacockでの独占放送。ESPNからすれば完全に他系列のコンテンツです。それでもこんなに扱いが手厚いのかと感心するような試合レポート記事が載ってます。記事内容もESPNの他のジャンルの記事と遜色のないトーンのもので、WWEのスポーツ扱いが相当に定着してきたのだなと思えるものです。

以前にも書いたことがありますが、大手スポーツ報道サイトでWWE報道に先鞭をつけたのはCBS Sportsでした。現行のWWEの定時放送はMonday Night RAWがUSA Network(=NBC系列)で、Smackdownが地上波FOXでなのでCBS Sportsにとっては系列でもなんでもないのですが、なぜかCBS Sportsが先行。
その後ESPNもWWE報道に参入したので、それはたぶんアクセス解析でCBS SportsのWWE報道が奏功していたからなんでしょうね。ちょうどあの頃ってESPN.comがコマーシャルだらけになってとても見にくいサイトになっていた時期でもあり、私もさらっとスコアを見たいときにESPN.comを避けるようになった時期にも一致します。
そんなこんなもあってESPNも他系列のWWE報道に本格参入せざるを得なくなったということのように見えます。

格式高いMastersと、色物WWE Wrestle Mania。視聴者層はあまり重ならないと思いますが、この混在というのもアメリカらしいところではあるんでしょう。

アメスポメインストリームにからんでくるWWE

金曜夜はWWE Smackdownの放映日。今日の放送では他ジャンルとのからみの話題が多かったです。NFL Tampa Bay BuccaneersのSuper Bowl制覇後の優勝パレードに合わせてWWEがBuccaneersのロゴをあしらった特製のWWEチャンピオンベルトを提供したようで、Bucsの優勝メンバーたちがWWEのベルトを持っての記念撮影の数々が紹介されていたり、今週末に行なわれるNASCARのシーズン冒頭のビッグイベント Daytona 500が行なわれるDaytona International SpeedwayにWWEのStreet Profitが訪問して昨季のチャンピオンとなったChase ElliottにやはりWWEのチャンピオンベルトを持たせてはしゃぐ場面を放送したりしてます。
またなんでもDaytona 500の名誉スターターにSmackdown女子王者Sasha Banksも登場するとか。いろいろからんでくるなあという感じです。ちなみにSashaは男子選手を抑えてSports Illustrated誌が選んだ2020年の最優秀選手にもなってます。あの真面目なSI誌もWWEの表彰をするのです。

Chase ElliottにせよBuccaneersの面々にせよWWEのチャンピオンベルトを嬉々として肩にかけてポーズするのが楽しそうです。このお気楽さを提供できるのはWWEという特殊ジャンルならではです。
NASCARとWWEはともにFOXの放送なのでWWEの試合放映中にも何度もDaytona 500の番宣をするなどFOXの意向で絡んでるわけです。そういう事情なのでNASCARとのからみは事前に仕込んでいたコラボでしょうが、Buccaneersの方は予定していなかったのではないかと想像できます。

昨夏からWWEが試合放送をしている場所はWWE ThunderDomeと名乗っていますが、現在のThunderDomeの場所はMLB Tampa Bay Raysの本拠地ドーム球場Toropicana Field内。つまりNFL王者となったBuccaneersとはたまたま同都市で興行中というつながりになります。Buccaneersが勝ち進むのは事前にはわからなかったわけですが、たまたま地元同士のBuccaneersの優勝で急遽ベルトを用意して提供した模様です。ただ同市内の地縁だけでなく、BuccaneersにはRob Gronkowskiも所属。Gronkは昨年NFLを引退中にWWEに参戦、24/7王者にもなっており人的にも縁があります。予定外ながらうまくSuper Bowlチャンプとのからみを演出できたことになってます。

WWE ThunderDomeが昨夏最初に稼働を始めたときの場所はWWEのトレーニングセンターのあるOrlando市内のアリーナであるAmway Centerでだったのですが、Amway CenterはNBA Orlando Magicのホームアリーナ。夏場は自由に使えたのですが、NBAが昨年12月から変則シーズンを始めることになったため同アリーナにThunderDomeの施設を常設することができなくなりWWEは移転を余儀なくされました。それで現在はMLB Raysの本拠地を使って放映中。もしMLBシーズンが現在の予定通り4月に開幕なら3月中にはWWEは再び移転が必要になるはずです。現時点では次のThunderDomeの行き先は発表になっていないというのが私の理解です。

NBA/NHL/MLBがすべてシーズン中となるのでThunderDomeを常設しておける大型屋内施設は数少なくなりそうです。NFLがシーズンオフになりますからNFLのドームスタジアムのどこかを利用というのが一番ありそうです。いままではWWEの自前のトレセンも含めてコロナ疫禍でもスポーツ興行に規制の極ゆるいフロリダ州でWWE ThunderDomeは展開してきたんですが、フロリダ州にはNFLのインドアスタジアムは存在しないんですよね。ということはWWE ThunderDomeのフロリダ州外への初進出なるか、ということでもあります。

ハロウィンの夜に和製モンスターが登場

ラスベガスMGM Grandでのボクシングバンタム級のタイトル戦で日本のNaoya Inoueが無観客試合のメインに登場、完勝してます。ボクシングにはろくな知識がないので普通に観戦してただけですが、Inoue選手には他人には見えてないものが見えているんだろうなという相手ガードの空きを鋭く突いたパンチがいくつか決まって最後はクリーンKO、20戦全勝。きっとに日本でも人気なのでしょうね。私はこの方の試合を見たのは初めてです。放映はESPN+で。

ニックネームはThe Monsterとされていて、試合日がたまたまか百鬼夜行のハロウィンの夜だったので、ハロウィンの夜にモンスターがやってきた的な言い回しでアナが盛り上げてました。ただ入場曲をアナに「これはディズニーのテーマ曲ではなくて‥」みたいに言われていて笑っちゃいました。ひょっとしたらご本人には思い入れのある曲なのかもしれませんが、アメスポ的にはちょっといかがなものか。もろに何コレ的な言われ方をしてました。もしアメリカに腰を落ち着けてスターを目指すならあの曲はやめた方がいいかもです。

試合後のインタビューも日本語ハキハキ、まったく疲れらしいものなし。曰く最後のKOパンチはずっと日本で練習してきたものだったと余裕。
クリーンKOで評判を上げて、ラスベガスからもまたお誘いがあることでしょう。次にベガスで戦う頃には観客が入るようになっていて欲しいものですね。

WWEのThunderdomeにKKKがなぜか侵入成功

先日紹介したWWEの新しいバーチャル観客システムに、白人至上主義団体KKKの衣装を来た人物が写り込んで全国放送にのってしまったようです。Monday Night RAWの放送での出来事。先週金曜日のSmackdownでThunderdomeはお披露目になり、週末にPPVのSummer Slamでも利用、この日がRAWの方ではThunderdome利用初回だったのですがケチがついたことに。私は見てなかったのですが、RetributionがRey & Dominick Mysterioを襲撃中のことだったと。それはなんとも意味ありげなタイミングに起こったんですねえ。
WWEは早々に声明を発表して、当事者の排除と再発防止を約束しています。


順序立てて説明します。バーチャル観客というのはファンが自宅などからログインして自身の姿をカメラで送信したものを会場に張り巡らされた大スクリーンに写すというもの。NBAのプレーオフでも採用されています。裸になってみたり、やってはイケナイポーズをしてみたりといういたずらやアクシデントは想定内だったでしょうから完全なライブではなく放映側が何らかのチェックはしているべきなのに、KKKの衣装は素通しだったようです。それもその人物の映像はTVアングルでよく見えるところで全国のTVに乗ってしまったと。NBAの方ではこの仕組の導入で時期的に先行していたのにそちらではこの手の不手際がなく、WWEではいきなりこれというのも示唆的です。

RetributionというのはWWEではこの夏からの新顔で、上から下まで黒づくめ覆面の10人ほどの集団が手に手にバールや金属バットなどで武装して会場内の破壊行為を行なうというアングルの集団です。モチーフは言わずと知れた人種差別抗議デモに便乗して各地で破壊行動をしている人々、だとほぼすべてのアメリカ人が了解する出で立ちと行動かと思います。これまでのところ無差別破壊行動をするだけで試合に出るわけでもない。Smackdownではこの破壊集団に対抗してヒール・ベビーフェイスが総出で戦うという演出もあったりで、通常のヒールを超えた悪として表現されていると思います。

そのRetributionがメキシコ人選手の代表格であるRey Mysterioを襲撃して、そこに検閲をすり抜けたKKKの衣装の人物がよく見えるところに映り込む?それは本当に偶然なんでしょうか?
歯にものが挟まったような言い方をやめれば、これはWWEが意図的に放送させた可能性はないのかな?という疑いがないとは言えないような。

WWEのオーナーVince McMahonはトランプ大統領の選挙運動に多額の寄付をしている隠れもない支持者です。あまり露骨な政治的な支援を演出内でやるのはビジネスへの影響が多大ですが、その危険を避けながら最大のトランプ支援をするとすると、トランプが毎日のように非難を発信している「極左とAngry mobsによる無差別の破壊活動」とそれを鎮圧しようとしている「正義のトランプ」というアングルにうまく一致しているように見えます。そして大統領の支持基盤では移民排斥はウケの良い政策で、特に数が多く目立つメキシコ人とか中国人はその標的になりがち。また白人至上主義団体が強いトランプ支持に重なるのも誰もが知っていることです。
それらの現象がきれいに一本の線にまとまっていないところがWWEの意図だと断じきれないところですが、イメージ的にはいまのアメリカの政治葛藤社会葛藤を映し出すような番組内の部分で、WWEは関知しないけどKKKが登場の放送事故‥ タイミング良すぎじゃないのか?という感じです。


Retributionの覆面の中身については諸説あり、あまり背の高い選手もいないことからマイナー団体からきた知名度の低い選手たちであるとか、途中から入れ替わってある程度ネームバリューのある選手が合流してどこかで覆面を脱ぐのではないかという説などありますけれど、まあそれは演劇内の話なので、Retributionがファンウケするかどうかで変わってくるのでしょう。シリアスな社会情勢とリンクさせたような演出なのであまりにも事態が険悪化したら覆面を取らずに霧散という可能性だってあるように見えますね。

WWE Thunderdomeデビュー

今週末のアメスポの最大のイベントはIndy 500。恒例の5月末から延期されての開催です。無観客での開催。客席が25万人分、オーバル内に入れるファンを含めると30万人を動員するアメスポ最大の動員力を持つイベント。かなりぎりぎりの時期まで一部の観客を入れることを模索していたのですが最終的には断念せざるをえなくなりました。
構造が古い会場ですから人の動線が管理しにくかったでしょうし、インディアナ州を含む中西部のコロナ感染が収まり切らず、Indy 500より重要課題であるであろう小中高大学の学期開始時期に重なっており、地元自治体首長からOKは出ませんでした。同地は州は共和党知事、市長は民主党市長とねじれになっており、ある意味アメリカ全体の縮図の土地柄。
インディアナ州内では既報の通りNotre Dame大ではキャンパス内で感染が拡大中。一日だけのIndy 500に観客動員を許そうという方向に民意は動き難い情況であると思えます。


表題の件。WWEが昨夜のSmackdownの放送でThunderdomeと呼ぶバーチャル観客システムのお披露目をしています。今週末にPPVイベントSummer Slamの開催を前になかなか派手で華々しかったと思います。
バーチャル観客としてオンラインのファンをリング周りのスクリーンに映し出すもの。それとともに派手な新規レーザー電飾も施してアップグレード。
WWEは春先からずっとフロリダ州オーランド市の自前施設での試合を続けていたわけですが、このタイミングで施設をアップグレードしたということは観客を入れてのアリーナツアーという従来の興行形態には近い将来には戻れないと判断したということなのでしょう。

バーチャル観客はNBAが導入済み。私に聞こえてくるところでは割と評判は良かったようでした。それをWWEも導入してみようとなったようです。WWEでは過去1-2ヶ月はアクリル板で仕切った向こう側にsocial distancingを実施したまばらなサクラの観客(練習生?)を入れていましたが、Thunderdome導入で彼らはお役御免となったようです。
自前の施設でバブルを形成して、3月4月のアメスポが完全停止する中で唯一興行を継続できたWWE。WWEは疑似スポーツであり、選手との契約形態も異なるわけですが、他のいかなるスポーツビジネスもショービジネスもできなかったことを実現しているその機転の良さ、意志決定の速さは称賛されていいかと思います。

年に1度きりの巨大会場を埋めるIndy 500と毎週3試合を無観客で開催して好調のWWE。対極ですね。

NASCAR再開! The Real Heroes 400

NASCARが今日日曜日にシーズン再開です。疫禍後のアメスポ再開の動きではUFCが先行して昨夜早くも再開第3戦UFC Fight Night 176(Overeem vs Harris、UFC249を含み同じ会場で8日間で3戦)もやっていましたが、UFCにはシーズンという概念がありませんから、個人的な好みとしてはNASCARのシーズン再開の方が、途切れたシーズンがいよいよ再開という感じが強いです。というわけでスタートを待ち構えて観戦です。UFCも良かったですけどね。昨夜のメインカードも1ラウンドから両者ともに顔面パウンディング乱打を食う時間帯有り、血まみれの大変な試合でしたし。


待っていたのは私だけではなかったようです。Twitterでのトレンドワードの首位に#NASCARISBACK が2時間以上続けてとどまるなど普段とは違う雰囲気です。視聴率情報が数日後に出てくるのが楽しみです。

事前にNASCARの社長が「自分は必要最小限の人員に当たらないので当日は会場には行かない」と言っていたのに象徴される通り、普段とは大いにムードは通常レースと異なります。人の数と接触数を大きく絞ってます。無観客はもちろん、関係者も大きく制限。各チームの人員も通常の22名から16名と減員。クルーチーフすらレース場にいないようです。レース自体はサウスカロライナ州で行われている中、クルーチーフはノースカロライナ州のチームの本部にいるという態勢。国歌の歌手も、レース前の安全祈願の聖職者も現地におらず遠隔で。
TVアナウンサーや解説も会場にいない。TV製作スタッフも通常の編集トラック内ではなく特設テント内にクルーを距離をとって配置しているという念の入れよう。ここまでやるのかと正直感動するような陣容です。特にNASCARの再開はかなり急に決まって時間の足りなかったであろう中でこれだけやるのだからこのアドリブ力はすごいなと思います。UFCと違ってNASCARではマスクの着用率も100%完璧に見えました。

選手やクルーから感染者が出た場合のシミュレーションも様々な場合を想定していると社長からの説明などもあり、これからアメスポメジャーが再開していく中での模範を示そうと努力しているように見受けます。準備の周到さではNASCARの方がUFCの上を行っているように見えます。後に再開で続くことになるMLB、NBA、NHLなどへ向けてNASCARが今回とってる防疫措置についての詳細な情報提供が日々行われているそうで、オールアメスポ態勢で復興を目指してる模様。これもまた感心。


この日のレース名は「The Real Heroes 400」とされてます。医療関係者が各地で治療や検査に日夜奮戦しているのをアメリカ全体でThe Real Heroesと呼んで盛りたてているのですが、それをレース名としてシーズン復帰戦としてます。この辺のセンスは泣かせます。
番組冒頭にJimmie Johnsonが「みんな、家にいろよ。これから数時間俺たちがみんなのためのショーをやる。見ててくれ」と静かな口調で言う。なかなかぐっと来るではないですか。

当ブログで予想していたトランプ大統領による再開の祝辞がない。公衆衛生のトップによるSocial distanceとStay homeを促すCMが最初の目立つ枠で流される。今トランプは公衆衛生トップと意見が割れて規制解除を強く主張してモメてる最中にトランプじゃない側の肩を持ったように見えます。またシーズン中断中に出場停止処分にされたKyle Larsonの処分理由を何度も放送中に語ってNASCARでは人種差別主義と一線を画していることを強調する。
これ、NASCARが今回のシーズンリスタートを全国区にアピールするチャンスと考えて従来のNASCAR支持層≒トランプ支持層=疫禍規制解除論者たちに偏らない姿勢を示している現れかと見えます。普段NASCARを見ない層も今日は見ていることを意識しているってとこでしょうか。興味深い変化に見えます。


また2月のDaytona 500で危険なクラッシュで病院送りになったRyan Newmanがこのシーズン再開レースで復帰ということにもなってます。当時の状況からすれば死亡事故になっても不思議じゃないクラッシュ。大きな後遺症もなく生活に戻れるだけでも奇跡に近いような事故だったのですが、今季のうちに復帰とは。事故の当時も書きましたがNASCARがとってきた安全策が見事に機能した結果なのであって、奇跡と呼ぶだけでなく人智による成功例と呼ぶべきでもあるのでしょう。

UFC Fight Night マスク着用の徹底化

先週末にUFC 249が開催されたことは書きました。同じ会場で水曜日の今日UFCのFight Nightが開催。249は疫禍でアメスポ全体が完全停止以来初のUFC大会だったわけです。そして今日が2大会目ということになります。まとめて2大会を開催というのは次週NASCARが同じレース場でCup戦2レースを中二日で開催するのと似た方式と言えます。

気になる違いが。249のときはオクタゴン周りの関係者でマスクを着用していない人がかなりの人数画面に映っていたと思いますが、今日はセコンドも含め着用率が明らかに上がっていると思います。着用していないのはアナウンサー解説、あとはラウンドガールぐらいのよう。一部わざと外して片耳にぶら下げたような問題児もいましたがおおむね全員着用が徹底されたようです。249時点の反省点として改善したってことなのであろうと思われます。
これからアメスポが再開していく中でこういうことは細かくチェックが入っていくんでしょうね。

UFC 249、感染者が発生も開催へ

今後のアメスポの再開に関する先行事例になりそうな事案が出てきました。今夜開催予定のUFC 249に出場予定だったRonaldo Souzaがコロナウィルスに感染していたことが確定してカードがら外されたものの、イベント自体は決行となってます。

私が読んだ限りの事情はこうです。試合は土曜日。ほとんどの出場選手は水曜日に会場のあるフロリダ州Jacksonville市に到着。全関係者にコロナウィルスの検査を実施。Souza自身には発熱を含め症状がなかったものの、本人の申告でSouzaの家族に感染しているかもしれない症状が出ていたとのことで隔離。検査結果が出たのが金曜日だか土曜日だかに感染が確認されてSouzaの試合はキャンセル。但し到着直後から隔離を徹底したので他の選手関係者への感染はないと判断、UFC 249自体は決行へ。担当する同地の公衆衛生当局もUFCの対応内容に満足ということで開催のお墨付きが出た、ということだそうです。


いくつか疑問が。水曜日の段階でSouzaに感染の検査をして結果が出るまでに2日または3日というのは遅くないか。私の知ってる限りで最新で私の地元の大手検査機関は早ければ当日、遅くとも翌日までには結果がわかると情報発信しています。UFCの採用した検査が一般の我々よりも遅いというのはおかしいように思われますので、再検査をするなど手数を踏んでいるのではと想像されます。最初の検査結果がクロだったから二度目の検査をしたのか、シロだったから再検査をしたのか。それとも結果は出ていたがただクロだとすぐに発表したくなかっただけか。どの場合も少なからず問題を感じます。事情の詳細な公表が望まれます。

Souzaは他の選手たちの泊まるホテルから離脱・別の場所で自主隔離したというのですが試合を数日後に控えて練習の機会もなくホテルの部屋に数日缶詰というのではシロとなった場合でも試合に臨むコンディションに差し障る。たぶんなんらかの方法で練習ができる環境が提供されていたのではないかと想像しますが、その辺はどうしたんだ?というのも気になりますね。今回は対象になった選手が1人だったという話なので時差利用などなんとか隔離練習の方法を提供しえたかもしれませんが、どうなのよ、という。

またSouzaがどういうルートで会場入りしたのかも知りたいところです。フロリダ州在住で車でJacksonvilleには来たということで、一緒に来たSouza陣営の2人のセコンドも自主隔離対象になったとされます。セコンドの2人が感染確認されたかどうかは報道がない。Jacksonville到着後もセコンドと行動をともにしていたのだとしたらその3人の間で感染が到着後に起こった可能性だってありそうです。

また隔離されたはずのSouzaは計量イベントには登場、対戦相手と同じ場所に揃って撮影をされています。これもどうよ、という感じですね。マスクはしていたようですが、感染しているとわかっている選手と同席をさせられた相手選手や関係者はこの処置に文句も言いたいところでは。その時点で感染が確定していなかったから計量をしたということなんでしょうけど、そうだとしたらもっとやりようがあったのでは?危険を冒してまで同じ場所でやる必要がないはず。また相手陣営はSouzaが検査結果待ちの状態であることの説明を受けていたのかどうかも気になります。


UFCは前回の4月のUFC 249(中止済み)もギリギリまで開催にこだわった経緯もあり、今回の試合(元々はUFC 250として予定されていたのが通し番号がずれて新期日で249になった)の開催もぜひやりたいという意思がはっきりしている。もう試合当日なだけに細かいSouzaの欠場の事情説明を第三者にしないままで試合を決行するのでしょう。
開催地のフロリダ州も他州と比較して経済活動の再開に前のめりの判断をしてきている傾向が強い。UFCおよび地元自治体がともに開催決行に前向きなだけにもう止まりようはなさそうです。PPVで売っちゃったお金が目の前に見えてる話でもありますからね。

現時点までで出ている情報だけなら決行の判断が間違っているとは言い切れませんので開催反対を言いたいわけじゃないんですが、検査結果の出方のタイミングのおかしさも含めてもう少し丁寧な情報発信はあってもいいかなと思います。それは開催後の事後であっても、先行の例として公表すべきかなと思います。

純粋アマチュアスポーツとしてのレスリング

先日別項でカレッジレスリングに触れました。めったにこの話題になることはないのでこの機会に一度アメリカのレスリングのことを少し書いてみたいと思います。

アメリカにおけるレスリングというのは五輪レスリングとはまったくの別ものです。カレッジおよび年少者まで一般にアメリカで行われているレスリングルールを限定して指す場合はFolkstyleとも呼ばれますが、通常はレスリングと言えばアメリカ独自のそれを指します。1秒フォールで決着が着くことを除いたら五輪レスリング・国際ルールとはまったく違うルールで争われています。フリースタイルで得点となる動きがFolk Styleでは得点にならないので存在しません。ローリングや投げがそれに該当。投げたって良いんですがそれ自体は得点にならないのであまりそうなりません。

個人的な感想ではアメリカのレスリングは素晴らしいスポーツだと思っています。唯一の学校スポーツとして行われる格闘技として特別な地位を持っているとも思いますし、粘り強い体幹などこのスポーツを通して鍛えられる身体能力は他のスポーツでは得難いものがあると思うからです。
冬シーズンのスポーツなので、伝統的に秋にフットボールを、春に野球をやる運動能力のある子で、バスケにはむかないという子たちが冬にレスリングをやるというのは珍しくなかったと理解しています。フットボールの試合を見ていて動きの中で、ああこの選手はレスリングやってたなとわかる選手は珍しくないです。

高校レベルでの男子スポーツで競技者数でレスリングは種目別で7位。資料のある最新の2017-18シーズンの統計で24万人以上が参加しています。増減は年によって違い最新の統計ではレスリング参加者は増加したことになっています。
男子の種目を見ると球技でフットボール、バスケットボール、野球、サッカーの順で参加者が多く、それに加えて陸上やクロスカントリー走までの計6種目の参加者がレスリングより上になってます。ただし後ろの2つは、他の競技参加者のオフシーズントレーニングを兼ねて参加している選手も多いとも言えます。マイナー競技の中では伝統的に地味なのに参加者が一番多いのがレスリング、という位置づけでもあります。人知れずという感じに。

アメリカにおけるレスリングの最も盛んな州はアイオワ州です。北米大陸中央、大都市もない穀倉地帯の目立たないアイオワ州。なぜか伝統的に強い。カレッジで言うとBig Ten所属のIowa大、Big XII所属のIowa State大がメジャー大学として同州に存在します。そしてその所属カンファレンスがNCAAレスリングの中心的な地位も占めます。アイオワを含む穀倉地帯、中西部と呼ばれる地方で盛ん。米国内でかなり参加人口に濃淡のあるスポーツです。田舎州の方が強い傾向が強い。

もう一度繰り返しますがここで言うレスリングを続けていても五輪には決して出られません。五輪に出ていくのはカレッジキャリアを終えた後や(五輪の開催年のタイミングによっては)1−2年間カレッジレスリングへの参加を休止して国際ルールのレスリングに特化転向した選手だけです。
人気球技のようにプロになってカネが稼げるようになる可能性もほぼなく、カレッジスポーツとしての扱いも地味で、五輪で世界一になる可能性もほとんどないのになぜか伝統的に多くの少年が参加するスポーツ。それがアメリカのレスリングなわけです。言ってみればアメスポ随一の筋金入りのアマチュアスポーツとも言えましょう。


ところで先日もコメントで読者の方に指摘していただきましたが、アメリカ人MMA選手でレスリングをバックグラウンドに持つ選手は多い。上で説明した通りTVでは見かけることはなく五輪で注目されなくとも参加者数は伝統的に多かったし、レスリングはとにかく他のスポーツをやっていたのでは絶対に鍛わることのない部分を日常から鍛えるスポーツなのでMMAでその身体的な貯金が見える形で貢献するのは納得ではあります。MMAが後発ながらメジャープロスポーツとしてアメスポ市場に定着したことで初めてレスリングに上位互換のプロの道が拓けたとも言えるのでしょう。純粋なアマチュアスポーツだったアメリカレスリングにある種のプロの可能性を付加したものにはなったんだろうなと思えます。
だからと言ってMMAがやりたいからレスリングを始めたという子がどれほどの割合を占めるかというと、どうかなという気もしますが。


レスリングの身体能力の高さの現れとして私が知っている現象としては、MMAのひとつ前の段階と言えるグラップリングのアマチュア大会ではしばしば「レスリング経験者」と「レスリング未経験者」を別ディビジョンに分けて競技を行うというのがあります。レスリングを知らないでグラップリング教室や柔術教室に通う選手がどれほど関節技を知っていても、体重移動に長け、身体接触の競り合いの中での強さを身に着けたレスリング経験者にはまったく技をかけられないのです。あっという間に不利な態勢に追い込まれてグラップリング独自の技術をあまりわかってないレスリング経験者たちが勝っちゃうんですよね。着衣の柔術だと道着を掴むことでまだ主導権を取りえますが、グラップリングの技術を競う大会としては実に不本意な試合が次々と展開されてしまうのです。それでレスリング経験者を自主申告で別枠にするという措置をとることがあるわけです。
ディビジョン分けまでするのはさすがに珍しいかと思いますが、米国内の柔道の大会でもサンボの大会でも、ああレスリング経験者なんだなという参加者が非柔道な動きで勝つというのはまったく珍しくない。レスリングが商業的な意味でアメリカでメジャースポーツとは言えないにしても、私的な道場で行われている柔道、グラップリング、柔術、サンボなどに比べたらレスリング経験者の数は桁違いに多くその能力も平均的にかなり高いということになります。

本論とはずれますが関連して一応柔道側のことも書いておくと、アメリカでも柔道の広域大会になればアメリカ国内でマイナーながらも研鑽を積んでいる柔道選手にお目にかかる機会はあり、そういう選手がレスリングでの動きや強さをベースに勝ち進んできた腕自慢選手を畳んでしまうのを見ると、うむうむ柔道の技術体系はやはり意味のあるものだなと納得もして嬉しくもあるわけです。


レスリングが冬スポーツであるゆえに子供の頃からレスリングを学んだ選手はたぶん同じ冬シーズンのスポーツであるバスケを学校の部活動で経験していないであろうことが想像できます。バスケは遊びで誰もがする手軽なスポーツですからレスリングをしているからと言ってバスケをやる機会がないということはありえませんが、逆はあり得る。つまりバスケを子供の頃から部活でやり込んでいるとレスリング的な動きを学ぶ機会が失われるということはありそうです。フットボールとレスリングは両方やってる選手は全米にいくらでもいるけれど、バスケとレスリングは学校内部活では両立しえないので。
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